「事業は伸びている。でも、組織が追いつかない…」
急成長する企業が必ずと言っていいほど直面する「組織の壁」。マネージャー育成や属人化するノウハウなど、あなたも心当たりはありませんか?
“事業創造会社”を掲げるAlgoageでは、事業の成長と同じ熱量で、組織のあり方やマネジメントの進化に取り組んでいます。昨期は、経営陣やマネージャー層を中心にマネジメント研修を実施し、組織全体でAlgoageらしいマネジメントを見つめ直しました。
今回は、プログラムを提供してくださった株式会社Momentor代表の坂井風太さんをお招きし、コーポレート管掌役員の上西とDMMチャットブーストCV副事業責任者の中司とともに、事業と組織、両方の成長を加速させる「再現性」の秘訣について語り合いました。
株式会社Momentor 代表 坂井 風太さん
2015年にDeNAへ新卒入社。DeNAトラベル配属後、ゲーム事業でIPタイトル運用や新機能開発リードを経験。2017年より「エブリスタ」に移り、サービス責任者・事業統括を経て、2019年にエブリスタ/DEF STUDIOS取締役、2020年にエブリスタ代表取締役社長に就任(経営改革・M&Aを推進)。2022年8月、DeNAとDelight Venturesの出資を受け、人材育成・組織強化領域のMomentorを設立。
「恵まれた環境」の落とし穴ー急成長の裏で組織に起きていたこと
坂井:本日はよろしくお願いします。
上西・中司:よろしくお願いします。
坂井:Algoageさんは、DMMグループの一員という点が大きな特徴のひとつですよね。この環境が、事業にも組織にも大きな影響を与えている印象があります。
上西:DMMグループにいる最大の強みは、スタートアップでありながら、資金繰りに奔走することなく、大胆な投資や意思決定ができる点です。本質的な価値提供に集中できるこの環境は、新たな事業創造に挑む上で非常に恵まれていると感じています。
Algoage コーポレート管掌役員 上西 智
坂井:私も研修中、DMMさんから「もっと踏み込んでもいいんじゃないか」という後押しがあると聞きましたが、その辺りも大きいですよね。
上西:「大きく踏み込むこと」を期待されている分、プレッシャーもありますが、事業を本気で伸ばす思考が鍛えられます。この環境が新しい挑戦を後押しし、事業と私たち自身の成長スピードを加速させていることは間違いありません。
坂井:その一方で、「もっと踏み込め」という期待が組織の歪みにつながる場面もあったのではないでしょうか?私にご相談いただいた際も、そうした課題意識を強く感じました。
上西:そうですね。やりたいことに対し、常に人手が足りない状況でした。特に、急成長に伴いマネジメント経験の浅いメンバーをマネージャー登用するケースが増え、いくつかの課題が表面化していました。
1. 生存者バイアスの加速
マネージャーが自身の成功体験に固執し、同じやり方でうまくいかないメンバーへの育成が機能不全に。結果、マネージャー自身がプレイヤー業務に時間を取られ、育成が後回しになる悪循環。
2. 無茶振り人体実験
抜擢要素を含む昇格にも関わらず、「マネージャーだから」と十分な支援がないまま、期待と責任だけがのしかかる状況。成果につなげる基盤が整わず、マネージャーが疲弊する構造。
3. 誰も指摘できない空気
組織としての正解が定義されていないため、うまくいっていない状況に側から気づいても、助言やサポートをしづらい環境。結果、改善の機会を逃し、組織の健全な成長が阻まれる状態。
こうした課題を前に、「このままでは組織がボトルネックになる」という強い危機感を抱き、組織全体で共有できる「共通言語」や「共通理論」の必要性を痛感しました。
勘と根性に頼らない─再現性ある成長を仕組みで支える
坂井:そのような課題意識から私のプログラムを導入いただきましたが、組織に浸透させる上で、どんな工夫をされていましたか?私の目から見ても、御社の理論の落とし込みは非常に徹底されているように感じました。
中司:ありがとうございます。私たちは常に「仕組み化」と「再現性」を重視しており、今回もいくつかの工夫を凝らしました。
まず「経験学習理論」をベースにした組織学習の仕組みをつくりました。3人1組のグループにコーチが1人つき、特定のスキルテーマについて1週間実践、その学びを週次で振り返るセッションを半年間続けました。これにより、理論を具体的な行動に落とし込むと同時に、他のメンバーからも学べる場を生み出せました。
中司:次に「成長マインドセット」や「知的謙虚さ」の浸透です。どんな施策も、本人に学ぶ姿勢がなければ機能しません。そこで、単に理論を伝えるだけでなく、マネージャーの普段のコミュニケーションや口癖から見直しました。
上西:特に「知的謙虚さ」はバリューにも組み込むことで、全社で意識できるようにしています。
中司:さらに最近では「学び方のタイプ」の整理にも着手しています。例えば、まず実践してから言語化して学ぶタイプや、事前に理論を深く理解してから実践するタイプなど、人によって「学び方のタイプ」は異なります。こうした「学び方のタイプ」に合わせた支援をすることで、個人の意欲任せにならない、再現性のある成長の仕組みを構築していきたいと考えています。
坂井:「仕組み化」と「再現性」へのこだわりは、私のプログラムとも非常に相性が良かったように感じます。
上西:坂井さんのプログラムは、理論の引き出しが豊富で整理しやすく、研修中に挙がった具体的な課題に対しても、その場で腹落ちできる指針を示していただけた点が大きかったですね。結果、すぐに現場で試せましたし、実践を重ねる中で各メンバーの理解も深まりました。
また、学術的な裏付けがあったことも、我々の組織文化にフィットしていました。弊社は「本当にこれで合っているのか?」と確信を求めるタイプのメンバーが多いですが、ファクトに基づく説明のおかげで、納得感をもって実践に移すことができたのだと思います。
坂井:私自身も「本当か?」と常に自問しながら理論を探求するタイプなので、その姿勢が伝わったのかもしれませんね。御社は構造化思考に長けた方が多いので、プログラム自体の構造もマッチしたのだと思います。
自分ごとで組織を動かす─共に学び、共にやり切るチームのつくり方
坂井:私がプログラムを通じて最も素晴らしいと感じたのは、経営陣の皆さんがマネジメント課題を決して他人事にしていなかった点です。代表の横山さんをはじめ、上西さんたちが率先して学び、「自分たちもできていない」と認めて真正面から向き合っている姿勢。これは簡単なようで、なかなかできることではありません。
上西:ありがとうございます。
坂井:さらに印象的だったのが、「一緒にやり切る」というスタンスです。経営陣がまず自ら受講し、その1期生が2期生(マネージャー陣)のフォローに回る。発表会にも同席し、真剣にフィードバックする。この文化は、私が研究している「組織GRIT(組織としてやり抜く力)」にも通じる、非常に重要な要素です。リーダーが率先して動き、共にやり遂げるからこそ、組織の成長が実現するのだと感じました。
坂井:加えて、学習文化のレベルの高さも特筆すべき点です。私が提供した理論や資料をベースに、ここまで徹底して自社の仕組みに落とし込む会社は稀です。まるで、良質なデータと適切な指示で高精度なアウトプットを生む生成AIのように、学んだことを即実践し、あらゆるものから吸収し、改善を続ける。この姿勢が、組織だけでなく事業の強さにもつながっていると確信しています。
“変化を楽しめる人”と、これからをつくりたい
坂井:今後さらに事業・組織を強化していくために、どんな方にジョインしてもらいたいですか?
中司:チャットブーストCV事業部に関して言えば、「今の環境では物足りない」「自分で事業を伸ばす手応えが欲しい」と考えている若手の方にとっては、ぴったりの環境だと思います。私たちには「信じて任せる文化」がありますが、それは単なる精神論ではありません。再現性の高い成長支援の仕組みがあるからこそ、メンバーに大胆に挑戦してもらえると考えています。
上西:Algoage全体としては、DMMの巨大資本とスタートアップならではの裁量・スピード感というユニークな環境を活かして「思いっきり、事業を立ち上げ、成長させるチャレンジがしたい」という想いを持つ方に、ぜひ来てほしいですね。今は”事業創造会社”という新たな旗を掲げ、複数の事業を生み出す会社として次の成長フェーズに入った、一番面白いタイミングです。
そうした挑戦のフェーズだからこそ、私たち経営陣も常に学びながら会社をアップデートしていく姿勢を大切にしていますし、この変化を楽しみ、自ら殻を破ってチャレンジしていける方にとって、最高の環境がここにあると自負しています。
坂井:今日の対談を通じて改めて感じたのは、DMMグループならではのダイナミズムと、Algoage独自の「誠実さ」「再現性」への強いこだわり、このハイブリッドが、他にはない成長環境を生み出しているということです。
先端領域で新しい事業をつくりながら、地に足のついた組織づくりに本気で向き合う。まさに、“隠れた優良企業”とはこういう会社だと感じます。これからの挑戦がますます楽しみです。本日はありがとうございました。
上西・中司:こちらこそ、ありがとうございました。
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