【社員紹介 vol.5 -AIコンサルタント-】「業界を進化させるAI技術がここにある」。プロダクト愛を核に、最高のチームをつくる
今回登場するのは、AIソリューション部の部長を務める小島です。コンサルティングファームなどを経て、スタートアップ2社のCSO(Chief Strategy Officer:最高戦略責任者)を務めてきた彼が、40代からの新たな挑戦の場としてTHIRDを選んだ理由、THIRDでAIコンサルティングに取り組む醍醐味、部門を率いる今の思いなどをお話しします。
小島 隼/株式会社THIRD AIソリューション部 部長
外資系コンサルティングファームのローランド・ベルガーで約6年間、国内メーカーの市場戦略などを支援。楽天株式会社(現 楽天グループ株式会社)での事業開発を経て、宿泊予約システムを開発するスタートアップの株式会社アコモにてCSOを経験。その後、在庫管理サービスを開発するスタートアップの株式会社スマートショッピング(現 株式会社エスマット)でもCSOとして組織構築や経営企画を担う。2023年5月にTHIRDへ参画。
「レガシー産業への貢献」を軸に、コンサルからスタートアップへ
―小島さんは新卒でコンサルティングファームに進んだ後、楽天を経て、THIRD入社以前にスタートアップも2社経験されています。コンサル出身者としては珍しいキャリアに思えますが、何かスタートアップに関心を持つきっかけがあったのでしょうか。
きっかけはコンサルティングファーム時代に大規模メーカーの再生プロジェクトに携わったことです。担当した日系メーカーは、韓国や台湾、中国のライバル企業との激しい競争下にあり、いろいろな面で新陳代謝が必要だったのですが、歴史の長い企業だけにスピーディーな切り替えが難しく、苦戦していました。
同社に限らず、日系メーカーの「どこまでもクオリティを追い求めるものづくり」が私は好きで、それを応援できることに仕事のやりがいを感じていました。ただ、グローバル競争が激化していく中、日系メーカーは企業体質をドラスティックに変えていかなければ戦えない。そのためには外部の力が必要だと感じました。そこでスタートアップに興味を持ったのです。また、レガシーな産業であればあるほど、ポテンシャルもありますので、そんな業界に貢献できるスタートアップはないかと探しました。
―「レガシー産業への貢献」が一貫してキャリア選択の軸になっているのでしょうか。
その通りです。楽天に転職したのは、海外向けの新規事業としてマンガの翻訳プラットフォームの立ち上げに携わるためだったのですが、このときも「出版業界のDXに貢献したい」という思いがありました。その後、旅行系スタートアップに参画したのも、労働集約型と言われる旅行業界の変革に携われることに魅力を感じたためです。
―前職と前々職のスタートアップでは、どちらもCSOを務められています。CSOの業務は幅広い印象ですが、どんな経験をされたのでしょうか。
旅行系スタートアップは創業してから半年のタイミングでジョインしました。まだプロダクトも開発段階で、メンバーもわずかでしたから、あらゆることに携わりました。戦略策定や事業開発をメインの業務としつつも、ときにはメンバーの間の円滑なコミュニケーションを図って組織運営をしたり、資本政策に関して株主と交渉したり……スタートアップ特有のハードシングスもたくさん経験しました。
IoTスタートアップは、もう少し事業ステージが進んでいて、人材面も充足していたので、会社や事業を成長させる楽しさを味わえました。私は組織づくりに集中させてもらい、ここで学んだことが今も活きています。
―組織づくりの面でどんなことを学ばれたのですか?
社員の能力の面では、会社はさまざまな人を受け入れ、適材適所で活かしていくことが必要。これは仕組みの問題です。一方、マインドの面では、他責の言動を繰り返すような人がいるとたちまちチーム全体の士気に影響しますから、一定以上のオーナーシップとチームワークを備えたメンバーをそろえなくてはなりません。チームのパフォーマンスレベルを保ち、かつ高めていく採用と配属を心がけました。
入社の決め手は、プロダクトの強さと現場のペインへの理解の深さ
―THIRDにジョインされたきっかけを教えてください。
私の友人が当社の代表取締役である井上と旧友で、「一度会ってみて」と紹介されました。またスタートアップで挑戦すべきかどうか思いあぐねていた時期だったのですが……とにかく話を聞いてみることにしました。
―話を聞いてみようと思われたのはなぜですか?
レガシー産業のスタートアップに携わってきた者として、不動産業界には以前から関心を持っていました。DX視点で言えばとても有望な業界――裏を返せば、従来ベースの業務プロセスのままでもまだまだ生き残れる体力があるだけに、なかなかDXが進んでこなかった業界だからです。
とはいえ、ビルメンテナンスの領域に関しては全く馴染みがなく、紹介してくれた友人の説明を聞いても理解しにくい点が多々ありました。そういう業界があることは理解できても、具体的なイメージまでは湧かなくて。
―それが第一印象だったのですね。スタートアップの難しさも痛感されていた中、入社を決意された理由は何だったのでしょうか。
井上との面談時に印象的だったのは、まずプロダクトの強さ。当時、『管理ロイド』は営業戦略を見直し、前年度に比べて大幅に売り上げを伸ばしていました。その実績値を見せてもらい、プロダクトそのものの持つ底力を感じたのに加え、井上から「顧客側での全社レベルのプロダクト導入を促進するためには、コンサルティングの力が鍵を握っている」という言葉があり、チャレンジ精神を刺激されました。
もう一つ、私が感じたのは、プロダクト開発の裏に現場のペインへの深い理解がある点です。たとえば、「メーター点検業務のペーパーレス化」がなぜ重要なのか。紙のチェックリストへの記入とシステムへの入力という2段階プロセスを短縮するメリットは誰でも想像できますが、それだけじゃないんですよね。
「屋外のメーターなどは、点検する人が背伸びしたり、回りこんだりしないと見えない場所に付いていることもある。そういうときは、不自然な姿勢でチェックしつつ、ビル風で飛ばされそうになるチェックシートを押さえながら記入するんです」。そんなリアルなエピソードを、井上が次から次へと話してくれました。
これだけの解像度を持って現場ニーズを知ろうとする姿勢があるからこそ、多くのお客様に受け入れられ、真の意味で課題解決に繋がるプロダクトをつくれるんだな、と。真摯さが直に伝わってきて、「このチームに自分も加わりたい。もう一度スタートアップで挑戦しよう」と心を決めました。
業界特化の“知識”を積み上げ、課題に切り込む“知恵”を磨く
―現在は部長として、AIソリューション部をリードされています。部の業務内容をご紹介ください。
当チームでは大きく分けて2種類のプロジェクトを担当しています。一つはAI受託開発、もう一つはDX支援です。
AI受託開発は、『管理ロイド』『工事ロイド』のもつAIの要素技術を強化したものです。言ってみれば、特定のお客様のためだけの特別強化版です。たとえば、ゼネコンやデベロッパーで実施されている見積査定業務・自社単価DB作成業務・購買/調達業務に対応させるには、『工事ロイド』だけでは機能が足りずどうしてもカスタマイズが必要です。このような機能を開発するためには、お客様から個社ごとのニーズをヒアリングし、社内のエンジニアやコンストラクションマネジメント部との連携の下で、開発を進めていきます。
DX支援の方は、より広いスコープで『管理ロイド』『工事ロイド』の導入に伴うお客様先の業務プロセス改革をサポートします。前後工程を含めたIT化を中心に進めることもあれば、オペレーションのフローそのものの見直しに取り組むこともあります。ときにはさらに上流から、スマートビル化の基盤となる、いわゆる「ビルOS」の導入に向けた検討から入るケースもあります。
―小島さんのようなコンサルティングファーム出身の方は、ご経験を活かせる場面が多そうですね。
THIRDのコンサルティングでは、ある場面では知識量が問われ、ある場面では知恵で勝負することが求められます。コンサルティングファーム時代の経験が活きるのは後者です。
コンサルティングはある面、医者の仕事にも似ています。医者が脳内にあるさまざまな病気とその症状のデータベースを検索しながら診断をつけていくように、THIRDがもっている不動産業界の知識、ITの知識、AIの知識を総動員して、お客様の業務課題を解いていく。ここは業界特化型のコンサルティングを行っている私たちの強みでもあり、各メンバーにとってはゼロから膨大な知識を積み上げていかなくてはならないというプレッシャーでもあります。
一方、案件によっては「全体としてうまく回っていないのは確かだが、どこに課題があるのか分からない」「類似の事例が少なく、有効な打ち手の型もない」といったケースもあります。特に戦略案件などは、未来の話なのでそもそも解決策を誰も知らない。どういう風に解くべきかもわからない。こういう時には、知識を活用した切り口をもとに、仮説をたてて問題解決をおこなっていきます。やり方はコンサルタントによって違うと思いますし、各自のセンスにかかっています。ここは難易度が高い反面、問題解決そのものの醍醐味を味わえるクリエイティブな仕事でもあり、コンサル経験者はやりがいを感じられる部分だと思います。
「お客様の現場をスムーズに」。共通のゴールを見据え、多職種のメンバーと知恵を出し合う
―今後THIRDで実現したいこと、チャレンジしたいことをお話しください。
第一に、THIRDがお客様に提供できる価値を最大化していくこと。もちろんTHIRDの売上拡大に繋がる話でもありますが、それだけでなく、私はTHIRDのAI技術やプロダクトは掛け値なしに優秀だと思っています。少し盲信的に聞こえるかもしれませんが、導入しないのはお客様にとっての損失だと本気で考えているんです。
たとえば、協力会社から上がってきた何百ページもある見積をシステムに手入力するとか、自社の見積りと目検で突き合わせるとか、そんな作業が業界を代表するような企業でさえ、今も当たり前のように行われています。THIRDのプロダクトを導入いただき、カスタマイズもすることで、現場の貴重な時間と労力をより生産的な業務に振り向けられる。AI受託開発の拡大は、シンプルに業界の進化に繋がると信じています。スタートアップでコンサルティング業務をおこなうことの醍醐味はここにあると思います。
プロダクト愛を核にしたチームづくりにも、一層力を入れていきます。THIRDのカルチャーで私が特に好きなのは、「プロダクトを通じて業界に貢献したい、お客様のペインを減らしたい」という思いが部門を超えて共有されていること。お客様と直接対面している私たちだけでなく、エンジニアたちも、建設業界出身者が集まるコンストラクションマネジメント部のメンバーも、同じゴールを見据えているからこそ、いざプロジェクトが立ち上がって協働体制ができると、お互いに遠慮なく真剣な議論ができます。
リモートワークを組み合わせて働く方も多く、普段から他部門との交流が盛んなわけではないのですが、根本の価値観が同じなので、すぐに一体感が生まれるんです。私たちAIソリューション部内でもこの価値観はぶらしたくないし、ぶらしてはいけないと思っています。
―チームメンバーに期待するマインドについて教えてください。前職でオーナーシップとチームワークの大切さを学んだお話がありましたが、他に重視されている点はありますか?
もう一つ挙げるなら、「素直さ」です。お話ししたように、プロジェクトでは他チームとの協働が不可欠。プロダクト開発の技術面や建設業界の専門知識に関して不明点がある場合は、それぞれのプロに聞く必要があります。「この点が分からないので、教えてください」と素直に言える人でなければ、業務が回っていきません。
プロダクト開発、建設、不動産管理業界等、多種多様な知識が求められる仕事だけに、チーム内でも最初は自分の限界を痛感する場面が多いかもしれません。私自身もそうでした。そんなときも先輩から素直に学ぶ姿勢を持っている人はどんどん成長していきます。一定の知識が身に付けば、自分なりのセンスで勝負できる場面も増えていくので、これから仲間に迎える皆さんにも、ぜひそのおもしろさを味わっていただきたいと思います。