新出桂雅さん
大学ではデータサイエンスと人文社会を学び、現在はデータ活用を強みとするコンサルティングファームで大手通信会社のデータ事業PMOにて奮闘する新出さん。
プロジェクトの進行管理や契約・精算など、事業全体を支える役割を担いながら、「論理で人を動かす」難しさと向き合う日々です。学生時代の学びから現在の業務、そして今感じている成長までを聞きました。
D5Cを選んだ理由は「データサイエンス×人の役に立つ仕事」
ー大学ではどのようなことを学んでいましたか?
統計やプログラミングなどのデータ分析に加えて、「文化」「社会」といった人文社会系のテーマと掛け合わせながら、データで世の中をどう読み解き、価値を生み出せるかを考えるコンセプトの学部でした。
ー就職活動ではどんな軸を持っていましたか?
軸は大きく二つあって、ひとつは「データサイエンスを扱う仕事に就くこと」、もうひとつは「そのスキルを人の役に立つ形で使えること」でした。その観点で業界を見ていく中で、データサイエンスとシナジーが高く、クライアントの課題解決に直接関わることができるコンサルティング業務に興味を持つようになりました。
ーその中で、D5Cに決めた理由は?
決め手は「人」と「インターン経験」です。選考やインターンを通じて社員の方々と話す中で、「考え方が自分と近い」と感じる場面が多く、カルチャーの相性の良さを強く感じました。また、インターン自体がただの会社説明ではなく、「実際の業務で必要になる作業」を想定しながら構成されていて、仕事のリアリティをもった体験ができたことも大きかったです。「この人たちとなら、データを使って人の役に立つ仕事ができそうだ」と思えたのが、最終的な決め手でした。
大手通信会社のデータ事業を支える、PMOとしての役割
ー現在のお仕事内容を教えてください。
大手通信会社マーケティング部門内のPMOに常駐しています。この部署では、会員IDや各種利用データなどを扱いながら、広告配信のターゲティング、他社とのデータ連携など、データビジネス全般を推進しています。その中で私が担当しているのは主に他社との協業に伴う契約書の締結・調整、プロジェクトに関わる複数部署の進捗管理、協業先との売上配分や社内での費用按分など、精算・経理まわりの対応です。私がいるチームは、上長と私の2名体制で案件を担当することが多く、1年目からクライアントの中で責任ある役割を任せてもらっていると感じます。
ー入社前にイメージしていた仕事とのギャップはありましたか?
「データ分析をゴリゴリやる」というよりは、「データビジネスを成立させるための仕組みを整える仕事」が中心で、良い意味でイメージとの違いがありました。自分の中ではデータサイエンスは“目的そのもの”ではなく、“手段のひとつ”だと捉えています。コンサルティング業務に興味があるので、PMOというポジションでプロジェクトの全体像に関わる今の役割には納得しています。
稟議・資料作成で痛感した、「論理で人を動かす」ことの難しさ
ーこれまでの仕事で、印象に残っている出来事は?
嬉しかった出来事として、クライアントから資料作成力を評価してもらえたことです。複雑な内容のプロジェクトを図解しながら整理した資料を作成した際、「とても分かりやすい」と言っていただけて、自分のアウトプットが価値になっている実感が持てました。一方で、今まさに苦労しているのが社内稟議や決裁向けの資料作成です。 「自分の中では論理が通っている」と思っていても、上長から見ると「その繋ぎ方では納得しにくい」と指摘されることが多く、何度も作り直しになることもあります。
ーその壁に対して、どのように取り組んでいますか?
案件ごとに部長や上司に相談し、「どういう構成だと通りやすいのか」を具体的に相談したり、他案件の先輩方が作成した稟議書・資料を見せてもらい、構成や書き方を研究したり、論理思考に関する本を読んで、考え方の型をインプットするなどですね。また、報連相の仕方も変えました。最初の頃は「起きたこと」をそのまま報告していましたが、今は「事象(何が起きたか)」「想定される影響(何が起こりうるか)」「自分の提案(どう対処したいか)」までまとめて伝えるように意識しています。まだまだですが、「自分の中の論理」と「相手から見た論理」のギャップを埋めることが、いま一番の成長テーマだと感じています。
他者を意識するようになった社会人一年目と、これからの目標
ー学生時代と比べて、「成長した」と感じるポイントはどこですか?
一番大きいのは、視線が自分から他者へ向くようになったことです。学生の頃は、レポートや論文も基本的には自分一人で完結する世界で、「自分が頑張れば成果が出る」環境でした。一方で今は、ひとつのプロジェクトに複数の部署・会社が関わり、誰か一人が頑張るだけでは前に進めません。どう分担すればチーム全体として進みやすいか、どのタイミングで誰に何を共有すべきか、相手が意思決定しやすい情報の出し方といった「他者を前提にした動き方」を意識するようになりました。
報連相の“量”だけでなく、“質”を上げることの重要性も、仕事を通じて実感しています。
ー今後の目標を教えてください。
直近の目標は、上司と同じレベル感で案件を回せるようになることです。その場で瞬時に論点を整理し、「考えうるパターン」を網羅的に洗い出していく力が非常に高い方だと感じていて、自分も日々の業務をただこなすのではなく、発生した事象を抽象化して捉え直す、パターン化・型化して次の案件に活かすという意識を持ちながら経験を積んでいきたいです。いずれは、自分も後輩から「一緒に働きたい」と思ってもらえるような先輩になりたいと思っています。
就活生へのメッセージ:「性格」と「カルチャー」のフィット感を大事にしてほしい
ー就職活動中の学生に伝えたいことはありますか?
一番大事にしてほしいのは、自分の性格や価値観と合う会社を選ぶことです。興味のある業務内容であることはもちろんですが、それ以上に重要だと思うのが「そこで働く人たちのカルチャーが自分とズレていないか」です。社会人は「他者と働くこと」が前提なので、意思決定の軸や仕事に対するスタンスがあまりにも違うと、日々のコミュニケーションだけで大きなストレスになってしまいます。そのズレを小さくするために、社員の方と直接話せる場(座談会・インターン・面談など)に積極的に参加し、一方通行の説明会だけでなく、双方向に会話できる機会を持つことが大切だと思います。 「話していて心地よい」「考え方がしっくりくる」と感じられるかどうかを、ぜひ大事な判断材料にしてみてほしいです。