ここ最近は広く知られるようになりましたが、日本は人材獲得が世界で最も難しい市場です。これまで私は、この点について、日本の顕在化したタレントプールが非常に小さいという点からだけでなく、欧米と比較してリクルーターのスキルが成熟していないという点からも述べてきました。この日本の人材市場の特殊性が、日本におけるダイレクトソーシングのケーパビリティの低さと、人材紹介会社への高い依存を恒常的なものにしてしまっています。
では今回は、クライアントの皆様への明確なソリューションと、マンパワーグループの一員として展開してきたRPOサービスでフォーカスし続けてきたことについて、少しご紹介したいと思います。
2016年のデータによると、働く日本人の75%が3年以上の同じ勤務先に留まり、44%が10年同じ勤務先に留まっています。さらにそれらのうち、22%は20年以上同じ職場に勤続しています。あなたの会社が求人を始めた時に、これらの人たちは関心を持って求人を見ているのでしょうか。どうやら彼らの多くが蚊帳の外のようです。実際、2015年または2016年に、日本で転職したビジネスパーソンは、全体のわずか8%です。ちなみに、2016年にアメリカでは22.6%が、お隣の韓国では31.5%が転職を経験しているにも関わらず、です。
積極的に転職活動をしている候補者のみを追いかけて採用活動をしている場合、それは”真っ赤な海で”釣りをしているようなものです。じつは、全ての企業が同じ候補者を追っている、そんな状況とも言えます。あらゆる雑音の中で、あなたの企業が”将来有望な雇用主”として認められるには、どうすれば良いでしょうか?
このグラフが意味していることは、もしあなたの企業が、今年度中に人を採用しなければならないというのであれば、”今”ではなく”次”のタレントプールと真摯に向き合きあい、修羅場になる前にあなたの企業を多くの候補者に知っておいてもらわなければならないということです。市場のうち15%は次の二年間に目が向いており、すぐには準備が整っていない状態ではありますが、あなたにコンビニエンスストアでコーラを覚えさせようとコカ・コーラが広告するのと同じ方法を使って、”消極的な”候補者が、”積極的な”候補者へとスタンスを変えたその瞬間に、あなたの企業を”将来有望な雇用主”として認識しておいてもらう必要があります。
これはエンプロイヤーブランディング(Employer Branding)の重要性の基礎となるロジックであり、私たちのRPOクライアントが日々直面しているテーマです。戦略はさておき、有効であるチャネルとそうでないチャネルが存在しているというのが事実です。
もしあなたの企業が”将来有望な雇用主”としての候補者へのアピールにお困りであれば、私たちで力になります。
【筆者】マレー・クラーク(エクスぺリス・エグゼクティブ㈱代表取締役) ニュージーランド出身。マレーは、数々のグローバルIT企業の日本拠点ヘッド採用、スタートアップチーム構築やスペシャリスト集団のリクルーティング活動を精力的に支援し多くの実績を挙げています。クラウド系IT企業分野のヘッドハンターの日本における第一人者として知られており、インフラ、プラットフォーム、アプリケーション、およびサービスの各レイヤにおけるトップパフォーマーとの幅広い人脈を誇っています。Email: murray@experis-executive.jp
Original (English): https://www.linkedin.com/pulse/importance-employer-branding-japan-murray-clarke/
Source: Japan Institute of Labour & Training Policy, Databook of International Labour Statistics (2018)