みなさんこんにちは、ジンザイベースの採用担当です。
今回は、当社にも多数在籍する「ミャンマー」をテーマにしていきたいと思います。
結論、現在ミャンマー現地では内戦状態が激化しており、大変な状況になっているのをご存知でしょうか?
ウクライナ・ロシアやイスラエルの紛争がよく取り上げられる中、ミャンマーでもかなり激しい内戦状態が4年も継続しています。そこで、当社のミャンマー人社員に話を聞きいた内容も参考に、現地の情勢について、簡単ではありますが皆さんにご紹介できればと思います。
当社がどんなことをやっているのかについては、以下の採用ピッチ資料にざっとまとめてありますので、ぜひ事前にご覧いただければと思います。
ミャンマーの現状:激変する社会情勢
ミャンマーは2021年2月に軍事政権によるクーデターが発生しました。以降、国土の約半分が紛争地帯と化している状況になっており、沈静化の目処はいまだにたっていません。
長らく軍事政権が続いていた同国では、2015年11月の選挙にて、アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が圧倒的な勝利を収め、政権運営を担っていました。アウンサンスーチー氏は1989年から2010年まで軍事政権に自宅軟禁されるという不遇の時代を過ごしていましたが、父親が旧ビルマ独立の父アウンサン将軍であることもあり、国民からの人気は非常に高い指導者でした。(私の出逢うミャンマー人の方は全員アウンサンスーチー氏のことが大好きです)
ミャンマーの歴史については、ぜひ中田敦彦のYouTube大学をご覧ください。(非常にわかりやすいです)
しかし、2021年2月のクーデターにより軍事政権が再び実権を握り、アウンサンスーチー氏も拘束されました。
その後、民主派勢力との間で激しい対立が続いており、2024年2月1日に非常事態宣言が半年間延長された際には、実に5回目の延長となりました。クーデター発生から4年が経過した現在も、収拾の兆しは見られず、政治的安定化の見通しは立っていません。
現地の通貨価値は5分の1に…|経済崩壊の現実
政変前のミャンマー経済は順調に成長していました。ミャンマー経済の成長率は、平均約7%を維持していたものの、2020年以降は、新型コロナや政変(2021年)の影響でマイナス成長が続いた状況です。
現在は、自国通貨であるミャンマーチャットが大暴落しており、2021年の政変前と比べて約5分の1になっているそうです。日本円の価値もどんどん目減りし、円安が進行していますが、それ以上のスピードでチャットも暴落しています。
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出典:NNA ASIA「通貨暴落、軍政経済に黄信号 一時7千チャットに、失策続き」2024年8月15日
加えて、ミャンマーの消費者物価指数(CPI)の上昇率は2024/25年度は26.5%となっており、高いインフレ状態が継続している様子です。
こうした情勢を踏まえ、住友商事と豊田通商はヤンゴン郊外にある「ティラワ工業団地」のODA(政府開発援助)により整備された港湾運営から撤退することを決めています。他にも、キリンビールが現地企業との合弁を解消し撤退、ENEOSが出資するガス田発掘事業も撤退するなど、クーデターを機に次々と外資企業や現地のプロジェクトが撤退・中断されている状況です。
現地の学生は、大学を卒業しても優良な就職口がないとして、大学を途中で退学し、海外へ留学or就職するという方も大量に発生しています。
実際に当社で働くミャンマー人スタッフの兄弟も大学を中退し、日本へ留学生として来日したり、就労ビザを取得したいと相談を受けるケースも頻発しています。学歴を見ると、日本でいう東京大学をはじめとする旧帝大、東京外国語大学等に匹敵する高学歴の方であったとしても、退学されている方が珍しくありません。
ミャンマーでの大地震がさらに追い打ちをかける
こうした困難な状況にさらなる追い打ちをかけたのが、2025年3月28日に発生したマグニチュード7.7の大地震です。
震源近くのミャンマー第2の都市マンダレーや首都ネピドーを中心に深刻な建物・構造物の倒壊の被害が生じており、ミャンマーでは少なくとも13,000軒以上の建物が倒壊・損壊しました。
ミャンマー軍事政権は3月31日の声明でこれまでに3,700名以上が死亡、5,100名以上が負傷、その他多数の行方不明者が生じていると発表しており、130万人以上が被災しています。
さらに深刻なのは、内戦が続く中での自然災害であることです。地震発生後も内戦による攻撃が続き、地震発生から数時間後にシャン州に対して爆撃があり、7人が死亡するなどの被害があったと報じられています。
ミャンマー民主派による国民統一政府(NUG)は、攻撃的な軍事作戦を停止すると発表するなど、停戦を求めていたが、ミャンマー軍事政権はそれを拒否して攻撃を継続した状況で、人道的な救援活動にも大きな支障が生じています。
加えて、この地震が既に疲弊していたミャンマー経済にさらなる長期的な打撃を与えることは確実です。
このような自然災害と人為的災害(内戦)の複合的な危機の中で、より多くのミャンマー人が国外での生活を選択せざるを得ない状況が生まれているのです。
兵士になるか、故郷を離れるか - 徴兵制が生んだ若者の決断
2024年2月、ミャンマー軍事政権は徴兵制の実施を発表しました。クーデター以降、国軍に対抗する形で民主派勢力が台頭し、各地において武力衝突が繰り返されており、国軍側が劣勢であるという報道もある中、兵士不足が深刻化しているため、徴兵制の実施へ踏み切った様子です。
男性は18歳〜35歳、女性は18歳〜27歳の方が対象で、兵役期間は通常2年間、対象者は約1,300万人(ミャンマーの全人口は約5,000万人のため、約4分の1に相当)と推定されているそうです。仮に徴兵を拒否した場合は、最高で5年の懲役刑が課されるため、かなりの強制力を持っています。
クーデターを契機に、疲弊した経済状況・地震による自然災害に加えて、徴兵制も実施されていることから、特に若年層に対する不安・不満から国外脱出が加速しています。
結果、日本へ来日するミャンマー人が急増している
ミャンマー現地の情勢により、結果として来日するミャンマー人の数はここ数年で急速に拡大している状況が続いています。
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出典:出入国在留管理庁「令和6年6月末現在における在留外国人数について(令和6年10月18日)」
2023年から急速に増加し、2024年には前年同期比27.5%と全国籍でダントツ1位の増加率を記録しています。
もちろん、地理的には隣国のタイへの流出が最も多い様子ですが、日本も上位にランクインしており、高い報酬水準や治安面、文化面においても仏教国としての共通点があることなどから、多くの方が来日している状況となっています。
加えて、技能実習・特定技能のビザを活用することで、一定の要件を満たせば、誰でも合法的に就労できる明確な枠組みがある点も一因になっています。
現地では地方においても近くの寺院等に行くと、日本語の勉強会(ボランティア活動)が開催されており、実際に日本語能力試験の受験者数は10万人を超え、一種のブームのような加熱さを帯びています。
以下は実際に当社がご紹介したミャンマー人女性の面接風景になりますが、日本に来たことがないのにも関わらず、通訳なしでここまで会話できる方が実は、多くいらっしゃいます。
困難な状況を乗り越えて海外就労を決意した強い意志を持つ人材であるが故に、日本語習得への意欲も高く、職場での適応力も優れている傾向があります。そのため、受け入れ企業からはかなりの評価をいただくケースが当社としても多々発生しており、特に外食業や介護施設など、サービス業において重宝されています。
一方で、ミャンマーでは人材流出を防ぐための制限も発生…
今後も、ミャンマー人の来日者数はもっと増加していくと予想されていましたが、実は、現在は不透明な状況になっています。
軍事政権は人材流出を防ぐため、海外就労の制限を強化し始めたのです。
2024年5月から23~31歳までの男性の就労目的での海外渡航が制限され、2025年1月からは対象が18~35歳に拡大したほか、2025年3-4月前後からミャンマー人が就労目的での出国の際に必要なスマートカード(OWIC:Overseas Worker Identification Card)の発給が停止され、就労目的での海外渡航が一時的にストップする事態にもなりました。
現在は制限が一部緩和されているものの、それまで制限のなかった1つの送り出機関あたりの派遣者数に大幅な制限(日本向けは1機関15名/月)が設定され、以前のように就労希望者を派遣できなくなっている状況です。
いち早く国外脱出したいミャンマー人、人手不足で困っている日本企業、双方のニーズが合致して就労目的のミャンマー人数が急拡大してきましたが、今後は一定鎮静化していきそうです。(ただ、留学目的での出国は継続している様子ですので、もしかしたら、留学生として来日するミャンマー人が増えていくかもしれません)
最後に|多様性ある環境で、一緒に成長しませんか?
現在のミャンマー情勢について、なんとなくイメージ伝わりましたでしょうか?
今回ご紹介したミャンマー情勢のように、世界は常に変化し続けています。そんな変化の激しい時代だからこそ、多様な価値観や経験を持つ人材が集まる環境で働くことの価値は、ますます高まっています。
当社では、ミャンマー人をはじめとする多国籍のメンバーと日本人スタッフが、互いの文化や強みを活かしながら、共に成長できる環境を大切にしています。
こんな方と一緒に働きたいです:
- 社会課題に関心があり、事業を通じて解決に貢献したい
- 多様性ある環境で、自分自身も成長したい
- 年功序列ではなく、実力で正当に評価されたい
- 外国人材や国際的な仕事に興味がある
- 若手のうちから責任あるポジションにチャレンジしたい
「人材業界は未経験だけど大丈夫?」「自分にできるかな?」そんな不安をお持ちの方も大歓迎です。「多様性ある環境で挑戦してみたい」「社会に意味のある仕事をしたい」という気持ちがあれば、私たちは全力でサポートします。
現在、様々なポジションで一緒に成長できる仲間を募集していますので、以下のURLからご確認ください!
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