mirai計画の代表取締役の柳川 佑平氏に、運送業界に関するお話や現在進めている新規サービスについてお伺いしました。
現状の運送業界について
ー 現状の運送業界についてお伺いします。どういったことが課題や問題点があるのでしょうか。
現状運送業界では、課題や問題点を多く抱えており業界全体でも問題視されています。
そんな中でも大きく3つありまして、一つ目は「アナログなやり取り」です。現状業界ではITツールなどがほとんど導入されていません。未だに電話やFAXでのやり取りが当たり前です。やり取りに手間や時間がかかることで、配車が円滑に進まないなども問題が起きています。
二つ目は「長時間労働」です。特に大きな問題となっているのが待機時間になります。現場に到着してから荷物を積み込むまでに順番待ちが発生することにより待機時間が増加しています。そもそも日本全国トラックで回っているわけですから、物理的な距離の関係で長時間労働になってしまうこともあります。
三つ目は「多重下請け構造」です。多重下請け構造とは、元請企業(荷主)を頂点にピラミッド構造になっており、その下に下請けの運送会社、さらに孫請けひ孫受けと連なっております。
運送業界では多重下請け構造が当たり前になっており、その中で多くの下請け企業がお仕事をいただいている状態です。元請けから多くの依頼が流れる多重下請け構造の影響により、報酬が安くなってしまうという問題が起きています。
この大きな3つの問題点ですが、実際現場では、問題に対して対応できる余裕が全くないのが現状です。日々の業務に追われてしまいそれを見つめ直すきっかけがありません。
運送会社は全国で約5万8千社ありますが、その内の大半である約4万1千社は小規模事業者になります。社員数が少ない小規模事業者は、ほとんどが現場で働くプレイヤーです。そのため、社内問題に向き合う人材が少ないのが要因の一つとなっています。
これからの問題に向き合い、解決するためにmirai計画では新規サービスの立ち上げを進めています。
新規サービスについて
ー 新規サービスの立ち上げのきっかけを教えてください。
新サービスを立ち上げようとしたきっかけは実体験からきています。私は元々ドライバーとして仕事をしていました。その中で業界の問題を感じながら約3年ほど雇われとしていました。当時宅配の業務をしていましたが、そこでも多重下請け構造になっており個人事業主として働いていました。業界の問題を肌で感じたことをきっかけに、自分で会社を設立して運送業を営むきっかけともなりました。
私が実際に体験したお話をさせていただきます。突然「とりあえず広島県まで来てほしい」という依頼を頂きました。しかし正確な住所や依頼内容を知ることなく、急ぎだからと言われるためトラックを走らせます。いざ広島県に到着しても詳細の住所がわからないため連絡待ちの待機時間の発生しました。さらに多重下請け構造により元請けまで連絡がなかなか取れないなどの問題も発生し、ドライバーは待機することしか出来ず、結果として長時間労働になってしまいました。こういった依頼は決して珍しいことでなく、今でも月に数回単位で起きています。
しかし、この問題は自分たちだけが改善すれば防げる問題ではなく、外部の環境すら変えなければならないと痛感しました。
そういった経験を踏まえて、自分たちで将来さまざまな問題を解決し、業界の未来を作っていきたいと思い「mirai計画」を設立しました。周りの同業者にも話を聞き、どうやったら解決することが出来るのか考え、新規サービス立ち上げに繋がりました。
会社設立と同時に新規サービスの構想を考えていましたが、まずは自分たち自身が運送事業に足を着けて基盤を作っていくことが大切だと考えて事業を展開してきました。新規事業での自社開発を具体的に着手したのは2021年4月から。現在は同じ志を持ったメンバーにジョインしていただいて、チーム一丸となって開発を進めております。
ー 提供サービスでどういった問題を解決に導いていくのでしょうか。
上記で問題としてお話した「アナログなやり取り」にフォーカスを当てています。
現状電話やFAXで行われているやり取りをまずはデジタルに置き換えることで、無駄なやり取りを削減し業務効率化に繋げていきます。弊社の提供するサービスでこれらを解決していきます。
そこから徐々に別の問題も解決できるようなサービスとしてどんどん成長させていく予定です。運送に関わる全ての方が不自由なく仕事ができるような環境を目指していきます。
ー 新サービス制作にあたって大切にしているポイントはありますか。
弊社が一番大切にしているのは「現場目線に立つ」ということです。
サービスを使ってくれるユーザーの目線に立ち、寄り添うことを意識しています。実際に運送会社を経営しているからこそ見える視点で問題に向き合い、解決へ導けるようなサービスにしていきます。
今後の物流業界について
ー サービス完成後は、どのような展開を考えていますか。
目下のところは、サービスをより多くの現場で働く方に届けていきたいと思っています。
悩みを抱えている同業者の方々へ直接声がけを行い、現場の声に寄り添ってサポートをしていきたいと考えています。もちろん、最終的には全国の運送会社への認知と活用を目標としています。
現在の運送業界は、変わらなければいけないところが多いと感じています。運び手の運送会社と荷物を依頼したい荷主、荷物が届く受荷、それぞれにとって良い環境づくりと一人一人が仕事に誇りを感じてもらえるような業界を作っていきたいと考えています。
そのための第一歩として、mirai計画ではチームメンバーに誇りを持って業務に取り組んでもらえるように意識しております。
今後のmirai計画と新規サービスを楽しみにしていただけると大変嬉しく思います。