私たちは「総合ねじ部品メーカー」として、自動車、産業機械、住宅、航空宇宙産業などさまざまな分野に向けてねじ製品を生産・供給しています。卓越した技術力と開発力を基盤に、常に時代を見据えて新しい挑戦に取り組み、タイムリーに変革を続ける会社であることを目指しています。
今回は常務取締役の流石さんにインタビューを実施。興津螺旋独自の働き方改革を進めた背景や、求める人材像などを伺いました!
【プロフィール】
流石 昌紀:常務取締役。1989年に興津螺旋へ入社し、事務系職種を経て、バックオフィス部門全般を管掌。現在は人材採用・育成関連の業務をはじめ、組織を円滑に運営するためのさまざまな取り組みに尽力している。
ルールや決まりにとらわれず、フレキシブルに対応できる環境が魅力
――流石さんが常務に就任した経緯を教えてください。
私は1989年に地元の高校を卒業し、興津螺旋に入社しました。当時は今のように細かく組織が分かれておらず、工場系の仕事と事務系の仕事があり、私は後者に配属となりました。最初の数年は営業事務の仕事や、材料・金型の手配や仕入れ業務などを経験し、徐々に総務職や経理職にも関わるようになりました。
数年後、常務を務めていた上司が会社を辞めることになり、20代前半でその仕事を引き継ぐことに。右も左も分からない状態でしたが、当時の社長と世の中の動向に関するディスカッションをしたり、金融機関とのやりとりに同席したりなど、早い段階で経営に近い立場で仕事をできたことは大きな財産となりました。
――興津螺旋ならではの働き方の魅力は?
中小企業ゆえに、決まりやルールにとらわれず、フレキシブルに対応できる点が一番の魅力だと思います。例えば、育児中の社員の声を踏まえ、期間を定めず育児休業や時短勤務を取得できるよう対応しました。ルールどおりの働き方に障壁があるのであれば、解消に向けた代替案を提示するなど、各自の状況に合わせて柔軟に対応することを重視しています。
ほかにも、社員のキャリアの要望もできる限り叶えていきたいと考えています。当社では、営業職として入社したものの、技術の仕事をしてみたいと希望する社員もいます。実際の営業現場では、技術的な背景を理解している営業担当のほうがお客様とより深いコミュニケーションが取れるケースもあり、会社としても1人の社員が複数のキャリアを経験することを歓迎しています。
女性が働きやすい環境づくりが、誰もが働きやすい風土の醸成に
――興津螺旋は女性活躍推進をはじめとする「働き方改革」の面でも、世間から注目を集めています。
はい。政府が掲げる女性活躍推進の機運に乗じ、お陰様で当社の「ねじガール」の取り組みもさまざまな媒体で取り上げていただくことができました。そもそも、金属加工の工場は、かつては男性従業員が中心でした。一方で女性のなかにも、ものづくりに携わりたい人は一定数います。そのような女性たちの力を活かし、もっと働きやすい職場にしていくにはどうしたらいいか。試行錯誤の末にたどり着いたのが、「ハード面」と「ソフト面」双方の働き方改革でした。
まず、「ハード面」に関しては女性に難しい力仕事を減らすために、ロングレンチや電動リフトを導入。また、金型の切削加工など、少し危険が伴う作業は、手持ち作業を避け工作機械に切り替えました。また、女性社員の要望を取り入れたトイレや更衣室を完備するなど、職場環境への配慮も進めました。
「ソフト面」については、先ほどお話ししたような柔軟な勤務体系や休暇制度が挙げられます。ハード・ソフトの両面から対応することで、産休・育休を経ても戻って来てくれる女性社員が大幅に増えました。
――最初の目的は女性が働きやすい環境づくりだったかもしれませんが、結果的に全社員が働きやすい環境の実現にもつながりましたよね。
まさにそうですね。安全面への配慮を優先した結果、加工精度も向上しましたし、作業の効率化にもつながりました。重いものを取り扱わない、短期間で働く、休暇を取りやすいなど、最初は女性の目線で進めてきた改革は、本質的には男性にとっても喜ばしいことだったのです。仕事のやり方が変わり、働きやすくなったことで、多くの社員にメリットを提供できたのではないでしょうか。
「働くことが楽しい」と感じられる会社に
――どのような人材の入社を期待していますか?
会社が進むべき方向性や組織の方針などの本質をとらえ、能動的に行動できる人を求めています。簡単に言うと、指示待ちではなく、自分から動ける人ですね。仕事のゴールをきちんと理解できていれば、自分に求められる役割や行動を推察したうえで、自ら考えて動くことができるのではないかと思います。
採用選考においては、相手の視点に立った丁寧なやりとりができるかどうかを重視しています。特に当社で高い成果をあげている人材は、物事の進め方や仕事の仕方が丁寧であるという特徴があるため、相手や一緒に働く仲間を尊重・配慮したコミュニケーションが取れる方に来ていただきたいですね。
――入社後の教育体制について教えてください。
まず、入社前にどのような仕事をしたいか希望を確認します。そのうえで、新卒入社の方は、入社後1か月程度ですべての職場を体験してもらいます。例えば、事務職を希望する方にも、工場で各工程の勉強や実務を経験してもらっています。これらのローテーションを通じて、自身の業務の前後のつながりを理解しながら仕事ができるようになります。また、社内のネットワークが増えるメリットもあり、新入社員の安心感にもつながっているようです。
現場実習の合間では座学の研修も行いますし、配属決定後は主にOJTを通じて実務に慣れていただきます。その後も管理職候補者向けの勉強会を開催したり、コンプライアンス関連の研修などを実施したりと、そのときどきの状況に応じて必要な教育カリキュラムを構築するようにしています。
――今後、興津螺旋をどのような会社にしていきたいですか?
会社が社員を大切にし、社員も会社を大切にするような、互いに向き合いながら仕事ができる状態を目指しています。生活のために仕方なく働くのではなく、働くことが楽しいと感じられる会社にしていきたいですね。
そのためにも、今後も日常的なコミュニケーションを通じて、各社員の思いや困りごとなどをしっかりキャッチすることに努めていきたいと考えています。社員たちには、風通しの良さを感じながら働いてもらえたら嬉しいですね。
当社は伝統を重んじながらも、新たな取り組みや改革に積極的な会社です。ぜひ、これから入社いただくみなさんも新しい風を吹かせていただき、より良い組織づくりに力を貸していただけたらと思います。