吉祥寺から、はじまる
吉祥寺という街を訪れたことはありますか?
井の頭公園の木々が季節を映すように、この街もまた、時代の色に合わせて少しずつ姿を変えてきました。
その一角で、静かにーーそれでも確かに、「教育の未来」を動かそうとしている学校があります。
それが、藤村女子中学・高等学校。
そして2027年、この学校は新たな名前を掲げ、再出発します。
「吉祥寺湧水中学校・高等学校」
この記事は、その新しい歩みの原点にある “これまで”と“これから”を少しだけ覗いてもらうためのものです。
新しい名前に込めた想い
小さな泉を思い浮かべてみてください。
地の底からこんこんと湧き出た水は、誰かに押し出されるでもなく、自然にと流れはじめますよね。
「湧水(ゆうすい)」とは、そんなふうに内側から静かに生まれる力のこと。
つまり、他の誰かによってではなく、自分の中から静かにあふれ出すエネルギーです。
その一人ひとりの「内に湧く力」を信じて育てていくことーー
それが、私たちの掲げるパーパス、「多様な個性を輝かせ、熱量ある人間を育成する」 という言葉の核心です。
AIが瞬時に答えを出す時代。
だからこそ、“正しい答え”ではなく、“自分の問い”を持てる人を育てたい。
自分の問いに向き合い、自分の中から溢れ出すエネルギーで、これからの世界へ踏み出して行ってほしい。
そんな想いから、「湧水」という名は生まれました。
吉祥寺という街が、もう一つの教室
創立1932年。
それ以来、この学園は吉祥寺という街とともに歩んできました。
都心からわずかに離れた小さな街です。
ですが、駅を出ればにぎやかな商店街があって、少し歩くと井之頭公園の緑が広がっている。
カフェ。古本屋。映画館。アートギャラリー。
吉祥寺の人と文化が、やさしく混ざり合う光景が好きな方も多いのではないでしょうか。
だからこそ、
この街で過ごす6年間は、教室の中の勉強だけで終わって欲しくありません。
駅前の書店で、偶然出会った一冊。
商店街で交わされる「おはよう」の声。
井之頭学園の池のほとりで語り合う放課後。
そうした“生活の中の学び”が、この学園の生徒たちの感性を育ててきました。
つまり吉祥寺という街そのものが生徒たちにとって「もう一つの教室」です。
卒業した後、「私は吉祥寺で学生時代を過ごしたんだ」と誇りを持って言える。
そんな人生の原点を、ここでつくっていきます。
校訓「百花湧水」
百の花が、湧き出る水のように、自ら多様に輝く。
百の花が、それぞれの色とタイミングで咲き誇る。
それがこの学校の理想の姿です。
水が湧き出る瞬間は、人それぞれ。 花が咲くタイミングだって百通り以上あるはずです。
桜、椿、藤、紫陽花、彼岸花——。
早く咲く花、ゆっくり咲く花。華やかな花もあれば、静かに咲く花もある。
けれど、どの花も等しく美しく、その存在が自然を豊かにしています。
教室では、隣の人と違う意見を出してもいい。
プロジェクト型の授業では、正解のないテーマに挑みながら、仲間と意見を交わします。
校庭では部活に打ち込み、文化祭では自分たちの表現を形にしていく。
それは学びも同じです。
私たちは、一斉に同じ答えを求める教育ではなく、一人ひとりが自分の問いを立て、自分のペースで学ぶことを大切にしています。
そんな多様な成長への信頼が込められています。
未来を変える、静かな革命
派手に変わることよりも、静かに続くことの方がはるかに難しい。
湧水は、爆発的に噴き出すことはありません。
けれど、絶えることなく静かに流れ続け、人を潤し、街を支えます。
私たちが目指すのは、そんな教育です。
日々の教室では、生徒たちが自分の問いを言葉にし、先生はその問いに寄り添いながら、一緒に考え続けています。
誰かの答えを教えるのではなく、それぞれの中にある芽を大切に育てる。
小さな対話の積み重ねが、やがて世界を動かす力になると信じています。
この学校で学んだ一人ひとりの中に湧き出る好奇心と情熱が、やがて社会を動かす力になる。
100年前も、100年後も。
この地から、こんこんと清らかな学びが湧き続ける。
それが、「吉祥寺湧水中学校・高等学校」の約束です。