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自分の欠点から、新たなデザインと発明を。

次に出逢ったデザイナーはボストンにあるマサチューセッツ工科大学の学生女性デザイナー。

発案のきっかけは「寝坊で起きられない」そんな自分でも起きられる目覚まし時計を開発したい。

目覚まし時計はもういくつも試し、スヌーズ機能もやってみた。オーソドックスに数台の目覚まし時計を時間ずらして設定してあちこちに置いてみたり、でもその環境やアラームが鳴るともう判ってるから無意識に直ぐに止めてまた寝てしまう、を繰り返すので寝坊防止の効果はなくなる。人間は同じこと繰り返すと、考えなくても体で覚えてしまう。

それをこのデザイナーは、じゃあ目覚まし時計そのものを動かしアラームをうるさくて早く止めたくなるけど、どこにあるかが直ぐに判らず見つからないので、それを止めようという起き上がり探す行動をしている間に目も覚めてしまう、という人間工学的な発想から、見た目のデザインはペットのように愛嬌あり持ちやすいサイズにしたい。と考え考案したのがこの製品「ナンダクロッキー」。そして実はナンダとつけたのは「何だこれ?」という日本語にも似ていておもしろいというのもあったのだけど、実は発明者の名前でもある。

最初みせてもらったプロトタイプは、完成品とは全く違った大きな「たわし」みたいで、アメリカ人に愛されるタディベアというクマのぬいぐるみを想定していたそうだが、学生寮によく使われる茶色の絨毯の端切れを使ったらしい。いわゆるFound Objectsだ。お金のない学生は私も経験しているのでよくわかるが、大金を使わなくても、道端、ごみ箱、ホームセンターなどで見つけたものを応用すれば、予想外におもしろくていいものが出来るという発想(いまでいうサステナブル?)これはこれでおもしろいのだが、工場で大量生産するにはそういうわけにいかない。

ということでいろいろアドバイスしてやり直してもらったら、こんなかわいいものに仕上げてきた。操作ボタンや時間表示の液晶が顔みたいで、動き回る車輪は常にランダムに違う方向に走り続けて落ちた時に本体のクッションにもなり、音はやかましすぎるが嫌いになれない愛嬌がある。すごい仕上がり!

もちろん発明やデザインだけでなく、製造工場や流通も自分で構築したこの女性デザイナー(当時学生)は見た目はおとなしそうなのに、なんだかすごい人だった。

彼女は6時間ぐらい寝過ごしたこともあるらしいが、起きられず学校の授業も寝坊するという欠点を持ちながらも、学校でも優秀な成績を収め新たな製品を世の中に送り込んだ。ちょっと笑ってしまいそうな製品開発ストーリーだけど、ただの愉快なアイデアグッズだけではなく、その機能は本当に役に立つしかわいい。朝に起きれなくて困っている人は多いと思うけど、きっとこの製品が何人もの家族、親子、夫婦の幸せな朝の時間を救ってくれていると思う。ランダムに動く機能は実はその後、とても人気になっているあのグッズを開発させたテクノロジーも使用している。

この製品との出逢いでいつも考えさせられるのは、欠点も別の見方をすれば自分の仕事や人生に生かせるかも、不得意だからこそ、何が原因でどう解決できるのかを考える。よいデザインとは、よい仕事とは、そういうところから生まれると聞いたことがある。


この製品には発売までに長い時間とストーリーがあり、発売直後もいろいろ苦労談はあるので、シンデレラストーリーのようになんかおもしろいもの開発したり、私たちは完成品を見つけて製造販売を右から左へ動かすだけなんてことはない。ちょっと人気の製品になると、直ぐにアイデアをマネする人や会社がたくさん出てくる。真似するのが得意とアジアの大国を指さす人も多いが、日本でも世界中でその傾向は同じ。

でもオリジナリティってなんだろうと考えた時、こういうストーリーや発案のきっかけ、そしてそれにどう自分が向き合い、そういう思い入れのある製品をどうお客様に伝え知ってもらうかはとても大切なことで、真似では本当に製品の大切な部分は伝わらない。

小さな組織と珍しい製品で、一見だけでは何をするものなのか判り難いかもしれないけれど、それをどう伝え広め知って買ってもらうのか?それにチャレンジするのが私たちの仕事です。一緒にオリジナリティある製品を紹介していきませんか?




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