こんにちは。株式会社シンシア・ハートで代表取締役をしている堀内猛志(takenoko1220)です。
このnoteでは、起業を志してベンチャー企業に新卒入社したのに、結局17年も所属してしまった結果、38歳6か月にしてやっと起業した人間のヒューマンストーリーという名のポエムブログを書いています。
6月の振り返りを公開してから、ありがたいことにたくさんの方々からメッセージをいただきました。この場をお借りして、改めて感謝をお伝えします。
【創業note】妻がいない世界を生き抜くための話〜続・2025年6月振り返り〜
本当に多くの方に気にかけていただいているからこそ、これからも自分の状況をシェアし続けていくつもりです。どうぞお付き合いください!
目次
暗い顔よりも明るい顔
自分自身を俯瞰することで見えるもの
バランスをとるためのオンとオフ
一人を実感する瞬間
息子の成長を実感する瞬間
事実を受け止めて前へ進む
シングルファザーの毎日
平日の過ごし方
休日の過ごし方
住む場所のこと
人との繋がりという財産
繋がりを可視化する構想
「徳」が「信用」になる仕組み
人生をかける意義がある挑戦
メンバーを募集しています
暗い顔よりも明るい顔
これを読んでいる皆さんに、第一に伝えたいことは「僕は元気です」ということです。
今回の出来事を経てたくさんの方々にお会いしたのですが、皆さん最初はすごく暗い顔でお越しになります。実際、それが当たり前ですし、僕が逆の立場だったら同じ顔をすると思います。
一方で、妻を亡くしたばかりにも関わらず、僕はそれなりに明るく、いつも通りです。僕のことを心配してくださっている方々からは「明るすぎやろ。どうしたん?」などと言われました。
当然ながら、何も感じていないわけではありません。でも、僕の性格上、暗い顔をしていてもしょうがないと思うんです。
絶望に打ちひしがれて、悲しんで、悲しんで、悲しみきったら妻が戻ってくるならいつまででも悲しみますが、現実はそうではありません。
いくら悲しんでも何も変わらないのであれば、前を向くしかないんです。
自分自身を俯瞰することで見えるもの
こうした結論に至るまでに、普通はもう少し時間がかかるのだと思います。ただ、僕は仕事柄、自分をメタ認知して、客観視することに慣れています。
主観的に考えると、すごく悲しいし、常に切なくて寂しいので「俺、本当に大丈夫かな」と思いはしますが、感情を殺して俯瞰すると、シングルファザーになったという事実だけが残るんです。
そんな状況に置かれている人は、世の中に一人もいないわけではありません。小さな子を残してパートナーに先立たれるケースでなくとも、事故や病気で大切な人を亡くしている人は毎日います。つまり、“悲劇のヒロイン”は僕だけじゃないんです。
自分を主人公として見れば「今、人生のどん底にいる」と感じるのは普通ですが、広い視点で世界を見れば、もっと大変な思いをしている人なんて山ほどいます。
実際、僕は健康で、元気でかわいい息子がいて、支えてくれる仲間もいる。そこに目を向けると、ポジティブ要素しかないですよね。
大変な目には遭いましたが、もう一度立ち上がるのを遅らせる理由は一つもありません。一刻も早く元気になって、前に進むべきだと考えています。
バランスをとるためのオンとオフ
そんな僕の姿を見て、すごく鈍いヤツ、あるいは、冷たいヤツだと思う方もいるかもしれませんが、僕は、悲しむべき時に悲しんで、オンの時はひたすら明るく前向きな自分になっているだけです。
僕にも、日々を過ごす中で泣きたくなる瞬間や、実際に泣いてしまう瞬間があります。
一人を実感する瞬間
平日に何も予定がない夜に、息子を寝かしつけた後、仕事をしたり、本を読んだり、スマホをいじったり、ごろごろしたりしていると「俺、一人になったんだな」と実感します。
妻がいてくれたときも、絶えず二人で話していたわけではなく、各々過ごしている時間はありました。それでもやっぱり、家のどこかに妻がいて、時間を共有していれば、寂しいと思ったことはなかったんです。
思い返してみれば、僕は、大学生の頃や社会人になってすぐの頃、何もやることがなく家の中で過ごしていた休みの日に、友人・後輩たちがディズニーランドやバーベキューで楽しんでいる様子をSNSで目にして、どうしようもなく寂しい気持ちになることがありました。僕は、根本的に一人が嫌いな人間なんだと思います。
でも、妻と結婚してからは、そんな風に思うことがなくなっていたことに、今になって気づきました。何もない日でも、やっぱり妻が横にいるのといないのとでは、激しく違うなと。妻がいないことを実感する一人の夜は、圧倒的に寂しいです。
息子の成長を実感する瞬間
妻は、ポジティブなこともネガティブなことも、息子のことをたくさんシェアしてくれる人でした。絶えず写真や動画を送ってくるので「今、仕事中なんですけど」と思うこともありましたが、なんだかんだ言って嬉しかったなと思います。
今も息子はガンガン成長していて、いろいろな姿を見せてくれます。前は入れなかったローテーブルの下にずり這いで入っていって、しかも、後ろ向きでうまいこと出てくるようになったり、投げてばかりいた電話のおもちゃを耳にあてて「もしもし」のポーズをとるようになったり。
そんな些細なことでも、親としては嬉しいし、面白いし、かわいいんですよね。この気持ちを誰かとシェアしたいと思うのですが、両親も友人も、当然、親である僕と同じ熱量ではありません。僕だって、逆の立場だったら、人の子どものちょっとした成長はわからないし、自分の子ほどかわいいと思えないはずです。
唯一、同じ目線で息子のことを共有できる存在だった妻がいなくなってしまったことに、とてつもない寂しさを覚えます。
事実を受け止めて前へ進む
この先1年経っても、5年経っても、何年経っても、こうした瞬間に泣きたくなる気持ちはきっと変わらないと思います。妻を思い出さなくなることも、絶対にありません。
だからこそ、オフのときには外に出て散歩しながら涙を流したりお酒を飲みに行って酔っぱらって泣いたりする分、オンのときにはしっかり前に進む。そうやってバランスを取りながら毎日を過ごしています。
よく「もう少し休んだら?」というアドバイスもいただきますが、休もうものなら、1日中妻のことを思い出してしまいます。それなら、仕事したり、走り回ったり、誰かと喋ったりしている方がよほど楽です。
特に、昔の思い出をなぞるようなことをすると、鮮明に思い出して余計につらくなるので、新しい場所に行く、新しいことにチャレンジする、そして、新しい人に出会うことを大事にしています。
これからも、たくさんの人に会って、繋がりを強化したり、増やしたりしたいと思っているので、ぜひ遠慮なくお声がけください!
シングルファザーの毎日
世間一般的に見て、シングルマザーと比べると、圧倒的にシングルファザーは少ないと思います。実際に、僕の周りにはほとんどいません。しかも、僕たち夫婦の両親はどちらも関西にいるので、日常的に頼ることは難しい状況です。
だからこそ、「仕事をしている間、息子はどうするのか」「夜に誘っていいかどうか心配」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
結論からいうと、僕はいろいろな支援に頼り、助けてもらっているおかげで、毎日を問題なく過ごせています。ここからは、皆さんに安心してもらうためにも、“シンパパの社長”として過ごす僕の生活を紹介しておきたいと思います。
平日の過ごし方
僕が仕事をしている間、息子は保育園に通っています。なかなか保育園が見つからないという声も多い中、家から300mほどの場所にある園に、7月から入園することができました。認可外保育園ではありますが、自治体からの補助があり、ほぼ手出しなく利用することができるので、本当にありがたく思っています。
しかも、なんとこの保育園にはライブカメラが設置されていて、いつでも息子の姿を見ることができるんです。他の子は1〜2歳のお兄ちゃん・お姉ちゃんなので、息子一人だけがよちよち歩きですが、そんな中でたくましく過ごしている息子を見ると「鍛えられそうだな」と頼もしく感じます。
正直、僕がいないところでどんな風に過ごしているのか気になるので、仕事中でもめちゃめちゃ見たくなりますが、キリがなくなるのでほどほどにしていますw
ちなみに、クリニック併設の病児保育もすぐ家の近くにあるので、息子が熱を出した時にも安心して仕事をすることができました。
また、保育園のお迎えから、夕食、お風呂、寝かしつけまで対応してくれる夜のシッターさんも見つかりました。利用するのは週数回ですが、会食などの際には非常に助かっています。
休日の過ごし方
休日は基本的に息子と一緒に過ごしています。とはいえ、外せない仕事が入ることもありますし、事務手続きなどをする際には一人の方が動きやすいです。
そんな用事がある日は、土日でも最大で9時から17時まで預かってくれる施設があります。1日中預けることはないので、午前中だけ、午後の数時間だけといった利用の仕方ですが、こうした場所があるというだけで心強いです。
自分が当事者になってみると、手厚い支援制度や補助があることがわかりました。そして、それらを活用すれば、本当にいろいろと助けてもらえるんですよね。
子育ての支援は公的なものだけではありません。育児でわからないことがあれば、先輩ママさんたちに聞くと親切に教えてくれます。頼ること、甘えることが、本当に大事なんだなと実感する毎日です。
周囲のサポートのおかげで、僕は何かに制限されることもなく、自分のやりやすい形で生きることができています。
住む場所のこと
僕と息子の二人家族になったことで、住む場所の選択肢は無限に広がりました。
オンラインで完結できるとはいえ、仕事のやりやすさや、手厚い子育て支援制度があることを考えると、東京が一番だと思います。でも、僕と妻の両親がいる関西に帰ってもいいし、新しい場所に行ってもいい。なんなら海外で暮らしてもいいんですよね。
実際に拠点を移すにあたっては、現実的なことをいろいろと検討しなければいけないので悩みますが、妻がいない今、決められるのは僕だけです。最適解を出せるよう、しっかりと考えていきたいと思います。
人との繋がりという財産
僕は、よく息子を連れて子ども支援センターに行き、同じように子どもを連れてきている親御さんと話すのですが、経験上、お母さんたちはたくさん会話してくれるのに対して、お父さんはそうでもありません。
周囲を見渡してみても、お母さんたちがみんなで集まって喋っている一方、お父さんたちはひたすら黙って自分の子を見ていることがほとんどです。
この様子を見ていて、僕は、女性と比べると、男性は誰かに悩みを打ち明けたり、周りに共感や助けを求めたりすることが苦手なのではないかと感じました。
先日、テレビで「シングルファザーの苦悩」といったテーマの番組を見ましたが、当事者のお父さんも、何をどこに相談したらいいかわからないと悩んでいたんですよね。
僕はこういう性格なので、これまでもいろいろなことをシェアしてきましたし、大変なときは、周囲に頼り、甘えまくっています。今、僕が前向きな気持ちでいられているのは、そのおかげです。改めて、人との繋がりの大切さを実感しています。
繋がりを可視化する構想
たくさんの方々に支えられる毎日を過ごしながら、僕は、人との繋がりを可視化して価値に変え、持ち運びできるようなプロダクトを作れないだろうかと考えるようになりました。
僕が考える繋がりの持ち運びとは、ある人が、どれだけの人に信頼されてきたのか、困ったときにどれくらいの人が助けてくれるのか、または、他の人が困っているときに助けようとする人なのかどうか……そういったものを可視化して、その人自身のステータスにするということです。
僕は、採用のために人を見極める仕事をしていますが、年齢や学歴、今までの職歴からしか判断しない企業も多くあります。最近では、リファレンスチェックといった形で、その人が前の職場ではどんな存在だったかを聞くこともありますが、それでも全てを知ることはできません。
でも、これからの時代は、スキルや能力の高さよりも、人との繋がり、いわゆる「社会関係資本」を持っている人が勝つと思うんです。
たとえば、年収1000万円稼げるスキルがあっても、友達が1人もおらず、リファラル採用で誰一人連れて来れないような人がいたとします。その人より、新卒22歳で何のスキルもなくとも、友達がたくさんいる人の方が、お客様や仲間との関係性を築くのが上手なはずです。
だからこそ、その人の社会関係資本がステータスとして見えれば、もっと企業と人のマッチング精度が上がるのではないかと思っています。
「徳」が「信用」になる仕組み
どれだけの社会関係資本を有しているかは、つまるところ、その人自身がどれだけ信用されているか、という部分に関わってきます。
信用は、英語に訳すと「credit(クレジット)」になりますが、この言葉には、金銭的な信用の意味合いを強く含んでいます。支払っている金額が大きい人が、お金を借りる際にも、住宅を借りる際にも、学校に入る際にも優遇される、といった具合です。
一方で、金銭の支払い力が人の信用を決めるというのは、あまり日本の文化に馴染まない世界観である気がしています。日本人は、お金よりも「徳」が信用に繋がると捉える傾向が強いからです。
僕は、徳を積んでいる人は繋がりをたくさん持っているし、人々から信用されていると感じています。だからこそ、この「徳」を見える化して、やりとりできるようになったら、より良い循環が生まれるのではないかと考えました。
イメージは、何らかの形で人助けをして徳を積む→助けられた人が徳をお返しする、といった感じです。学歴やスキル、お金がなくても、困っている人を助けることはできます。助けてもらう人も、恩返しは出世払いでOK。そんな風に、助けたい人と助けられたい人を繋げて「徳」を積んでいけるような仕組みができたらいいなと思っています。
人生をかける意義がある挑戦
現時点で僕が作ろうとしているのは、こうした未来の構想とはまた別のプロダクトですが、最終的な世界観は繋がっています。一連の出来事を経て、これまで自分が取り組んできたことに、さらに強い思いが入りました。
やっぱり、僕はこういったものに向き合っている時間がすごく楽しいし、自分の人生をかけていくべきものだと改めて感じているところです。
妻がいない事実は正面から受け止めつつ、前を向いて仕事に育児に邁進していきたいと思っていますので、皆さんこれからもよろしくお願いします!
メンバーを募集しています
僕が代表を務める株式会社シンシア・ハートは、おかげさまで5月末で第3期を終了し、6月から第4期を迎えました。
当社の掲げるビジョンは「全世代がときめくAgelessな社会をつくる」こと。年齢に関係なく、全ての人が自分の未来に期待し、今を生きること、明日が来ることにときめくことができる社会をつくるため、全力を尽くしていきます。
そんな当社では、現在創業メンバーを募集中です。COO候補をはじめ、キャリアアドバイザーや求人ライターなどさまざまなポジションがあり、副業やフルリモートといった働き方も選べます。
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