エンジニアを大事にするという価値観でSES事業を営む株式会社シスナビ。執行役員、SI事業本部1G部長の島田さんに入社の経緯や育成や組織形成にかける思い、さらにエンジニアの仕事をしてよかったなと感じたエピソードについてお話を伺いました。
エンジニアを使い捨てない。辛い時に手を差し伸べる
-島田さんはなぜシスナビに入社したのですか
私と藤田社長はふるさと宮崎の幼馴染で中学校まで同級生でした。東京に出てきてからは奇しくも二人ともIT業界に入るんですが、年に一回くらい飲んだりFacebookで近況確認するくらい。そこまで頻繁に会っていたわけではないんです。
そんな中、藤田社長はシスナビを立ち上げ、私は中堅SIerでエンジニアとしてのキャリアを積んでいました。大手のシステムやアプリ開発のリーダーやPMを任されたりして、充実した日々でした。ですが、激務が続いて家族との時間が取れなかったこと、また自身が成長するにつれて上司のマネジメント方針や価値観、会社の進む方向とのズレが生じていました。
ちょうどそのタイミングで藤田社長から入社を打診されまして。価値観のあっている人と働きたいという気持ちがすごく強くなっていたので、話を聞いてすぐ入社を決めました。
-どんな価値観に共感したのでしょう
エンジニアを大事にするという価値観に共感しました。
SESのイメージって正直あまり良くないと思うんです。エンジニアを現場に突っ込んであとは放っておくみたいな。私も藤田社長も使われる側としてそういう現場を経験してきたので、それを変えたいという強い想いが共通していました。
エンジニアを使い捨てない。辛い時に手を差し伸べる。そういう環境を作っていきたいと藤田社長がおっしゃっていたので、そこの手助けをしたいと思ったことが入社の決め手です。
-一般的にSESで働くエンジニアの悩みにはどんなことが多いですか?
やはり稼働状況のきつさは悩みの種ではないでしょうか。納期に間に合わせるための長時間労働や多すぎる業務量はよく耳にする問題です。シスナビでは現状残業月平均15時間以下を実現できていますし、藤田社長が案件を吟味して受注しているのでエンジニアの負担軽減には成功していると思います。
さらに、開発体制がひどい現場もまだまだ多いと思っています。マネジメントの資質に欠ける人が上司になっているケースもあり、なかなか共感したり賛同できないことが私自身もよくありました。特に私は人を怒りでマネジメントするのが大嫌いだったので、感情的に怒る上司を見て「絶対にこうはならないぞ」ということは昔から思っていましたね。
ギブできる人を育てたい
-シスナビが大切にしている姿勢を教えてください
基本的な考え方としては藤田社長が常々言っている「三方よし」の幸福追求です。元々は近江商人が売り手よし・買い手よし・世間よしとなるような商売の仕方をしていたことから生まれたのが三方よし。シスナビでは「お客様・社員・自社」の三方よしを目指しています。
三方よしを実現するために必要なことが何かと考えたときに、「ギブする姿勢」なのではないかと。
例えば社内でいえば、まだ経験の浅いメンバーのフォローを普段から密にする。何も言われなくても声かけして何か困ってることないか不安に感じることはないかと声かけをするといったことです。または社内の企画に参画しやすい場作りをしたり、現場だけでは経験が足りないと悩んでいるメンバーに対して立ち上げた社内プロジェクトの参加を依頼したりもしています。
こうやって会社が場所を用意して、働きかけを行う中で社員同士で助け合う空気が生まれてきたと感じています。「ギブできる人を育てたい」という思いを大切に、今後もさまざまな取り組みを行いたいです。
会社組織に所属する意味は「シェア」すること
-社員同士のコミュニケーションはどのように促進していますか
基本的にみんな在宅でのテレワークかクライアントの現場で業務に当たっているので、日々のコミュニケーションはオンラインになります。あとは月一回の帰社日ですね。
オンラインで今やっているのは朝会夕会でのビデオミーティング。業務連絡だけでなくテーマを決めてのディスカッションや単なる雑談もあります。何かを決めるためにやるというよりはコミュニケーション自体が目的です。あとは社内プロジェクトの参加メンバーでslackで話し合ったりとか。単なる雑談もslack上でよく行っています。
今後の目標はもっとメンバー同士の接触回数を増やすことと、自発的な発言がもっと増えてくれればいいなと。オンラインだと特定の人に偏りがちなので、そこは改善の余地があると思っています。
あとはやっぱり対面でのコミュニケーションは重要だなと。slack上では普段目立たないけど、帰社日にあって話してみると技術に詳しくて積極的に情報をシェアしてくれたり、実は弁が立つ人がいたりとか。社員の皆さんの個性や得意なところをどんどん発掘して評価していく動きも私たちの役割だと痛感しています。
-シスナビで働く上で社員に大切にしてほしいことはなんですか
「シェア文化」をシスナビでは大切にしていきたいと考えています。
・自分がありがとうを言う、もしくは相手からどれだけありがとうと感謝されたか
・どれだけ自分の知識経験をシェアしたか
・いろんな人を巻き込む場を作れたか
最近新たに定めた評価基準では上記3つの視点から社員を評価しています。やはり、せっかく会社として人が集まって働いているので、自分だけの力ではなく他者への指導や教育など周囲を巻き込んでいく姿勢を持ってほしいなと。
もちろん他人は関係なく一人で技術を伸ばしていく考え方も否定はしません。でも、それはフリーランスでやればいいことなので。会社組織に所属する意味はシェアすること、少し足取りが遅くても全員で進んでいくことなのではないでしょうか。
高いチーム力で結束する組織へ
-採用する上で人物面と技術力どちらが大切ですか
人物面ですね。そもそもweb系の知識って自分の学習でかなりキャッチアップできる領域なので、自分で学ぶ意欲がある人であれば技術面は後からついてくると思っています。逆に技術だけ高くても組織を壊す可能性がある。周りとシェアしながらチームで物事を成し遂げたいと思っている方であれば、経験や技術が未熟だとしても一緒に働きたいですね。
-これからシスナビをどういう組織にしていきたいですか
シスナビの社員だけで開発を完結できるような体制を整えていきたいと考えています。これには社員の数を増やすだけでなく、高いチーム力で結束する必要があります。
チーム力を高めるために必要なのが同じ方向を向くこと、コンセプトや方針を合わせること。個人個人の生活様式や性格は合わせる必要はありませんが、会社側から大きな目標をしっかり説明することがチームのスタートラインだと考えています。
例えば
「このプロジェクトは単にこなすだけじゃなくて、会社としてこういう意味づけのプロジェクトだから成功させたい」
「お客様はこういう狙いがあるから、みんなこういう動きをしていこうよ」
のように一つ一つのプロジェクトに意味合いを持たせ、それを丁寧に伝えていくのが同じ方向を向くために必要です。
あとはやはり最初にお話したエンジニアが働きやすい環境を整えるということも引き続き心を傾けていきたいですね。働きやすさって、いわゆる労働時間や待遇、福利厚生だけで実現できるものではなくて心の持ちようもかなり影響すると思うんです。だから、労働環境を整えると同時に社員の心のケアにもあたっていきたいなと。
エンジニアは自分も身近な人も楽しくできる職業
-島田さんが考えるエンジニアという仕事の魅力はなんですか
個人が望む望まないに関わらず、今後さらにテクノロジーが生活に浸透していくはずです。テクノロジーの仕組みや裏側を知っていると安心するんですよね。むやみに不安にならずに済むというのは一つ魅力だなと思います。
IT業界に携わっていない友達とウェブ飲みとかしていると、意味もなく不安になっていたりすることがあるなあと。簡単な例で言うとコンピュータウイルスとか。そういう不安を煽るような物に触れた時でも、エンジニアとしての知識があれば驚かなくなります。
また、ITニュースで最新のニュースを知った時に「ここまで来たか」とワクワクするのもやっぱりエンジニアとして知識の裏付けがあるからです。そういった意味ではエンジニアであることで生活に不安がなくなると同時に日々の喜びが増えるので、この仕事をしていてよかったなと思います。
もう一つは仕事外でエンジニアの知識や技術が役に立つことですね。私の身の回りでの例でいうと、地域の子供会のイベントが昨年はコロナで軒並み中止になりました。でも、親御さんたちの間で何かやりたいよね、やってあげたいよねという話になって。そこでやったのがZoomでのラジオ体操。当日、子供たちにZoomを繋いでもらって画面の前でやりました。
参加してもらうための下準備や根回しが難しいと周りの親御さんたちがおっしゃっていたんで、私のITの知識が役に立ったのは実感しました。例えば当日参加できない子のために、前もってラジオ体操を録画しておいた動画ファイルをGoogleドライブにアップロードして、そのURLを回覧板にQRコードで印刷して配布したり。また、当日ZOOMでみんなが参加してくれた模様を録画してYoutubeの限定公開でアーカイブ再生できるようにしました。さすがに私も毎日はやれないので残りの3日はこれを見ながらラジオ体操してねと。
これらの工夫は今の業界にいたからできたことです。他にもリモートでやるクリスマス会のビンゴ大会用に、JavaScriptでビンゴゲームを作ったこともありました。
こんな風に身の回りの人を楽しくしたり便利にするものを作ってあげられることに、すごく幸せを感じますね。日常の中でエンジニアリングが役立つのを実感するとエンジニアになってよかったなと思います。