中司和紀/自己紹介
AlgoageでDMMチャットブーストCVの副事業部長とCPP部長を務めている、中司です。神戸大学卒業後、第一生命で3年間デジタルマーケティングの経験を積み、2022年4月にAlgoageに参画しました。セクションリードを経て、2024年4月からCPP部長に就任し、2025年6月より副事業部長を兼任しています。
LINEの会話により知り得たユーザーの声のデータに高い価値を感じ、自由闊達な環境でそのデータを使ったマーケティング手法を生み出したいと考え、Algoageに入社しました。
この記事では、これからのマーケターのあり方と、DMMチャットブーストCVのコミュニケーションプランナーで実現できるキャリアについて、2回に分けてお伝えします。
はじめに:多様化するユーザーに、あなたのマーケティングは届いていますか?
こんにちは。AlgoageでDMMチャットブーストCVの副事業部長をしている、中司です。
近年、ユーザーが求めるものはますます多様化しています。無数のサービスの中から、ユーザーはより質の高い、そして「自分に合った」ものを探し求めるようになりました。
このような時代において、マーケティングもまた、一人ひとりのユーザーに合わせたアプローチが不可欠になっています。では、私たちは日々、この「ユーザーに向き合うマーケティング」を、本当の意味で実践できているでしょうか?
変化の激しい世の中でこのような難しい問いに向き合っているマーケターの皆さんにとって、この記事が少しでもそのヒントになれば嬉しく思います。この記事では、チャットブーストCV事業部のコミュニケーションプランナーという仕事を通して、本質的なユーザー理解をいかにしてマーケティングの成果に繋げるか、その具体的なアプローチと考え方についてお話しします。
(後編では、この考え方を実践できるAlgoageのユニークな環境についてお話しします。)
理想のマーケティングを実現するための思考法
私たちが考える理想のマーケティングとは、ユーザー一人ひとりの「文脈」を捉え、最適なコミュニケーションを設計することです。そして、その実現のために不可欠なのが、「熱量」と「課題」という2つの軸でユーザーを理解する、という考え方です。
ユーザー理解の2つの軸:「熱量」と「課題」
私たちは、ユーザーを理解するためには、まず「熱量」と「課題」を特定することが重要だと考えています。
- 熱量:ユーザーが「今この瞬間」に抱いているサービスへの関心の度合いです。例えば、検索広告から流入したユーザーと、SNSの投稿をたまたま見かけたユーザーとでは、サービスに対する温度感は全く異なります。
- 課題:ユーザーがそのサービスを通じて、何を解決したいのかという目的です。同じサービスを利用するユーザーでも、その裏にある課題は一人ひとり異なります。
この「熱量」と「課題」の組み合わせこそが、ユーザー一人ひとりの「文脈」を定義します。
文脈に合わせた「ベネフィット」と「コミュニケーション」の設計
ユーザーの「文脈」を正しく捉えることができれば、次に考えるべきは、その人に何を(What)、どう伝えるか(How)です。
- What=ベネフィット:その文脈にいるユーザーにとって、最も価値のある提案は何か。
- How=コミュニケーション:そのベネフィットを、どのような伝え方・体験で届けるのが最適か。
この「Who(文脈)→What(ベネフィット)→How(コミュニケーション)」のフレームワークこそが、私たちのマーケティングの根幹をなす思考法です。
例えば、人材サービスの例で考えてみましょう。
- Aさん(文脈):「今すぐ転職したい」という高い熱量と、「現職の不満を解消したい」という明確な課題を持つ。
- ベネフィット(What):Aさんの課題を直接解決する「具体的な求人情報」。
- コミュニケーション(How):すぐに検索・応募できるスムーズな体験。
- Bさん(文脈):「良いところがあれば」という低い熱量と、「キャリアの漠然とした不安」という潜在的な課題を持つ。
- ベネフィット(What):Bさんの課題を言語化する手助けとなる「キャリア診断ツールや市場トレンド情報」。
- コミュニケーション(How):まずは有益な情報提供で信頼を築き、次のアクションを促す体験。
このように、ユーザーの文脈に合わせて最適なベネフィットとコミュニケーションを設計すること。これこそが、成果に繋がるマーケティングの本質だと考えています。
なぜ、理想のマーケティングは実践されないのか
しかし、多くのWebマーケティングの現場では、この「Who→What→How」の設計がうまく機能していません。その最大の理由は、行動データへの偏重にあります。
行動データだけでは、「解釈」ができない
Webマーケティングで私たちが主に扱うのは、クリックされたか、コンバージョンしたか、といった「行動データ」です。このデータは、「良いか・悪いか」などの二元的な結果は教えてくれますが、「なぜ、その結果になったのか」を解釈することはできません。
仮説が証明されないまま、PDCAが回るという現実
解釈ができない故に、私たちは「仮説」を立てて施策を実行します。「Aさん(Who)に、求人情報(What)を見せる(How)」という仮説です。
そして、コンバージョンという結果が出たとします。その時、私たちは「仮説は正しかった」と結論づけてしまいがちです。しかし、本当にそうでしょうか?その成果は、私たちが想定していなかったBさんが、別の理由で反応した結果かもしれません。
行動データだけでは、立てた仮説が本当に正しかったのかを証明する術がないのです。A/BテストでA案がB案より良かったとしても、それは単に「B案がもっと悪かった」だけで、A案の仮説が正しかった証明にはなりません。
結果として、私たちは仮説の正しさがわからないまま、次の仮説を立て続けることになります。これでは、マーケティングの再現性はいつまで経っても高まりません。
「回答データ」がもたらす、マーケティングの進化
この課題を解決する鍵が、「回答データ」です。
回答データとは、診断コンテンツやチャットでの問いかけを通じて、ユーザーから直接、彼らの状況や意図を聞き出すことで得られるデータのことです。
行動データと回答データを組み合わせ、施策を「解釈」する
私たちの強みは、この「回答データ」と「行動データ」を掛け合わせることで、施策結果を正しく解釈できる点にあります。
先ほどの人材サービスの例で言えば、
- チャットで「あなたの転職意欲は?」と問いかけ、回答データから「このユーザーはAさん(熱量が高い)だ」と特定します。
- そのAさんに、求人情報(What)を提示します(How)。
- その結果、コンバージョンしたか(行動データ)を計測します。
このプロセスを経ることで、「Aさん(Who)に、求人情報(What)を見せる(How)と、コンバージョンする」という、証明された事実が手に入ります。
もしコンバージョンしなかった場合も同様です。「Aさん(Who)に、求人情報(What)を見せてもダメだった。ということは、How(伝え方)か、What(求人情報の質)に問題があるのではないか」と、仮説のどこがズレていたのかを特定できるのです。
このように、2つのデータを組み合わせることで、マーケティングは仮説を積み上げる職人芸から、リアルな世の中の声を反映した再現性の高い営みへと進化します。
ユーザーを深く理解し、成果を出す。それがマーケターの成長に繋がる
この一連の思考プロセスこそが、これからのマーケターにとって最も重要なスキルになると、私は確信しています。
ユーザーの一次情報(回答データ)を基に、戦略(Who→What→How)を立案し、その結果を行動データと突き合わせて検証・解釈する。このサイクルを回し続けることで、小手先のテクニックではない、普遍的で再現性の高いマーケティング能力が身につきます。
ユーザーを深く理解し、その理解を基に戦略を立て、成果を出す。このプロセスを実践し続けることこそが、マーケターとしての市場価値を高める、最も確実な道筋なのです。
Algoageのコミュニケーションプランナーは、まさにこの思考プロセスを日々実践しています。
またこの回答データと行動データを活用したマーケティング手法をベースに、クライアント企業の「マーケティングパートナー」として、離脱ユーザーのコンバージョン以外の領域にも価値を発揮することを目指しています。
上流から下流まで、一気通貫で思考して実践できる、他にはないポジションがコミュニケーションプランナーという仕事だと考えています。