◯あなたはどのタイプ?〜4つの人生スタンス「I'm OK, You're OK」を目指そう
私たちは皆、自分自身と他人に対して、無意識のうちに基本的な「対人スタンス(立ち位置)」を持っています。この根底にあるスタンスが、私たちの思考や感情、そして人間関係のパターンを決定づけていると、TAでは考えます。
TAの「OK図表」は、自分と他人に対する肯定感(OK)と否定感(not OK)の組み合わせで、4つの基本的な人生のスタンスを示します。
1. 「私もあなたもOK」(I'm OK, You're OK)
◦ 自分も他人も信頼し、価値ある存在だと認めている、最も健全で自律的なスタンス。協調的で、問題解決能力が高い。
2. 「私はOK・あなたはOKでない」(I'm OK, You're not OK)
◦ 自分は正しいが、他人は劣っていると考えがち。他人を責めたり、支配しようとしたりする傾向がある。
3. 「私はOKでない・あなたはOK」(I'm not OK, You're OK)
◦ 自分に自信がなく、劣等感が強い。他者に依存したり、自分の意見を主張できなかったりする傾向がある。
4. 「私もあなたもOKでない」(I'm not OK, You're not OK)
◦ 自分も他人も信じられず、人生に絶望しがち。無気力で、引きこもる傾向がある。
誰でもこの4つのスタンスを併せ持っていますが、どのスタンスにいることが多いかで、その人の人間関係の質は大きく変わります。
タニクリが目指しているのは、社員一人ひとりが「私もあなたもOK」というスタンスに立ち、お互いを尊重し、信頼し合える組織です。
このスタンスこそが、真の協力関係と個人の成長の土台となると信じています。
巷で言われる『心理的安全性』は「私もあなたもOK」(I'm OK, You're OK)の関係そのものだと言ます。
ここで注意点なのですが、この「心理的安全性」は他人からもらうことはできません。
その場で自分自身で作り出す必要があるのです。
◯ 人を認めるエネルギー「ストローク」と、その反対の「ディスカウント」
人と人との関わりは、目には見えない「心のエネルギー」の交換です。このエネルギーが、私たちの心の健康や活力、そして人間関係の質に、計り知れない影響を与えています。
TAでは、この心のエネルギーを「ストローク」と呼びます。ストロークとは、相手の存在や価値を認める、あらゆる働きかけのことです。「おはよう」という挨拶も、「ありがとう」という感謝も、肩を叩くといった身体的な触れ合いも、すべてがストロークです。ストロークには、褒める「肯定的ストローク」と、叱る「否定的ストローク」があります。
一方で、ストロークとは真逆の、関係を破壊するエネルギーがあります。それが「ディスカウント」です。これは、相手の存在や価値、感情を値引きしたり、無視したりする行為です。例えば、若手社員が会議で勇気を出して新しいアイデアを提案したとします。それに対して上司が、パソコンから目を離さずに「そういうのは昔やってダメだったんだよ」と一言で片付ける。この一言が、典型的なディスカウントです。その人の努力、熱意、貢献を一瞬で値引きし、次に発言する勇気を奪ってしまうのです。
私たちの心には「ストロークの壺」のようなものがあり、この壺が肯定的なストロークで満たされていると、心は安定します。壺が満たされていることこそが、人が最高の仕事をするための前提条件であり、「いい会社」とは、社員一人ひとりの壺が満たされる場所のことなのです。
21. なぜか繰り返される嫌なパターン。「心理的ゲーム」の正体
「あの人と話すと、いつも最後は嫌な気持ちになる」「なぜか、いつも同じようなトラブルに巻き込まれてしまう」。その背後には、「心理的ゲーム」という無意識のメカニズムが働いているかもしれません。
TAでいう「心理的ゲーム」とは、ストローク不足などを背景に、無意識のうちに相手を巻き込み、最終的に誰もが嫌な気持ちになるという結末を迎える、一連のコミュニケーションパターンのことです。例えば、職場でよく見られるのが「はい、でも…」ゲームです。相談を持ちかけてきた相手に、こちらが真剣にアドバイスをすると、ことごとく「はい、でもそれは…」と否定され、最終的に「もういいです」と不満げに去られる。アドバイスした側は無力感を、相談した側は「やっぱり誰もわかってくれない」という不満を感じ、双方が嫌な気持ちで終わる、典型的なゲームです。
このゲームでは、登場人物は主に3つの役割を演じます。
• 犠牲者: 「私はなんて可哀想なんだ」と無力さをアピールする。
• 迫害者: 「お前のせいでこうなった」と他者を厳しく非難する。
• 救援者: 「私が助けてあげなければ」と過剰にお世話を焼く。
大切なのは、まず自分がこうした不毛なパターンに陥りがちであることに気づき、そこから抜け出す勇気を持つことです。これまでの学びを踏まえ、最終シリーズでは、いよいよ皆さん自身が「自分の人生の主役」として、どう生き、どう働くべきかを問いかけていきます。