100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスのざき山です。
今日も複業メディア「ウィズパラ」でとりあげたテーマ「なぜ人材の需給ミスマッチが起きるのか?・・・人余りが起きているフリーランス業界」について内容をご紹介いたします。(元記事:https://wizpara.com/2926/)
いま、日本の労働市場は過去を見渡して前例のないほど需給のミスマッチが起きています。
空前の人余りの市場と、空前の人手不足の市場が存在しているのです。
日本全体としては少子高齢化が急速に進んでいるので、空前の人手不足というのはうなずけます。
事実、日本の若い子が少なくなっておりアルバイトのなり手がいないため、時給は高騰しており、外国の方がこれらを担うようになっています。
コンビニや居酒屋、建設現場に至るまで多くの外国人が働き手になっているのはご存じの通りです。
そして問題は人余りの市場の方です。
そしてそれがまさにIT・Web・情報処理・事務系人材です。
とくにフリーランス業界は今まさに空前の人余り状態に見舞われています。
フリーランス業界はなぜ人余りとなっているのか
じぶんがフリーランスとして独立した16年前、フリーランスという働き方は、世間にほとんど浸透しておらず、世間ではフリーターと何が違うの的な存在でした。
また社会的な信用も低く、クライアントからの扱いもだいぶ雑に扱われた苦い思い出もあります。
ただ当時はフリーランスの数が圧倒的に少ないうえ、Web・インターネット関連の案件が爆発的に増え始める時期と重なったことも相まって仕事を獲得することは苦ではありませんでしたし、単価も非常に高かったです。
いわゆるしばらくブルーオーシャンの状態が続いたのでした。
しかし変化の激しい世の中で16年という期間はあまりに長いもので・・・
フリーランス就業環境は激変しました。
フリーランスという働き方の周知・イメージ向上
まずフリーランスという働き方が世間に認知され、フリーランスに対する印象もだいぶ良くなった気がします。
それが影響してか、フリーランスとして働く人もここ数年で急増ししました。
2015年:937万人
2016年以降:1,000万人を超える
2020年以降:大幅な増加
2021年:1,518万人
2022年:1,577万人
イメージ向上はフリーランスにとっては良い事ですが、フリーランス人口が急増することで競走が激化します。
限られた仕事のパイを巡って競走が巻き起こり、作業単価は低下がおこり始めます。
参入障壁の圧倒的低さ
フリーランス人口の急増にはいくつか理由があります。
そのひとつは圧倒的参入障壁の低さです。@
もちろんひとえにフリーランスと言ってもさまざまな業種・職種があるわけですが、いわゆるフリーランスの代名詞と言えばWeb系人材でしょう。
そしてこのWeb系フリーランスになるためには、資格も必要なければ、多額の設備投資も必要ありません。
パソコン一台とソフトウェアさえ用意すれば、事務所が無くてもすぐに仕事がはじめられます。
ここまで初期投資が少なく始められる仕事であれば、人が殺到して競走が激しくなるのは容易に想像がつきます。
事実、2022年に1,577万人だった人口は2024年には1,303万人と急減しています。
これは競走が激しくなり稼げなくなったフリーランスが廃業したりサラリーマンに回帰したりしていることを示しています。
フリーランスは在宅でWeb系の仕事というステレオタイプの功罪
フリーランスになりたい人で、Web系以外の仕事を目指す人はどれくらいいるでしょうか?
もちろんWeb系以外の仕事以外にもさまざまな業種・職種の仕事は存在していますが、フリーランスをめざす多くの人がWeb関連の仕事を目指し、Web以外であってもパソコンを駆使したクリエイティブな仕事がほとんどです。
これは「Web系の仕事もしくはクリエイティブな仕事を独立してやるもの=フリーランス」というステレオタイプが浸透しているからと考えられます。
本来フリーランスとは、特定の企業や団体に属さず、個人で仕事を請け負う働き方のことで、必ずしもWeb系でなくても良いわけですし、クリエイティブな仕事でなくても良いわけですし、ましてやホワイトカラー的な仕事でも良いわけです。
農業でもいいし林業でもいいし漁業であってもいいわけです。
しかし前述のステレオタイプが浸透していることで、クリエイティブなホワイトカラー分野、とくにWeb系業界に人が殺到し、限られた仕事というパイを多くの人で奪い合う構図が生じ、要はレッドオーシャン化しているというわけです。
AIが全てのホワイトカラーの仕事を担えるようになった
そしてただでさえ、レッドオーシャン気味な業界であるにもかかわらず、追い打ちをかけたのは高性能AIの台頭です。
ここ数年で登場したAIはとにかく高性能・・・そしてこうしている間にも凄まじいスピードで進化しつづけています。
今までホワイトカラー人材が行っていた仕事の大半がAIで代替可能になりました。
代替可能どころか、今まで人が対応していた何倍ものパフォーマンス・精度で代わりと勤めてくれるわけです。
多くの企業がホワイトカラー人材の整理を開始しています。
そしてそれはフリーランス業界にとってもダイレクトに影響を及ぼしています。
プログラマーであってもデザイナーであってもライターであっても動画編集者であってもマーケターであっても等しくにAIに仕事を奪われていっています。
おそらくホワイトカラー人材の仕事でまだAIに仕事を奪われるに至っていない仕事というものは存在しないでしょう。
人余り市場で苦しいフリーランスたちの戦略
さてただでさえ人余りなフリーランス市場でAI登場による追い打ち・・・
今後フリーランスはどう立ち回っていけば良いのでしょうか?
早期撤退が吉!?レッドオーシャンで努力を続ける不毛さ
フリーランス市場でのフリーランスの人余りは、時間が経てば解消される可能性はあります。
競走の挙句、稼げなくなった人が撤退することによってフリーランス人口が減少するからです。
そこまで撤退せずに耐えることができれば、いずれ事態は改善していくことも期待できます。
ただしAIの台頭は一過性のものではありません。
むしろ今後さらなる性能を向上させたAIが、人間の代わりに作業を担い続けます。
ホワイトカラー人材が、今後日の目を見ることの期待は相当薄いでしょう。
となればどうするか・・・
時代にあらがわずに今従事しているWeb系フリーランス業を撤退するのです。
正直、AIに対抗してAIが得意な分野の仕事をAIから奪うことほど、無謀なことはありません。
人間はAIの得意分野では勝負になりません。
素直に今だAIが苦手で人間でなければ担えない仕事に就いた方が誰しもがハッピーでしょう。
需給のミスマッチはチャンスでもある
日本はすでに人口減少時代に突入しています。
とくに若い人の人口は急激に減少していっています。
つまり人余りで仕事が無くなっているのは、ホワイトカラー人材やフリーランス業界など一部の業種・職種なんです。
日本全体としてみればどちらかというと人手は不足気味です。
給与や報酬・時給単価も高騰が続いています。
つまりはWeb系フリーランス・ホワイトカラー系の仕事に固執さえしなければお金を稼ぐことにまだまだ苦労しなくても良い時代なんです。
ガテン系/ブルーカラー系フリーランスだっていいじゃん
もちろんクリエイティブな仕事は楽しいです。
パソコンを駆使してデータを処理するホワイトカラーの仕事を天職にしている人にとってみれば、いきなりガテン系・ブルーカラーの仕事をやれといっても抵抗はあるでしょう。
しかし意外と食わず嫌いな可能性もあります。
人手不足で感謝される仕事は何であってもやりがいを感じられるはずです。
また非ホワイトカラー系の仕事と言っても、実に多種多様な仕事が存在しています。
あなたの工夫とアイディア次第で、勤め人に戻らずとも非ホワイトカラーのフリーランスとして成功をおさめることも夢ではありません。
まずは思考停止でホワイトカラー系の仕事を探すところから、発想を転換してみるのが吉でしょう。
誰も注目していないフィールドの仕事を開拓した人は防御力が高い
アメリカで学校施設の絨毯を取り扱う卸売業で大成功をおさめた人のエピソードを知りました。
また競馬の競走馬の蹄の装丁を行う職業はびっくりするほどの高収入を得られるのに認知度の低さからなり手が少ないというエピソードも知りました。
ほとんどの人が認知していない、もしくは見向きもしないスキマに商機を見出した人の防御力は圧倒的に高いです。
また成功をおさめた後も出来る限り目立たずにひっそりと成功を享受し続ける。
こういった人たちであれば、こんな変化の激しい世の中であっても長くお金を稼ぎ続けられる可能性が高いと言えるでしょう。
要は世間の間でブームとなったり周知しつくされたベタなナリワイに手を出しても絶対にうま味はないということです。
副業に手を出すにしても、やれせどりをやれとかブログを書けとかYoutubeを更新しろとか言われていますが、そういったベタなことに手を出しても多くのお金を安定的に稼ぐのは難しいでしょう。
誰も見向きしないところに活路を見出してはじめて成功をおさめられると確信しています。
圧倒的複業のススメ・・・変化の激しい世の中に安全地帯は無し
またこのような変化の激しい世の中でおススメしたいのが、
そもそもひとつのナリワイでは、いつまったく稼げなくなるかわからないので、数多くの小さいナリワイを作っておく複業体制の構築です。
長らく勤め人としてしかお金を稼いだことのない人にはなかなか難しいかもしれませんが、フリーランス的な働き方をながらく続けられてきた人であれば、新しいナリワイを創出することはさして苦ではないはずです。
たとえば本業のWeb系の仕事をあえてセーブし、セーブした時間と労力で新しい複業のタネをまく・・・。
たとえば
・外国人に日本語を教える講師
・週末農家、週末漁師、週末猟師
・木彫りアーティスト
・Kindle作家
・じぶんの得意な分野のメディア運営
・出張庭木剪定
・DIY指南
・フリーランスツアーコンダクター
などなど何でも良いわけです。
じぶんが圧倒的に得意で好きで、さらに業種や職種が分散されていればなお良しです。
潔く勤め人に戻るのも悪い選択ではない
じぶんは数々のブラック企業をさまよい歩いた過去があり、正直、勤め人に戻る気はありません。
しかし世の中の会社がすべてブラック企業という訳ではありませんし、やりがいのある仕事に従事させてくれる会社もたくさんあるはずです。
こればかりは多少ガチャ(運)の要素もありますが、ホワイトな就労環境の会社に勤められるのであれば、ぶっちゃけフリーランスで働くよりも仕事面でははるかに精神衛生上良い人生をおくれるかもしれません。
またWeb系人材としての仕事がAIの台頭などで頭打ちなのであれば、新しいスキルを獲得するためにリスキリングのための再就職も賢い選択であると思います。
そしてやはりどうしてもフリーランスが良いという決断に至るのであれば、再就職してリスキリングとお金を貯めたのちに再度フリーランスになればいいんです。
フリーランスで身に付けたスキル・知識は次に活かせる
フリーランスを仮に廃業して別の仕事に転職するとしても、それは必ずしも「負け」を意味しているわけではありません。
怠惰や才能不足でなくても、外部要因の変化で仕事が途絶えることなんて人生ではよくあることなんです。
むしろここまで変化の激しい世の中であれば、今の自分の仕事がある日突然稼げなくなるという事態が往々にして訪れるものなんです。
そしてその都度、撤退判断を下し別の道を探す・・・それは負けではなくさらなる飛躍を目指す旅の門出と言えるでしょう。
またフリーランスで身に付けたスキル・知識は必ず役に立ちます。
それがまったく別の業界・業種・職種であったとしても。
好きなこと・得意なことにこだわりすぎるな・・・まずは必要とされろ
好きなこと・得意なことを仕事にできるとしたらどれだけ幸せなことか・・・これは否定しません。
また好きなこと・得意なことだからこそ、続けられるし突出したスキルを身に付けられるし、そのおかげでお金を稼げるという意見にも賛同します。
ただ、その好きなこと・得意なことが社会の中でニーズがあるかどうか、お金を稼げる土壌があるかどうかは、正直運次第です。
どれだけ、スポーツのカバディやセパタクローが好きで得意だとしても今の世の中でカバディやセパタクローでお金を稼ぐというのは相当にハードルが高いはずです。
結局は好きなこと・得意なことが仕事になるかどうか、仕事にできるかどうかは運なんです。
まずはお金になる事、社会から必要とされる仕事を見つける・・・順番としてはまずはこちらが先になるでしょう。
好きなこと・得意なことは、お金を稼いだ後に趣味で行った方が幸福度はむしろ高いと感じます。
今まさに人余りとAIの登場で仕事を奪われているフリーランスは、これらのことを考慮して戦略を練り人生を切り開いていってください。