KINTOテクノロジーズは、全国に4つの拠点を持っています。2025年6月、そのうちのひとつである大阪のOsaka Tech Labが梅田にオフィスを移転しました。規模拡大にともない、Osaka Tech Labでは現在、フロントエンドエンジニアの採用をさらに強化しています。今回はその働き方に密着する連載企画として、同拠点でフロントエンドエンジニアとして活躍する谷さんと太居さんの対談の模様をお届けします。
2024年9月の入社以来、Osaka Tech Labの一員として、販売店のDXへと取り組んできた太居さん。全国に3,600店舗あるトヨタの販売店に向けてのプロダクト開発には、特有のやりがいや難しさがあると話します。「販売店DX」とは何なのか。その概要を踏まえ、フロントエンド開発の現状へと迫ります。
▍谷郁弥 (high-g)Osaka Tech Lab所属 KINTO ONE開発部 新車サブスクBE開発グループ フロントエンドエンジニア
https://x.com/high_g_engineer
専門学校を卒業後、受託で開発を行っているシステム会社へと入社。5年ほどの勤務ののち、Web制作会社へと転職し、フロントエンドエンジニアとして数々のクライアントワークを経験する。その後、自社サービス開発会社でフロントエンドの開発業務や採用活動などに従事。KINTOテクノロジーズを志望した理由は、資金力のある企業で、課題解決に向き合う本質的な開発に従事したかったから。入社から1年ほどとまだ短いキャリアながら、過去の経験を武器に、エンジニアのコミュニティづくりへと邁進している。
▍太居駿斗 Osaka Tech Lab所属 モビリティプロダクト開発部 DX開発グループ フロントエンドエンジニア
新卒でSES企業へと入社し、エンジニアとしてのキャリアをスタート。受託開発を中心に幅広く経験を積んだのち、Uターンで地元・大阪へと戻り、別のSES企業へと転職するが、自社開発への興味から30歳目前のタイミングでキャリアチェンジを志す。KINTOテクノロジーズへの入社を決めた理由は、トヨタ直下の開発組織である点に魅力を感じ、かつ車(特にトヨタ車)が好きだったから。念願だった開発プロダクトに愛着を持てる環境で、ユーザー体験の良化へと力を尽くしている。
目指すのは「お客様がクルマを買いやすくなる」こと。プロダクト開発を通じ、現場の課題を解決する「販売店DX」
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谷:まず自己紹介から始めましょうか。Osaka Tech Lab所属、KINTO ONE開発部 新車サブスクBE開発グループの谷郁弥です。普段はフロントエンドエンジニアとして、KINTOに関連する社内向けシステムの開発を行っています。2024年6月の入社なので、KINTOテクノロジーズではようやく1年が経ったところですね。昨年12月には、社内エンジニアのコミュニティづくりについて、ahomuさんと対談させていただきました。
太居:Osaka Tech Lab所属、モビリティプロダクト開発部 DX開発グループの太居駿斗です。おなじくフロントエンドエンジニアとして、全国にあるトヨタの販売店のDXへと取り組んでいます。一部プロダクトにおいては、バックエンドやインフラに携わったり、開発のリーダーを担ったりすることもあります。入社は2024年9月なので、谷さんとはほぼ同期ですね。
谷:先ほど太居さんは販売店のDXに携わっているとお話がありました。社内ではよく耳にする言葉なのですが、どのようなプロジェクトなのかがよくわかっていないのですよね。販売店の方たちがクルマを売りやすくなるシステムを開発しているのでしょうか?
太居:その認識でほぼ間違いありません。ひとつの例として、私たちが全国の販売店向けに開発/提供した「かんたん見積り比較ツール」のお話をしますね。
クルマの購入には、一括払いやローン、残価型割賦など、さまざまな支払い方法が用意されています。トヨタグループが提供するサブスクリプションサービスのKINTOも、そのうちのひとつですよね。多くのお客様はクルマの購入を決めたタイミングで自身にとってベストな支払い方法を検討すると思うのですが、実は販売店にはこれらすべてをわかりやすく比較できるツールがありませんでした。
このような状況では、販売店のスタッフもクルマを売りにくいですし、お客様の購買体験も悪くなってしまいます。こうした潜在的な課題を解消するために生まれたのが、「かんたん見積り比較ツール」というプロダクトでした。
谷:「かんたん見積り比較ツール」ができる以前、販売店ではどのように支払い方法を説明していたのですか?
太居:パンフレットを見ながら説明したり、電卓を使ってその場で支払い金額を計算したりと、手作業に頼っていたようです。
谷:それは大変ですね。現場の業務効率をデジタル化によって改善しようとしているのが、販売店DXのチームというわけですね。
太居:そのとおりです。けれども、実際に業務に向かうとき、目線の中心にあるのは、「販売店の方たちがクルマを売りやすくなること」よりも、「お客様がクルマを買いやすくなること」かもしれません。私たちはあくまで販売店向けにプロダクトを開発していますが、その先にいるのは実際にクルマを購入されるお客様です。UIやUXという言葉をより広く捉えながら開発に向かうことを心がけていますね。
谷:太居さんがフロントエンドを担当しているということは、チーム内にはバックエンドを担当するエンジニアの方もいるということですよね?開発作業はそれぞれが別に進めているのですか?
太居:いえ、以前はそのように進めていましたが、直近では緊密な連携を図るため、良い意味で区別が曖昧になってきました。滞りなく開発が進むよう、逐一、作業内容や進捗を共有し合っていますね。
谷:デザイナー、プロジェクトマネージャーの方々とも同じような距離感で連携しているのでしょうか?
太居:はい。要件定義や設計など、開発の前提になっている部分で齟齬があると困ってしまうので、重要なタイミングでは特に丁寧にコミュニケーションを取るようにしています。Slackで専用のチャンネルを立ち上げ、時間や場所を問わず、連絡が取れるような仕組みにしているほか、週に1度は定例のミーティングも行っていますね。チームが立ち上がってから時間をかけて土台を築き、ようやく全員で一体感を持って開発に取り組めるようになってきました。
問われるエンジニアとしての資質。レガシーな環境への対応が特有の難しさに
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谷:太居さんは現在の業務のどのような点にやりがいを感じていますか?
太居:Googleアナリティクスなどのツールを介して、プロダクトの使用状況を確認できることがやりがいにつながっています。もちろん想定通りに使ってもらえず悔しいと感じる場面もありますが、そうした試行錯誤も含めて楽しめているのがこの仕事の面白さだと思います。
谷:前職のときに担当していた業務では、そのような工程がなかったのですか?
太居:前職はSES企業だったので「要望されたものを作って終わり」といった開発が多く、ユーザーにどのように使われているかを時間をかけて追っていくような工程がほとんどありませんでした。決められた仕様どおりにプロダクトを作ることが業務の大部分を占めていましたね。
谷:なるほど、どのように使われるかよりも、要望どおりに開発し納品することがゴールになっていたのですね。ツールから得られた情報は、当該プロダクトの改善や次の開発へと役立てていくのでしょうか?
太居:はい、データ分析とプランニングを担当するチームが別に存在しており、その方たちからフィードバックをもらいながら、ネクストアクションを決めています。場合によっては、現場側から改善案を提示するケースもありますね。
また、そのほかの部分では、求められたとおりにコーディングすることができてデザイナーさんに喜んでもらえたとき、新しい技術が次々と出てくるなかで自分なりの最適解を探していく作業などにもやりがいを感じています。すべてがユーザーと直に接するフロントエンドならではの面白さだと思いますね。
谷:ユーザーとの距離が近いことは、事業会社でフロントエンド開発を行う1つの魅力ですよね。私もフロントエンドエンジニアを続けることのモチベーションにしています。一方で、難しさを感じることはありますか?
太居:強いて言うならば、Internet Explorerへの対応に迫られることでしょうか。実は、現在でもトヨタの販売店では基幹システムの関係でInternet Explorerの使用が推奨されているケースがあります。そのため、全店向けのプロダクトは、そうした環境下で動作することを基本に開発しなくてはなりません。谷さんもご存知のとおり、Internet Explorerは2022年に提供元であるMicrosoftのサポートが終了しており、フロントエンドの領域では少しずつ切り捨てが進んでいます。そのようなレガシーな環境にあわせて開発を行わなければならないことが、販売店DX特有の難しさだと思います。
谷:最新の技術を使う場合と比較して、工数が大幅に増えてしまうこともありそうですね。
太居:はい。とはいえ、現場のスタッフが困るような仕様となってしまうのは本意ではないですし、その先にはお客様もいらっしゃいます。業務効率やエンドユーザーの体験を考えると、最新の環境への移行は現実的ではないのですよね。
谷:例えば、実装したい仕組みがInternet Explorerの環境で実現できるかを生成AIに尋ねてみる、といった対応では解決できないのでしょうか?
太居:私たちもおなじことを考え、実際にやってみました。しかし、想定した結果にはなりませんでした。それらしい回答は得られるのですが、いざ開発しテストしてみると、レイアウトが崩れたり、意図した動作をしなかったりといったトラブルが頻繁に起こっています。利用できる道を模索してはいますが、まだ思うような成果にはたどり着けていませんね。
谷:フロントエンドエンジニアの仕事は、その名前から「最前線で開発と向き合う」みたいなイメージを持たれがちですが、実際にはレガシーな環境との落としどころを探るような働き方をしなければならないことも珍しくないですよね。Internet Explorerへの対応とまではいかないまでも、似たようなケースに難しさやもどかしさを感じているエンジニアは少なくないような気がしています。逆に言えば、そのような開発こそが、フロントエンドならではの面白みであるとも思います。環境を選ばないプロフェッショナルなエンジニア集団みたいでかっこいいな、と感じてしまいました笑。
太居:確かにInternet Explorerへの対応の難しさが、巡り巡ってやりがいへとつながっている部分もあると思います。レガシーな環境で開発しなければならないからと言って、最新の技術に対する知見が必要ないかと言われれば、決してそのようなことはありません。むしろ、トレンドを追っているからこそ、レガシーな環境でより良い開発ができる面もあるのですよね。
また、私たちが担当しているプロダクトのなかには、全国の販売店向けではないものも存在しています。例えば、一部の店舗の要望に基づいて開発を行うケースでは、Google Chromeでの使用を想定し、ネイティブアプリを扱うこともあります。性質の異なる2つの環境で開発を行えることが、メンバーの成長機会にもなっています。もちろん実現できることや工数の関係から、いつかはInternet Explorerから脱却できればと考えてはいますが、現状もまた、エンジニアにとっては有意義な環境であると感じていますね。
谷:技術の入れ替わりが早いフロントエンド領域だからこそ、トレンド以外の部分でも能力を発揮することが必要になるというわけですね。担当業務こそ違いますが、私もおなじような実感を持っていますね。
オープンな対話が生む成長と挑戦。Osaka Tech Labで広がるキャリアの可能性
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谷:太居さんの考えるOsaka Tech Labの魅力について教えてください。
太居:1番はメンバー同士の仲が良いことですね。役割や所属するチーム、担当するプロジェクトなどにかかわらず、全員がオープンにコミュニケーションを取っています。私は自分から話しかけることが苦手なタイプなのですが、そのような雰囲気に助けられ、うまくチームに馴染むことができていますね。
谷:私もOsaka Tech Labの特別さは感じていますね。KINTOテクノロジーズ自体が比較的メンバー同士の仲が良い組織だと思うのですが、それでも共通点の多い人たちがグループになりやすい傾向にはあるような気がしています。けれども、Osaka Tech Labにはそうした偏りがないのですよね。
太居:このことが業務を進める上でもプラスに働いていますね。困ったことがあれば、すぐ近くにいる人に相談できる。入社したばかりの頃は特に、Osaka Tech Lab独自の風土に助けられました。
谷:私は、組織の規模感がプラスに作用しているのではないかと考えています。Osaka Tech Labには、KINTOテクノロジーズ内のさまざまな部署で働くメンバーが所属していますが、単独で見たときにはまだまだ少人数であり、このことが独特の透明性や風通しの良さにつながっている気がするのですよね。
他のグループがどのような業務に向かっているのかを理解しているからこそ、拠点内でなんとかなりそうな問題に関しては、誰もが気軽に周囲に相談しますし、相談を受けた側も協力して解決を目指そうとしますよね。Osaka Tech Labには、良い意味でスタートアップのような雰囲気が充満しています。
太居:受け答えから相談されることを迷惑に思っていないことがわかるので、手を止めてしまってごめんなさいとは思いつつ、気軽に声をかけてしまいます。
谷:そうなのですよね。また、ズバッとした物言いをするメンバーも少なくないですが、関西独自の文化なのか、メンバー同士の仲の良さによるものなのか、そのようなときにもまったく空気が悪くなりません。この点もまた、Osaka Tech Labの魅力のひとつではありますよね。
太居:きっと全員がそのような雰囲気に助けられてきたから、後からジョインしてきたメンバーにも同じように対応しているのだと思います。まさにOsaka Tech Labが設立からの約3年半で醸成してきたカルチャーと言えるかもしれませんね。
谷:今後、チーム、または個人として取り組んでいきたいことはありますか?
太居:チーム全体では、AIの利活用や、Internet Explorerへの対応に関する出口戦略の策定に力を入れていきたいです。どちらもが開発の生産性を担保する上で、とても重要な喫緊の課題であると感じています。問題を放置してしまえば、技術的な負債が蓄積されることにもつながりかねません。即座の移行を目指すというわけではありませんが、転換点をきちんと見据え、少しずつ取り組んでいきたいですね。
また、個人では、インプットに対してアウトプットが不足していると感じているので、勉強会やイベント登壇の機会を増やしていきたいと考えています。少し前に初めてイベントへ登壇した際には、参加者の方々から嬉しい言葉をいただくことができました。これまでは自分のやってきたことに自信が持てず、そうした発信の機会を敬遠してきましたが、今後は臆することなくチャレンジしていきたいですね。
一歩を踏み出すにあたっては、Osaka Tech Lab内に背中を押してくれる人たちがいることも大きな力になりました。チャレンジを応援してくれる風土もまた、KINTOテクノロジーズやOsaka Tech Labならではの魅力なのかもしれませんね。
谷:最後に、Osaka Tech Labでは現在、キャリア採用でフロントエンドエンジニアを募集しています。応募を検討している方に向けて、メッセージがあればお願いします。
太居:KINTOテクノロジーズには、ノウハウに富み、かつ最新技術にもアンテナを張っているエンジニアが多く在籍しています。一部、レガシーな環境での開発もありますが、全社を通じてトレンドを取り入れていくことにも前向きであるため、成長志向の強い方にとってはこれ以上ない環境となるはずです。
私は転職について、思い立ったときがチャンスだと考えています。きっとキャリアチェンジを検討するのは、これまでの自分を変えたいタイミングですよね。もしかしたら、なんとなく探しているときに出会った企業が運命の相手かもしれません。この記事を読んで、KINTOテクノロジーズやOsaka Tech Labのことが少しでも気になったら、ぜひ一度お話してみませんか?みなさんのご応募をお待ちしています。