「入社後のキャリア形成はどうなるのか」「この会社で自分はどのように成長できるのか」——転職において、多くのエンジニアが抱くこうした不安に対して、当社では6階層にわたる体系的な研修制度で明確な答えを用意しています。
業界平均を下回る離職率を支える当社の人材育成制度について、社内の教育・研修を担当する人事部 人財室 室長の岩住さんとリーダーの矢澤さんに詳しく伺いました。
20年の人事経験×エンジニア出身の異色チーム
——まずは、お二人の経歴について教えてください。
岩住: 人事・経理・総務など管理系の仕事を約20年経験してきたのですが、4年前にサイバーコムに入社しました。それまではIT業界とは違うメーカー系の企業に勤めていましたが、人材育成に関わる経験がありましたので、現在はIT業界ならではの視点も取り入れて制度設計に取り組んでいます。
矢澤: 私はエンジニア出身で、実は以前から教育に関わりたいという思いがあり、キャリアチェンジを決意して2年前にサイバーコムに入社しました。前職では5年間、インフラエンジニアとしてネットワークの構築や設計、保守を担当していました。ITの知識と経験を活かしながら教育に携われる環境を求めて、サイバーコムに入社しました。最近は教育系の資格も取得して、この分野の面白さを日々実感しています。
キャリア採用面接でよく聞かれる「成長への不安」
——キャリア採用の面接で、求職者の方からキャリア形成について質問されることが多いと伺いましたが、具体的にどのような不安や質問が寄せられるのでしょうか?
岩住: よく聞かれるのは「入社後はどのように現場配属になるのか」「キャリア採用で入社した場合、何か研修や教育制度があるのか」といった内容ですね。入社後の具体的なキャリアパスや、会社としてどういう教育体制、研修体制、フォロー体制があるかということを聞かれることが多いです。
それに対して私たちは、まず入社初日に入社者向けのガイダンスを実施していることをお伝えします。会社のことを知ってもらう時間をしっかり設けて、その後現場配属という流れです。そして教育体制については、技術的な研修は各部署で専門性に応じて行い、ヒューマンスキルの研修は人財室で全社的に体系化して実施しているという使い分けをご説明しています。
曖昧だった役割を明確化した制度改革
——サイバーコムの階層別研修制度について、制度設計の背景から教えてください。
矢澤: 実は、階層別研修自体は私が入社する前の2020年頃から存在していました。ただ、当時はやや場当たり的な面もあり、「リーダーだからロジカルシンキングをやっておけばOK」「主任だからマネジメントをやっておけばOK」といった具合でした。
最大の問題は、各階層に求められる具体的な役割や期待行動が明確になっていなかったことです。エンジニアは「技術さえやっていればなんとかなる」と考えがちで、昇格してもずっと現場のプレイングマネージャーを続けるケースがあり、サイバーコムでキャリアを積んでいくイメージが持ちづらい状況でした。
私が入社してから、改めて「リーダーや主任って何をする人なの?」「グループ長に求められている能力とは?」といったところを整理し直しました。例えばリーダーは「プロジェクトリーダーとして、プロジェクトを完遂させる役割」、主任は「リーダーがやっていたプロジェクトよりもより大規模な案件や、小規模でも複数のプロジェクトを担当する役割」というように、各階層の役割を明確に定義したんです。
——制度設計はどのように進められたのですか?
矢澤: 人財室だけで作るのではなく、現場の方にも相談しながら進めました。実際にリーダーや主任を管理している上司の方に「リーダーにはどういうことを求めていますか?」といったヒアリングを重ねて、現場の実情に合った制度を作り上げました。人事だけで考えると、どうしても独りよがりになってしまいますが、現場を巻き込むことで納得感のある制度になったと思います。
リーダー育成研修の具体的内容
——リーダー育成研修では、具体的にどのような内容を実施するのでしょうか?
矢澤: リーダー育成研修では、ロジカルシンキングと部下とのコミュニケーションに重点を置いています。リーダーになっていくにあたって、部下とのコミュニケーション、指示出しがうまくできないという声が聞こえてきているのです。
そこで、指示出しをする立場として、論理的に「こういうことがまずやりたい。だから、こういうふうにしなきゃいけない、じゃあ、そのためにこうしなきゃいけない」といった論理構成を、自分の頭の中で組み立てる練習をしています。現場ですぐに使える実践的なスキルを身につけてもらうことを重視しています。
——実際に研修を活用してキャリアアップした具体例はありますか?
岩住: 比較的早いキャリアアップの例をご紹介します。こちらは新卒入社の社員の事例になりますが、研修制度を効果的に活用した好事例として参考になると思います。
2022年4月に入社されたこの方は、翌2023年度にはサイバーコムアワードで「ベストルーキー賞」を受賞するなど、早期から優秀な成果を上げていました。その後2024年度にリーダー育成研修を受講し、2025年度にはリーダーに昇格されています。
この方は特に優秀で、入社3年目でのリーダー昇格という比較的早いキャリアアップを実現されました。研修で学んだことを現場で積極的に実践し、その成果が表彰や昇格につながった典型例と言えるでしょう。
※キャリア採用入社の早期キャリアアップ事例はこちらのストーリーをご覧ください
「リーダーになりたくない」から「なりたい」への意識変化
——制度改革の成果はいかがでしたか?
岩住: 大きな変化を感じています。2〜3年前までは「リーダーはやりたくない」という声が現場から聞こえてきていました。リーダーになりたがらない人が多いと、その上の管理職のイメージが全然描けなくなってしまいます。
ですが、研修制度を整え、各階層で求められることを明確にしてからは、リーダー育成研修をやっていても、「リーダーをやってみたい」という声が増えてきました。少しずつ変化が生まれてきているのではないかと思います。
矢澤: 具体的なエピソードとして、先日リーダー育成研修の受講者を募集したときのことが印象的でした。私たちは一回20人集まればいいほうかなと想定していたのですが、なんと30人を超える応募があったんです。
これは、サイバーコムで今後キャリアを積んでいきたい、リーダーを目指していきたいという社員が増えている証拠だと思います。実際に受講したメンバーからも「明日からやってみます」という前向きな声をよく聞くようになりました。
組織文化を変える最新の取り組み
——今年から導入されたポジティブフィードバック研修とサイバーコムアワードについても教えてください。
矢澤: ポジティブフィードバック研修は、社員の頑張りや成果を認め合う文化を作るために今年から全階層に導入しました。従来の上意下達的な文化を変えて、お互いがお互いの意見を言いやすい、風通しの良い組織にしていきたいという狙いがあります。
サイバーコムアワードは年1回の社員表彰制度で、ベストエンジニア賞、ベストルーキー賞、ベストセールス賞、ベストサポート賞の表彰を行うとともに優秀プロジェクトの表彰も行っており、受賞者が一堂に会する一大イベントとして実施しています。
岩住: どちらも「社員を認める文化」を作るための取り組みですね。ポジティブフィードバック研修については、まだ導入したばかりなので文化として定着するには時間がかかりますが、根強く続けていくことで組織風土を変えていきたいと思っています。
業界平均を下回る離職率の要因
——サイバーコムの離職率はIT業界平均を下回る数値ですが、研修担当者の視点から、この数字を支える要因をどうお考えですか?
矢澤: 離職をしない理由の一つは、サイバーコムで働いていくビジョンが持てているということだと思います。そのビジョン醸成に、私たちの階層別研修も一部寄与できているのではないかと考えています。
先ほどお話ししたリーダー育成研修への応募者増加も、「サイバーコムでキャリアを積んでいきたい」「どういうふうに働いていけばいいかが見えてきた」という社員が増えている証拠だと思います。
岩住: 社員の成長実感も重要だと思います。私が考えている「成長のスパイラル」があるのですが、教育を受けて、得た知識を現場で活用し、それが評価につながってステージアップしていく。このサイクルを社内で実現してもらいたいと思っています。
研修は「7:2:1の法則」で言えば「1」の部分ですが、その1がきっかけとなって現場での7の部分を8にする。そういう役割を果たせる教育を提供することで、社員の成長実感とやりがいにつなげていきたいですね。
今後の展望、さらなる制度発展へ
——今後の人材育成制度の展望について教えてください。
矢澤: 現在の課題は、研修がどの程度評価や昇進に影響しているかの分析ができていないことです。教育と評価の関わりをより密にして、中長期的に研修を受けた成果を確認できる仕組みを作っていきたいと思っています。
もう一つは、キャリア教育の強化です。セルフキャリアドック制度を作って、階層横断でそれぞれのレベルに応じたキャリアマップを描けるような設計をしていきたいと考えています。
岩住: 人事ポリシーの「プロフェッショナル」「主体性」「多様性」を体現できる人材育成制度をさらに充実させていきたいですね。これまでの制度を完成形とは考えておらず、継続的にブラッシュアップしていくつもりです。
転職検討エンジニアへのメッセージ
——最後に、転職を検討しているエンジニアの方にメッセージをお願いします。
岩住: 私も転職でサイバーコムに入ってきた身として言えるのは、キャリア成長や自己成長を諦める必要は決してないということです。皆さんがイメージされている成長を実現できるステージが、弊社には必ずあると思っています。入社していただいて活躍していただくことが、ひいては会社の成長にもつながり、皆さんのビジネスチャンスも広がっていく。そういうイメージを持っていただけると嬉しいです。
矢澤: 転職を検討されているエンジニアの方は、「どのIT企業であれば自分のキャリアを安心して積んでいけるのか」という点で悩まれることが多いと思います。
サイバーコムでは、階層別研修、ポジティブフィードバック、サイバーコムアワード、TAKUMI室やスペシャリスト制度など、皆さんのキャリア形成の一助となる制度が整っています。共通しているのは、自分自身がどういうふうに今後キャリアを設計していけるかを考えさせてくれる会社だということです。自分自身のキャリアを積んでいきたいという場として、サイバーコムはとても良い会社だと思いますので、ぜひご検討いただければと思います。
編集後記
今回のインタビューで印象的だったのは、20年の人事経験を持つ岩住さんの体系的な制度設計力と、エンジニア出身の矢澤さんが制度設計に関わることで実現した現場のリアルな課題に則した研修制度でした。
特に岩住さんの「成長のスパイラル」という考え方と、矢澤さんによる各階層の役割明確化が組み合わさることで、「技術さえあればなんとかなる」という従来の考え方から、明確な役割認識とキャリアパスを持つ組織への変革が実現されています。この二人の異なる専門性の融合が、業界平均を下回る離職率につながっているのではないでしょうか。
なお、今回はヒューマンスキル研修に焦点を当てましたが、技術を極めたいエンジニアの方もご安心ください。技術的な研修は各部署で充実しており、また、社長直轄のTAKUMI室では生成AIやクラウド技術などの最先端分野で活躍するエンジニアがいます。技術的なサポートやキャリア事例については、別途ご紹介予定です。
転職を検討しているエンジニアの方は、明確なキャリアパスと手厚いサポート制度を持つサイバーコムへのご応募をぜひご検討ください。