2050年までに、日本の労働力は2000万人減少する可能性がある。これは、多くの企業にとって他人事ではない、すぐそこにある未来です。
深刻化する人材不足という大きな課題を前に、企業はどう立ち向かうべきか。その新たなカギは「ダイバーシティと女性の健康支援」にあると我々Floraが思っています。
Floraがなぜこの課題に挑むのか、その背景にある社会課題と、私たちが目指す未来についてお伝えします。
「見過ごされてきた」巨大な機会損失
日本が直面している課題は、単なる人口減少だけではありません。世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数2023で、日本は146カ国中125位と、G7の中で最低水準です。特に経済分野は123位、政治分野は138位と著しく低い評価を受けています。
この「ギャップ」は、実は大きな経済的機会損失を生んでいます。ある試算によれば、男女間の労働参加率の差を埋めることができれば、日本のGDPは15〜20%も増加する可能性があるのです。
さらに、多様性を持つ企業は、そうでない企業に比べて36%も高い収益性を達成するというデータもあります。多様な視点は顧客ニーズの深い理解やイノベーションにつながり、企業の競争力を直接的に高めます。
その「標準」、本当に誰かのためになっていますか?
かつてアメリカ空軍では、標準的な「平均的パイロット」の体格に合わせて設計されたコックピットが原因で、事故が多発していました。しかし調査の結果、4000人以上いるパイロットの中で、全ての身体部位が「平均」に当てはまる人物は一人もいなかったことが判明します。その後、座席などを調整可能な設計に変更したところ、事故は大幅に減少しました。
この話は、社会の様々な場面に存在する「ジェンダーによるデータギャップ」を象徴しています。
- 医療: 21世紀まで、臨床試験のデータはほぼ男性限定でした。そのため、例えば狭心症の症状は男女で異なるにもかかわらず(男性は胸痛、女性は顎や背中の痛みなど)、女性の症状が見過ごされ、診断が50%も遅れることがあると言われています。
- 安全: 自動車の衝突実験で使われるダミー人形は、長らく男性の平均体型を基準にしてきました。その結果、女性は事故による致命的な負傷のリスクが17%も高くなっています。
社会の「標準」が男性に偏っていることで、女性は日常的に健康や安全のリスクに晒されているのです。
「個人の問題」から「企業の課題」へ
こうした課題は、職場環境にも大きな影響を及ぼしています。
経済産業省の調査では、働く女性の52%が、女性特有の健康課題によって仕事で困った経験があると回答しています。その内訳は、月経関連の症状が72%、PMS(月経前症候群)が43%にものぼります。
現場からは、切実な声が聞こえてきます。
- 「お手洗い休憩が2時間に1回10分だけなので、生理の時に漏れが心配」 (20代女性)
- 「生理痛が重い日も立ちっぱなしなので凄く辛い」 (30代女性)
- 「突然の欠勤により、シフトの組み直しが発生して大変」 (班長 男性)
これらの課題は、決して個人の我慢で解決すべき問題ではありません。月経関連の症状や更年期、不妊治療などが原因で生じる労働損失額は、日本全体で年間約2.55兆円と試算されています。従業員3000人規模の企業であれば、その額は約14億円に相当します。
さらに深刻なのは、キャリアへの影響です。不妊治療を経験した人のうち、34.6%が「仕事と両立できなかった」と感じ、仕事を辞めたり、雇用形態を変えたりしています。PMSや更年期の症状が原因で、昇進を辞退した、あるいは検討した女性も少なくありません。
「コスト」から「未来への投資」へ。Floraが描くパラダイムシフト
私たちは、これらの課題を解決するためには、企業側の意識を根本から変える「パラダイムシフト」が必要だと考えています。これまでの女性活躍推進は、「認定取得・PR」を目的とした「福利厚生」であり、「コスト」と認識されがちでした。
これからは、「経営課題解決」を目的とした「投資」として捉えるべきです。
Floraが提供するのは、このパラダイムシフトを後押しするデータドリブンなソリューションです。
- 課題の可視化: アンケートや分析を通じて、プレゼンティーズム(出社しているが生産性が低下している状態)による労働損失額や、従業員のエンゲージメント、健康リテラシーなどを数値で可視化します。
- 施策の特定: データに基づき、どの部署で、どのような課題(月経、更年期、不妊など)がエンゲージメント低下の要因になっているかを特定。リテラシー向上やラインケアの改善など、最も効果的な施策を導き出します。
- 効果の検証: 施策実行後、生産性やエンゲージメントがどう変化したかを測定し、投資対効果を明らかにします。ある企業では、Floraのサービス導入後に生産性が平均11%向上したという実績も出ています。
女性の健康課題への取り組みは、社員のエンゲージメント(働きやすさを感じるグループとそうでないグループでeNPSに35ポイントの差)や昇進意欲(働き続けられる自信があるグループはないグループに比べ17.5ポイント高い)を向上させ、ひいては採用競争力の強化にも繋がります。
私たちは、単に「やらなければいけない」という義務感からではなく、「やれば、新しい世界を実現できる」という希望を持って、この課題に取り組んでいます。
データとAIの力で女性をエンパワーし、一人ひとりが「なりたい自分」になれる社会を実現する。
そんな未来を、私たちと一緒につくりませんか。