地方創生という言葉は、もう何年も使われています。
全国でさまざまな施策が行われ、企業誘致、移住促進、観光振興、DX、人材育成など、多くの取り組みが生まれてきました。
それでも私は、全国の自治体や企業と話をする中で、一つの課題を感じています。
「良い制度も、良い企業も、良い人材もある。でも、それぞれが別々に動いている。」
自治体だけでは、地域産業をすべて変えることは難しい。
企業だけでは、地域全体の課題を解決できない。
そして人材だけでも、新しい産業をつくることはできない。
だから私たちが次に挑戦したいのが、
自治体 × 企業 × 人材
を一つのプロジェクトとして動かす、新しい官民連携モデルです。
「企業を誘致する」から「企業の機能を地域に入れる」へ
これまでの地方創生では、「企業誘致」が一つの大きなテーマでした。
工場や事業所を建ててもらう。
企業に移転してもらう。
もちろん、それも重要です。
しかし、すべての地域が大企業の拠点を誘致できるわけではありません。
今は、働き方も変わりました。
オンラインで仕事ができ、AIを使えば少人数でも大きな仕事ができる時代です。
そこで私は、
会社そのものを移転させなくても、企業が持つ「人材・ノウハウ・仕事」を地域へ持ってくることはできる
と考えています。
営業。
マーケティング。
AI・DX。
新規事業開発。
経営企画。
採用。
事業承継。
こうした都市部企業の機能と地域企業をつなぐ。
これだけでも地方と都市部企業の関係は大きく変わります。
地域活性化企業人という仕組み
私たちが注目している仕組みの一つが、自治体と民間企業の人材交流です。
都市部企業で働いている人材が地域へ入り、自治体や地域企業と一緒に地域課題の解決に取り組む。
重要なのは、
「地方へ人を送り込んで終わり」にしないこと。
私たちが目指しているのは、その人材を中心に、
自治体 → 地域企業 → 都市部企業 → 専門家 → AI
をつないでいくことです。
例えば、地域に製造業が多いなら、製造業DXをテーマにする。
介護事業者が多ければ、介護DXやAI施設運営を考える。
観光資源があれば、観光と関係人口を組み合わせる。
事業承継に困っている企業が多ければ、士業や金融機関と連携する。
地域ごとに課題が違う以上、答えも違って当然です。
そこでAIダッシュボードが「共通言語」になる
官民連携が難しい理由の一つは、立場によって見ているものが違うことです。
自治体は人口や政策を見る。
企業は売上や利益を見る。
金融機関は財務を見る。
人材は働き方やキャリアを見る。
地域住民は暮らしを見る。
だから、同じ地域について話しているのに、議論がかみ合わないことがあります。
そこで前回のストーリーで書いたAIダッシュボードが重要になります。
人口。
産業。
企業。
雇用。
人材。
地域課題。
行政施策。
地域資源。
プロジェクトの進捗。
KPI。
これらをできる限り一つの画面から見えるようにする。
そして、
「この地域を3年後、どう変えたいのか」
を数字とデータを使って共有する。
AIダッシュボードは単なるITツールではなく、自治体と民間企業が一緒に地域経営を考えるための共通言語になれると考えています。
「人を派遣する」のではなく、「人を育てる」
もう一つ、私たちが大切にしていることがあります。
最初から地方創生のプロフェッショナルを探そうとすると、人材は限られます。
ならば、
地域で活躍できる人材を育てればいい。
私たちはAI・DXのリスキリングを通じて、企業の課題を聞き、整理し、要件定義し、AIダッシュボードへ落とし込める人材の育成に取り組んでいます。
AIの使い方だけを学ぶ研修ではありません。
経営者から話を聞く。
現場を見る。
「人・物・金・情報」を棚卸しする。
経営課題を整理する。
AIで解決できる部分を考える。
そして実際にダッシュボードをつくる。
この経験を積んだ人材が地域へ入れば、
「AIを知っている人」から「地域の課題をAIで解決できる人」へ
変わっていきます。
地方創生を「プロジェクト」から「仕事」にしたい
ここが、私が特に実現したいところです。
地方創生を、補助事業がある期間だけのプロジェクトにしたくありません。
地域の課題を解決することそのものが、継続的な仕事になる仕組みをつくりたい。
地域企業のDXを支援する。
AIダッシュボードを構築する。
自治体と企業の官民連携を設計する。
都市部企業とのアライアンスをつくる。
地域企業の新規事業をつくる。
事業承継を支援する。
地域外から仕事を持ってくる。
こうした仕事が地域に生まれれば、
地方創生そのものが一つの産業になる。
若い人が「地方だから仕事がない」と考えるのではなく、
「地方だからこそ、面白い仕事ができる」
と思える環境をつくりたいのです。
自治体だけでも、企業だけでもできない。
私は30年以上、さまざまな業界で事業に関わってきました。
そこで感じているのは、大きなことを実現するときほど、一社ですべてを抱え込まない方がいいということです。
地方創生も同じです。
自治体には自治体の強みがあります。
地域企業には現場があります。
金融機関には企業とのネットワークがあります。
士業には専門知識があります。
都市部企業には人材と技術があります。
そして地域には、歴史、文化、自然、産業があります。
それぞれの強みを持ち寄ればいい。
私たちNLVグループが担いたいのは、その間に入り、
「つなぎ、設計し、事業として動かす」こと。
AIは、その速度と再現性を高めるために使います。
全国に「小さな成功」をつくる
最初から、日本全国を変えようとは考えていません。
まず、一つの地域。
一つの企業。
一人の人材。
そこから始めます。
例えば、一つの地域企業の業務がAIによって改善する。
そこで働く人の生産性が上がる。
その企業の利益が増える。
新しい人を採用できる。
地域の雇用が増える。
その成功事例を、同じ地域の別の企業へ展開する。
さらに、別の自治体へ展開する。
小さな成功をつくり、それを横展開していく。
これが私たちの考える地方創生です。
そして、地域そのものを「テーマパーク」にする。
このストーリーの第1話から書いてきた、
「地域をテーマパークにする」
という構想。
その意味が、少しずつ具体的になってきました。
テーマパークには、多くのプレイヤーがいます。
企画する人。
運営する人。
技術を支える人。
接客する人。
商品をつくる人。
そして、そこを訪れる人。
地域も同じです。
自治体。
企業。
住民。
金融機関。
士業。
学校。
都市部企業。
地域外人材。
関係人口。
それぞれが別々に存在するのではなく、一つの物語の中で動き始める。
その舞台をつくりたい。
地方こそ、最高のステージだ。
今回募集しているメンバーにも、最初から完成された仕事を渡すつもりはありません。
むしろ、
一緒につくってほしい。
自治体へ提案する。
経営者に会う。
地域を歩く。
課題を聞く。
AIで分析する。
ダッシュボードをつくる。
企業同士をつなぐ。
そして新しい事業を生み出す。
そんな経験を積んだ人が、やがて一つの地域、一つのプロジェクトを任される存在になっていく。
私たちがつくりたいのは、単なる地方創生会社ではありません。
「地域経営ができる人材」が全国で活躍する、新しい仕組みです。
自治体 × 企業 × 人材 × AI。
この組み合わせから、日本の地方に新しい仕事と産業をつくる。
地方こそ、最高のステージだ。
次回は、さらに「人」に焦点を当てて、「地方で年収1,200万円を目指せる仕事をつくる。地方創生を“憧れる仕事”へ」について書きたいと思います。