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インタビューイー:代表取締役社長 神崎
Q:早速ですが、社長が考える、LECの社会的な役割とミッションについてぜひ教えてください。
神崎:ええ、もちろんです。私たちの正式名称は「株式会社LCAエキスパートセンター」です、社内では親しみを込めて“LEC(レック)”と呼んでいます。LECの中心にあるのは「ライフサイクルアセスメント」、略してLCAという考え方です。
インタビューアー:LCAは製品やサービスの一生(ライフサイクル)を通して、多様な環境への負荷を「定量的に評価」する手法ですね。
神崎:初めて聞く方も多いですよね、難しいのでは?と思いがちですが、そんなことはなくて、最初に少しだけ説明をすると、たとえば、ペットボトル1本を作るとしましょう。原料はプラスチックで、その元は石油です。石油を採掘して、加工して、輸入して、さらに製造して…最終的には消費者に届いて、飲まれて、廃棄されて、リサイクルされる。この一連の流れの中で、電力を使ったり、輸送に船や車を使ったり、土地の開発があったりと、さまざまな環境との関わりがあるんです。
そうした環境との関わり、流れを見える化するのがLCAの役割です。
環境への影響を“見える化”することは、私たちが日々生活していくうえで、非常に大切な要素のひとつだと私は考えています。
たとえば、便利だからといって電気を大量に使えば、その電力を供給する発電所では、膨大な量の石油燃料が必要になるかもしれません。石油を採掘するとなれば、その土地の地形を変え、生物多様性の構造そのものに影響を与えてしまう可能性もあるわけです。何気ない選択が、どこかで自然環境に大きな変化をもたらしているかもしれない。それを把握するために、環境とのつながりを定量的に評価する手法が「LCA」なんです。
ですが、LCAという手法は、環境への「負荷」を数値化することが多いので、どうしてもネガティブな印象が先行しがちです。企業にとっても、社会にとっても、ネガティブな情報は必要ですが、それだけでなく「ポジティブな情報」もまた大事だと思っています。
インタビューアー:ネガティブからポジティブに?難しいように感じますね。
神崎:自然環境や地域と人間がモノを介してつながっていることを実感できるって、実はちょっと楽しいことだと思っています。ところが工業化された今の社会では、原材料が世界中から調達されるようになっている。サプライチェーンが非常によくできているから、モノを通して自然や地域とのつながりを感じる機会がほとんどありません。私はその“つながり”を楽しいと感じられること自体が価値だと思っていて、LECには、従来の製品ライフサイクルに内在する環境負荷などの情報を出発点として、それを「ポジティブな情報」を持つライフサイクルへと見直し再構築していく役割があると考えています。
ここでの「ポジティブな情報」とは、環境負荷を減らすことにとどまらず、例えば自然資源の再生可能性を尊重し、それを活かすような考え方を取り入れること、そしてそれが地域社会の持続可能性や活力につながっていくことを含みます。そうすると、企業も消費者も環境に配慮した行動が自然ととれるようになりますよね。自然とのつながりを実感しながら商品設計や開発をしていくことは本来難しいことだと思います。そこから、見えていなかったものが見えるようになり、価値観が変わり、行動が変わる。そんな世界の構築が、LECの使命です。
Q:そもそも会社を立ち上げたきっかけは何ですか?創業時の想いをぜひ聞かせてください。
神崎:LECは2023年に設立した、まだ若い組織です。現在実質2期目ですね。立ち上げのきっかけは大きく2つあります。
ひとつは、私自身が以前所属していたサステナブル経営推進機構(SuMPO)での経験です。さらにその前の組織でもLCAに関わっていましたが、LCAの仕事って、企業の中では孤独に取り組んでいることが多いんです。孤軍奮闘している方が多い。でも、業界や業種を越えてそういう人たちが集まると、驚くほど活発に意見が出て、共感が生まれるんですよ。
長くLCAの世界に身を置いてそうした人たちと関わる中で、「ここに来れば活動がしやすくなる」「何か得られる」と感じられるような“場”が必要だと強く思うようになりました。環境って、明確な答えがない分、共感してベクトルを合わせていくことがとても大事なんです。みんなが同じ方向を向いていけるような“場”を作りたい。それが、LECを立ち上げた理由のひとつです。
もうひとつは、SuMPOへLCAの仕事が急増したことです。2016年11月のパリ協定発効、2020年10月日本政府のカーボンニュートラル宣言などを背景に、SuMPO設立と同時に急増していきました。もちろん良いことなんですが、すべての企業の要望に応えきれなくなってしまったんです。その時には、HPで「新規の仕事は受けられません」とお詫びを交えて公開するほどでした(※)。
そのときに痛感したのは、ひとつの組織だけで仕事を完結させるのは限界があるということ。LCAを専門にするコンサルティング企業は他にもありますが、社会や企業活動の持続可能な成長のためには、組織の内外を問わず、多様な人が柔軟に情報を共有し、力を発揮できる“共通の場所”が必要だと強く感じました。
(※)「LCA・カーボンフットプリント支援サービス」事業の一部サービス凍結の取り扱いのお知らせ|一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO :さんぽ)
Q:社長から見て会社の雰囲気はどう感じますか?
神崎:LECは、年齢が若い方からベテランまで幅広くて、それぞれが自由に意見を出せる雰囲気があります。インターン生も積極的に受け入れていて、彼らと話すことで新しい視点が入ってくる。それがまた社員にとっていい刺激になるんです。
オンライン中心で働いている人もいますが、週に一度は出社して顔を合わせるようにしています。やっぱり、直接会って話すって大事ですよね。自然と会話が生まれて、チームとしての一体感も出てくる。そういう空気感がLECにはあると思っています。
Q:社員のスキルアップやキャリア形成について、会社としての制度や考えはありますか?
神崎:LECに入ってくる人は、社名の通り“エキスパート”を目指している方が多いです。希望すればSuMPOが運営するLCAの養成塾にも参加できます。受講料は高いですが、会社としても支援しています。
それに、社員が自分のキャリアを考えてイベントに参加したいという場合は、遠方でも出張費を出して応援します。もちろん会社にとってプラスになることが前提ですが、自分の成長のチャンスは自分でつかんでほしいと思っています。
小さな組織だからこそ、すべてを完璧に整えるのは難しいですが、“やりたい”という気持ちにはできるだけ応えたいですね。
Q:福利厚生や社員の働き方などをサポートする制度はありますか?
神崎:LECは柔軟性が高いですよ。働く場所も申請すれば在宅勤務が可能ですし、有給休暇も入社後すぐに取得できます。家族の誕生日に使える特別休暇もあります。実は僕自身はまだ使ったことがないんですが(笑)、今度使ってみようと思っています。
グループ会社のSuMPOが一般社団法人ということもあって、そこの良い制度をLECにも取り入れています。小さなお子さんがいる社員もいますし、みんなが自分のペースで働けるように整備を進めています。
Q:社長はそもそもどういった人か、ぜひご自身について少し教えてください。
神崎:もともとは大手電機メーカーで半導体の製造プロセスを10年担当していました。それはそれで面白かったんですが、とあるタイミングで、もともとあった「何か違うな」という感覚が出てきて。仕事とは別に勉強したい、自分を変えたいという気持ちから、アメリカの大学院に留学しました。あの時は人生で一番勉強しましたね(笑)
大学院では理工学部に所属していたんですが、たまたま別学部の授業を取ったら、そこでLCAに出会ったんです。自分の考えにすごく近いと感じて、そこからLCAを学び、仕事にしていこうと決めました。当時は「LCAは仕事にならない」と周囲に止められましたが、なんとか仕事につながって、今に至ります。
インタビューアー:何とか仕事になって、ついには社長になってしまいましたね!
神崎:そういえば、そうですね。笑
インタビューアー:これ!という趣味はありますか?
神崎:もちろん、ジョギングです。マラソンにも定期的に参加してますよ。とても疲れるんですが、その疲れのまま寝るとすっと寝ることが出来ておすすめです。あとは趣味でカヤックをしていて、あえて2月の海の中にジャボンと頭から海に入ると「頭が冷えて」いいですね。
Q:LECの魅力、他の企業に負けない点をぜひ教えてください。
神崎:LCAの世界は狭いですが、最近は急激に需要が伸びています。多くの企業が何をすればいいか分からず戸惑っている中で、私たちは長年の知識と人脈があります。特に大学や研究機関とのつながりが強く、最前線の情報を企業に届けることもできます。LCAという技術だけでなく、企業がサステナブル経営やネイチャーポジティブ経営を目指すための道筋まで提供できるのがLECです。単に売上のためにLCAを計算するのではなく、その企業にとって最善の方法を常に考える。社員一人ひとりが“エキスパート”としての自覚を持った行動ができる場所、それがLECです。
Q:どんな人材がLECにフィットしそうでしょうか?
神崎:現状に満足していない人、日々の生活にちょっとした“もやもや”を感じている人が向いていると思います。その“もやもや”は、自分自身への不満というよりも、社会の当たり前に疑問を持つこと。気候変動や社会課題に違和感を覚える人ですね。
その違和感を原動力にして、前向きに働ける人が「環境」という分野に合っていると思います。LECは、そんな人たちが自分の価値観を活かして活躍できる場所です。
環境分野でキャリアを築きたい方、自身の仕事の成果を社会や世の中に広く活かしたい方——LECはあなたの挑戦を応援します。共に学び、成長しながら、持続可能な社会をつくっていきましょう。