博報堂に入社して10年目を迎えた今年、
AIスタートアップ「リチェルカ」という会社に転職しました。
「え!?どうして辞めたの?」と、たくさんの方から聞かれます。
博報堂は、無論、最高の会社でした。
面白くて敵わないほど天才な先輩後輩に囲まれ、仕事のやりがいもあり、
ネームバリューも待遇も成長環境も最高レベルな会社。
そんな環境で、新卒から10年間、
マーケティングの最前線に携わってきました。
僕のキャリアは、ストラテジックプランナーとしてマーケティング戦略の立案からスタートし、その後はビジネスプロデューサーとして、クリエイティブ/PR/マスやデジタルメディアを含めた統合的なエグゼキューションの設計に取り組んできました。企業の売上やブランド価値をどう成長させていくか、その根本にある問いに向き合い続けた10年だったと思います。
目次
根源にあるBS的な思考法
企業の成長も、”すべてはBS”
キャリアの成長も”まさにBS”
そうして出会ったのが、「リチェルカ」という会社
「リチェルカ」は生成AI時代の新しい経営モデル
世界一”アホな会社”? こんな会社は世界中どこにもない。
「スピードしか勝たん」「根っこを掴む」
日本中の企業に AI を実装し全員をクリエイティブワーカーに。
生活を変えるようなテクノロジーを社会に実装する人でありたい
勝負はここから!
根源にあるBS的な思考法
一方で、マーケティング戦略プランナーのキャリアと、趣味として続けてきた株式投資の影響もあってか、マーケティングやキャリアの意思決定を「PLとBSで考える」癖が自然と身についていました。
一言で言えば、
PL(損益計算書)は“いま得ている成果”、
BS(貸借対照表)は“これからの成長の土台”。
企業も人もブランドも、長期的に見ればすべての成長は、
この二つのバランスの上に成り立っていると感じます。
企業の成長も、”すべてはBS”
企業でいえばPLは、売上や利益の“成果”を表す指標。
BSは、ブランドや人材、システム、事業基盤など、未来を生み出す“資産”。
マーケティング戦略においても、BSを意識した施策は持続的な成長を可能にし、BSをおざなりにして短期的な売上拡大を目指すPL偏重なアプローチは、単発の打ち上げ花火になりがちです。これは、数多くのブランド支援に関わる中で、何度も目の当たりにしてきました。ソーシャル1stな時代になり、ブランドのBSの重要性は益々大事になってきていると思うのですが、この話をしだすと話が脱線するので、それはまたの機会に。
キャリアの成長も”まさにBS”
年収やポジションという“PL的な成果”を追いかけるよりも、
どんな経験を積み、誰と出会い、どんなスキルや視座を身につけたか。
“資産(BS)”をどう築けたかこそが、将来の成長とPLを決める。
博報堂での10年は、間違いなく僕のBSを豊かにしてくれた時間でした。
「博報堂」という圧倒的な他人資本を借りながら、1年目からストラテジックプランナーとして、数多くのブランドのマーケティングの戦略立案という上流から携わらせていただき、その後はビジネスプロデューサーとしてエグゼキューションまで深く関わる経験を経て、戦略と戦術の間を飛び回り、領域横断の連携を繰り返す日々。
時には苦しくもありましたが、常に新しい視座を与えてくれました。
そして、今回のキャリアの意思決定もまさに同じでした。これからの自分の人生を考えたとき、「もっと自分のBSを育てられる環境に身を置きたい」と強く思うようになりました。
そうして出会ったのが、「リチェルカ」という会社
リチェルカは、企業のサプライチェーンマネジメントという、非常に煩雑で属人的になりがちな領域を、AIで根本から変えようとしています。IT技術が発展しても10-20年ほとんど進化していない、仕入れや在庫、販売管理、受発注、営業活動など、企業活動の基盤にあたるオペレーションをAIネイティブに再設計する。それが目指す世界です。
その第一歩として今注力しているのが、AI活用の土台になる“膨大なアナログ情報のデータベース化”。
請求書や見積書、FAXで届くカタログ、PDFで共有される商品情報。
そうした「構造化されていない情報」が、企業の中には大量に眠っていて、
それが業務全体のデジタル化やAI活用を阻む大きなボトルネックになっている。
サプライチェーンの再設計という目標に向けた最初の第一歩を、
真正面から向き合っているのが、リチェルカという会社です。
「リチェルカ」は生成AI時代の新しい経営モデル
僕が惹かれたのは、ただ技術的に優れているからではありません。
極論、生成AI時代は、誰もが自由にGPTなどの優れたLLMにアクセスできるので、”技術力の差”や”人の数”はどんどん競争力の源泉ではなくなっていくと感じています。
では、何に惹かれたかというと、
リチェルカには、世界でも類を見ない“異常なほどの現場理解力”がある。そして、それこそが”未来の競争力の源泉”になるということを代表はじめとした創業メンバーが見えていること。
リチェルカは、もともとワークスアプリケーションズやAI Inside等を経て、大手企業の基幹システムの導入やAIスタートアップの第一線でやってきたメンバーが集っているというのが前提にあります。
でも、もっと凄いことはその先にあります。
AIプロダクトを開発/営業するメンバー”自身“が、イタリアのバイクメーカーの日本の輸入代理店の社員としての顔も持ち、実際に仕入れ・在庫・販売・顧客対応までを一気通貫で担当し、その煩雑すぎるサプライチェーンのプロセスをAIでどう効率化できるかを、日々実務の中で検証しながら、AIをフル活用してハイスピードでプロダクト開発をしています。
(これ・・正直、最強すぎやしませんか?「ペルソナ=俺」の究極系)
そして僕自身も、サプライチェーンの現場理解を深めるために、リチェルカの仕事と並行して、実際のバイクの受発注や在庫管理といった“現場業務”にも関わっています。まだ始めたてですが、もう笑えるくらい面倒な作業がたくさんあります。
でも教科書や資料では分からない経験こそが、本質的なDXに最も必要な、
高い現場理解力と現場を動かす熱量を作るのだと思います。
世界一”アホな会社”? こんな会社は世界中どこにもない。
おそらく、アメリカも中国もAIが発展する世界中のどの国を探し回っても、
こんなクレイジーな会社は1社もないと思います。
でもその異常さこそが、これまでITが進化してもなお何十年も解決されてこなかったサプライチェーン領域のDXにおいて、リチェルカを唯一無二の存在にしていると感じています。
普通今までならスタートアップが、バイクの輸入代理店を一緒に経営していたら株主から「リソースを選択と集中すべき」「バイク好きの道楽!」と言われていたかもしれません。でも、AIの活用で1人でn人分の力を発揮するというのが現実的に可能になり、しかもそれ自体が競争力の源泉になっている。
面白くないでしょうか?
(もう一度繰り返しますが、これ正直、最強すぎやしませんか?)
リチェルカはまだ営業開始から
1年も満たないシードフェーズのスタートアップなのに、
共鳴してくれる大手企業がどんどん増え始めていて、
このクレイジーすぎるほどの現場理解力を高める
仕組みと組織づくりが要因なのだと感じます。
冒頭で企業の成長も全てはBSと言いましたが、
僕がまだシードフェーズで売上も不安定な
スタートアップに入社を決断できたのは、
リチェルカという会社のこのBSの面白さを見て、
端くれマーケター兼個人投資家ではありますが
これは勝てるポテンシャルがあると直感できたからです。
「スピードしか勝たん」「根っこを掴む」
僕は今マーケターとして「売れる仕組み」をつくる挑戦をしています。
PMV(パーパス/ミッション/バリュー)の策定、サイト制作、PR戦略、リード獲得施策などに今は関わりながら、勝つための基盤づくりを始めています。そして、この仕組みづくりの相棒として欠かせない存在が、生成AIです。
戦略の壁打ち、リサーチ、構成の組み立て、アイデアの深掘り、コピーライティングやデザイン制作── もはや生成AIは、僕にとって“思考の拡張”そのものです。だからこそ、ひとりでも企画から実行までを高速で回せるし、スタートアップのスピード感にも対応できる実感があります。
そしてマーケターとしての生成AI活用の本質的な狙いは、
AIでスピードを高めることで、職種の垣根をなくして、
セールスとしても現場に立ち顧客の課題に向き合ったり、
事業開発といったマーケター思考を活かせる領域に足を踏み出すこと。
そうすれば、もっと本質的な課題が見えて、言葉や思考に熱が生まれる。
僕はそのために、AIをフル活用してスピードを高めていきたい。
一人の人間のリソースという制約がなくなれば、
もっと仕事は垣根無く滑らかに繋がり、新しい価値が生み出せる。
僕はAIの価値は、ただの効率化ではなく、
まさにそのようなバリューアップだと思ってます。
ちなみに「スピードしか勝たん」「根っこを掴む」はリチェルカのバリュー(行動指針)の2つです。他にも「健全なコンフリクト」「クラフトマンシップ」「両者儲かる」「いい人であれ」などだいぶクセ強めだけど、AI時代における本質的な価値に向き合って社員の皆で考えたバリューを策定しています。
会社概要 | 株式会社リチェルカ RECERQAの理念や、メンバーなど会社の基本情報を掲載しています。 recerqa.com
日本中の企業に AI を実装し全員をクリエイティブワーカーに。
もちろん、自分を育ててくれた博報堂という大好きな会社を離れることは、簡単な決断ではありませんでした。今でも、お世話になった方々の顔を思い浮かべると、申し訳ない気持ちになることもあります。
その一方で、広告業界にも大きな変化が訪れようとしています。 これまで利益の源泉だったテレビ広告の利権構造は崩れ始め、ネット広告のように誰でも買える時代がすぐそこまで来ている。ネット広告も人間が苦労しながら回してきたPDCAはまさにAIの得意分野。労働集約型のビジネスモデルも、生成AIによって根本から変わるでしょう。
「AIで解決できることは、企業が自ら解決する」 そんな時代が来たとき、広告代理店に残る価値は、 「社会への問いを立て、共創的なアプローチで仕組みを実装すること」だと思います。
言い換えれば、広告代理店が「クライアントから業務を請け負う下請け」ではなく、広告代理店が創る仕組みに社会やクライアントが乗っかりたくなる「アーティストとファンのような関係」になることだと最近思います。
そのためには、まず現場の業務に潜む“無駄=人々が我慢しながらやっている作業”をAIが引き受け、 もっと人間的能力に優れた人たちが、人間にしかできない創造的な仕事に集中できる環境を作ることが前提になります。
リチェルカでの挑戦は、僕のお世話になった博報堂やクライアントをはじめ、僕たちの暮らしを支えてくれいてる数多くのエクセレント・カンパニーへの“恩返し”にもなるし、日本企業が未来の競争力を高める突破口になると、本気で信じています。
生活を変えるようなテクノロジーを社会に実装する人でありたい
これは壮大すぎて恥ずかしいのであまり表立って言っていませんでしたが、僕自身が社会人になるときから変わらず志望するアスピレーション(大志)です。
堀江貴文さん(ホリエモン)が話題になったITバブルは中学校1年生、iPhoneが登場したのが高校1年生。
それから暮らしは大きく変わりました。
AIという波は、それ以上に大きな社会の変革をもたらす可能性があると
今ど真ん中の最先端で日々働きながら肌身で感じます。
そんな大きな波に31歳という経験と体力がバランスよく備わった年齢で
迎えられたことは正直いって幸運でしかありません。
初めてリチェルカのメンバーに会って話した時に、
この時代のチャンスを活かさなきゃ絶対後悔すると直感しました。
勝負はここから!
リチェルカは、まだまだ仲間が足りていません。
もしこのnoteを読んで、どこか共感する部分があれば、ぜひ一度カジュアルに話しましょう。
スタートアップという熱量の渦に飛び込むのも、案外悪くないですよ。