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僕の失敗した新規事業たち

2024年12月12日に投稿された記事です。

「この事業はこうやって作りました!」「こんな苦労がありましたが乗り越えました!」
巷ではきらきらした事業創造に関する成功体験であふれかえっています。

ですが、新規事業の成功確率は3/1000と言われています。だいたいは失敗しているはずです。おかしい。

事業創造ファームdotDで日々新規事業作りに取り組んでいる僕ですが、成功したものもある一方で、その数倍、いや数十倍の失敗を繰り返してきました。

そこで、今回は決して実を結ぶことのなかった事業たちをいくつか公開してみたいと思います!これから事業作りに挑戦する人たちに面白がってもらいながら少しでも参考になればと思います!

目次

  1. 動画でフラワーアレンジメントが学べるサービス-flaco-(2019年)
  2. 成功する未来しか見えなかった挑戦
  3. ターゲット理解とビジネスモデル設計がぶっ飛んでいた件
  4. ロールモデルに質問できるキャリアシェアプラットフォーム-Career to-(2020年)
  5. スタートアップスタジオでチーム組成、スタートダッシュ
  6. サービスのクローズとチームの解散
  7. 原因①重要なKPIを捉え切れず想い入れの強い機能のアクティブ率にこだわってしまった
  8. 原因②マネタイズを甘く考えていた
  9. 原因③売却を前提に活動していたがプロダクトのみでの売却は難易度が高かった
  10. リクガメのための野草郵送サービス-Yasocle-(2022年)

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動画でフラワーアレンジメントが学べるサービス-flaco-(2019年)

まだあるyoutubeチャンネル

僕が新しいサービス作りに挑戦し始めたのは新卒3年目の冬でした。わりと遅めのスタートです。

どうしてそんな挑戦をし始めるようになったのかのお話はまた別の機会にとっておきたいと思いますが、記憶している限り一番最初に取り組んだのは、動画でフラワーアレンジメントが学べるサービスでした。

成功する未来しか見えなかった挑戦

いろいろ調べたりしながら、当時妻の実家がフラワーチェーン店を経営していたことなどから、動画でフラワーアレンジメントが学べるサービスがあったら儲かるんじゃないか?と考えました。2017年にしてはそれっぽい感じで良さそうですね。

記憶は定かではありませんが、当時の私はパワポで資料を作り始め、義理の父に「これたぶん6億円くらい儲かります(キリッ」とドヤ顔でプレゼンし、フラワーアレンジメントのことを教えてもらうなどしました。

そして、まずはとにかく作ってみて出してみよう!ということで、花を買ってきて、妻と妻のいとこと自宅で動画撮影をしました。

たしか花のクラシルみたいな世界観を目指そうと語っていて、これはとんでもないサービスになるぞ…!グヘへ…!と思っていたと思います。

まだ動画が残っていたのでどうぞ。再生回数が全てを物語っています。笑

ターゲット理解とビジネスモデル設計がぶっ飛んでいた件

10本くらい撮影して、大満足で動画を公開しました。ですが作り終わったあとに「あれ、これってどうやったら広まるんだろう?」と思い始めます。

よく覚えていませんが、ターゲットになりそうな同期の女の子たちにドキドキしながらヒアリングしたら「素敵だけどお金を払ってまで見たいとは思わないかな」と言われ続けます。

結論としては、これを続けてもたぶん儲からないからやめようでした。

  1. お金を払ってまで見たいという人は極めて少数か存在しない
  2. 無料で見たいという人はいるもののマネタイズが見込めない

というわけで、ターゲットの解像度を上げつつマネタイズも意識しないとうまくいかないということを学んだ24歳の冬でした。けっこう恥ずかしかったし悔しかった気がします。

でも、妻のいとこにおごった焼肉代とお花代の1万円くらいで挑戦できたので上手な失敗の仕方をしていたと思います!新規事業は検証の繰り返し!再起不能にならないことが大事!死ななければ失敗ではない!!!大丈夫大丈夫!!!次行きます!

ロールモデルに質問できるキャリアシェアプラットフォーム-Career to-(2020年)

動画でフラワーアレンジメントが学べるサービスでの挫折から1年。いくつかちょこちょこと取り組んでいましたが、ちょっと大きな挑戦をします。

当時の僕は、財務部門でファイナンスをごりごりと極めていましたが、不確実性が高い事業作り領域への想いを胸に秘め続けていました。ですが、現在の立ち位置から自分の実現したいキャリアをどのように目指せるのか分からず悶々としていました。

そこで自分と似たような経験をした人でかつ自分が目指しているキャリアを実現しているロールモデルに話を聞けるサービスは面白いのでは?と思いつきました。良い着眼点な気がしますね。

スタートアップスタジオでチーム組成、スタートダッシュ

サービス案を思いついた2020年の春、ちょうどCrewwさんのスタートアップスタジオという仕組みがあることを知り、ファウンダーとして応募し採択されました。そこでは30人くらいのやりたい事業や想いがある同士たちが集まっており、メンバー募集から開始し、プロジェクトを進行していきました。

ここで初めてリーンスタートアップやMVP志向を実践しながら学んだ記憶があります。

さて、僕のチームはとても優秀な東大卒エンジニアを創業メンバーに迎え、起業&売却経験のある高校の同級生とリクルートで新規事業部長をしていた起業家をアドバイザーに迎え入れ、最強のチームとして活動を開始しました。

みんな副業ベースでの活動ながらも、ターゲットユーザーの特定、課題の特定と、ヒアリングを行いながら仮説構築&検証、再構築をスピード感を持って進められていたと思います。

そして活動開始から3ヵ月後にはβ版がリリースされ、登録者数も数十人まで増えていきました。

当時のnoteを別アカウントで書いているので恥ずかしいですが公開しておきます。

サービスのクローズとチームの解散

ところがその半年後くらいに、サービスはクローズしチームは解散することになりました。

これは様々な捉え方ができるプロジェクトだったと思います。原因をいくつかの観点で考察します。

原因①重要なKPIを捉え切れず想い入れの強い機能のアクティブ率にこだわってしまった

構造化ができておらず、そして見極めができていませんでした。そしてリリースから2,3ヵ月ほど、思い入れが強かった機能がなぜ使われないのかの考察とその改善を模索し続けていました。今思うと「そもそもこれが使われないと何が悪いんだっけ?」を考え、貴重なリソースを振り分ける先を考え直してみても良かったと思います。

原因②マネタイズを甘く考えていた

僕たちはプロダクトの世界観にこだわりを持っていましたが、人材ドメインのサービスと捉えれば、最終的にはアクティブ率高く転職意欲の高い人たちが集まっていれば採用手数料でマネタイズはいくらでもできるはずと考えていました。

原因③売却を前提に活動していたがプロダクトのみでの売却は難易度が高かった

実はこのプロジェクトは、1年後の事業売却を目指そう!イエイ!というノリでスタートしていたプロジェクトでした。ですが、この手のサービスで1年間でマネタイズがきちんとできているケースというのはほとんどないかと思います。そしてそんな状態で売却を行おうとすると、ほとんどがメンバーのアクワイヤーに近い形になります。数社と交渉をさせてもらいましたが、当時の僕たちには今の仕事を捨てて他の会社でこの事業を続けるという選択は取れませんでした。成功確度と情熱とがそのレベルには至っていませんでした。

同じくらいのタイミングでユートラストが出てきたりと、キャリアに関するプラットフォームはありだった気がしています。そして捉えていた課題感も間違いはなかったはずです。もう少しピボットを繰り返していればどこかで当たっていたのかもしれません。様々な考察ができる取り組みですが、チームメンバーの状況なども重なり結論は失敗に終わりました。

当時はわりと燃え尽き感が強かったと思います。
ですが副業ベースながらも本気で取り組んだ体験は血となり肉となり骨となっています。そして当時のメンバーには一緒に本気で取り組んでもらったことに感謝しかありません。

リクガメのための野草郵送サービス-Yasocle-(2022年)

こちらはdotDに参画してからの挑戦です。
Careertoの挑戦からもいくつか事業創造に取り組んでいた僕は、dotDに参画して最初に行う社員全員との1on1の中で「リクガメのエサの確保めちゃ大変説」に出会います。これは面白い課題間だなと思いました。ニッチだけど、たぶん誰もやらないので利益率の高い良いスモールビジネスになるのではないかなと思いました。

出せば売れる、順調すぎる初期フェーズ

1on1で想いを語ってくれたエンジニアのメンバーと2人で立上げようと小野田に相談し(次の日には小野田がFBで「リクガメ向けサービス始めます」と投稿しておりスピード感に驚くなどしながら笑)、ユーザーヒアリングを繰り返した後に農村部の安全な野草を確保しておいて3ヵ月間販売してみるトライアルを行うことになりました。

これは正しいアプローチでした。フォロワー数200人くらいのTwitterアカウントでプロモーションを行うとすぐに売り切れてしまいます。その後も在庫が確保できる度にツイートを行うと、一瞬で売り切れてしまうという状態が続きました。小規模ながら、課題の強さと事業性を一定程度以上検証することができました。

思わぬ落とし穴…

3ヵ月くらいで需要性と事業性を確認できた僕たちは、規模の拡大を目指し新鮮かつ十分な種類と量の野草の生産を行うことにしました。

野草の種業者と連携し、野草の生産に協力してくれる無農薬農家さんも見つかり、野草の生産を開始しました。

松本市の農地

これで安定的な供給が可能になればいよいよ事業として確立されてくるだろう…と思っていたところ、思わぬ落とし穴が。

それは無農薬での野草の管理生産は難易度が高いということでした。

種を撒いて2ヵ月後の農地

10種類ほどの野草の種を撒きましたが、発芽と成長が確認できたものはほとんどありませんでした。そして除草剤などは一切使わなかったため、全然育ってきてほしくない厄介な雑草がうじゃうじゃ生えてきてしまいました…。

農家さんから「どうします?早めに対処しないと取り返しがつかなくなりますよ…」と言われるなどし、これはまずいと思い農地は綺麗にしてもらい断念することとなりました。

継続すべきだったのか?

社内でもよく「もっとこうすればうまくいくのでは?」「ここでやめるのはもったいない」と言われるのですが、僕はYasocleをストップしたことに後悔はないです。限られたリソースであることを前提にすると成功した時のインパクトと成功確率でgo/no goの判断はするべきというのが僕のモットーです。ある意味で単一プロダクトや1つの事業ドメインへの覚悟がないからこそ取れるスタンスなのかもしれません。

高利益率ニッチビジネスへのナイスチャレンジだったと言いたいです!

おしまい

ほんとはテンポよく10個くらい紹介しようと思いスタートしたのですが、1つ1つに筆が走ってしまい3つしか紹介できませんでした。

事業創造は失敗の繰り返しです。ですが、普通の人からすると失敗でありへこんでしまうようなものでも成功している起業家たちは失敗と思っていない説があります。ここで紹介した3つも、結果としてはストップしてしまったものですが、僕の中ではどこかで何かと繋がって再開するアセットたちです。そう、失敗ということで紹介しましたが失敗ではないのです。(ドヤ

これを読んで頂いた事業創造に挑戦する同士たちには、失敗を恐れずたくさんチャレンジしてもらえると嬉しいです。

成功したものや他の失敗したものについてはまた別に機会に!

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