皆さん、こんにちは!
エル・フィールドでエンジニアとして勤務しております、H.Nと申します。
突然ですが、皆さんは日々の業務で、チームメンバーや顧客と積極的にコミュニケーションを取っていますか?
エンジニアの仕事というと、技術的な作業が中心と思われがちですが、実際にはチームメンバーや顧客とのやりとりが欠かせない仕事です。
そして、これからの時代、その重要性はさらに増していくのではないかと思っています。
なぜなら、ChatGPTをはじめとするAIが強力なサポーターとして登場し、技術的な課題の多くに解決の糸口を示してくれるようになるからです。
だからこそ、私たち人間にしかできない"コミュニケーション能力"こそが、これからの時代におけるエンジニアの価値を左右する、最も重要なスキルになるのではないでしょうか。
この記事では、AI時代に"真の価値あるエンジニア"になるために、私が不可欠だと考える次の3つの力について、具体的な思考法とアクションを解説していきます。
・顧客の「本当の課題」を引き出すコミュニケーション
・チームの力を最大化するコミュニケーション
・「言われたことだけをやる自分」から脱却するマインドセット
目次
◇顧客の「本当の課題」を引き出すコミュニケーション
(1)「5W1H」で要望を解像度高くする
(2) 「もし~なら?」で前提を疑う
◇チームの力を最大化するコミュニケーション ~「個の力」から「相乗効果」へ~
(1)「なぜ?」をドキュメントで共有する文化を作る
(2)「ポジティブ・フィードバック」で心理的安全性を高める
(3)「翻訳者」としてブリッジする
◇「言われたことだけやる自分」から脱却するマインドセット ~「作業者」から「当事者」へ~
(1)「自分ごと化」する習慣を持つ
(2)「Why」の探求を諦めない
(3)「仮説」の提案を恐れない
◇顧客の「本当の課題」を引き出すコミュニケーション
エンジニアの仕事は、顧客から言われた機能をただ作る「御用聞き」ではありません。
顧客のビジネスを成功に導く「パートナー」として、その要望の奥に隠された「本当の課題」を引き出すことが最初の、そして最も重要なコミュニケーションになります。
なぜなら、顧客自身も課題解決の最適な方法を知っているとは限らないからです。
そこで、私たちは次のような対話を通じて、課題の本質に迫る必要があります。
(1)「5W1H」で要望を解像度高くする
顧客から「〇〇がしたい」という要望を受けたら、それを鵜呑みにせず、「5W1H」のフレームワークで深掘りしてみましょう。
Why(なぜ):なぜ、その機能が必要なのですか? それによって、どのようなビジネス上の目的を達成したいですか?
Who(誰が):その機能を主に使うのは、どの部署のどのような役割の人ですか?
When(いつ):どのような業務の流れの中で、その機能は使われますか?
What(何を):その機能が実現することで、ユーザーの何が解決されますか? 成功の指標は何ですか?
Where(どこで):アプリケーションのどの画面で、その機能が最も効果的に使われますか?
How(どのように):理想として、ユーザーはどのように操作できると嬉しいですか?
これらの質問は、単なる仕様確認ではありません。
顧客のビジネスと業務を深く理解し、より良い解決策を共に考えるための共同作業です。
(2) 「もし~なら?」で前提を疑う
時には、「もし、その機能がなくても目的を達成できるとしたら、他にどんな方法が考えられますか?」といった問いかけで、顧客の思考の前提を覆してみることも有効です。
これにより、既存の機能改善や全く新しいアプローチなど、思わぬ解決策が見つかることがあります。
◇チームの力を最大化するコミュニケーション ~「個の力」から「相乗効果」へ~
優れたプロダクトは、一人の天才が生み出すものではなく、多様な専門性を持つチームの共同作業から生まれます。
エンジニアのコミュニケーションは、そのチームの力を1+1=2ではなく、3にも4にも増幅させる「触媒」の役割を担います。
(1)「なぜ?」をドキュメントで共有する文化を作る
「なぜこの技術を選んだのか」「この設計で何を目指したのか」といった設計思想を、設計書やWikiに
明文化して共有しましょう。
これにより、口頭での説明だけでは失われがちな「Why」がチームの共通認識となります。
結果として、レビューの質が向上し、後からプロジェクトに参加したメンバーも早期にキャッチアップ
できます。
(2)「ポジティブ・フィードバック」で心理的安全性を高める
コードレビューは、単に間違いを指摘する場ではありません。
「この部分の書き方、とても参考になります!」「この課題に対するアプローチ、勉強になりました」といった、ポジティブな側面を積極的に伝えましょう。
これにより、チームの心理的安全性が高まり、誰もが萎縮することなく、より建設的な意見を交わせるようになります。
(3)「翻訳者」としてブリッジする
エンジニアは、ビジネスサイドと開発サイドの間に立つ「翻訳者」になるべきです。
ビジネスサイドの要望を具体的な技術要件に落とし込み、逆に、技術的な制約や可能性をビジネス上の
メリット・デメリットに変換して伝える。
この双方向の翻訳が、認識のズレを防ぎ、チーム全体の意思決定をスムーズにします。
◇「言われたことだけやる自分」から脱却するマインドセット ~「作業者」から「当事者」へ~
これまで述べたコミュニケーションスキルは、土台となるマインドセットがなければ十分に機能しません。
受け身の「作業者」から、プロダクトの成功に責任を持つ「当事者」へと意識を転換することが、全ての始まりです。
(1)「自分ごと化」する習慣を持つ
担当する機能を、「もし自分がオーナーだったらどうするか?」という視点で考えてみましょう。
「このボタンの位置は、本当にお客様にとってベストか?」「このエラーメッセージは、もっと親切にできないか?」など、自分のお店をより良くするような感覚で仕事に取り組むと、改善点が次々と見つかります。
(2)「Why」の探求を諦めない
もし仕様書に目的や背景が書かれていなければ、それを追求することを諦めないでください。
「目的が腹落ちしないと作れません」くらいの気概を持つことが、結果的にプロダクトの品質を守り、
チームの無駄な作業を減らすことに繋がります。
(3)「仮説」の提案を恐れない
「こうした方がさらに良くなるのでは?」というアイデアが浮かんだら、100%の自信がなくても「仮説ですが、〇〇というアプローチはいかがでしょうか?」と発信してみましょう。
その提案が採用されるか否かに関わらず、チームに新しい視点を提供し、議論を活性化させること自体に価値があります。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この記事は、これからのエンジニアにとって、技術と同じかそれ以上に"対話"が重要になるという想いで書きました。
AI時代におけるエンジニアの役割は、キーボードを叩く「コーダー」から、顧客の課題を解決し、ビジネスを成長させる「プロフェッショナル」へと進化します。
そのためには、顧客の課題に深く寄り添い、チームの力を最大限に引き出し、そして自分自身が「当事者」として仕事を楽しむことが大切だと思っています。
AIを最強の相棒として使いこなし、"コミュニケーション"という人間ならではの力で価値を創造する。
そんな市場価値の高いエンジニアを、一緒に目指していきましょう!