■■■ 社長就任の日 ■■■
2020年3月1日、私は株式会社テスコの社長に就任しました。ちょうどその頃、世界は新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の状況に直面し、社会全体が大きな不安に包まれていました。東京オリンピックの開催さえもどうなるのか分からない、そんな混乱のさなかでの船出でした。
■■■ 想定外の連続 ■■■
就任から1年間は、想定外の連続でした。お客様として大きな割合を占めていた飲食業界は、次々と店舗を閉めざるを得ず、稼働していないお店からは修理の依頼も来なくなりました。仕事は減る一方。それでも私は「雇用を守りたい」「やる気に溢れる協力会社の皆さまに仕事をお渡したい」という思いで必死にもがきました。結果として1年目は予算達成ができませんでした。それは仕方がなかったと思います。ただ、その中でも次につながる土台を築けたと考えています。
■■■ 舵を切った先 ー 介護業界 ■■■
コロナ禍の最中に舵を切ったのが、飲食業界以外のお客様探しでした。その中で出会ったのが介護業界です。介護の現場は24時間365日止まることがありません。動いている以上、設備は壊れます。しかし当時は、修理を頼もうにもメーカーの窓口につながらず、現場は困り果てていました。そこで私たちは介護事業者の一社一社にアプローチし、こう伝えました。
「私たちは24時間365日の看板を下ろしていません」
「職人を探して必ず現場に向かわせます」
「感染防止の指導も徹底します。安心してお任せください」
中国から取り寄せたマスクを職人さんに無償で配り、時には介護施設のスタッフの方々にも使っていただきました。
■■■ いまにつながるご縁 ■■■
このときにご縁をいただいた介護事業者の皆さまとは、今も継続的なお付き合いをいただいています。そして、介護業界向けメンテナンスは、今日のテスコにとって飲食業界に次ぐ大きな事業の柱へと育っています。また、一緒になって奔走してくださった協力会社の皆さまは、その後のテスコの拡大を支えてくださる大きな力となりました。
■■■ 振り返って ■■■
社長就任の年は、波乱のスタートでした。しかし、不安の中でも「雇用を守る」「お客様の役に立つ」という姿勢を貫いたことが、その後の成長の土台になったと信じています。あの経験があったからこそ、今のテスコがあります。