株式会社ジコウが掲げるビジョン「はたらくおとなの創意工夫に貢献する」。一見すると、これらの理念と、ジコウが事業として展開する科学機器業界には、接点がないように感じられるかもしれません。しかし、この一見かけ離れた二つの要素は、平田さんが抱く「働くこと」に対する強い想いによって、深く結びついています。
本記事では、ジコウのビジョンとミッションを紐解きながら、なぜ科学機器業界というフィールドを選び、挑戦し続けるのか、その理由に迫ります。
目次
- 九大での出会いと、研究者という「ジコウ」してそうな人たち
- 科学機器業界に、私たちの「未来」を見つけた
- さいごに
永尾: 平田さん、ジコウのビジョンって、素敵な言葉だなと思って入社したのですが、改めて会社設立のきっかけを教えてもらえますか?
平田: ありがとうございます。僕、ずっと「働くって、もっと面白いんじゃないか?」って、思ってて。子どもの頃は、電車の運転手さんに憧れたり、いろんな職業を遊びのように捉えていました。でも、おとなになるにつれて「労働は苦役なり」という言葉を耳にするようになって、いつの間にか働くことって、つらくて大変なことなんだと勝手に思い込んでしまっていたんです。
永尾: あー、わかります!なんか、おとなっていつも疲れているイメージがありますよね。満員電車とか、見てると特にそう感じます。
平田: まさにそうなんです。いい会社に入って、周りの期待に応えようと頑張るうちに、自分の心と体がどんどん疲弊していくのを感じていました。仕事で得たお金で自由に暮らせるようになったけれど、ふと立ち止まると、このままの人生では「長すぎる」と感じてしまって。物質的な豊かさよりも、「自分の人生を生きる」ことの方がずっと大切なんだと気づいたんです。この違和感をどうにかしたくて、自分自身の「働く」ことの意味を問い直し、ジコウという会社を立ち上げました。ジコウという社名は、自分で考え(自考)・自分で行動し(自行)・自分で工夫する(自工)・自分自身を幸せにしていく(自幸)、という複数の意味を込めています。
ジコウの4つの意味
九大での出会いと、研究者という「ジコウ」してそうな人たち
永尾: 入社しても平田さんのその創業時からの想いはすごくよく伝わってきます!でも、その想いがどうやって今の科学機器人材センターの事業に繋がったのか、全然想像がつかなくて…。
平田: そうですよね(笑)。実は、僕が九州大学で行なっていた「キャリアのための自己探求学」っていう授業が、大きなきっかけになったんです。
集中講義の形式で、学生たちと人生やキャリアについて深く考える時間を持っていたのですが、特に理系の学生さんとの対話が印象的でした。彼らは自分の研究テーマには熱心で、自分の研究テーマを話すときの目の輝きが全然違う。なのに、いざ就職活動の話になると途端に不安になって、「大手企業に行かなきゃ」とか「ワークライフバランスが大切だな」などと、他人の価値観に囚われ始める姿を見て、自分もそうだったし、もったいないなと思っていました。
九州大学での授業の様子
永尾: 急に「正解探し」になっちゃうんですね。でも気持ちはわかります。
平田: まさにその通りです。その時に、彼らが日常的に没頭している研究活動こそ、僕たちが追い求める「はたらくおとなの創意工夫」そのものなんじゃないかって気づいたんです。
研究者って、まさに「できないことができるようになる」ために、失敗を恐れずに試行錯誤を繰り返すプロフェッショナルだと思うんです。彼らのように、働くことそのものを「探究」として楽しんでいるおとなを増やしたい。そう考えた僕は、まずはすでに「ジコウ」を実践している研究者に目をつけ、彼らを、もっと輝かせたいと思ったんです。
科学機器業界に、私たちの「未来」を見つけた
永尾: そのような流れで、研究者を支える科学機器業界へと辿り着いたわけですね。研究者の方を応援する気持ちはわかったのですが、なぜその中でも科学機器業界に絞ったんですか?
平田: 最初は偶然だったんです。研究者を支える仕事ってたくさんあるので色々調べてみたら、科学機器という存在に出会って。科学機器業界ってめちゃくちゃ種類があるんですよ。その数なんと1200万種類。それを知りまずそこに惹かれました。そして、実際にその機器を作っている会社の人たちに話を聞きに行ったら、これがまた面白くて。
実は身近な科学機器
永尾: どんなところが面白かったのですか?
平田: 例えば、ガラス製のビーカーやフラスコを作り続けて100年経つような、すごい老舗の会社があったりするんです。何代目という方が、日々の作業の中で工夫を重ね、日本の技術を守っている。派手なイノベーションばかりを追いかけるのではなく、一つのことにひたむきに向き合い続ける姿勢に、すごく心を動かされました。
永尾: 100年って…すごいですね!全然知らなかったです。IT業界と同じくらい成長しているって聞いた時は、本当に驚きました。
平田: 僕も最初はそうでした。でも、知れば知るほど「なんて面白いんだろう!」って思うことがたくさんあって。研究者のように、地道に、そして熱狂的に「ジコウ」を続けている人たちが、この業界にはたくさんいる。そして、この業界はIT業界と同じように、年4〜5%で成長しているんです。こここそ、僕たちが心から惹かれた場所でした。
そして、この業界のことを調べていくと、人材不足という大きな課題がありました。多くの企業が長年培ってきた技術や知識を持ったベテランが、高齢化で引退していく一方で、新しい世代がなかなか入ってこないという現状があります。私たちは、この業界を盛り上げるためにも、はたらく中で創意工夫をしたい新しい仲間を増やしたいと考えたんです。
永尾: ビジョンが、ただの言葉じゃなく、こうして一つひとつの出会いから事業に繋がっているんですね。
平田: そうなんです。これからも、この業界を盛り上げるために、あらゆることにチャレンジしていきたいと考えています。
さいごに
私たちは、この科学機器業界に、あなたのキャリアを重ねてほしいと考えています。「誰かの頑張りをサポートする」というやりがいを通じて、自分自身の「豊かさ」を探求していくことができるはずです。
研究者がひとつの答えにたどり着くために試行錯誤するように、日々の業務から学びを見つけ、自分なりの工夫を重ねていく。
私たちと一緒に、この深くて面白い業界で働いてみませんか?