人生の可能性を広げる仕事を紹介したい。だからコンサルとして寄り添い、心通わす。
このストーリーのポイント
- 大手企業でのキャリアに見切りをつけ、スタートアップ企業でのキャリア継続を選択
- 社内初の人材紹介事業をけん引、会社の柱へと育てるため全力傾注
- 豊かな人生構築のサポート役として、さらに経験を積んでいく
前職の大手企業では社会状況の変化もあり意にそぐわない仕事をするリスクがあった。50歳を前に転職したHuman Resource Designは、経歴をフル活用できるミッションに従事。フルリモートという働き方の中で、「人生に寄り添う」人材紹介事業を軌道に乗せるべく奮闘している。
PROFILE:鳥居丈人
中途入社/人材紹介事業部 ディレクター コンサルタント
子どものころから格闘技やプロレス好きで、大学まで合気道に取り組んだ。近所にジムができたことを契機に、昨年から柔術に挑戦。まだ「柔術をやってるというより、やられているレベル」と笑うが、仕事関係ではない幅広い世代とのコミュニケーションが大きな楽しみだそう。
就職・転職の相談を通し人の役に立つ感覚経験
「人と関わる仕事がしたい」。その思いは昔も今も変わらない。大学卒業後、人材派遣や専門学校を運営する大手企業に入社したところから、誰かのキャリアと向き合う人生は始まった。
「最初の4年間は人材派遣の営業で、その後は専門学校での進路指導や、社会人で資格取得や転職を目指している人を対象に就職アドバイザー、カウンセラーをやりました。この仕事が自分の中で『はまった感覚』がありました。単に仕事を紹介するというのではなく、これまで積み上げたキャリアはどんなもので、よりよく生きるために次はどんなキャリアが望ましいのかを一緒に考えました。仕事という切り口で相談者の長い人生や暮らしが充実するようにサポートできることに、やりがいを感じていました」
在職中5000人との面談をこなし、その1割にあたる500人超の就職・転職支援を実現。キャリアコンサルタントの国家資格も取得した。支援が誰かの役に立ち、喜びを感じられる仕事であることを実感した日々だった。
「東日本にある10校程度の校舎を訪問して就職相談を行っていた時期がありました。ある校舎の日本語教師の養成講座に60代の女性の方がいらっしゃいました。結婚されて家庭に入ったんだけど、まだまだ元気だし社会と接していたいと学んでいたのです。ご本人は教師の経験がありませんでしたが、非常勤の日本語教師の職に就かれ、後に頑張ってやっていますという連絡もいただきました。時間やお金を費やして努力され、その結果新しいキャリアに踏み出していかれる姿をずっと見ることができました。本当にうれしい気持ちになったことを覚えています」
50代を前に退職、新たな環境で人材紹介部署の設立に参画
「はまった仕事」と言えるほど充実していた会社生活だが、50歳を前に転職の決断を下す。きっかけはコロナだった。
「退職する直前の3年間は外国人留学生の就職指導を行っていました。ところがコロナで入学者がまったくいなくなる状況になりました。入学者がいなければ就職指導もできません。もとの状態に戻るまで我慢するか、思い切って別の仕事をするか。考え抜いた末、我慢する必要はないかなと。やりたいことと、できることが重なる仕事を探そうという結論に落ち着きました」
とはいえ家族を抱え、24年にわたるキャリアを変えるのは、相当思い切った決断だ。しかも転職先は大手だった前職とは異なるスタートアップ企業である。
「簡単な決断ではなかったしリスキーだったとは思います。でも前の会社に残って意にそぐわない仕事で何年か過ごすよりはベターな選択であろうと考えたので。就職活動を始めたら、たまたまHuman Resource Designの求人が見つかってエントリー。どうせ仕事を変えるなら、環境も変えたいという思いが強くありました。会社からのレスポンスも速く、自身のやりたいこととも重なりスムーズに話が進みました」
違う環境という希望に加え、キャリアを生かせる新たな組織に必要とされたことも大きかった。
「仕事の内容が人材紹介部門の立ち上げだったので、スタートアップという新たな職場でゼロから新しい仕事ができるのは面白そう、魅力的と感じました。キャリアコンサルタントの資格や積み上げたキャリア、経験値も活用できますし」
「for you」を心がけコミュニケーション大事に
一般にスタートアップ企業は社員の年齢層が若く、ミドルシニア以降の世代が壁を感じる点でもある。しかし、Human Resource Designの壁を感じさせない働き方が、新たなキャリアをスムーズに始められたポイントだろう。
「会社は変わりましたが、“人と人の仕事”という点ではやることに変わりありません。ただ、イエスノーなど意思決定にスピード感があり、コミュニケーションや決済を含めスピードはめちゃめちゃ速いです。コロナ前からテレワークが導入されているので、私自身入社してから100%テレワークで働いています。さらに言えば、新しい人材紹介部門は同僚とチームを作って進めるようなものではなく、私1人で全部やっているので会社に行ったことがありません。社長ともリアルではまだお会いしていません(笑)」
Human Resource Design自体が企業の採用支援を行っており、関わりのある企業を通して人材紹介の案件を効率的に増やしていけることはメリットだ。もちろん、「新興」ゆえの苦労もある。
「会社は取引先企業の採用活動をトータルで支援するサービスをしています。新卒採用や中途採用に加え、人材紹介部分を新たな事業として担っていきたいと考えています。取引先は大手企業が多く、求人を紹介されますので件数は豊富にあります。具体的な業務の流れは、さまざまな媒体に求人を出して、スカウトをかけて、応募があったら面談をして求人を紹介しています。面談は月に30~40件くらいでしょうか。成約目標もあるのですが、まだまだ達していないですね」
「面談する方からすれば、Human Resource Designはどういう会社なのかと疑問に思っていると思うんですよ。人材エージェントとしてはまだ世の中に浸透していないので。例えば同じ求人でも名前を知っているエージェントから紹介されたら、そちらを当然選ぶでしょう」
ある日突然知名度が上がる魔法などない。できることは、これまで実践してきたスタンスで、愚直に面談者と向き合うだけだ。単純に仕事と人をマッチングさせるだけではないという、ぶれないスタンス。
「『For you』とでも言うんでしょうか。あなたのために良い仕事を見つけ、良い生活が送れるようにしていきましょう、そんな求人をどれだけ紹介できるかです。例えば、面談する人は求人を見て応募してくること人が多いので、面談で当然候補者の方はその仕事を紹介してくださいと言ってきます。いうのが当然です。ただ、面談をしていく中で、それよりふさわしい求人があればどうでしょうと提案する。本人の可能性を広げてあげられるような求人の紹介を最も心がけています」
「これは相手が納得して心開いてもらえないと、こちらの提案を聞き入れてもらえません。面談の中でどれだけしっかりコミュニケーションとって理解し合えるかにかかっていますね」
一人一人へのコンサルに自分の成長を重ねて
人材紹介事業を立ち上げて1年。Human Resource Designの経営に貢献できる事業づくりは、まだ道半ばだ。
「本当にまだまだ。これからです。入社時に社長から『人材紹介に関してはすべてbetしているから』と期待をかけられました。候補者に合った求人を一人一人しっかり決めていき、業務内容も売り上げもHuman Resource Designの柱の一つになるようにしたいですね」
「キャリアコンサルタントとして前職でも今の立場でも、社会人や外国人など幅広い業種や職種に対応してきました。その経験が今の自分を作っていると感じています。もっと多くのコンサルティングを行い、より多くの人のサポートがしたいと望んでいます。また、サポートができる人を増やす取り組みも考えていきたいと思っています」
豊かなキャリアや人生を模索する人が訪ねてくる。隣には伴走し、先々を見据えて一緒に考えてくれる頼もしい存在がいる。目指しているのはそんな場所だ。