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行政と連携して、手応えのある仕事を。官民連携のリアルを担当者に直撃!

リディラバ広報・採用の片山壮平です。「事業を通じてリディラバ人が見える」シリーズ企画第1回の今回は、「十日町市の「観光」を考える官民会議(仮称)」のレポートをnoteへアップした、リディラバ事業開発チームの梅原慎吾さんにインタビューを行いました。お話を通じて、仕事のやりがいや思い、行政との連携のリアルが見えてきます。

片山)梅原さん、新潟県十日町市との今回の事業について、簡単にご紹介いただけますか?

梅原)十日町市は、大地の芸術祭を筆頭に、年間通じてイベントに頼った観光施策を打ち出してきました。そもそも観光がイベントに依存することは集客が不安定になりがちですが、それがコロナ禍でより難しい状況になりました。そこで、こういうときだからこそ、市として観光産業振興ビジョンを中長期的に考えようという話になりました。十日町市はどんな未来・理想を描き、今何をすべきかを、官民一体となって話し合っています。リディラバは十日町市からの委託事業としてその場作りのお手伝いをしていて、私はワークショップの企画・実施や、意見の取りまとめなどを主に行っています。

本当の「行政と市民の対話」とは?

片山)官民連携って以前からよく耳にしますが、十日町市のケースの特徴はなんでしょう。

梅原)よく言われる官民連携は、オープンイノベーションの文脈で使われることが多いでしょうか。街の外から大企業を連れてきて、テクノロジーなど駆使しながら連携して、地域の持つ課題を解決していきましょうというものです。一方で今回の事業における官民連携の「民」は、「市民」に近い存在です。具体的には、観光に関する地元事業者のみなさんですね。「行政と市民の対話」というと聞こえは良いですが、行政が作った素案に対してパブリックコメントを募集し、意見を聞いた”ことにする”という話はよく聞きます。十日町市は「そのやり方では市民サイドの意見を聞けていない」と考えました。素案作るところから、官民一緒に考えたいという思いがとても強いこと。これが大きな特徴でしょう。

片山)確かに一般的には「行政と市民の対話」は形だけになりがちというイメージがあります。梅原さんは行政職員からリディラバに転職されたキャリアをお持ちですが、十日町市のような実のある取り組みが実現したのはなぜだと思いますか?

梅原)表現が難しいですが(笑、どこの行政組織も、「市民協働」や「開かれた行政」といったやり方は、昔から苦手なんです。どうしても、聞いたふりして形骸化してしまう。なぜかと言うと、そういった時、行政側の担当者には「誰かが決めた案を決めたとおりに遂行しなくてはならない」という強いプレッシャーがかかっていることが要因の一つにあると思います。その中で、案を作る段階で市民のみなさんに話を聞いてしまうと、当然ながら反対意見も出てしまう。ところが、一担当者の職責としては、反対意見を踏まえた調整はできない事がほとんどです。板挟みになるくらいなら、通すべき素案を先に作って、パブリックコメントを集める期間だけは定めて、検討しますということにして、要所要所の調整を行って、最初の案をなるべくそのまま通すことに注力するほうが、担当者としては実際的であるという判断になるわけです。

片山)なるほど、行政に限らず、大企業でも同じ構造になっていることは多いですね…。でも十日町市はそこが違うわけですか。

梅原)十日町市の場合は、これはあくまでも私から見て、ですが、まず行政担当者の方が「観光施策の理想像は、行政だけでなく、主役になる事業者の方々と一緒に作らないと意味がない」という強い思いを持たれていることが大きいです。担当の係長さんは以前に十日町市の都市計画を担当する部署におられたのですが、その時から、十日町市の「まちづくり」は先進的だったんですね。何十回とワークショップを行いながら、正に市民と実のある対話をして、交流施設などの箱モノを作ってきた歴史がある。まちづくりの部署には形骸化しない官民連携の文化があったわけです。そこ出身の担当者の方が、まちづくりのやり方を観光分野に展開したということだと思います。前例があるぶん、意思決定もしやすいですし、そういった文化が市民側にもあるので、受け入れやすかった。担当者の方の思いと、他部署の前例。この組み合わせが理想的な官民連携の実現をぐっと近づけたと思います。
また私の前職の例に少し触れると、キャリアの最後は自治体のIT系の部署でした。組織全体でデータ活用のあり方を考える、いわゆる企画部門です。自分たちが組織内全部署の実務をやり切れるわけはなく、他の部署にやってもらう時点で現場が遠い。その他の部署の中にも担当がいて、担当の先に別の担当がいて…長い伝言ゲームを経たその先に、市民のみなさんがいます。何が市民のためになるのか、伝言ゲームの端と端で、自分が決めたことの価値や意義がとてもわかりにくかった。しょうがないことではありますが。担当者が自分の仕事に手応えを持つという意味でも、基礎自治体が市民と直に接しながらものを決めていくことは有意義です。

(左:事業開発チーム/梅原 右:広報/片山)

「前例という正解」のない問いを、官民が一緒に考える

片山)十日町市の取り組みは先進的なわけですね!

梅原)本当にそうですね。とてもいいな!と思います。もちろん、進める上での難しさもありますよ。正直、最初に仕様書などで私たちとやり取りしている段階では、行政サイドも何がベストなのかなんてよくわからないでしょう。これまでなかったことを決めるわけですから。デスクリサーチをして、型にはまった作文して、ではなく、市民のみなさんとワークショプをやって決めていこうというやり方は、少なくとも観光の部署には前例がない。前例という正解がない問いへのチャレンジだと言えます。

片山)お互い正解のわからないことを模索するというのは、確かに難易度が高そう…

梅原)リディラバは、こういった「正解のない問いに向き合い、自分なりの解を考える」時に適したワークショップノウハウを持っています。創発される関係性の中で参加者の主体性をどう高めていくかを知っていることは、正解ではないにせよ、道標にはなりますね。ただ、リディラバ側の担当者としては、今やっているワークショップは更に難易度が高いように感じています。今回の会議にしても、単発で終わりの前提ではもちろん無い。地域の中で繰り返し行って、その中身が地域に積み重なり、多くの人が納得感を持てるアウトプットを作り上げないといけない。。良い中身が重なっていけばよいですが、例えば参加者間の関係性のつなぎ方を失敗したら、しこりやわだかまりといった負の側面も同様に重なっていってしまうわけです。そういう意味では、ワークショップ運営と言うよりも、コミュニティを作っていくことに近い仕事をしているんだと感じています。つながっていなかったところを、丁寧に一つずつ結んで、相互理解を進めていく。正直難しいですよ。もし負の側面を残してしまったらすぐには取り返しつかないなというプレッシャーは常に感じています。それでも受けた以上は、一緒に考えながら、正解を探していく。発注者・受注者という立場ではありますが、ここでもやはり、行政と民間の関係性がキモだなと思います。答えがよくわからないものを、一体となって正解を頑張って探していく、お互い許容される関係性が出来ると、とても良いですよね。

調整能力があるなら『決め方を決める』ために使う

片山)難しさのお話は、やりがいの裏返しのようにも聞こえますね(笑

梅原)もちろんそうとも言えますね(笑。社内社外含めて色んな人と関係性が作れる、話せる人が増える、出会いが多い仕事です。私自身、(プライベートでは)友達作って、関係性を続けていくのが下手なんですよ。私の力だけでコミュニティを作るのは難しい。だから、他の人の力、より多くの人の力を借りなくちゃ仕事にならない。でもこんなことって、自分の人生だけだとチャレンジも出来ないですよね。そういったチャレンジ、自分にとってのストレッチが、仕事を通じてできるのは価値が高いと思います。意図が通じた、わかりあえた時は、やっぱりとても嬉しい。

片山)コミュニティ作りって属人的な仕事になりがちですが、少し苦手意識がある分野だからこそ、他の人に頼って、より多くの人を巻き込んだり、仕組み化する意識が強くなるんでしょうね。再現性を持つ意味ではそれもまた大切です。正解のない問いを官民一緒に考えるって素敵だなと思います。

梅原)私も今回、十日町の皆さんとやってみて、こういうやり取りが大事なんだと改めて確認しました。先に挙げたように、前職では決めたものを通すためのコミュニケーションをしてきました。なので今も、私の仕事のやり方にYesと言ってもらうためのコミュニケーションが意識しないところで出てきてしまうんですね。そのたびに、正解がわからない事やっているのに、Yesと言ってもらう前提に立つのは変だなと思い直しています。あくまで一緒に作ることが大事なんだと。

片山)「正解のない問いを考える」難しさは、今教育現場でも、企業でも、多くの方が直面しているものですね。梅原さんのご経験から、これを乗り越えるには、何が必要だと思いますか?

梅原)「決め方を決める」ということなんじゃないかな。関係するメンバーの「想い」は大前提として大事です。でもそれはきっかけに過ぎません。正解が本当にないんだとしたら、いくら「想い」があっても、全員が納得する解を見出すことは難しい。であれば「みんなが納得する決め方ってなんだろうな」と最初から設計しなければならない。それはたとえば事業を進めるプロセスだったり、人事制度や組織構造のような大きな話かもしれない。「偉い人が言い出したことだけど、言われたらやるってことで良いんだっけ?」とそもそも論に立ち戻れるプロセスがあるか、「いくらトップが決めたことでも、データが揃ってないとやらないよ」というルールを作れるか、みたいな感じですね。同じ調整能力を発揮するなら、決め方を決めるために調整能力を使っていく方が生産的なんじゃないかなと思います。

片山)「調整能力は決め方を決めるために使え!」とは至言をいただきました(笑 ありがとうございました!


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