【しがない建築学生のインターン備忘録①】 | 株式会社 ビーライトグループ
<ぐ~たらな春休みが色付いたインターン初日!>何か新しいことに挑戦してみたい。そう思ったのがキッカケだった。自分の将来を漠然と考え始めていた大学3年の春休み。私の通う大学の長期休みはとても長いこ...
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【しがない建築学生のインターン備忘録 ①, ②】はこちら!
思いがけず、電気設備の施工管理会社ビーライトでインターン生活を送ることとなった筆者は、現在大学4年である。大学では建築を専攻しており、製図や設計、デザインなどの授業を通して、建築芸術分野(※1)と建築工学分野(※2)を横断的に学んでいる。大学の3年間は、必修授業や選択科目の履修に忙しくて、毎日は瞬く間に過ぎていった。大学4年になり無事研究室に配属された今は、ゼミや研究室のプロジェクトにちょくちょく顔を出しながら、インターンとバイトに明け暮れる日々だ。【しがない建築学生のインターン備忘録②】で、インターンを始めてから自分の意識が変わりつつあることを伝えたが、今ではそれに伴って自身の興味関心も徐々に広がっているように感じる。
ビーライトでは、全国に展開する某ドラッグストアチェーン店の電気設備図面を設計から施工に至るまで一貫して担っている。建物に欠かせない電気設備。 例えば、照明、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機など、建物内をザッと見渡しても電気設備が視界に入らないことはないし、それらが無い暮らしは今や考えられない。その電気設備を安全に使用するために、電気をどこから取り込み、どのように配線し、供給するかなどを視覚化したものが電気設備図面である。ビーライトでは依頼された建物の電気設備図面の作成と、それを元に実際に現場での施工管理(※3)を行い、建物内で使用する人が安心安全に仕事をしたり、生活を営んだりできるようにライフラインを作っている。
インターンでの私の主な業務は、電気設備設計図や、施工図(※4)、竣工図(※5)の作成である。一概に設備図面といってもその種類は多岐に渡る。照明設備やコンセント設備、電話・通信設備などの私たちの生活に欠かせない電気設備だけでなく、防災設備や自動火災報知設備などあまり馴染みのない設備に至るまで、電気に関わるすべての設備の設計図面を作成している。インターンを始めた当初は図面を描く際に用いるCAD(※6)の使い方すら分からなかった筆者も、今では社員の方々に教えていただきながら、少しずつではあるがCADを使って設備図面が描けるようになってきた。私は業務を通して、普段私たちが当たり前のように使っている電気も、「電気設備図」に基づいた緻密な計画によって、何もないところから人の手によって作られたものであることを実感した。
また私は、インターンで設備図面を描くようになってから、どんな建物でも電気設備を見渡す癖が付いてしまい、興味を示さずにはいられなくなった。建物は通常、まず基礎や骨組みから作られ、必要な設備が施工され、その後表面に様々な仕上げ材(※7)が張り付けられて完成する。鋼材や配管など空間を形作っている骨組みのほとんどが壁の内側に隠れているため、普段私たちの目に見えている部分は一部でしかない。電気設備でいえば、実際に操作する設備自体は建物の表面に露出しているが、その配線は建物の内側に隠されている。
しかし私は図面を描くようになってから、その内側に隠されている「見えない部分」を見ることが出来るようになった。いや、想像することが出来るようになった。様々な建物の電気設備図面を描くことで、電気設備の原理や配線の仕組みを学んだ。だから建物の「見える部分」である設備から想像して、「見えない部分」である配線や電気の流れを想像出来るようになったのだ。そうなったことで、私の建物の見方はちょっぴり広がったように思えてくる。今までは考えたことがなかった電気設備をもっと知りたいという好奇心の芽生えを感じている。
私は今まで身の回りの電気設備を見て、その先に広がる世界を考えたことがなかった。あまりにも当たり前に存在する電気設備について考えようもしなかった。しかし、「見えない部分」を想像する愉しさを体感したとき、私は今まで何かについてじっくり考えて見つめてみることを初めから止めていたのかもしれないと感じてハッとさせられた。
どんな人にも必ず子ども時代が存在する。一度は本気でプリキュアになれると思っていた時期があったし、おばけは本当にいると信じていた。五感で知る全てが未知であり、多様な語彙を持ち正確に言語化することは出来なかったが、代わりに想像力と好奇心が溢れていた。だが、大人になった今、その力は段々と失われているのかもしれないと思う。自由な発想や想像力は、子どもの空想のように固定概念にとらわれることなく、楽しみながら可能性を探る営みによって生まれる。それは、成長するにつれて言葉を覚え、空想から言語による思考力へと、つまり五感から頭に変化していくからではないだろうか。
私が思うに想像力とは、ある一つのテーマを1から100にする力であると考える。即ち、ある一つの物事から自分の中で無限に解釈を広げる力である。インターンでは、電気設備について勉強する機会に恵まれ、日常生活でも電気設備の「見えない部分」を想像する愉しさを知ることが出来た。私はこの豊かさを大切にしていきたいと思う。想像力を働かせて、自分の世界をちょっとずつ広げながら生きていきたい。
(※1)意匠・都市計画・歴史を指す。
(※2)構造・材料・設備を指す。
(※3)工事現場における工程管理や品質管理、安全管理などを行う。
(※4)工事を行う上で必要な内容が記載された建物の図面。
(※5)完成時の建物を表した図面。
(※6)コンピューター上で設計や製図を行うツール。
(※7)建物や家具、インテリアにおいて、表面を美しく仕上げるための重要な材料。