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AIが変える“カオス”を楽しめ。CSO・CAIO岡崎が語る、コミュニティとAIが拓く未来

「大きな会社に残ることの方がリスクだ」。外資系コンサルティングファームで15年のキャリアを積んだ岡崎は、web3の世界との出会いをきっかけに、安定を捨て新たな挑戦の道を選びました。コミュニティマネージャーとして熱狂の最前線に立った今、次に見据えるのは「AI」がもたらすゲームチェンジです。

今回は株式会社SHINSEKAI TechnologiesのCSO・CAIO(最高戦略責任者・最高AI責任者)の岡崎に、キャリアを転換させた出会いから、AIが事業にもたらす3つの変革、そしてカオスな環境を楽しむという独自の哲学について、話を聞きました。

株式会社SHINSEKAI Technologies 
CSO・CAIO 
岡崎 智樹


「大企業にいることこそリスク」―キャリアの転換点となった社長との出会い

──はじめに、岡崎さんのこれまでのキャリアについて教えてください。外資系コンサルから、全く異なるキャリアに挑戦されていますね。

アクセンチュアに入社してから15年間、金融領域のITコンサルタントとしてキャリアを積みました 。大きな会社で安定はしていましたが、組織が大きいがゆえに、自分が先頭に立って何かを仕掛けるという経験ができなかったんです 。

転機となったのは、2021年頃から興味を持ち始めたweb3の世界です。

当時、web3の世界ではNFTが一大ブームとなっており、クリエイターが自身の作品を販売し、ビジネスを成長させるためには、ファンで構成される「コミュニティ」の存在が不可欠という文化がありました。その熱狂の中に可能性を感じた私は、サイドビジネスとしてコミュニティで主流だったDiscordのサポートを始めました。その後「コミュニティマネージャー」という役割への需要が爆発的に高まっていき、私自身にもお声掛けいただくようになり、日本を代表するNFTプロジェクトのコミュニティマネージャーも務めさせていただきました。

この経験を通じて、コミュニティの熱狂がビジネスを直接的に成長させる面白さと、その大きな可能性を肌で感じることになりました。

そんな中、2022年にニューヨークで開催された「NFT.NYC」という世界的なweb3のイベントで、当時インフルエンサーマーケティングのTORIHADA社を経営していた大社(現・当社社長)と出会いました。

私はweb3というニッチな視点でしたが、大社はインフルエンサービジネスの視点からコミュニティの可能性を語っていて、そこで初めて「コミュニティ」がマーケティングの領域で求められている可能性ある市場なのだと知ると同時に、起業家としての大社と話すことで物事の先頭に立って挑戦することの価値に気づきジョインを決意しました 。


AIがもたらす3つの変革と「バイブ・マーケティング」の衝撃

──現在はCSO・CAIOとして、特にAI領域をリードされています。具体的にどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?

はい、AIの観点で、大きく3つの変革を推進しています。

  1. AI駆動開発 (バイブ・コーディング): プロダクトそのものをAIで作る取り組みです 。
  2. AIエージェントの導入: 社内外の業務効率化を進めています 。
  3. バイブ・マーケティング: AIを活用した新しいマーケティングソリューションの実験です 。

──3つ目の「バイブ・マーケティング」はあまり聞き馴染みがありません。その概念と、それによってマーケティングがどう変わるのか、もう少し詳しく教えていただけますか?

はい。AIと人が協力し感覚知でブランディングやマーケティング活動を行う新しい概念です。具体的な例だと、SNSの投稿、動画、画像といったマーケティングに必要なクリエイティブを、AIを駆使して自動で、かつ大量に生成・発信していくという考え方です 。

これまでのマーケティング、特に専任の担当者がいない企業などでは、担当者が他の業務と兼任しながら時間と労力をかけてコンテンツを作るため、例えばSNSに1日1投稿するのがやっと、というケースも少なくありませんでした。しかしバイブ・マーケティングでは、AIがその限界を突破します。AIなら、ただ機械的に投稿を量産するのではなく、人間らしい自然な言葉や文脈を持った、毎日10種類の全く違う内容のコンテンツを発信し続けることも可能になるんです 。

これは、人間では時間的にもコスト的にも不可能だった大量のABテストを、AIが軽々と超えていくようなイメージですね 。これにより、お客さんとの接点を飛躍的に増やし、従来のSNS広告などを活用したマーケティングにAIを掛け算することで、より大きな効果を得ようという試みです 。私たちは今、そのためのソリューションを思考錯誤しながら実験している段階です 。

社内へのAIエージェント導入と、立ちはだかる「文化の壁」

──2つ目の「AIエージェント導入」ですが、シンセカイテクノロジーズ社内では積極的に活用が進んでいますね。一方で、導入が難しいという話も聞きます。

はい。先日、MURAコミュニティ内のAIコミュニティのオンライントークイベントでお話しさせていただいたのですが、多くの企業でAI導入の大きな壁となっているのが、技術ではなく「カルチャー」なんです。

社外の声を聴くと「AI活用の提案をしても、上司に全く伝わらない」という悩みをよく聞きます。AIの導入は、単なるシステムの話ではなく、これまでの仕事のあり方を根底から覆すほどのインパクトがあるのです。例えば、新しく人を採用する代わりにAIを導入するという判断も当たり前になってくる中、これまでの業務や仕事の仕方を変えることに防御反応が起きてしまい、導入が進まないというケースが非常に多いんですね。

どうすればその「文化の壁」を乗り越え、会社を前に進められるのか。

幸い、私たちはスタートアップということもあり、例えば経理業務を担うAIエージェントをどう活用していくか、SNS運用をAIに任せられないかなどを議論し、スピーディーな試行錯誤を重ねることができています。

MURAコミュニティが目指すのは「オーナーが主役」のプロダクト

──今後、MURAコミュニティをどのようなプロダクトに発展させていきたいですか?

「コミュニティオーナーが『やってて良かった』と心から思えるプロダクト」、これを一番に目指しています。私自身が、クリエイターやオーナーと二人三脚で歩んできたコミュニティマネージャー出身なので、そのサポートする側の視点を何よりも大切にしたいんです。

コミュニティユーザーは「プロダクトが良いから」来るというより、「好きな人(オーナーや既存のメンバー)がいるから」集まってきてくれます。例えば、初めて使うツールで登録が少し面倒だったとしても、「好きな人」がそこにいるからこそ、ファンはそのハードルを乗り越えてくれるのです。だからこそ、コミュニティオーナーが好きになれるプロダクトでなければならないと考えています。

──その上で、コミュニティの役割をどのように再定義されているのでしょうか?

私たちは、「コミュニティ=必ず盛り上げなければならない」という固定観念をアップデートしたいと考えています。そのために、コミュニティを4つの象限で整理しているんです。



まず、コミュニティを「オープン⇔クローズド」という縦軸と、「知識・情報⇔感情・共感」という横軸で分類します。従来のオンラインサロン型やファンダム型の多くは、下の「クローズ性」の領域に位置する、熱量の高い関係性を築くための場所でした。

しかし私たちは、上段の「オープン性」の領域にも大きな可能性があると考えています。例えば、左上の情報メディア型。これは必ずしもユーザー同士がワイワイ盛り上がる必要はなく、有益な情報交換の場として機能するコミュニティです。さらに、右上のサードプレイス型。これは、オーナーを中心としたファン活動の場で、ユーザー自身の発信(UGC)が活発に行われるのが特徴です。

SNSとシームレスに繋がる、こうした開かれたコミュニティがあることで、ユーザーはより気軽に参加できます。このようにコミュニティを広い視野で捉え直すことで、「盛り上がること」だけを目的とするのではなく、クライアントの事業成果に対して最適なコミュニティの形を提案できる。それが私たちの強みです。

──その中で、AIエージェントと、人間のコミュニティマネージャーの役割は、どのように変わっていくのでしょうか?

これまではコミュニティ運営の全てを人間が担っていましたが、今後はより対人でしか解決できない難しい問題、例えばクレーム対応や金銭が絡むトラブルなど、システムでは解決しきれない部分に人間のコミュニティマネージャーがよりフォーカスしていく形になると思います。

一方でAIエージェントは、オーナーの運営をサポートし、コミュニティを一緒に楽しく盛り上げてくれるAI搭載のキャラクター(AIフレンド)のような、次世代の体験を実装する役割を担っていきます。人間にしかできない血の通った対応は決して不要にはなりません。AIと人間がそれぞれの得意分野で役割を分担していく。それが未来のコミュニティ運営の形だと考えています。


未来のメンバーへ。この“カオス”を楽しめる仲間と働きたい

──最後に、この記事を読んでくれているであろう未来のメンバーに向けて、メッセージをお願いします。

AIの登場によって、プロダクトのあり方も作り方も、完全にゲームチェンジが起きています 。変化のスピードは非常に速く、誰も正解を持っていません。

この変化についていくのは大変ですが、裏を返せば大きなチャンスでもあります。このようなカオスで変化の激しい状況を「面白い」と楽しめるメンバーと一緒に仕事がしたいですね 。

スタートアップであることに加え、AIという変化の震源地にいるので、余計にカオスです 。でも、だからこそ、まだ誰も知らないAI時代の勝ち筋を、自分たちで創り上げていくことができる。そんなエキサイティングな挑戦を、ぜひ一緒に楽しみましょう。



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