「インクルードでの仕事は、心理士にとって新たなキャリアの選択肢の一つ。」そう語るのは、ニューロリワーク 西船橋センターにて心理士として活躍している塩原さん。
医療機関や教育現場で働くことが多い心理士にとって、インクルードの仕事にはどのような魅力があるのでしょうか。今回は塩原さんに、これまでのご経歴やご入社のきっかけ、そしてインクルードで感じるやりがいについて、お話を伺いました。
塩原 茜 / ニューロリワーク 西船橋センター 心理士・支援員
大学院修了後、臨床心理士/公認心理師として精神科クリニックに勤務。成人のカウンセリングや心理検査等を経験し、2022年インクルード株式会社に入社。支援員として利用者の就職・復職支援、心理系のプログラムを担当。心理士としては、社員のメンタルヘルス向上を目的としたチームに所属、社内向け通信の作成に携わっている。
ーー精神科クリニックから、インクルードのような障害福祉サービスの会社へ転職をされたきっかけを教えてください。
精神科クリニックでは、主にカウンセリング業務を担当していました。その中で、休職中の方々と関わる機会が多くあり、「復職したいけれど、思うように体調が整わない」と悩む方が非常に多いことに気づきました。そうした課題に向き合ううちに、リワーク(職場復帰支援)という分野に関心を持つようになりました。
ーー心理士がリワーク施設で働くのは一般的なのでしょうか?
心理士の活躍の場としては、医療機関や教育機関が中心で、リワーク施設での勤務はまだ一般的とは言えないと思います。実際に、教育相談や発達障害に関する支援、スクールカウンセラーなどでの勤務が多いです。ただ、前職での経験を通じて、リワークの現場にも心理士が関わる価値や可能性があると強く感じました。
ーーリワークを行う企業は数多くありますが、その中でインクルードを選んだ理由を教えてください。
そうですね。インクルードの面接では、これまでの心理士としての経験について、支援の視点から かなり深く掘り下げて質問をしていただきました。そのやり取りから、「この会社は本当に利用者さん一人ひとりと真剣に向き合って支援をしているんだな」と強く感じました。その姿勢に共感し、自分の経験もここならしっかり活かせるのではないかと思えたことが、入社の大きな決め手になりました。
ーー実際にご入社されてから、心理士としての知識や経験は活かせていますか?
はい。認知行動療法に基づいたFITプログラムや、ストレスコーピング、ポジティブ心理学などの心理系のプログラムを担当する際には、これまでの心理士としての知識や経験がとても役立っていると感じます。
とはいえ、実は認知行動療法に関しては専門的に学んできたわけではなかったので、入社前は少し不安もありました。でも、入社後に先輩心理士の方々による丁寧な指導のおかげで、しっかり実践できています。現在、インクルードには心理士が10名程在籍していて、チームとして相談し合える環境が整っているのも心強いですね。
また、利用者さんとの面談やカウンセリングの際にも前職の経験が活きていると感じています。
ーー社内で心理士同士のつながりや連携はありますか?
はい、心理士会があり、専用チャットもあるので心理士同士の連携はしっかりと取られています。
心理士会は現在、「スキルアップチーム」と「フォローアップチーム」の2つに分かれて活動しています。
スキルアップチームでは、事例検討を行うほか、FITプログラムやストレスコーピングなど、心理系プログラムの内容を見直し、修正・改善に取り組んでいます。
一方、フォローアップチームでは、社員向けのメンタルヘルス支援や、現場の支援員に対するサポートを担当しています。
支援員へのサポートでは、プログラムスライドの説明方法やファシリテーションのコツなど、より実践的なアドバイスを行い、現場全体の支援力向上に貢献しています。
ーー社員のメンタルヘルス支援とは、具体的にどのようなことをされているのでしょうか?
業務に携わる中で、どうしてもストレスや疲労が蓄積してしまうことがあると思います。そうした中で、社員の心身の健康を守る取り組みの一環として、「こころホッとletter」という社内向けの情報紙を発行するようになりました。これは、メンタルヘルスに関する情報を定期的に発信することで、社員が自分自身のケアについて考えるきっかけになれば、という思いから始めたものです。
作成は主にフォローアップチームが中心となって行っていますが、各事業所のスタッフの声を反映しながら、テーマを決めて発行しています。
ーー続いて、インクルードの魅力について教えてください。
まず何よりも「長期的かつ安定した就労」を目指した支援を行っている点が魅力的だと感じています。
利用者さんにもよく「ここに来たことがゴールとか、就職・復職がゴールじゃないです。長く健康に働き続けるために、今はその準備期間なんですよ」とお伝えしています。実際に、そうした目標を持って取り組んでくださる利用者さんの姿を見ると、自分自身のモチベーションにもつながります。
また 、インクルードには本当に多様なバックグラウンドを持ったスタッフが集まっていて、それぞれの経験もさまざまです。心理士としてこうした環境で働くことはかなり珍しく、ある意味レアな職場だと感じています。だからこそ、多様な価値観を楽しめる方や、新しいことに積極的にチャレンジしたいという方には、非常にフィットする会社だと思います。
ーーニューロリワークのプログラムについては、どのように感じていますか?
ニューロリワークには、ブレインフィットネスプログラムやFITプログラムなど、独自のプログラムが数多く用意されていますが、どのプログラムも実際に利用者さんの役に立っていて、「やっていて良かった」と感じるものばかりです。
例えばFITプログラムは、多くの利用者さんにとって初めて学ぶ内容ですが、基礎から段階的に学べる構成になっているのが大きな魅力です。認知行動療法の基本的な考え方からスタートし、最終的には自分自身で実践できるようになることを目指しています。実際に、就職・復職後も「コラム表を活用しています」といった声をいただくことがあり、そうしたフィードバックを聞くたびに、「プログラムが本当に意味のあるものである」と感じています。
また、ニューロリワークのプログラム数は非常に多く、バリエーションも豊富です。利用者さんが抱える課題は似ていても、その背景やニーズは人それぞれです。だからこそ、「この方にはこのプログラムが合いそうだな」と個別に対応できる選択肢があることは、とても良い点だと思います。
ーー支援において印象に残っていることはありますか?
そうですね。「メタ認知トレーニング」を受けた利用者さんのエピソードです。その方は、プログラムを通じて「自分は今まで、物事を狭い視野でしか見られていなかった」という気づきを得られました。
復職後の定着面談では、「最近はイライラすることがあっても、少し引いて全体を見渡すようにすると、気持ちが落ち着くようになりました」と話してくださっていました。
このように利用者さん自身が自分に必要なプログラムを見つけて、実際に日常で活用している姿を見ると、この支援の意味や価値を改めて感じます。
ーー今後、インクルードでどのようなキャリアを築いていきたいと考えていますか?
これからは、利用者さんへの支援に加えて、他の支援員のスキル向上にも自分の心理士としての経験を活かしていきたいと考えています。
インクルードには、福祉の現場が初めてという方や、異業種から転職してきたスタッフも多く在籍しています。そういった方々に対して、精神障害のある方との関わり方や、就労支援における実践的なノウハウなどを、これまでの自分の経験から伝えていけたらと思っています。
また、心理士として自分自身の専門性をさらに深めていくためにも、継続的に学べるような研修制度を社内に取り入れていけたらと考えています。
ーー最後に、転職を考えている方にメッセージをお願いします。
インクルードは、心理士が働く職場としては珍しく、非常にユニークな環境だと思います。
スタッフのバックグラウンドも多様で、医療・教育・福祉の分野はもちろん、まったく異なる業界から転職してきた方も数多くいます。だからこそ、多様な価値観や働き方を楽しめる方、新しい分野に挑戦したいという意欲のある方には、とてもマッチする職場だと感じています。
障害福祉サービスの現場で心理士が働く機会はまだ多くはありませんが、支援という視点から、心理士としての知識や経験を活かすことは十分に可能です。そういった意味で、ここでの仕事は心理士にとって新しいキャリアの選択肢の一つになるのではないでしょうか。
塩原さん、貴重なお話をありがとうございました!
インクルード株式会社では、「ソーシャルインクルージョンを実現し、全ての人が活躍する社会を創る」というミッションの実現に向けて、ともに歩んでくれる仲間を募集しています。
今回の記事を通じて、インクルードでの働き方や心理士の役割について、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
写真:PIXTA