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FAR EAST と歩く世界 –デーツ・エジプト編–

デーツってナンダ?



デーツ(ナツメヤシ)。

コーランにも、旧約聖書にも、アラビアンナイトにも、ハムラビ法典にも、その名が出てくる。

それは”神の贈り物”だと伝えられています。紀元前6000年の昔より史実に登場し、古来病後の回復食、美容食、健康食としてなくてはならないものとされてきました。

実はこのデーツという食品は、FAR EASTとは切っても切り離せないとても強い縁で結ばれています。

私たちがコロナという大きな疫病に耐えながら、今もこうして皆様に「文化と物語」を届ける貿易会社として存在できる所以は様々な人や物で、構成されています。

そしてその中でも、このデーツは間違いなく私たちを支え、道を作り、そして今も共に道を歩んでいます。


その出会いとはまさに魅惑に満ちており、様々な可能性が秘めていました。


ここでは FAR EAST代表取締役社長・佐々木 の直筆による「FAR EASTが出会ったデーツの歴史」を記します。

(以下、FAR EAST代表取締役社長・佐々木の執筆による)

デーツ/Egyptian Dates

エジプトはカイロからアレクサンドリアを過ぎ、彼方に見える蜃気楼をやり過ごし、エジプト西方沙漠をひたすら西へ進むと、リビア国境のほど近くに絵に描いたようなオアシスが忽然と姿を現す。

ここはかつてアレキサンダーが、エジプトを統一した際に真っ先に訪れたとされる場所で、彼がその申し子と信じていたアモン神の神殿が佇み、またクレオパトラの鉱泉と呼ばれる泉が滾々と湧き出ている。

家々の壁は泥で固められ、道行く人々の足はロバ車、そして町の佇まいは遥か昔にタイムスリップしたように幻想的で怪しく、魅力的でありました。

ここには100を超える泉のほかにオリーブの木、そしてデーツが青々と茂っており、その様子はいかにも豊かでベルベルやベドウィンをはじめ、沙漠の民がこの地でどれほど癒されてきたかは想像に難くない。

10年に一度しか雨が降らないとされ、こんなに厳しい場所に水と果実がこんなにも豊かに生っているなんて、なるほどオアシスが「地獄のなかの天国」という原義であることも頷ける気がする。



SIWA(エジプトの西部砂漠のカッターラ低地とエジプト砂海の間にあり、リビア国境から約50km、カイロから560kmに位置するオアシス)の人達はデーツの木を所有し、『資産』とする。

毎年安定して実を落としてくれて、さらに栄養価が高く、保存が利くとなれば当然価値は高い。とりわけラマダンの期間には日没後最初に食される滋養食である。

朝陽と共にロバに引かれてデーツの森へ入ってゆき、日が暮れる頃になると山と積まれたデーツとともにひきあげてくる。

すれ違う子らの表情も他の町とはどこか違い、見とれるほどに豊かであるし、水も緑も星も周りの乾いた様子とは対照的に豊かである。

この最果ての砂漠では、「今更」「改めて」気が付かされることが少なくない。

砂漠の地平線を見渡せば地球はやはり丸く、砂丘の風紋には風の形を見て取り、砂塵の彼方に音もなく沈む落陽に自然に生かされる己を感じ、満天の星空に無数にきらめく星々に自らの存在の儚さ(はかなさ)を識る。

パチパチと焚火のはじける音を聞き、揺れる炎を見ながら、一日の終わりと安息を感じる。

そして月の沙漠に独り立てば、眩いばかりの月光が一筋、漆黒の闇に自分を浮き上がらせる。
嗚呼、4,000年前の千夜一夜物語の時代にもこの瞬間と全く変わらぬ光景があったのだなと想うと胸に何かたまらないものが込み上げてくるのである。

筆:佐々木敏行

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