自分の中での言語化のタイミングでしかストーリーの更新はしてないわけですが、今回のテーマは『マネジメントの原則』についてです。
「みんながお前のストーリー毎回チェックしてるわけとちゃうからな!」と言われそうな気がしてきたので、毎回軽く自己紹介することにします。20室程度のホテル(自社ブランド)と1軒の古民家ホテル(他社ブランド)の受託運営をしつつ、別事業としてDX支援を行っている、福岡にある5期目(2026年現在)の会社です。の、社長が書いています。
はじめに:なぜ今、マネジメント原則を明文化したのか
ありがたいことに、徐々に正社員の方も増え、組織が拡大し、多様なバックグラウンドを持つ仲間が増える中で、『企業のあり方』(今回はマネジメント領域)を考えさせられるようになりました。また、自分は口下手なので、ちゃんと言語化・明文化した方がいいなと思いました。
私たちが目指すのは、「ぬるま湯」でも「恐怖」でもなく、『学習・成果ゾーン』のマネジメントや組織文化です。
言葉を換えると、『ヒトには安全を。コトには厳しさを。』というマネジメント原則を組織の根本的な思想にしていきたいと思います。
1. 目指すのは「ぬるま湯」でも「恐怖」でもない。『学習・成果ゾーン』
一時バズワードにもなりましたが、ビジネスの場で『心理的安全性*』という言葉が取り上げられることがあります(*心理的安全性とは、組織やチームの中で自分の意見や疑問、失敗を、恥ずかしさや拒絶される不安を感じずに安心して発言・行動できる状態のことです。米国Googleの大規模調査で「成功するチームの最も重要な条件」と発表され、広く注目を集めました。)。
しかし、心理的安全性だけを高めて『成果への責任(アカウンタビリティ)』をうやむやにすると、組織は居心地が良いだけの『快適ゾーン(ぬるま湯)』に陥ってしまいます。逆に、心理的安全性がないまま成果ばかりを求めると、プレッシャーに怯える『恐怖ゾーン』になってしまいます。
四象限で整理するとこんな感じ(わかりづら...)
| | 心理的安全性 低 |心理的安全性 高 |
|アカウンタビリティ高 | 恐怖ゾーン |学習・成果ゾーン |
|アカウンタビリティ低 | 無関心ゾーン |快適ゾーン |
無関心ゾーン:何も言えないし(言っても意味がないし)、成果も求められない
恐怖ゾーン:成果を強く求められ、失敗報告や異論を言えない
快適ゾーン:なんでも言えるが、当事者意識や生産性が低くなるリスクがある
学習・成果ゾーン:なんでも言えるが、言った以上は考える。失敗してもいいが、失敗から学ぶ。
私たちが目指したいのは、「高い心理的安全性」と「高いアカウンタビリティ」が掛け合わされた『学習・成果ゾーン』です。全員がプロフェッショナルとして仕事に対して真摯に向き合い、高め合える環境をつくることこそが、本当の意味での「強い会社」「持続発展的な会社」をつくると信じています。
2. 『権利と義務はセット』——心理的安全性に対する誤解を解く
ここでちょっと留意点です。私たちが考える心理的安全性とは、「何を言っても許される」「傷つかない」「否定されない」といった甘やかしではありません。
立場に関係なく、「組織をより良くするために必要なことを率直に言える状態」を指します。
*加えて注意が必要なのが、「情報量の差」と「見てる時間軸の差」です。経営層と新入社員では、情報量に膨大な差がありますし、見ている時間軸にも膨大な差があります。なので、新入社員からすると一見「?」と思えるようなことも、多くの議論を重ねた上でのアウトプットである(可能性がある)ことは頭に入れておかねばなりません。
ただし、そこには必ず『権利と義務はセット』という原則が存在します。
意見を言う権利 には、自分の意見を深く考える義務 があります。
反対する権利 には、理由や可能な限りの対案を示す義務 があります。
「できない」と言う権利 には、「どうすればできるか」を考える義務 があります。
助けを求める権利 には、「どこまで自分で考えたか」を整理する義務 があります。
また、議論においては「ヒト(人格)」ではなく「コト(事実・行動・成果)」に焦点を当てます。相手の能力を否定するのではなく「提案における顧客視点の有無」といった仕事そのものを議論するルールを徹底しています。
加えて、この心理的安全性を成り立たせる上で大事なのが、決定前は徹底的に議論して異論を歓迎しますが、『Disagree and Commit(異論を唱えても、決定事項は完遂する)』を忘れてはいけません。
(そうはいっても、なかなか人間そんなに割り切れません。納得がいかないことは、納得いくまで話し合いたいと思います。とは言え、どんなに議論を重ねても、最後は価値観の衝突に辿り着きます。そんな時、お互いの価値観を否定はしたくないので、最後は折れていただき、信じて実行いただくことにはなると思います)
3. アカウンタビリティとは『罰を受けること』ではなく『未来を変えること』
「責任(アカウンタビリティ)」という言葉を聞くと、「失敗した時に叱られること」や「誰かに罰を与えること」を連想するかもしれません。しかし、私たちは責任をそのように定義していません。
責任の目的は、過去に対して罰を与えることではなく、未来の行動を変えることにあります。したがって、責任を取ることの定義は以下のサイクルを回すことです。
責任を取る = 振り返る → 学ぶ → 次の行動を決める → やり切る(コミット)
マネジャー(上司)の役割も、部下に責任を取らせることではなく、『本人が責任を果たせる状態をつくること』にあります。目標未達に対して感情的に叱責したり威圧したりするのではなく、事実ベースでギャップを整理し、必要な情報・権限・リソースを提供して成功確率を高める支援を行います。
フィードバックも「過去を責める」ためではなく「未来を変える」ために、
AS-IS(現状) → Gap(課題) → TO-BE(あるべき姿) → Next Action(次の行動)
という構造で直接伝えていきたいと思います。ただ、「それじゃダメ」「それはイケていない」ではなく、「それはNG。理由はxx。xxを期待しているので、次はxxしよう」という感じです。事実はオブラートに包んだりせず率直に伝え(理由とセット)、期待する水準とネクストアクション(というよりは、次に繋げるための声掛け・問い掛け)をしていきたいと思います。つまり、『トークストレート&コーチング』です。
4. 「現在地は尊重する。到達点は妥協しない」
高い目標や要求に対して、「今の自分にはできません」と声を上げる権利は保障されます。しかし、「できません」で思考を停止させることはしません。「1人増えればできるのか」「納期を延ばせばできるのか」「スキルを身につければできるのか」といった「できる条件」を探求する姿勢を大切にしていきたいです。
私たちは、メンバーの現在の能力(現在地)を尊重します。しかし、それを未来の上限(到達点)にはしません。「今できることだけをやる」のではなく、「できることを増やしていく」ことにこそ、仕事の面白さと成長の本質があるからです。
目標管理においても、守るべきもの(Standard)、達成を約束するもの(Commit)、そして能力を超えて挑むもの(Stretch)を分けていきます。特にStretch領域では、結果の成功そのものよりも『挑戦の質やそこからの学び』に対して責任を持つことを求めていきたいと思います。
5. 後世に木を植える——私たちが大切にする価値観
組織の成長は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。日々の業務における小さな学びの積み重ね(1日1つの知識の習得)や、1on1での誠実なすり合わせといった「基本動作」の継続が土台となります。
古くからのギリシャの格言に、このような言葉があるそうです。
「社会が偉大になるのは、老人が、自分はその木陰に座ることがないと知りながらも、木を植える時である」
"A society grows great when old men plant trees whose shade they know they shall never sit in."
会社も全く同じです。今ある私たちの事業や環境は、これまで関わってくれた先輩たちが紡いでくれた努力の賜物です。サグラダ・ファミリアを建築したガウディ氏が「作品の精神は受け継がれなければならない」と遺したように、自分一人の利得のためだけでなく、『次に続く世代のために、より良い組織と価値を残していく』という意志を持って働いてくださることを願っています。
おわりに:この文化の中で、共に挑戦し成長したい方へ
「自由には責任を。権利には義務を。要求には支援を。」
弊社のマネジメント原則は、一見すると厳しいものに聞こえるかもしれません。しかし、これは働く一人ひとりを対等なプロフェッショナルとして尊重し、失敗を恐れずに挑戦し続けられる安全な基盤(心理的安全性)を提供する約束でもあります。
- 自分の意見を持ち、能動的に課題に向き合いたい
- 失敗から学び、自分の手で次の行動を変えていきたい
- ぬるま湯ではなく、互いに高め合えるチームでプロフェッショナルスキルを磨きたい
- 自分の仕事を通じて、未来や次の世代につながる価値を残したい
そんな想いを持った方に、ぜひ私たちのチームに飛び込んできてほしいと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。