Peppolやインボイスなどによって、バックオフィスの現場は今後変わっていくことを「バックオフィスに訪れる大きな変化―インボイス制度とPeppolって何?Wewill代表、税理士の杉浦が解説」の記事でお伝えしました。今回は、これらの変化を踏まえて経理部門が今後どのようなことを意識していく必要があるのか、Wewillが考える3つのポイントをご紹介します。
1経営に不可欠となるあらゆるファクト情報を適切に管理、可視化すること
ファクト情報とは、誰が何時間働いたか、何をいつ買ったか、それを買って良いと判断したのは誰か、などの情報です。経理はそれらが正確であることを担保する監査的な役割を担います。経営状態のデータ、領収書、請求書の明細データといった、経営判断に必要なすべてのファクト情報を把握することは重要です。これから始まるインボイス制度下では、請求書の記載項目が増え負荷が上がるため、ファクト情報の適切な可視化にはデジタルの力を借りることが欠かせません。経理情報をデジタルデータとして扱うことで、これまでアナログであった時代からは考えられないような細かい情報をハンドリングすることができるようになります。Wewillでは、企業が変化に乗り遅れないためには経理からDXを始めるべきだと考えていますが、理由はこうした所にもあるのです。
2社内外のつながりの設計士になること
請求書のフォーマットがPeppolに統一されることで、請求書発行によって顧客満足を作れると考えています。各欄に記載した情報が客先でどのように扱われるかを聞き取り、顧客企業の経理処理が楽になるように分類の文言や部門情報などを入れてあげると、客先とのスムーズな連携ができるようになります。相手企業の業務効率アップに繋がり、請求書を出す行為自体がサービスになり得るはずです。これまでも、自分たちの業務から一歩踏み込むことで顧客をファン化している企業もあります。例えば運送業で、顧客にパレット(物流に用いる荷物を載せるための荷役台)を返す時に、顧客企業のバックオフィス(倉庫)に入っていって分類したり、清掃して返却したりすることによって顧客の手間を減らし、顧客満足度を大きく上げている企業があります。これと同じことが経理でも起こり得ます。社内と社外の繋がりの部分をサービス化するという意識を持つことが重要です。
3変化の司令塔となること
Peppolとインボイス制度の対応に向け、経理は変化を主導する立場になっていきます。今後の経理部門は、変化をとらえ素早く会社を変化させていく役割をより担うことになるでしょう。ファクト情報とデータの流れを司る経理は、そこに新規事業の芽すら発見できる可能性もあります。より可能性を秘めた仕事になっていきます。経理は金銭の流れの情報を掌握するので、どこにどのような変化が起こっているのかが一番見えやすい場所にいます。また、現場で働いている人から一歩引いた立場にいるため、目の前の業務に追われなければより様々なことが分かると思います。変化や新しいテクノロジーの台頭など、営業部門にフィードバックができるはずです。マーケットリサーチ業務も経理の視点から行えると思っています。バックオフィスの変化に伴い、経理がより経営管理部的になっていくことで企業は強くなるでしょう。
これら経理の役割を果たすには、外部との協業が必須に
Peppolやインボイスによって経理部門が変化対応を余儀なくされる中で、さらに上記の3つの役割を果たすのは、特に中小企業にとっては至難の技です。それを解決する手段が外部との協業だと思っています。経理部門は、税理士だけでなく外部と協業するのがスタンダードという時代がやってくると思っています。協業体制を築くためにまず重要なのが、業務の可視化とデジタル化です。業務がデジタル化することによって、インターネットを介して遠くの才能とも協業しやすくなります。常に変化適応するためにも、不正防止の観点でも外部と協業する仕組みを入れていくことが重要です。インボイスの開始まで約1年。どう変わるかが非常に大事な期間になります。外部と協業しながら、変化し続けるバックオフィスのおもしろさを知ってほしい。そんな思いでWewillは事業に取り組んでいます。