丁寧に向き合えば、学生は選んでくれるのか。
答えは、必ずしも「YES」ではありません。新卒エージェントの成約率は、トッププレイヤーでも2割程度。8割以上は、うまくいかない仕事です。
株式会社Birthは、「就職を、選抜ではなく『誕生』に変える」をミッションに掲げる、新卒領域の人材紹介会社です。本記事では、BirthのCAが実際に担当した支援事例に加え、学生がエージェントから離れていく「離脱」のパターンもお伝えします。
うまくいった話だけでは、この仕事の本当の姿は伝わらない。だからこそ、悔しい結果に終わったケースもそのまま掲載しました。
きれいな成功談だけではない、CAの仕事のリアルをのぞいてみてください。
学生が喜んでいたら成功?Birthが考える支援の「成功」と「失敗」
事例をご紹介する前に、Birthが支援の「成功」と「失敗」をどう捉え、どんな考え方で学生と向き合っているのかをお伝えします。
▍Birthの成功の定義
- 大成功:Birthが直接やりとりしている取引先(自社契約企業)に、学生が内定承諾した
- 成功:パートナー企業(※)に、学生が内定承諾した
※他の新卒エージェントから求人を借りて紹介した企業を指します。この場合、成果報酬はあらかじめ定めた比率に基づき、エージェント間で分配(レベニューシェア)されます。
- 小成功:承諾には至らなかったが、友人・後輩の紹介(リファラル)が生まれた
- 失敗:面談を重ねても承諾も紹介も生まれず、何も残せなかった
「学生の満足度が高かったから成功」とは考えず、事実ベースで結果を見ています。
また、内定承諾をもらっても、終わりではありません。「承諾はしたものの、実は他社の選考を受け続けていて、そちらに決めた」といった承諾後の辞退も生じるからです。
だからこそ、承諾数だけを見るのではなく、辞退が起こる可能性も含めて数字をつくっていくことが欠かせません。
▍ノルマを設けない理由
月末が近づくと、つい承諾を急がせたくなる。ノルマがあれば、なおさらです。だからBirthは、CAに売上や成約数のノルマを設けていません。
目指しているのは、「承諾した後に不安になった」というときに、真っ先に頼ってもらえる関係です。
そして、新卒エージェントの成約率は、トッププレイヤーでも2割未満といわれます。数字を追うより、うまくいかなかったケースを本気で悔しがり、「どこで間違えたのか」を考え抜く姿勢を求めています。
▍CAの物差しより、本人の納得を
肯定したいのは、キャリアではなく人生。それがBirthのスタンスです。全員がバリキャリを目指す必要はなく、働く意欲が高くない学生が、自分に合った会社を選ぶのも一つの答えです。
大切なのは、CAの物差しではなく、本人が納得できているかどうか。そのため、「すべての学生にキャリアアップを」という考えが強い方には、Birthの支援は合わないかもしれません。
【ケース1|成功】「やりたいことが分からない」から、自己分析で就活の軸を一緒につくる
それではここから実際の支援事例をご紹介していきます。
▍支援データ
- 候補者情報:関西の私立大学(産近甲龍)・男性
- 支援開始時期 / 支援終了時期:大学3年生の9月〜2月(約5ヶ月)
- 面談回数 / 連絡頻度:面談約15回(7〜10日に1回)/ 電話約10回 / LINEは常時
- 最終結果:当社経由で内定3社・100名規模の人材系ベンチャー企業に承諾
▍支援のはじまり
動いているのに、何も見えてこない。
出会った当初の彼は、まさにそんな状態でした。周りに合わせて説明会に参加し、選考も受け、エージェントもBirthを含めて3社を併用。
志望業界は金融でしたが、理由を聞くと「周りも先輩も金融と言っているから」。行けば行くほど分からなくなっていたときに、広告でBirthを知り、面談のご依頼をいただきました。
▍支援ストーリー
☝️仕事の「正体」を一つずつ明らかにする
分からないのは、知らないから。社会に出たことがない就活生にとって、仕事の中身を想像するのは難しいもの。
メーカーなら身近な商品がありますが、銀行には手に取れる商品がありません。彼もまた、銀行で自分が何をするのかを描けずにいた一人です。
そこでCAは、銀行の仕事を5W1Hに分解するところから始めました。誰を相手に、何を提供し、どうやって利益を生んでいるのか。そして、なぜ社会に必要とされているのか。一つずつ言葉にしながら、本人の得意なことと照らし合わせていきます。
「仕事」が分かった次は、「自分」を知ること。夢中になった経験を言葉にしていくと、「自分で気づいたことを試したい」というチャレンジ精神が見えてきました。大事なのは業界ではなく、挑戦できる会社の規模感。そう気づいた瞬間、スイッチが入りました。
☝️本人の疑問に、企業が直接答えてくれた
決め手は、企業との連携でした。CAが面談で拾った不安や疑問を、企業担当のRAを通じて人事の方へ共有。
人事の方には、通常の選考とは別にイレギュラーで何度も面談の場を設けていただきました。その結果、学生の納得感と入社意向が高まり、承諾につながりました。
☝️売上に直結しない相談ほど、信頼を左右する
「最初は丁寧だったのに、会うたびに企業の話ばかりされる」
エージェントについて、ユーザーからよく聞く悪評のひとつです。入社して初めて売上が立つビジネスモデルゆえに、話が「紹介したい企業」に寄ってしまうことも少なくありません。
だからこそ、自己分析やエントリーシートの添削など、企業紹介に直結しない相談ほど大切にしています。このケースでも、時間をかけたのは自己分析の整理でした。
【ケース2|成功】「就活、気持ちが向かない」学生と歩んだ、8ヶ月・面談33回の長期戦
▍支援データ
- 候補者情報:関西の私立大学(関関同立)・男性
- 支援開始時期 / 支援終了時期:大学3年生の2月〜4年生の10月(約8ヶ月)
- 面談回数 / 連絡頻度:面談33回 / 電話・LINEは説明会や選考のたびに毎回
- 最終結果:当社経由で内定1社・木材系の商社に承諾
▍支援のはじまり
「就活に全然手がつかない友人がいるので、相談に乗ってあげてほしい」
きっかけは、以前Birth経由で内定承諾した学生からの、そんな紹介でした。
3年生の2月。周りが選考に進み始める時期に、彼の就活はまだ何も始まっていませんでした。「やらなきゃとは思うけど、気持ちが向かない」。他のエージェントも使っていない、まさにゼロからのスタートです。
▍支援ストーリー
☝️気持ちが追いつくまで、待つと決めた
就活に前向きになれない学生は、信頼関係を築けばすぐに動き出す、というわけではありません。心の準備が整うまでには時間がかかる。だからCAは、担当した時点で長期戦を覚悟しました。
実際、説明会や面接を欠席してしまうことも、提出物の期限に間に合わないこともありました。そのたびにCAは企業の人事の方に事情を説明し、お詫びをしながら次の機会につなげていきます。
途中で支援を終えるエージェントもある中、Birthは最後まで伴走します。
☝️いきなり「ドンピシャの企業」は当てない
まだ準備が整わないうちに条件の良い企業を受けても、内定にはつながりにくいもの。欠席が続けば、企業との信頼関係にも影響します。
そこでまずは、意向の高さにかかわらず学生を受け入れてくださる企業で、「就活慣れ」をしてもらうところから始めました。
こうした一歩を踏み出せるのも、Birthが日頃から企業と関係を築き、ご理解をいただいているからこそです。
☝️内定は出た。けれど、「就職する意味ってあるんですかね」
当社経由で木材系の商社から内定。
それでも本人は、「就職する意味ってあるんですかね」と悩み続けていました。
CAは承諾を急かさず、伝えたのは回答期限だけ。本人が自分で考える時間を尊重しました。最終的に本人は承諾を選択しました。気持ちが前向きに切り替わったとまでは言えない、そんなケースです。
それでも、働くことに前向きになれない学生を社会のスタートラインに立たせることは、エージェントとして決して欠かしてはいけない仕事だと考えています。
【ケース3|失敗】丁寧に向き合うことは、正解なのか?最終選考4社をすべて辞退された理由
ここまでは当社経由で内定承諾に至ったケースを紹介してきましたが、ここからは承諾に至らなかった(=失敗)ケースを紹介します。
▍支援データ
- 候補者情報:首都圏の私立大学(早慶 / 上智 / ICU)・女性
- 支援開始時期 / 支援終了時期:大学3年生の12月〜3月(約4ヶ月)
- 面談回数 / 連絡頻度:面談約10回(Birthでは少ない方)
- 最終結果:Birth経由の最終選考(4社)をすべて辞退。自己応募の企業へ入社を決めた
▍支援のはじまり
留学から帰国したばかりで、日本の就活の情報はゼロ。
情報を集めるために約10社のエージェントに登録し、初回面談を経て2〜3社に絞り込む。その中から、Birthを選んでいただきました。
理由は、初回は求人を紹介せずに価値観をじっくり聞き、企業の良い面も悪い面も中立に伝えるBirthのスタンスにあったようです。
志望は「社会性が高く、スケールの大きい仕事」。「メーカーや人材は希望しない」など、やりたくないこともはっきりしていました。
▍支援ストーリー
☝️良い面も、悪い面も。中立を貫いた理由
WantもNGも明確な学生ほど、「企業はこう言っていたけれど、実際はどうなのか」を大切にします。自分の判断軸に照らして、納得できるかを確かめたいからです。
CAが意識したのは、業界の現実をありのままに伝えることでした。それはBirth経由で紹介している企業についても同じ。「その仕事に就けるポジションは、現実にはかなり少ない」といった、紹介先にとって都合のよくない話も含めてです。
自社経由の企業にだけ評価を甘くすれば、こうした学生にはすぐに伝わります。対話を重ねる中で、やりたいことは「経営者を支えるコンサルティング」へと明確になっていきました。
📌結末:最後に選ばれたのは、Birthではなかった
ところが、最終的に本人が選んだのは自己応募の企業でした。決め手は、カジュアル面談で出会った人事の方の熱量。そのまま、その1社に入社を決めました。
Birth経由の4社は、最終選考の日程まで決まっていましたが、どの企業も受けることなく辞退に。紹介先の企業にもご迷惑をおかけし、承諾も紹介も生まれなかった、「失敗」のケースです。
🔍振り返り:気を遣いすぎた、その先に
最大の要因は、気を遣いすぎたことだと分析しています。本人に必要だったのは、慎重さよりも「あなたならできる」と背中を押してくれる存在でした。
10社から選ばれた時点では、丁寧な関わり方は間違っていなかったはずです。問題は、就活が進むうちに変わっていったニーズに気づけなかったこと。
慎重に、フラットに。それまでは本人の意思を尊重し、気を遣いながら支援を続けてきました。ところが最後の場面で、急に「1社で決めるのは危ない」と踏み込んだことで、メッセージの一貫性が崩れてしまった。
本人には、「エージェントが自社経由で決めさせたいだけ」と聞こえてしまったのかもしれません。
選ばれ続けることの難しさ。学生がエージェントから離れていくとき
今の学生にとって、複数のエージェントを併用するのは当たり前のこと。CAが最初に向き合う相手は、学生である前に、ライバルのエージェントです。日々の支援でよく起こる離脱には、次のようなパターンがあります。
- 初回面談で、他社エージェントに負ける
- ニーズから外れた企業を紹介する
- 自己応募・他社経由の選考に向き合わない
分かりやすい理由がある離脱ばかりではありません。
信頼してくれていると思っていた学生から、ある日突然連絡が途絶える。理由が分からないまま終わることも、よくある話です。
学生の相談相手は、私たちだけではありません。親や先輩、友人、恋人、ゼミの先生、ふと目にしたニュースやSNSまで。CAからは見えないところで、さまざまな声に影響を受けながら意思決定をしています。
そのためCAに求められるのは、「仲良くなれたから大丈夫」という思い込みではなく、事実ベースで状況に向き合うこと。ケース3のように、丁寧なだけでは選ばれないこともあります。
ニーズの変化を観察し続ける積み重ねが、最後まで選ばれるエージェントにつながります。
誰かの人生の『誕生』を、一緒に支えませんか?
▍それでも、この仕事を続ける理由
大学のキャリアセンターやハローワークと違い、エージェントは学生の就職が売上につながるビジネスです。
責任を負うからこそ、他に頼れる先がない学生にも最後まで本気で向き合える。それがエージェントにしかできない価値です。
意欲の高い学生だけを支援するエージェントも多い中、Birthはその真逆。前向きになれない学生も、やりたいことが分からない学生も、誰一人置いていかない。企業と学生をつなぎ、新しい雇用を生む橋渡しこそが、BirthのCAの仕事です。
▍最後に。この記事を読んでくださったあなたへ
説明会を欠席されることも、丁寧に寄り添っても辞退されることもある。うまくいかないことの方が多い仕事です。
それでも、もう一度学生と向き合いたいと思えるか。そこが大きな分かれ目です。
「この会社に決めました」の裏には、いくつもの悔しさと試行錯誤があります。その一つひとつを積み重ねながら、誰かの人生の第一歩を支えたい。そんな想いを持った方と働けたら嬉しいです。
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