学生時代に大規模イベントを主催し、卒業と同時にプログラミングスクールを運営する「株式会社インフラトップ」を共同創業。その後、DMMグループへ事業売却。DMMの子会社取締役として売却後も組織を牽引し、最終的には売上、組織規模共に4倍にまで伸ばした実績を持つ当社代表の長谷川優。
華々しい成果の裏には、友人の裏切りや多額の借金、組織崩壊という試練がありました。しかし、その「試練」こそが、現在のHR領域への挑戦に繋がっているといいます。たった一度きりの人生で「本能的に夢中になれる人(Driver / ドリバー)を増やす」──そんな想いを大切にする長谷川優さんに、そのキャリアの歩みと仕事観をじっくりお伺いしました。
長谷川優 / 代表取締役CEO
大学在学中から大規模イベントの開催などを経験。大学卒業と同時にプログラミングスクール事業を運営する「株式会社インフラトップ」を共同創業。その後、DMMグループに事業売却をし、売却後はDMMグループの子会社取締役として事業を推進し、社員数や売上の増加に大きく貢献。2021年12月にDRIXを創業。
学生時代に経験した大きな挫折と芽生えた使命感
ーーまずは学生時代からお話を聞かせてください。大学生時代からイベント開催などに携わり、複数の事業に挑戦されていたそうですね。どんなモチベーションがあったのでしょうか?
大学生時代はいわゆる「学生イベント」を開催しており、500人、1,000人、時には5,000人規模のイベントを開催する代表をしていました。そうやって多くの仲間や後輩たちと一緒にコトを成していくうちに、「人を巻き込んで何かを作る」こと自体が楽しくて仕方なくなりました。
同時に、父や親族が経営者という家庭環境も、僕を後押ししていたと思います。幼い頃から「父親が自身で事業を動かす」という姿を間近で見てきたので、大学に入った頃には「いつかは父の会社を継ぎ、会社を大きくしていきたい」と思っていたんです。今思うと、経営者であるが故に、両親から自分に求めることの基準も高く、同時に、自分が求める当たり前の基準も自然と上がっていったのだと気づきました。そんな環境で幼少期を過ごせたことは、本当に両親に感謝したい一つのことですね。そして父の会社を継ぎ、大きくしている弟にも感謝です。少しばかり手伝わせてもらっており、培ってきた経験をもとに弟と共に伸ばして恩返ししたいと思ってます。
ーーそんな中で一度、大きな挫折があったとか。
はい。実はある企画をしている最中、友人に裏切られ大きなトラブルへと発展していきました。詳しい状況は省略しますが、自分の甘さや力不足を思い知らされる痛い経験となりました。今でこそ笑って話せることですが、当時は本当にどん底に堕ちた状況で精神状態も一変しました。そのような経験から、「人って何だろう」「お金って何だろう」といった表面的なことではなく、普遍的で本質的なことについて深く考えるようになりました。私が裏切られる形だったのですが、私についてきてくれた大切な仲間も”結果的に”裏切る形となってしまい、何より自分自身の無力さを痛感する時期でした。
ただ、その経験が「自分はもっとビジネスの本質を学ばなければいけない。より高度なスキルを身につけ、どんな状況でも仲間を守れる力を身につけなければいけない。」と強く意識する原点となりました。人や組織の力を正しく引き出す方法を学びたい、という想いは、そこで確実に芽生えたと思います。
プログラミングスクール事業を運営する「株式会社インフラトップ」創業と急成長の背景
ーーその後、プログラミングスクール事業を運営する株式会社インフラトップを共同創業されました。どんな経緯だったのでしょうか?
大学生の頃、VCでインターンをしていた大島(当時の共同創業者)から「未経験エンジニアを育成するプログラミングスクールに大きな可能性がある」と聞いたのがきっかけでした。実際、スタートアップ業界でも「調達した資金の使い道のほとんどが、エンジニア採用」という状況があったため、じゃあ「エンジニアの人手不足を解消する仕組みを作ろう」という流れになりました。
僕は当初から営業と組織マネジメントを担当。渋谷の小さなマンションの一室から始めて、プログラミングスクールサービスを学生インターンをメインに、一緒にゴリゴリ売り込んでいく日々でした。そこではイベント運営で培った「人を巻き込む力」が活きたと思います。初期はとにかく優秀でやまっけのある学生インターンを集めて、毎日朝から晩までひたすら新規獲得。「未経験でもエンジニアになれるスクール」として、コツコツと受講生数を伸ばしていきました。
ーーその後、事業はどんなターニングポイントで成長したのでしょうか?
大きかったのは「転職保証」というプログラムを用意したことですね。単なるスキル習得に留まらず、エンジニアとして転職成功までサポートする。そこに明確な価値が生まれ、SNSや口コミを通じて一気に受講生が拡大しました。ただ、その裏では営業組織の崩壊と再編を都度、現DRIX取締役の陽一と共に乗り越えてきました。
最初はトップダウン型で、数字を追うあまり強い口調で指示することも多かったんです。当たり前ですがそのような環境に耐えられず離れていく人も出てきて……。自分の考え方や組織の仕組みを何度も見直して、ようやく安定的に動くチームが作れた感じですね。そうした紆余曲折の末、数年かけて事業を伸ばし、最終的にはDMMグループへ事業売却するに至りました。
DMMグループで学んだ経営と組織づくりの本質
ーーDMMグループに参画された後は、取締役としてさらなる事業推進を行われていたそうですね。どんな変化を感じましたか?
売却後の3年間、DMMの子会社としてプログラミングスクールを運営し、最終的には売上を4倍、社員数も当初の20〜30名ほどから100名弱にまで拡大することができました。これは、DMMが持つ豊富な資金力と、優秀な人材のサポートを受けられたからこそ実現できた成長でした。
ただ同時に、「本当の経営ってこういうことなのか」と衝撃を受けましたね。亀山会長やDMM本体の役員陣が月1回の面談で「この規模の事業に何を求めているか」を丁寧に教えてくれました。たとえば数字だけでなく、企業イメージの向上や社会へのインパクトなど、より高い視座が求められたんです。自分では経営やマネジメントをわかっていたつもりでしたが、本質的に学べていないことを痛感しました。何度も試行錯誤を重ねるうちに「組織が変われば、売上やサービス品質も爆発的に伸びる」ということを身をもって経験しました。
また、DMMグループの亀山会長や今注目を集めているスタートアップのCxOクラスの方々も在籍されていて、そのような日本トップクラスの経営者と日々壁打ちできることは今考えても大きな財産になっていると感じます。そのような方々の考えを聞けることはもちろん、面談前にどのようなアウトプットがきそうか?を想定し、実態と予想のギャップを埋める訓練を常にしていましたね。そのギャップを埋めることができれば自分もそのような方々に近づけると確信していましたので。
ーー大きな躍進を遂げることができた理由はなんだと思いますか?
そもそも事業売却理由が、「業界No.1の事業を目指す」というビジョンを達成させるためだったのですが、結果的に”未経験エンジニアの転職実績数業界1位”を獲得できるまでに事業を成長させることができました。
私たちがそこまで事業を伸ばせた背景には、「転職がゴールではなく、その先の活躍を重視する」という信念があったからだと思います。正直、転職実績だけを追うなら、多少ミスマッチでも入社を決める方法は存在すると考えています。でも未経験でエンジニアになった方が、もし3ヶ月以内に辞めてしまったら、次のキャリアの選択が極端に狭まってしまう。だからこそ、企業と候補者がしっかり噛み合うようにカウンセリングを徹底し、KPIも離職率を設定していました。その離職率に向き合っていたことが功を奏したのか、3ヶ月以内の離職率を1%以下に抑えることができたタイミングで、”誠実なプログラミングスクールがある”という口コミが一気に広がり、このような実績を出すことができました。私が今も大切にしている「信念がブランドを創る」という考えはこのような経験からきています。
HR領域で目指す「本能的に夢中になれる働き方」の実現
ーー現在は新たにHR領域の事業でDRIX社を設立されています。そこにはどんな想いがあるのでしょう?
DMMグループでの経験を通じて、「結局すべての経営課題は人材に行き着く」という確信を強くしました。いかに優秀な人を採用するか、いかに組織の力を最大化するか。それらを正しくデザインするだけで、驚くほど事業は伸びる。その可能性をもっと広げたいと思い、今はHR関連のサービスを展開しています。
僕が一番大切にしているのは「夢中になる」こと。採用も組織も、やっぱり人が本能的に熱中できる状態をつくると、とんでもない成果が生まれるんです。過去に自分の仲間が離れていった経験や、トラブルを引き起こした辛さも、全部この「人を活かす」テーマに収束しています。だからこそ、採用や組織開発の力で企業と個人の可能性を最大化させたい──それが今の挑戦理由でミッションである「Driver(ドリバー)を増やす。」もここから来ています。
ーー最後に、これからのキャリアや挑戦を考える若い世代へのメッセージをお願いします。
一番大切なのは、自分に嘘をつかないことだと思います。僕自身、大変な失敗や組織崩壊、借金、売却など、さまざまな転機を経てきましたが、その度に「これが自分だ」「自分はこうあるべきだ」と信じて行動してきました。
誰かと比べるのではなく、「自分がカッコいいと思える人生を生きられているか」。その一点を掘り下げていくと、大きな壁にぶつかっても諦めずに踏ん張ることができるはずです。それと同時に、「周囲への感謝」も常に忘れないこと。自分のこれまでの成功は、間違いなく自分だけのものではなく、周囲の支えがあったからだと断言できます。周囲への感謝を忘れず、自分らしく熱中した人生を歩める人が増えるよう、私たちも邁進したいと思います。
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