こんにちは、unname代表取締役の宮脇啓輔です。
仕事をしていると時々なぜか、目的を見失う人がいます。
本来の目的を見失った仕事は、本人にとっても会社にとっても損失にしかなりません。しっかり目的を言語化した上で進めていたはずのプロジェクトも、ついつい目的を見失い「そもそもこれって何でやってたんだっけ?」と、上司に突っ込まれてしまう。そんな経験ありますよね。
では、
・なぜ仕事を進めるうちに目的を見失ってしまうのか?
・そして、どうすれば目的を見失わずに済むのか?
今回はそのことについて考えてみました。
“作業”と“仕事”は似て非なるもの
「目的を見失う」とはどのような状況か、まずは具体的な例をあげて説明します。例えば、ミーティングでの目的を見失ってしまうケース。
ある会社で売上目標を達成するために、毎朝ミーティングを実施することになりました。そのミーティングの目的は目標達成のために、「売上をつくるために今最もすべきことは何か」をメンバーみんなで確認し、それを進捗させていくことでありました。
しかし、1〜2週間するうちに気がつくと、売上達成のためのミーティングはただのタスク管理になってしまっていました。「今日、私はこれをします」「○○社と打ち合わせが入っています」といった具合です。本来であれば、「目的を達成するために必要なことは何か」「誰かに助けを求める必要はあるか」などを確認する場にしなければならないのに、ただの進捗報告会になってしまっていました。
上記の例は「売り上げ達成のため」という本来の目的を見失ってしまったことで、目標達成に向けたミーティングが、ただの進捗確認になってしまったというわけです。こういった事例は、いろんな会社で起きていると想定しています。では、いったいなぜこのようなことが起こるのでしょうか。
その理由の一つは、目的を果たすことよりも、「自分のすべき仕事のイメージを膨らまそうとしている」からです。
経営者や上司が目的を話していても、「で、結局私はどんなふうに仕事をすればいいんだっけ」「その中で、私のすることは具体的に何ですか?」などを、先行して考えてしまう。そういう人ほど、目的からずれてしまうのです。これは、上司からのオーダーをMISSIONに変換する前に、HOWに変換してしまっているのだと思います。

目的(事業貢献)よりも、自分の作業イメージの方が大事になっている
「HOW」の部分は後から考えればいいはずなのに、自分の役割を果たすことに気が向いてしまって、その結果「HOW」が先行してしまうのだと思います。
例えば、「クライアントに新サービスAを提案して、魅力を知ってもらいたい」と上司が考えたとします。上司に「新サービスAの資料を作って」と言われたとき、それをそのまま「資料づくりが自分の仕事」と受け止めてしまう人がいます。しかし、本来であれば、「どういった目的で、どんな問題を抱えたお客様に対して、どの程度のクオリティーの資料が必要なのか」「その資料はどのような使い方をするのか」を上司から聞き出して、それに相応しい資料を作らなければなりません。
そういったことの確認や認識のすり合わせもせずに、新サービスAの機能を一通り載せた資料を作ったりすると、上司が本当に求めていた資料とはかけ離れたものになってしまいます。
さらに言うと、そもそも資料が必要ない可能性だってあります。「あのクライアントに新サービスAの魅力を知ってもらうことが目的なら、体験会を開いてはどうでしょうか?」などと、資料以外の提案が出てきてもいいはずなのです。しかし、「どんな資料を作ればいいか」だけにフォーカスしてしまうと、目的を確認できていないままにとりあえず資料を作ることになってしまうのだと思います。
上司をいい意味で信用するな
こんなふうに言うと、「上司から指示を出されたんだから、それに従うのは当然なのでは?」「上司の指示の出し方も悪くない?」と思う人もいるかもしれません。
もちろん、それも一理あります。ただ、上司だって毎回深く考えて完璧な指示を出しているとは限りません。その場では一旦考えてそういった指示を出したけれど、上がってきた資料を見たら「そうじゃなくて」と思うこともあります。ですから、ここで大事なのは、「あくまで自分の責任でしっかり目的を確認すること」なのです。
指示はあくまでも「目的を果たすための手段」です。上司からすると、指示を出さなければ部下が動けないから指示を出しているだけ。ですから、部下の立場にある方々は、上司から言われた通りのことをするのが仕事ではないことを理解しておかなければなりません。

本来仕事は目的さえ果たされれば、やり方はなんでもいいはず
上司がなぜそういった指示を出したのか、何のためにその作業をするのか。そこを自分でしっかり確認する。むしろ目線を合わせにいくくらいの気持ちが必要です。なんなら「言いそびれていることがあるかもしれない」「上司から言われたことは間違っているかもしれない」「自分が考えたアイディアの方が優れているかもしれない」と考えて、確認する癖、思考する癖をつけたほうが良いのです。
私も新卒時代のサイバーエージェントで、先輩から「仕事上ではいい意味で人を信用するな」と言われたことを今でも覚えています。それは、人を信用するなという話ではなく、「どんなに優秀な人でも間違うことがある。だからこそ自分が責任を持って、真偽を疑う癖を持ちなさい」ということを意味していました。私が今、目的を見失わずに仕事ができているのは、その言葉のおかげかもしれません。
上司だって人間です。自分の脳内で考えていることを、うまく部下に伝えきれていない可能性はあります。もしかしたら非常に忙しくて、深く考えて指示を出すことができていないかもしれない。だから、上司から何か指示を出された時には、「その仕事の目的を理解して、自分なりにベストな方法を考えて提案する」くらいのマインドでいる方がいいと思っています。
上司にしっかり目的を確認して「それが目的なのであれば、このような形で資料を作ってはいかがでしょうか?」「こんな方法もあると思いますが、どう思われますか?」と提案すればいいのです。もちろん、上司の言ったことが目的にかなっていると思えば「おっしゃる通り、私もその方法がベストだと思いますので、資料作りに入りますね」と伝えればいい。指示を待つのではなく、自分から提案するくらいのマインドでいれば、上司の意図と成果物がズレることもないし、あなたの評価も上がるでしょう。
指示待ちの作業者ではなく、目的から動ける人間だとアピールすることで、大きな仕事を任される一歩となるのです。
慣れないうちは、「10聞いて10確認」を徹底せよ
以前、「なぜ安易に了解してはいけないのか」というnoteを書きました。

なぜ安易に了解してはいけないのか|宮脇 啓輔 / 株式会社unname
これは、「安易に『了解しました』と言って、仕事に着手してはいけない。解像度高く、作業イメージ・完成イメージをすり合わせた上で、期待値調整を行う必要がある」といった内容の記事になります。
なぜなら、人の話は一回聞いたくらいで正確に理解することは難しいからです。「相手の言っていることを、自分は理解できていないかもしれない」という前提で話を聞かなければ、すれ違いが起きます。だから、部下に簡単に了解されると、上司は不安で仕方ないのです。
そしてさらにいうと、理解しきれていない人ほど7割の理解にも関わらず、残りの3割を自分の推測で埋めてしまう傾向にあるとも感じています。

認識のすり合わせは楽観せず、悲観するぐらいがちょうど良い
もちろん、何年も一緒に仕事をしていて、相手の求めるものが正しく理解できていればそこまで細かい確認は不要です。でも、「阿吽の呼吸」で仕事ができる関係性になるまでは、相手の言うことを「1聞いて9推測する」は絶対にしてはいけません。「10聞いて、10確認する」を徹底してください。
推測で作業を進めた結果、何十時間という作業が無に帰することもあります。それは単に時間が勿体無いだけでなく、その先の工程を担っている人たちやクライアントにも迷惑がかかります。

確認することで、上司が間違っていることにも気づく可能性がある
まだ経験が浅い人の中には、「詳しく確認する時間を取ると、上司やお客様に迷惑がかかるのではないか」といった気の遣い方をする人もいるでしょう。しかし、この気遣いは本質的ではありません。締め切り間近になって、目的からズレていることが判明する方がよっぽど迷惑です。
もし、どうしても気後れしてしまうのであれば、「会社のために確認させてください」という大義名分を掲げて確認するのがおすすめです。「あくまで会社やチームのためにミスしないよう、念の為確認させてください」と伝えれば良いのです。
この一言、枕詞を付けるだけで「ちゃんと確認しておくほうが、みんなにとっていいですよね」というスタンスが伝わります。それに、そもそも真っ当な仕事観のある人は、「確認をしたい」と言われて迷惑に感じることはありません。確認漏れでミスになる方がよほど大変だとわかっているからです。だから、安心して確認してください。
繰り返しますが、まずは目的を理解できるまで上司にしっかり確認する、すり合わせる。そして、目的をしっかり把握した上で、上司から具体的な指示をもらう前に自分から提案できるようになることを目指しましょう。
作業にフォーカスせず、目的にフォーカスせよ
目的を見失わないようにするために大事なのは、「仕事」と「作業」を切り分けて考えることです。
「仕事」とは目的を果たすことによって、会社の利益に貢献することです。そして、そのための「作業」がたくさんあるという構造になっています。

いいビジネスパーソンになるためには、単なる作業者に成り下がってはならない
ですから、「作業」にフォーカスしすぎると、そもそも「何のための仕事であるか」を考えなくなってしまいます。その結果、目的に適うものになっていなかったり、上司から「そもそもこのタスクの目的はなんだっけ?」と言われてしまいます。私もよくその問いかけをしてしまいます。そもそも論のちゃぶ台返しは、相手の時間を無駄にしてしまう一言ですが、目的に沿わない作業は認めるわけにはいかないのです。
では、「作業」をする際に、目的を見失わないようにするためにはどうすればいいか。
当たり前ですが、まずは目的を必ず確認する。この時に重要なのが、自分の口から、自分の言葉にして確認することが重要です。もしちゃんと理解できていない場合は、口に出した時にロジカルエラーや認識の相違が起きます。なので、口に出すことが肝要です。おうむ返しは内容を理解できていない時に起こる挙動なので、これも念頭に置いておいてください。
そして次にやるべきことは、自分の成果物を「品質の高さ」ではなく、「目的に沿っているか」チェックすることです。

目的を見失う人は、誤字脱字や細かい表現だけに目が向いてしまう
例えば資料を作るのであれば、資料の冒頭に「この資料の目的と、目的達成のためのポイント」を書いておくのがおすすめです。そして、上司に確認を求める際にも、「この目的を考えるといくつか方法がある中で、この資料がベストだと考えました」と説明できるようにする。
もし、そういった説明ができないのであれば、目的からずれてしまっている可能性が高いです。ですから、「何を目的に」「何を目指して」作った資料なのか、セルフチェックしてから上司に確認を依頼するようにしましょう。決して「確認お願いします!」のみで投げてはならないのです。
オーダーに応えるのではなく、目的を果たせ
目的を見失ってしまう人は、上司のオーダーにはいつも正解があると思っていて、そのオーダー通りにできているかを確認してくる傾向にあります。

上司の正解に合わせるのではなく、目的に合っているかが重要
しかし上司からすると、「オーダーに対して適切な成果物か」よりも、「目的に対してベストな成果物か」の方が大事です。そしてさらにいうと、目的に対してベストな手を打てているかどうかは、部下自身で考えられるようになってほしいと思っているものです。ですから、「どんなものを作ってほしいと考えていますか?」と、上司のオーダーに合わせに行くような仕事の仕方はしないほうがいいと思っています。
もちろん、オーダー通りの仕事をすることで、何か問題が起こるわけではありません。オーダーには応えられているのですから。しかし、自分でベストな方法を考えて仕事をできない人が、マネジメントサイドにいくことはなかなか難しいでしょう。正解を出すことに強いAI時代、その傾向はなおさら強くなっていくと想定しています。
そして、何より大事なのは自分の仕事に対して責任感を持つことです。イチ社員でいるうちは、目的を見失った仕事をしても何かを失うことはないかもしれません。しかし、「目的を果たす!」という責任感を持つことで、そのために何をするかを自分で考えられるようになりますし、そのほうが仕事はずっと面白くなります。また、任せてくれた上司やクライアントの期待を裏切らない仕事をすることで信用を得て、重要な仕事も任されるようになってくるでしょう。
- 目的を自分の言葉で、口に出して確認する
- 作業ではなく、目的にフォーカスする
- 品質ではなく、目標に沿っているかチェックする
それこそが、「作業」ではなく「仕事」をするための処方箋なのです。このことを忘れないでください。そうすれば、きっと目的を見失うことなく、いい成果が出せる仕事人になっているでしょう。