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ヒトと組織の未来はどうなっていくのか? ~アッテル✕ハッカズーク対談~【前編】

今回は、株式会社ハッカズーク(以下ハッカズーク社)の代表・鈴木 仁志さんと實重 遊さんをお迎えして、「ヒトと組織の未来」をテーマに、アッテル代表・塚本と対談を行いました。

前編では、HR領域において2社が感じている課題、「採用」と「退職」に対する考え方、取り組みについて、お話しした内容をお届けします。

【プロフィール】

■塚本 鋭  : 株式会社アッテル代表

■鈴木 仁志 : 株式会社ハッカズーク代表

■實重 遊  : 株式会社ハッカズーク セールス&マーケティング責任者

後編はこちら

【目次】

1.はじめに ~2社のHR領域での取り組みについて~
2.自社のハイパフォーマーを定義して、活躍できる人材を増やす
3.「退職」というものがアップデートされていない
4.「日本の組織や人事制度」がアルムナイの利活用を妨げている
5.大企業、中小企業、スタートアップが抱える課題
6.データを使うことで、意思決定精度を高めることができる

はじめに ~2社のHR領域での取り組みについて~

塚本: 今回は、HR Techの中でもユニークな取り組みをしているのではないかと感じている2社で、「ヒト」と「組織」の関係性が今後どのように変化していくのか、また両社が目指している未来について、お話しできればと思っています。

鈴木代表(以下、鈴木): よろしくお願いします。

塚本:改めてですが、アッテル社は「『脱。感覚人事。』を実現し、採用・配置を改善して、社会全体での人材の最適配置」を目指している会社なのですが、ハッカズーク社は「退職で終わらない企業と個人の新しい関係」を作ろうとしている会社だと思っています。「採用・配置」と「退職」と切り口は異なるのですが、「比較的近い世界観を目指しているのでは?」と勝手に感じています。

鈴木:そうですね。ハッカズーク社は比較的ウエットな世界観だと思っているのですが、アッテル社の場合は、結構ドライなイメージがあるなと感じています。

塚本:事業的にですか? それとも、ヒト的にでしょうか?

鈴木:事業的にですね。やろうとしている目指す世界観はウエットではあるのですが、やり方は若干ドライなのかなと思っていました

塚本:確かに、データを用いているところはドライだと思いますね。一方で、やはり“ヒト”にフォーカスしている事業なので、“ヒト”が好きなメンバーは多かったりします。ウエットな部分はありつつも、これまでのHRではウエットな手法がうまくいっていない部分も大きいと感じているので、ソリューションの見せ方としては「データ」に寄せているイメージです。

鈴木:なるほどですね。では、ヒトとしては結構ウエットな思いを持っていて、手法としては「脱。感覚」というように、ドライな手法を使わなくてはいけないということですね。うちは事業内容からしてとてもウェットに見られがちですが、組織はもう少しドライなのかもしれないです。

参考:ハッカズーク代表が語る、会社の今とこれから「日本の人事史に名を刻む事業を僕らはやっている」

塚本:「脱。感覚」と言いながら、自社の採用基準を議論しているときに、実は「『笑顔』が重要なのでは?」という話が出てきたりしています。ビジネス系のメンバーは、文系出身者が多く、過去にデータをうまく使えていなかったという自身の課題を解決するために、アッテルにジョインしてくれている人も多いですね。

なので、目指している世界観は意外とウエットな部分も強いかなと感じています。


自社のハイパフォーマーを定義して、活躍できる人材を増やす

塚本:アッテルで1つ課題に感じていることがありまして、各社のほとんどが「自社のハイパフォーマーは誰なのか」「どういう人材なのか」を定義していません。

鈴木:定義していないというのは、ハイパフォーマー分析ができていない、ということですか?

塚本:そうなんです。ハイパフォーマー分析ができない会社は、私は9割以上だと思っています。「ハイパフォーマーは誰ですか?」と聞いて、ぱっと出てくる会社はほぼないですね。

鈴木:「人によって良いところも悪いところもある。誰がハイパフォーマーかは一概には言えません」みたいに言われてしまうことは多いですよね。

塚本:アッテルはそれも冷たく「ハイパフォーマーが決められなければ、ハイパフォーマー採用はできませんね」と、言い切る仕事をしています(笑)。

「採用基準」は「自社で活躍できる基準」で、「自社で活躍できている人」と「自社で活躍できていない人」を比較して、初めて基準を作ることができます。

なので、自社において「誰が活躍できていて、誰が活躍できていないのか?」という共通認識がない会社は、「誰を採用すべきか?」という基準が曖昧なままです。そのような状態では、当然「活躍できる人」を採用することはできませんし、ミスマッチばかりが生じていると考えています。

そして、一般的に考えると「採用が成功したか否か」は「採用した人が活躍しているか否か」だと思うのですが、ほとんどの会社が「採用した人が活躍しているのか?」を定量的に確認していません。PDCAが回らず、本当によい採用ができているのかを知らない会社がほとんどだとも感じています。

採用基準を部署ごとや職種ごとに作ると「配置基準」にもなります。今の社内異動や社外異動も含めて、「誰がどこで、どう活躍するのか?」ということが自社でわかっていない点は、大きな問題かなと思いますね。

鈴木:そうですね。あとは「誰に辞めてほしくないのか?」みたいなところも、すごく曖昧だと思いますね。

塚本:私もよく「ハイパフォーマーの離職率、ミドルパフォーマーまでの離職率を見るべきですよ」と言っています。でも実は、その定義がないことを感じていますね。

鈴木:そこが感覚人事だと。どういう人が辞めてしまうのか、誰に辞めてほしくないのかに関しても、感覚になっているということですね。何らかの施策を打つときに、「どこの層にこの施策をやりたいのか?」というターゲットも絞れていなかったりしますよね。

塚本:そうすると、効果も薄まってしまいそうですよね。

鈴木:会社側からすると、「この人のこの観点での満足度はそんなに上げなくてもよかったな」というケースも考えられます。「どういう層が辞めやすいのか?」が組織の特性としてわかることと、ハイパフォーマーで辞めてほしくない層を定義できると非常にいいですね。

塚本:「どう人材を循環させるか」「残すか」のメリハリができるかもしれませんね。


「退職」というものがアップデートされていない

塚本:ハッカズーク社としては、ヒトや組織について、一番課題に感じられていることはどのあたりになりますか?

鈴木:僕たちは「アルムナイ」という事業をやっているので、退職に関する部分ですね。キャリアがますます多様化して、色々な理由で会社を辞める人が増えています。しかし、退職というものがまったくアップデートされていません。日本では「裏切り者」と言われるのですが、これがずっと変わらないままです。

離職率がどれだけ変わっても、退職者を「裏切り者」と呼ぶような風潮を変えない限り、退職による社会にとっての損失が大きくなり続けてしまいます。これが私たちハッカズークが事業をやっている理由でもありますし、日本の人事や組織に対して感じている課題ですね。

塚本:その課題は、やはり組織側の問題が大きいのでしょうか?

鈴木:そうですね。仕組みのところが非常に大きいかなと思います。結局は、ヒトの中にアンコンシャスに潜んでいる固定観念だと思っています。「退職ってなんとなく悪いもの」みたいな考え方ですね。

それができあがった背景は、色々とあります。ひとつは「終身雇用で、新卒を一括採用する」という日本の組織の仕組みですね。それが変わっていってアップデートしているにもかかわらず、なぜか退職だけは、人を裏切る行為のままなんです。だから転職活動も「社内の人間に隠れてコソコソやらなきゃいけない」みたいなものが、ヒトの部分にはあると考えています。

組織はヒトの集合体です。なので、そうした考えはヒトにもともと根付いているものなのだとは思います。それが組織側はどうなのかというと、制度そのものがそうなってしまっているんです。

たとえば、年功序列は一番わかりやすい例ですね。組織に長く在籍して、滅私奉公していたら評価される、みたいな考えになりがちじゃないですか。

会社によっては組織ごとやチームごとの離職率が低いほうがいい、みたいなこともあります。「自分のチームで何%が離職したらマイナス評価される」と、そんな仕組みになっていますよね。

たとえば、實重が僕のチームにいて、實重が退職してしまったら、僕の評価が下がるわけです。会社にとっても個人にとっても残る方が良い人が辞めてしまうことは問題ですが、理由に関係なく退職者がでることが評価制度としてマイナス評価されているのは問題かなと思いますね。

實重さん( 以下、實重): アンコンシャスな意識であったり、それが結果として組織の制度になってしまっていたりという壁は、僕がハッカズークに入社して「こんなにも高いんだ。本当にあるんだ」と目の当たりにしました。

僕は前職がアクセンチュア社で、前職時代はアルムナイが普通に受け入れられていました。退職したアルムナイも飲み会に来ていましたし、また気づいたら社員として戻ってくるようなことも「普通のこと」としてあったんです。それが普通じゃない、ということをハッカズークに入社してさまざまな会社の方とお話しする中で認識しました。

まだまだ退職には「縁が切れるもの」という壁はあります。そして「退職=悪」「離職率が高い=悪」になっているなとも感じています。

解像度を上げて見てみると、離職率が高い理由は2パターンあります。ひとつは、より高いキャリアを選んだり、自分のライフスタイルの変化に応じたキャリアの意思決定をしているため。もう一つは、嫌で嫌で仕方がないから、次に行きたいところ・やりたいこともないけれど辞めたためです。

同じ「離職率が高い」と捉えられているところも、本当はアルムナイのエンゲージメントも違うはずで、それが結果として、社員のエンゲージメントも違うはずなんです。

それでも、その部分が一緒くたになって「退職=悪」「離職率が高い=悪」になってしまっていることは課題だと感じますね。


「日本の組織や人事制度」がアルムナイの利活用を防いでいる

塚本:今のお話ですと、外資系のほうが流動性が高くて、日系だと流動性が低い、ということですよね。やはり終身雇用などの影響が大きいのでしょうか?

鈴木:終身雇用の影響は大きいですね。これはアッテル社の感じている課題にも繋がると思うのですが、採用の段階にもミスマッチってありますよね?

ヒトも組織も変わっていって、その変化のサイクルが速くなっています。終身雇用が成り立っていた頃は、新卒から約40年間がむしゃらに働いて、そこから次のライフを考えよう、といった働き方でした。

しかし今はもう、もっと手前の段階で価値観が変わっている時代です。その「変わっている」ことによって、もしかするとミスマッチになっているのかもしれないのに、「ミスマッチしているから転職なんて、まだ許されるべきじゃない」みたいになっていると感じています。

なのでまず大前提として、採用のときのミスマッチは絶対に避けるべきなんですが、それでも、変わったときに「変わったあとどうするの?」という部分を、お互いに我慢していて、「ひたすら残ろう」みたいなところにあまり価値を感じていないんですよね。

塚本:そこは外資系ですと、割と「変わるべきだよね」ということですよね?

鈴木:そうですね。変わる前提で、アライアンス的な考え方などもわかりやすいかもしれないですね。お互い求めるものが合っているときは、ずっと一緒にいたほうがやりやすいですし、そうでなければ離れるときもあるかもしれません。

「またすぐに戻れるような状態にいればいい」という考え方が、価値観としては近いかもしれないですね。


大企業、中小企業、スタートアップが抱える課題

塚本:今のお話は、日系企業全体の「組織課題」だと思うのですが、これは「大企業のほうが多い」あるいは「中小企業やスタートアップが多い」といった特徴や違いはありますか?

鈴木:特徴として、期待値みたいなものが大きければ大きいほど強い、というのはありますね。

大企業では「若手のアルムナイが」というと、30代後半の方々です。20代で投資フェーズ、30代でようやくこれから、40代で投資回収のような前提なんですよね。ずっと会社に残ってくれて投資回収できるので、辞めてしまうと裏切り者、みたいになってしまいます。

中小企業やスタートアップに関しては、「みんなでやっていこうぜ!」という期待値が強いゆえに、辞めるとなった瞬間に「一緒にやろうって言ったじゃないか」と反感を買ってしまうケースがあります。社員ひとりのインパクトが大きいことも特徴で、よりそういう意味で言うと、感情的になりやすいですね。

中小企業で結構ある例としては、オーナー社長は「社員が会社を辞める=自己否定された」という捉え方をする方もいます。「俺を否定しやがった」みたいに思ってしまうんです。まわりが「あの人戻そうよ」と言っても、「あいつは絶対に許さない」みたいになってしまうことも聞きますね。

塚本:なるほど、感情論なのでしょうか。

鈴木:感情、感覚とかですね。それはアッテル社が感じている課題と近いところだと思います。今までの経験ベースであったり、これまでの常識・感覚みたいなもので「ダメ」と決めつけてしまうんです。

塚本:アッテルがもしその課題にアプローチしようとすると、「そもそも辞めた人が戻ってきたほうが、生産性高くないですか?」と証明するかもしれないですね。「そこで感情的になったら、損失がこれだけありますよ」と。

實重:それが証明できると本当にいいですね。終身雇用で新卒一括主義が前提だった時は、退職する人といえば、ワークしない人や合わなかった人など、ネガティブなイメージが強かったと思います。

ただ最近はそうではなくて、転職が当たり前の選択肢になる中で、企業も終身雇用を維持する方向性から、中途採用や副業などいろいろな人材を中に入れるようになってきました。そういった中で、「中途の人材はどこかの会社を裏切っているんですか?」という疑問が出てきます。退職者を裏切り者にしてしまったら、中途で採用した人材も全員、裏切り者扱いしなくてはいけません。

塚本:確かに。

實重:そのことに疑問を持った中途入社の方や、中途採用ご担当者の方が声をあげていて、そういったところから考え方が変わったケースも増えています。


データを使うことで、意思決定精度を高めることができる

塚本:採用の話が出ましたので、データで見るとどうなのかお話しできればと思います。

実は人間が面接すると、入社後のハイパフォーマーを30%くらいしか予想できないことがわかっています。一方、今のアッテルの技術では60%くらい、入社後の活躍を予測することができています。

データを使ったからといって、100%当たるわけでは決してないのですが、個人的には、人間のあたらない判断より、データのほうが信頼はおけるなと思っています。

鈴木:私自身は、實重の前で言うのはあれですけど、面接はめちゃくちゃ下手だと思っています。

塚本:でも、企業のトップが「データをみると自分の面接あたっていない」と言い切れる企業のほうが、個人的には、本当に活躍できる人材を採用しようと努力しているんだなぁと感じますね。

實重:今のお話を聞いていて、100%当たっていると感じている人からすると、データで当たる60に対して、「残りの40をどうやって埋めるんですか?」という話に論点がいきそうだなと思いました。

塚本:入社後の活躍精度を高めるためは、あとは「スキル」の定量化が重要だと思っています。現時点では、カルチャーマッチのような観点から予測するのが最も精度は高いことがわかっているのですが、より精度を高めるためには、やはり「スキル」を精緻にはかれるようにしていきたいなと。今のアッテルが研究開発で注力しているポイントですね。

あとは、どうしても入社後の環境要因も、活躍には影響をあたえているので、入社したあとの状態を定量化することも重要だなと思っています。最近ではエンゲージメントサーベイも流行っていますが、実は今の調査方法では、適切なデータをとれていない企業がほとんどです。サーベイ結果と活躍・定着には、ほとんど関係性がみられないんですよね。

従業員の方に負担をかけてデータを集めている割に、まともなデータをとれていない感覚があります。もっと成果に繋がるデータのとり方は何だろうか、といったところは、入社後に関しては考えていきたいなと個人的には思っています。

後編はこちら

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