ー村河部長、本日はよろしくお願いします。まずはご経歴を含めて、自己紹介をお願いします。
よろしくお願いします!営業部の村河です。
2004年10月に入社し、最初は天一食品商事の“販売課”に配属されました。そこから長く販売課に在籍し、2019年に営業部へ異動。課長、次長を経て、2025年2月に部長となりました。
入社してからは2回、産休と育休も経験しています。
ー入社のきっかけは「人のご縁」だとか。
そうなんです。高校1年生から社会人になるまで直営店でアルバイトをしていました。卒業後は別企業で働いておりましたが、当時のバイト仲間や本社の方と親睦会で再会したときに「今ちょうど本社の事務所が空いてるし、美由ちゃんならできると思うねん。来てくれへん?」と声をかけていただき、ご縁あって転職しました。
ー学生時代から活躍されていたんですね。
いえ、普通のホールスタッフですよ(笑)。ただ私が所属していた店は基幹店で、とても忙しい店舗でした。当時は今より店舗数が少なかったこともあり、1店舗あたりの稼働が非常に高く、日曜の19時時点で“麺稼働500食”なんてことも。そんななか、多くのお客様と接する中で気づいたことなどは、臆せず店長や先輩に伝えていました。研修店舗として位置づけられていたこともあり、本部との距離も近かったことから、会長が大切にしていた“お客様第一”という想いが徹底されていたんです。どんなお客様の反応も見逃さない。この姿勢を評価していただけたのかもしれません。
「興味本位で始めた分析」が、キャリアを押し広げた
ー入社後は販売課でどんな業務を?
全国の店舗からFAXや電話で必要な材料を受注し、伝票を起こし、毎日発送手配をする。いわば店舗のライフラインを支える仕事をしていました。実はその傍ら、営業部のような“データ分析”を勝手に始めました。
ーご自身で進んで行われていたんですか! どうして始められたのですか?
興味本位で各店舗のデータを見始めたのがきっかけです(笑)。アルバイト時代に聞いていたことが本当なのか確かめたくなって。『自分が働いて店が全国上位って本当?』『どこの店舗が売れている?』と調べるうちに、発注の滞りや異常値が見えてきて。アルバイト時代からの“気づいたら伝える”習慣を、そのまま続けていただけなんです。
「顔を合わせる」から始まるリーダーシップ
ーでは、現在の部長としての守備範囲を教えてください。
直営店の売上・FL管理、全社企画の運用・管理、毎年の「天下一品祭り」等の企画開発、アプリの内容確認、メディア対応、飲食・アパレルなどの監修、そしてそれらに関わるプロモーションやSNS運用の統括。本当に幅広く担当しています。
ー全体を見られているんですね!その中でのやりがいはどこにありますか?
アルバイト時代から変わらず“お客様の反応を知れること”ですね。
直接接客する機会は減りましたが、今はSNSを通して感想をいただける。その中でも「自分の企画がきっかけで天下一品に来店いただいた」と知る瞬間は、特に嬉しいです。このやりがいはこれからも変わらないと思います。
ー部下や関係者とのコミュニケーションで大切にしていることはありますか?
“顔を合わせて話す”ことです。近ければ対面、難しければ電話。表情・仕草・声色・イントネーションから本音や温度感を感じ取りたいんです。
チャットなどですぐに連絡を取ることはできますが、言葉通りに受け取るのって怖いなと思っています。特に仕事はしんどいことが9割。その中で言葉だけだと感情がわからないので誤解を招きかねません。
ただでさえ、感情を伝えることって難しいと思います。特に、上司に対してはなおさら。気持ちよく仕事をしてもらうためにも、表情や声から本音を汲み取りたい。そう思って対面や電話でのコミュニケーションを大切にしています。
それで相手の状態や状況がわかったら、「今はお願いしない方がいいな」「この伝え方なら楽しんでくれるかも」と予想して動いていますね。
ーすぐに連絡できる時代だからこそ大切にしなければなりませんね。他に意識されていることはありますか?
汲み取った相手の状況に合わせて伝え方を変えること、そこに時間は惜しまないことです。
やっぱり、誰かが考えたことよりも自分で考えたことを実行する方がきっと楽しいと思います。だから、楽しんでもらえるような伝え方やマインドセットを行う。それを醸成する第一歩がコミュニケーションであり、私の役目の一つだと思っています。
伝統工芸“こってり”を守り続ける挑戦
ーこのタイミングで天下一品に入社する魅力を教えてください!
挑戦できることだと思います。
天下一品は、唯一無二の“こってり”を土台にお客様に愛されることで半世紀以上歩んでくることができました。この先もこのこってりを守っていくためには、時代の変化に合わせた挑戦をし続けなければなりません。
50年を超えても、まだまだ発展途上の会社です。商品力で守りながら、攻めることができるのが魅力なんじゃないかと思います。
実際、現社長の就任以降、「まずやってみる」文化が加速しました。ファンの皆さまと一緒に“こってりビール部”、お子様向け体験イベント、大学との共同企画など、挑戦を“見せる・巻き込む”ことで次の挑戦が生まれる好循環ができています。こってりは伝統工芸みたいだなと感じています。
ー商品力があるからこそ、攻めることができる。おっしゃる通りだと思います。
この挑戦ができるのは、やっぱりお客様がいてくださるからこそです。
愛をもって、反応をくださるからそれを形にできます。伝統工芸にも、変えてはいけないことがあると思います。天下一品にとって変えてはいけないことはこってりの品質とお客様の反応を知り続けること。タッチパネルオーダーやセルフレジなどのDX化が進んでも、熱いラーメンは人の手で運び、お客様のところへお届けして会話する。お客様と接する機会は絶対に減らしてはいけないと思っています。
「働きやすい環境」をつくる理由
ー最後に、これから挑戦したいことを。
根底にあるのは“働きやすい環境をつくる”こと。仕事が楽しくないと、プライベートまで楽しくなくなると思っています。落ち込んだり、友達に愚痴ってしまったり、遊びも全力で楽しめなくなってしまいます。仕事は1日の3分の1も費やすんですから、それを円滑にこなせるよう、必要ならシステムで省力化し、人の手ならメンターで支える。みんなに“仕事を好きになってほしい”。それが私の原動力です。
とは言いながらも、仕事とプライベートを完全に一緒にしてほしいとは全く思っていません!むしろ私自身は“完全分離派”で、プライベートはPTAやママさんバレーなど社外の刺激を楽しみ、得た気づきを仕事に還元しています。そういう循環も含めて、人生を豊かにできる職場にしたいですね。
ー“楽しく働けるから、人生も楽しくなる”。今日のお話のすべてが、その一言に集約されていた気がします。本日はありがとうございました!