「法律を守ること」と「現場の課題を解決すること」は、必ずしも一致しない。
労働基準監督官として現場に向き合い、その後、本省で制度づくりにも携わってきた三浦はそう語ります。働く人の環境を守ることに大きなやりがいを感じる一方で、現場には、法律だけでは解決できない課題がたくさんある。そんな葛藤も抱えていたといいます。
ITも民間企業も未経験という状況の中で、なぜパトスロゴスを選んだのか。その意思決定の背景と、入社後に感じている手応えについて伺いました。
法律を守るだけでは変えられない現場があった
——まず、最初のキャリアについてお聞かせください。厚生労働省ではどのような仕事をされていたのでしょうか。
九州大学法学部を卒業後、労働基準監督官として採用され、労働基準監督署で企業への監査や、労働相談の対応を担当していました。労働基準法や労働安全衛生法が守られているかを確認し、現場に足を運びながら、働く人の環境に直接向き合う仕事です。企業の運用やマネジメントの実態に触れながら、長時間労働や労務管理に関する相談を受けることもありました。
その後、本省に異動し、国会答弁の作成や審議会の運営、広報など、法制度をつくる側の業務にも携わりました。現場で起きている課題を実際に見たうえで、制度設計のプロセスにも関わることができたので、労働行政を広い視点で見ることができました。現場から制度まで、一連の流れを経験できたことは、自分にとって非常に大きな財産になりました。
——その仕事にやりがいを感じる一方で、転職を考えるきっかけになる課題意識もあったそうですね。
はい。法令遵守を促すことで、労働環境改善に貢献できた実感もあり、やりがいはとても感じていました。
ただ一方で、「法律を守ること」と「現場の課題を解決すること」が必ずしも一致しない場面もあると感じていました。法律に沿った助言や指導が、その企業の事情や運用に必ずしも適したアドバイスにならないケースもあったためです。各社それぞれに事情がある中で、本来はその状況に寄り添いながら伴走したいという思いがありましたが、制度上どうしても踏み込めない部分がありました。そうしたもどかしさを感じる場面もありました。
そのような思いもあり、どのように法制度が作られているのか見てみたいと思い、本省に異動しました。実際に業務に携わる中で、法律をつくるまでに、多方面の意見を丁寧にすくい上げ、何度も検討を重ねる必要があること、その重要性を実感しました。
そのプロセス自体は必要なものだと納得できた一方で、だからこそ、現場の変化のスピードに制度が追いつきにくい現実もより強く感じるようになりました。そこから、「企業ごとの本質的な課題に向き合い、解決まで伴走できる仕事がしたい」と考えるようになりました。
広く見たからこそ、自分が向き合いたいテーマが見えた
——転職活動では、最初から人事領域に絞っていたわけではなかったと伺いました。
そうなんです。最初は広告や不動産なども含めて、かなり幅広く見ていました。もともとスタートアップのピッチコンテストを見るのが好きで、新しい事業や発想が形になっていく世界そのものに惹かれていたんですよね。なので、これまでまったく関わりがなかった領域に飛び込んでみたいという気持ちも、転職活動の初期には強くありました。
ただ、多業種での採用活動を通して、自分のこれまでの経験を何度も言葉にしていく中で、結局いちばん強く関心を持っているのは、人事領域や働く環境なのだと改めて気づきました。新卒で労働基準監督官を選んだのも、もともと“働く環境を良くしたい”という思いがあったからですし、それは自分の中で一貫したテーマだったんだと思います。そこから、人事領域に関わり続けながら、新しい挑戦ができる場所を探すようになりました。
——その中で、パトスロゴスに惹かれた決め手は何だったのでしょうか。
一つは、共創プラットフォームという考え方の新しさです。人事・労務・給与などの業務を、お客様ごとに合った形で組み合わせながら導入し、人事業務そのものを再設計していくという仕事のあり方が、自分がやりたいことと重なっていました。
特に魅力的だったのは、複数のシステムを連携する構造だからこそ、その企業に合った業務フローを一緒に再構築・検討できる点です。
行政の立場では、どうしても一社ごとの最適解に深く踏み込むことが難しかったため、その領域に向き合える仕事だと感じました。
もう一つは、代表の牧野さんの考え方です。「事業を通じて社会に価値を提供する」という趣旨の言葉を拝見し、公務員時代から持っていた「世のため人のためになる仕事がしたい」という自分の軸と重なりました。転職は新しい挑戦でしたが、その一方で、自分の中の大事な軸は手放したくないという思いもありました。そうした意味でも、パトスロゴスは自然に選ぶことができた会社だったと感じています。
「海外に来たみたいだった」未経験の壁を“チームで越える”環境
——実際に入社してみて、何かギャップなどありましたか。
まず驚いたのは、意思決定のスピードでした。霞が関では、いくつもの決裁を経てようやく物事が進むので、その速さは本当に新鮮でした。自分の感覚ではまだ整理しきれていないうちに、次の判断が求められることもあり、最初はかなり戸惑いました。
また、文化の違いも印象的でした。前職では上司を役職名で呼ぶのが当たり前でしたが、パトスロゴスでは役職に関係なく、全員を「◯◯さん」と呼びます。上下関係を強く感じさせないフラットな雰囲気には、良い意味でギャップがありました。さらに大きかったのが、IT業界特有の言葉です。日常会話で飛び交うシステム用語や横文字が最初はほとんど分からなくて、“ここは海外?”と感じるほどでした。
——そこから、どのようにキャッチアップしていったのでしょうか。
基本は、実務を通じてキャッチアップしていきました。共創プラットフォームの導入は、自社システムの仕組みだけでなく、共創パートナーのSaaSについても理解する必要があります。そのため、実際にシステムを触りながら、分からないことは社内に相談し、それでも解決しない場合はパートナー企業の方にも直接質問する、ということを繰り返しました。
また、社内会議やお客様とのミーティングに参加する中で、当初は理解できなかった専門用語も、用語集にまとめることで、少しずつ理解できるようになりました。この記録が、後から入社した公務員出身のメンバーの参考になっていると聞いており、入社当初の試行錯誤の経験が、これから入社される方の安心材料になっていることを実感しています。
さらに大きかったのが、社内の雰囲気です。週次のミーティングで新しい知見の共有や、「他のお客様でこんな事象があったので気をつけよう」といった情報交換が自然に行われており、分からないことを一人で抱え込まなくていい環境です。
担当プロジェクトは自分で回していく責任がありますが、未経験であってもプロジェクトを任せてもらえる環境があります。その一方で、困った時は全体に投げかけて一緒に考え、フォローし合える体制も整っています。
こうした支えがあることで、未経験の壁は“自分一人で越える壁”ではなかったと感じています。
「指導」から「伴走」へ。導入の先にある本質的な業務改善
——現在の導入コンサルティングの仕事で、特に大切だと感じることは何ですか。
いちばん大切なのは、お客様の期待や不安を正確に引き出すことだと思っています。システム導入は、企業にとって大きな変化です。そのため、共創連携を導入することで何を実現したいのか、どのような点に不安を感じているのかを丁寧に整理する必要があります。
そのうえで、多くの場合、共創連携を導入いただく目的は、業務の効率化や改善にあると捉えています。私自身も、共創連携の導入を機に、お客様の業務効率化に貢献したいという思いを持って向き合っています。
だからこそ、現状の業務プロセスが本当に最適なのかを見極め、必要に応じて新しいやり方をご提案していくことが、導入コンサルタントの役割だと感じています。
——前職の経験が活きる部分と、この仕事ならではの難しさの両方がありそうです。
前職で培った労働法や制度の知識は、お客様との会話の中で役立つ場面があります。特に勤怠や労務の論点が出た際には、制度の背景まで含めて補足できるため、安心して聞いていただける材料になっていると感じています。
一方で、民間では法律を根拠に説明できるわけではないため、提案を受け入れていただくための説明力や対話力がより求められます。「こうすべき」と言えば進むわけではなく、背景や目的を丁寧にお伝えし、ご納得いただいたうえで一緒に運用を変えていく必要があります。その難しさは、前職との大きな違いだと感じています。
また、パトスロゴスは大企業のお客様が多いため、プレッシャーを感じる場面も少なくありません。現行運用でできていたことがリプレイス後に難しくなる場合、運用でカバーするのか、開発と連携して機能改修を行うのか。その判断や調整には責任が伴い、説明責任を果たすことへのプレッシャーもあります。
ただ、その分やりがいも大きいです。お客様と1年ほど、毎週打ち合わせを重ね、本稼働までたどり着いたときにいただく感謝の言葉は、それまでの緊張感が一気に報われる瞬間です。導入の過程でも、「共創連携で作業が楽になった」と実感をもっていただけたときは、大きなやりがいを感じます。
一貫していたのは、「働く環境を良くしたい」という思い
——今後、どのようなコンサルタントになっていきたいと考えていますか。
今はまだ道半ばだと思っています。まずは導入支援をきちんとやり切る力を高めながら、その先にある“本質的な改善”まで提案できるコンサルタントになりたいです。共創連携の導入によって定型業務が効率化できれば、人事担当者の方は、より人と向き合う時間を持てるようになります。そうした変化が生まれることで、前職で向き合っていた労働環境の改善にも、別の角度から貢献できると確信しています。
人的資本経営への関心が高まる中で、人事の役割はますます大きくなっています。単にシステムを切り替えるのではなく、業務の設計を見直し、人事の方がより本質的な仕事に時間を割ける状態をつくることに価値があると考えています。フィールドは変わっても、「働く環境をより良くしたい」という思いは一貫しています。
——最後に、パトスロゴスに興味を持つ方へメッセージをお願いします。
パトスロゴスには、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。私の他にも公務員出身の方がいますし、半官半民の組織から来た方もいます。そうした畑違いのキャリアも「おもしろいね」と受け入れられる雰囲気があります。
私自身も入社前は不安がありましたが、異業界出身だからこそ見えることもありますし、お客様の不安や現場感覚に近い言葉で向き合える強みもあると感じています。
人事はどの業種にも存在するため、どのようなご経験でも、必ず活かせる場面があります。パトスロゴスでは幅広い業種のお客様をご支援しているからこそ、前職で培った経験が思いがけない形で役立つことも多いです。
人事領域に限らず、組織づくりや人に関心があり、変化の現場に深く関わっていきたい方にとって、挑戦しがいのある環境です。新しい挑戦を考えている公務員の方や、異業界からチャレンジしたいと考えている方も、ぜひ前向きにご検討いただけると嬉しいです。この記事を読んでくださっているあなたと、一緒に働けることを楽しみにしています。