こんにちは。インクルード採用広報です。
この度インクルードでは、現場の支援員が日々の利用者さんとの関わりの中で迷うことなく、より質の高いサポートを提供するための新たな共通指針として「支援Value(バリュー)」を策定しました。
「形だけのきれい事」として壁に飾られるだけの言葉には絶対にしたくない…。そんな強い想いから、部署やキャリアの枠を超えたプロジェクトメンバーが集結し、約9ヶ月にわたる熱い議論を経て完成させました。
今回は、支援Value策定プロジェクトを牽引した4人に、発足の背景から、激論を交わした策定プロセス、そして現場で起き始めているリアルな変化について、対談形式で語っていただきました!
プロジェクトメンバーの紹介
Aさん(ゼネラルマネージャー)
2018年入社。サービス管理責任者兼管理者として入社後、マネージャーを経てゼネラルマネージャーに就任。現在はセンター運営に加え、サービス・オペレーションチーム、人材開発チーム、ブレインフィットネス研究所を管轄している。創業期から組織づくりに携わり、全社MVVの策定にも参画。
Bさん(シニアマネージャー)
2021年入社。支援員としてキャリアをスタートし、現在はサービス・オペレーションチームと人材開発チームを管轄。全国のセンターにおけるサービス品質向上やオペレーション改善、人材育成・研修体制の整備などを推進している。
Cさん(サービス管理責任者)
2024年入社。サービス管理責任者として入社後、2025年より管理者兼サービス管理責任者に就任。現場の最前線でチームを率い、メンバーの主体性を引き出すチームビルディングや、Valueを体現する組織づくりを強みとしている。
Dさん(ベテラン支援員)
2018年入社。支援員として経験を積み、2023年には新センターの立ち上げに参画。2025年より人材開発チームに所属。豊富な現場経験を活かし、社内研修の企画・運営や講師を担当している。
組織の拡大と現場のリアルな課題――なぜ「支援Value」が必要だったのか?
――そもそも、なぜ今「支援Value」を作る必要があったのでしょうか?チーム発足のきっかけを教えてください。
Aさん:約2年前、代表から「インクルードならではの支援の軸となる支援Valueをつくりたい」という話があったことが、このプロジェクトの始まりでした。
当時は組織の拡大が加速する中で、私たちが提供する支援の質をより高い水準で均一化し、さらに向上させていく必要性が高まっていました。
そうした背景のもと、2025年2月にプロジェクトとして正式に発足。本格的な策定に向けた取り組みがスタートしました。
プロジェクトを立ち上げるにあたって改めて定義した目的は、大きく分けて2つありました。
1つ目は、インクルードならではの独自性を持った支援Valueを確立し、サービス全体の質を向上させること。
2つ目は、福祉業界未経験で入社した支援員でも日々の業務に迷うことなく支援に取り組めるようにすること、そして経験豊富な支援員であっても判断に悩んだ際に原点へ立ち返れるような、共通の「軸」をつくることです。
私たちが当初から強くイメージしていたのは、「立ち戻るValue」と「実践できるValue」という2つの役割を持つものにすることでした。
支援の方向性に迷ったときや、自身の関わり方に迷いが生じたときに、「ここに立ち返ればいい」と思える拠り所となること。そして同時に、その言葉を見るだけで「今日、目の前の利用者さんに対してどのように行動すべきか」が自然とイメージできる、現場で実践につながる指針であることを目指しました。
単なる理念やスローガンではなく、日々の支援の中で生きた行動基準として機能するValueにしたい、そんな思いからプロジェクトがスタートしました。
――Valueが策定される前、現場では具体的にどのような課題や葛藤が起きていたのですか?
Bさん: それまでは、現場運営がベテラン支援員や支援経験の豊富なメンバーの知見に支えられている側面がありました。もちろん、長年培われた経験やノウハウは組織にとって大切な財産です。
しかし、その知見が十分に言語化・共有されないままだと、支援や運営が特定の個人に依存する「属人化」が起こりやすくなります。実際に、現場ではそうした課題を感じる場面も少なくありませんでした。
また、組織としての共通の判断基準や支援の軸が明確でないと、新しく入社した支援員が自分の考えを発信しづらくなったり、「この対応で本当に良いのだろうか」と迷ったりすることにもつながります。
私たちが目指したかったのは、「あの人でなければ対応できない支援」ではなく、誰もが同じ方向を向きながら質の高い支援を実践できる組織です。そのためには、会社として統一された強い軸を言語化し、全員で共有することが不可欠だと考えました。
Dさん: Bさんの言う通り、以前の現場では支援が属人的で、個人の過去の経験やこれまでの価値観がベースになってしまっていた部分も少なからずあったと思います。
そうなると、何より一番大切にしなければならない利用者さんに対しても、支援員によって言っていることが違うなど、現場での混乱を招いたり、「対応にばらつきがある」といったご意見をいただくこともありました。
Aさん:福祉の世界ではよく「支援に絶対的な正解はない」と言われます。私もその通りだと思います。ただ、正解がないからといって、何をしても良いわけではありません。
共通の軸がない状態では、利用者さんへの思いが強く、プロ意識の高い支援員ほど、「利用者さんのためにこうしたい」「これが最善だ」と、それぞれの価値観を基準に判断するようになります。もちろん、その思い自体は非常に大切なものです。
ただ、その結果として、全員が利用者さんのためを思って行動しているにもかかわらず、支援の方向性やアプローチに少しずつズレが生じてしまう…。
Value策定に向けた議論や研修を通じても、皆さん同様にミッションやビジョンには共感していても、具体的な支援場面になると解釈が分かれるケースが少なくないことが分かりました。
だからこそ必要だったのが、みんなが同じ土台に立って議論し、より良い支援を追求するための「共通の物差し」です。支援Valueには、そうした組織全体の判断基準としての役割も期待していました。
――今回のプロジェクトメンバーは、どのような背景や意図で選出されたのですか?
Aさん:メンバーの選定に関しては、代表や他のゼネラルマネージャーも含めて、みんなで話し合って決めました。重視したのは、そもそもインクルードの支援を深く理解し、体現されている方であること。その上で、多角的な視点から議論ができるように、あえて異なるポジションやキャリアを持つメンバーを抽出しました。
例えば、Bさんは現場を経験した上で現在はサービスオペレーション全体を見る立場ですし、Cさんは管理者兼サビ管としての現場運営やマネジメントの実態を踏まえた視点を持っています。 Dさんは社歴も長く、前職でも同業の支援業務を経験されているので、他社との比較や客観的な視点を取り入れることができました。
Bさん: 本当に多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まりましたよね。
それぞれの現場で培ってきたリアルな知見や、これまでぶつかってきた壁を元に、メンバー内で徹底的に意見を出し合うことができました。どこか一部の優れたベテランの要素だけを抽出したのではなく、インクルードの現場全体の声を吸い上げて形にしていくための、ベストなチーム編成だったと感じています。
9ヶ月に及ぶ徹底的な激論。言葉一つひとつに魂を込めた策定プロセス
――具体的な策定プロセスにおいて教えてください。
Bさん: まずはとにかく、徹底的にブレインストーミングを行うことから始めました。「私たちが支援において本当に大切にしている要素って何だろう?」という問いに対して、思い浮かぶ言葉をチームメンバー全員でひたすら出していったんです。
「利用者さんとの距離感」「共に成長する」「傾聴」「寄り添う」など、出てきた言葉は最終的に80個以上にのぼりました。次に、その大量の言葉の中から共通する要素を取り出し、「インクルードとして本当に外せない核心はどこか」を整理し、認識を合わせていきました。
Aさん: そこからの深掘りが、このプロジェクトの真骨頂でしたね。
出された要素について、現場で想定される具体的な場面をいくつか設定したんです。「こういう場面では、支援員はどう動くべきか」と。そして、それを「内面(支援員の心構え)」と「外面(実際の行動面)」という2つのカテゴリーに細かく分類していきました。心の中でどう思っているかだけでなく、それがどう行動として現れるかまで落とし込まないと、現場で「実践できるValue」にはならないと考えたからです。
それらを何度も何度も揉んで、最終的にキャッチーで分かりやすい文言へと言語化していきました。
――言葉選びや言語化において、特に壁にぶつかった部分や難しかった点はどこですか?
Bさん: 一番難しかったのは、やはり「言葉の定義」ですね。あまりに綺麗で広い表現にしてしまうと、人によって解釈が変わってしまい、違う受け取られ方をされてしまう危険性がありました。「この言葉のニュアンスはちょっと広すぎるかな」「これだと現場が迷うかもしれない」と、細かい部分も含めて本当にたくさん検討しました。
例えば、現在の支援Value内に「フェーズに合わせた距離感」といった表現がありますが、「じゃあ、現場の支援員から『このフェーズって具体的にどういう意味ですか?』と聞かれたら、私たちはどう説明するべきか?」というところまで、あらかじめ想定して議論を重ねていました。
Aさん: 昨年の2月にプロジェクトが発足して、文言として完成したのが11月頃ですから、実に9ヶ月近くを言葉の推敲に費やしたことになります。ミーティングは毎回、本当に白熱していました。
ただ、意思決定の場で泥沼化して立ち止まってしまうようなことはありませんでした。というのも、代表の尾崎さんも毎回このミーティングに最初から最後まで参加してくださっていたのでスムーズに進めることができました 。
メンバーを中心に議論を深めつつ、要所要所で尾崎さんからもアドバイスをもらい、その場で全員の合意を取りながら前へ進めることができました。
安易に「これでいいか」と決めることは一切なく、全員が納得するまで思考錯誤し続けたからこそ、密度の濃いValueが生まれたと思っています。
――メンバーの皆さんが、今回のValue策定で「一番大事にしたかったこと」は何ですか?
Bさん: 私は、最初からずっと「本当にこのValueが現場に浸透するだろうか」「作ったものが現場の支援員にちゃんと覚えられるものになっているだろうか」という点を一番意識していました。
当初は何個作るか、どのくらいの分量にするかも決まっていなかったのですが、最終的に6つに絞り込みました。どんなに立派な言葉を並べても、現場に響かなければ意味がありませんから、現場の納得感を何より大切にしたかったのです。
Cさん: 私もBさんと同じ視点を持っていました。
新入社員の方や、中途で異業界から入られた方が、日々の支援の中で迷うことなく、全員で統一された質の高い支援を行えるようにしたい。そのためには、作って満足するのではなく「その後の浸透活動」がセットでなければならない。日々上がってくるチャットに対してどうフィードバックしていくか、サビ管会(社内のサービス管理責任者が所属する会) などを通じてどう現場で旗を振っていくか、という運用のイメージを常に持って策定に臨んでいました。
Dさん:私はとにかく、「福祉未経験の方でも分かりやすく、誰もが腑に落ちて実践しやすい内容にしたい」と思っていました。
専門用語で煙に巻くのではなく、直感的に理解できて、明日からの行動を変えられるような優しさと分かりやすさ。それこそが、新しい支援員を支える「支援の土台」になると信じていました。
Aさん: 既存のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の策定のときもそうだったのですが、「なぜ他社ではなく、インクルードで支援を行うのか、ここで働くのか」という、私たちの独自のアイデンティティ=軸を明確にすること。そこを絶対に外したくなかった。
みんなで同じ軸を持って、迷ったときはそこにも立ち戻ってまた支援を考え直す、そんな強固な軸となるものをちゃんと作りたいという想いが一番強かったです。
代表も交え、9カ月にわたって言葉一つひとつに想いを込めながら紡ぎ出されたインクルードの支援Value。
前編では、その誕生の背景にあった課題や策定までのプロセスに迫りました。そして後編では、完成したValueがどのように全国のセンターへ浸透し、現場にどのような変化をもたらしているのか、さらにはインクルードが目指すこれからの支援のあり方について深く伺います。