「正解もない。前例もない。だから、面白い──」
2025年、年商100億円のD2Cブランド「BELMISE」を運営するファストノットが仕掛けた新規事業「BRAND CREW」。なぜ今、D2C企業が「マーケター×人材」事業に参入したのか。そして、臨床検査技師から転身した秘書が、わずか半年で事業推進責任者になった理由とは。
新規事業の立ち上げは、外から見れば華やかに映る。しかし実際は、正解もマニュアルも前例もない混沌の連続だ。営業資料もない、業務フローもない、顧客リストもない。そんなゼロの状態から、どうやって事業を形にしていったのか。
代表・齊藤駿と、秘書から事業推進責任者になった青山千夏が、普段は語られない新規事業立ち上げの裏側と、ファストノットが目指す壮大な未来構想を語る。
代表取締役:齊藤駿
秘書兼BRAND CREW事業推進責任者:青山千夏
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「事務で応募したのに、秘書になってた」── 異色の出会い
──青山さんは臨床検査技師からの転職という、かなり異色の経歴ですよね。
青山: はい、新卒から4年弱、総合病院で臨床検査技師として働いていました。血液検査とかをメインに扱いながら、病院の業務改善プロジェクトにも関わっていて。そこでデータ分析をしていたんですけど、「どうせなら売上がかかるようなデータ分析がしたいな」と思って、転職を決めました。
齊藤: 最初の面談のこと、よく覚えてるんですよ。話してて「この人、知的だな」って思った。受け答えも早いし、頭の回転も速い。
──ファストノットを選んだ理由は?
青山: マーケティング業界に興味があって、代理店とかもいろいろ見てたんですけど、商品ができる過程にも興味があったので、自社商品を持っている会社を探していました。美容系とかアパレル系で探してて、求人サイトでたまたま見つけて。Wantedlyの記事がすごく面白かったんですよ。
齊藤: どの記事読んだの?
青山: 成松さんとの対談です。「やる気ある人だけ来てくれればいい」「稼ぎたい人が来てくれる」みたいな内容で。目標は高い方がいいよね、100%じゃなくて2倍3倍を目指してっていう。
齊藤: さすが、気合入ってるね(笑)
青山: 気合入ってますよ(笑)。でも実は、最初は事務職で応募してたんです。
齊藤: そうそう。マーケ職も事務職も「未経験OK」って書いてあったんだけど、当時うちに事務っていなかったんだよね。
青山: 最初の面談で「事務いないんだけど」って言われて(笑)。全員が全員で回してるって。
齊藤: でも最後に僕が話してて、「知的だな、相性も良さそうだな」と思ったんで、「秘書どう?」って。
青山: 条件面談のときに急に言われました。正直、あんまりイメージが湧かなくて。一般的な秘書って、絶対私のキャラじゃないんで。「何やるんですか?」って聞いたんですよ。
齊藤: そしたら「意思決定に近いところでいろいろ見れるなら面白そう」って返ってきて。事務で応募して頼まれたことをやるより、いろんな勉強ができるかなって。その返しがまた良かったんだよね。
3ヶ月間、全ミーティングに参加。「必死すぎて、つまらないって感情すら出なかった」
──入社後、最初に何をしましたか?
齊藤: 最初の3ヶ月は、全事業部のミーティングに全部出てもらいました。D2C、広告運用、CRM、モール運営。とにかく全部。専門用語も理解してないと会話成り立たないじゃないですか。だから議事録取りながら、分かんない用語を単語帳にしていくっていうアクションをしてもらって。
青山: CVR、CPA、LTV、ROAS…全く分からなかったです。ノートに書き出して、夜に一つずつ調べる日々でした。
齊藤: 最初、絶対つまんないでしょ?
青山: 必死すぎて、つまらないって感情がまだ出てなかったです!
齊藤: 「まだ」って、出たの?(笑)
青山: (笑)。でも3ヶ月経った頃、急に視界が開けたんです。点と点が線になって。「このCPA改善施策は、こっちのLTV向上に繋がるんだ」とか、「この広告予算の配分は、在庫回転率を考慮してるんだ」とか。突然、全てが繋がって理解できるようになった瞬間がありました。
齊藤: 「CVRの数式出して」って言ったら、「クリックと購入だからコンバージョンの割り算ですよね」ってすぐ返ってくるようになって。「もう要領分かってきたな、やらなくていいよ」って。
──3ヶ月で全体像を把握するのは、かなり早いのでは?
青山: いろんな人に協力してもらいました。「こういうサイトにマーケ用語まとまってるよ」とか教えてもらって、インプットの手段が結構いろいろあったので。
齊藤: あれ、みんなやった方がいいかもね。なんでやらないんだろうね。
もしあのオンボーディングやってなかったら、青山は多分ずーっと一人ぼっちで、「しゅんさん忙しそうだな、日程調整だけしとこう」みたいな感じで終わってたと思う。事業の全体像が見えてるからこそ、「BRAND CREW、やってみない?」って声をかけられたわけで。
青山: 確かに、あれがなかったら全然違うキャリアになってたと思います。
齊藤: よく生き残ったよね(笑)
青山: 何度か心折れかけましたけどね...笑
「日本の国力を上げたい」── BRAND CREW誕生の背景
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──BRAND CREWはどういう課題意識から生まれた事業なんですか?
齊藤: もともと僕の方で人材系の事業はやりたかったんですよ。需要がめちゃくちゃあるっていうのと、AIもどんどん生活に入ってきて「人がいらなくなる」みたいな世界線の先って、逆に人を抱えてる人の方が強いと思ったんで。人材系で人を常に集められる状態を持っておこうって考えたのが一つ。
あと、自分たちがマーケティングで商品を販売してきたノウハウ自体が、そもそも価値があるものだよねって思ってて。それをフリーランスを集めることによって、BPO的な感じで企業のマーケティング設計にがっつり入っていくこともできると思った。リソースさえあればアクションはほとんど取れるなって。
──具体的にはどんなモデルですか?
齊藤: 今の現状、ウェブ広告の獲得CPAってめちゃくちゃ上がってるじゃないですか。その中で代理店さんに20%支払いするっていうのが、結構無理ゲーになってきてて。アメリカとかだともう全部インハウス化されてるんですよ。日本も今、インハウスになっていく方向性が強いじゃないですか。
そうなった時に、例えば「広告運用する若手が2人います、めっちゃ頑張ってやります、でもやったことないんでやり方分かんないです」みたいな会社があったとして。そこに運用できる人を差し込んで、プロジェクトのPMやってもらって、分析の仕方とかクリエイティブの作り方とかを指示するだけで、インハウスチームできるじゃないですか。
レバレジーズさんがエンジニアでやってるようなモデルを、マーケターでやろうと思ってる感じですね。
青山: 一方で、フリーランスのマーケターは増えているけど、継続的な案件獲得に苦労している方も多いんです。毎月50名以上面談していると、その課題を肌で感じます。
齊藤: しかも、うちにはD2Cで月商数億円のブランドを運営してきた実績がある。この4年で一気に成長してきたわけです:
- 2020年: 年商3億円
- 2021年: 年商30億円
- 2022年: 年商40億円
- 2023年: 年商100億円
この実績が、BRAND CREWの一番の武器になってます。
──最終的に目指しているのは?
齊藤: この事業が広がっていって、地方のフリーランスの方ともつながっていった時に、地方の事業承継で困っている会社さんってあるじゃないですか。例えばホテル事業とか。そういう会社を買収しちゃって、マーケティングとDX化でめちゃくちゃ収益化して、また別の方に売るっていうことがめっちゃできるなと思ってて。
ベースで考えてるのは、ずっと「日本の国力を上げたい」ってことで。事業承継とかDX化があまり進んでない企業って、地方を見るとめちゃくちゃあるんですよ。すごいいいものもあるのに、トレンドの集客方法が分かってないだけっていう。そこに入って数字がガーンって伸びたら、みんな喜んでくれるし。国力を上げたいっていうのがテーマとしてありますね。
青山: その話、私も一対一じゃないですけど、いろんなミーティングに一緒に出てる時に聞いてました。学校作りたいって話とか。
齊藤: そう、学校も作りたいんですよ。国力を上げたくて。
「顧客システムの不具合でフローがストップ」── 新規事業の洗礼
──立ち上げ当初は、どんな状況でしたか?
青山: 本当に何もありませんでした。法人向けの提案資料、フリーランス向けの説明資料、業務フロー、契約書のテンプレート。全てゼロから作る必要がありました。
齊藤: 本当に何もなかったよね(笑)。しかも全部同時並行でやらないといけない。法人開拓しながら、フリーランスのネットワークも構築する。
青山: 最初の2週間は、朝から晩まで資料作成。提案資料のデザイン、サービス設計、料金体系、契約フロー。全部自分で調べながら作りました。3週目からは、1日20人のマーケターと面談した日もありました。
齊藤: で、めっちゃ事故ったんだよね(笑)
青山: はい…。広告を回して、マーケターさんの集客をして、その情報を集めていたシステムの不具合が起こってしまって。
齊藤: 承認対応とかせずに、スピード重視で「とにかく広告回すぞ」でスタートしたんで、突然のストップで情報が参照できなくなっちゃって。連絡手段がなくなってしまったんですよ。
青山: 面談した方に関しては別でメールアドレスをいただいてたので、それで一人一人連絡していって。テンプレートは使わず、全員に個別メッセージを送りました。
齊藤: イレギュラーが起こって、せっかく1週間かけてやったアウトプットが全部消えるとか、新規事業だといくらでも起こるんですよね。
青山: 正直、当時は「なんで私がこんな目に…」と思いましたよ(笑)。でも今振り返ると、あの経験があったからこそ、マーケターの皆さんとの信頼関係が深まったんだと思います。「あの時、個別に連絡してくれて嬉しかった」って言ってくださる方も多くて。
齊藤: あのときの青山の動きを見て、「この人は本物だな」って思ったんですよ。
青山: え、初めて聞きました(笑)
齊藤: 言ってなかったっけ(笑)
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「目の前の担当者を、絶対に出世させる」── 法人営業の哲学
──法人営業で意識していることは?
齊藤: 僕の価値観になっちゃうんですけど、目の前の担当の方を絶対出世させるっていうのが、基本営業やってた時からのモットーなんですよ。なので、評価制度とか、組織図と組織の在り方とか、意思決定者が誰かとか、全部ヒアリングするっていうのを心がけてますね。
基本的には、会社が求めているものから逆算してKPIができるはずなんで。今の会社から降りている課題と、なぜそれが降りてきているのか、どういう目標があって、なんでその課題に当たっていて、そういうKPIになっているのか。それをがっつりヒアリングして、向こうのスタッフさんぐらい「なるほど、そういうことか」って理解してから提案するようにしてる。
本質的に「これやったら数字上がるよね」っていう仮説のもとに提案するっていうのは、もうずっと心がけてますね。
青山: 私たちは「人材を紹介して終わり」じゃなく、「担当者が社内で評価される仕組み」まで作るんです。
齊藤: 代理店は自分たちの売上を守りたいから、内製化なんて絶対に提案しないじゃないですか。でも我々は、クライアントの成長が最優先。極端な話、クライアントが完全に内製化できて、我々が不要になるのが理想なんですよ。
「条件は5分、残りは全部その人を知る時間」── 青山流・面談術
──青山さんは毎月50名以上のフリーランスと面談しているそうですが、どんなことを聞いているんですか?
青山: マーケターの方って個人でやられている方が多いので、大きな課題感というよりは、その人をどれだけ知れるかっていう。面談時間が30分しかないので、条件確認は5分程度。残りは全部、悩みとか、どうなりたいかとか、どういう案件があったら嬉しいかみたいなのを聞いてます。
お金とか報酬とか稼働条件とかのベースじゃなくて、その根本みたいなところを長い時間かけて聞くようにしています。条件はチャットでもやり取りできるので。
齊藤: 最初は「もっとスキル聞いた方がいいんじゃない?」って思ってたんですよ。でも、青山のマッチング精度を見て考えが変わった。
青山: 「何ができるか」より「何がしたいか」「どう成長したいか」の方が大事だと思っていて。案件を通じてスキルアップしたい人には教育要素のある案件を、独立を考えている人には事業責任を持てる案件を提案します。
齊藤: そういうマッチングができるのは、青山が「人」を見てるからなんだよね。スキルシートだけじゃ絶対に分からないことだから。
青山: 私も医療業界からスタートアップに転職するとき、本当に不安だったんです。「自分のスキルが通用するのか」「馴染めるのか」と。だから、キャリアチェンジを考えている方の不安や葛藤は、痛いほど分かる。その経験があるからこそ、その人に合った環境を本気で探そうと思えるんだと思います。
「自分で意思決定して、ゼロイチやっていいんだ」── 求める人材像
──どんな人材がファストノットに向いていますか?
齊藤: 思考して考えて、自発的に行動できるっていう人はめちゃくちゃ合ってると思っていて。意思決定が僕の近いところにあるんで、何か稟議上げてとかないんですよ。チャットの返信が遅いくらいで、それ以外は基本的に早い。
何が言いたいかっていうと、普通だとあんまり経験できないような事業の立ち上げもそうだし、「ここまで自分で意思決定して、ここまで思考して、ゼロイチやっていいんだ」みたいな環境を求めてる人にはめちゃくちゃ最適かなと思います。
青山: 私も「とりあえずホームページ作ってみました」とか、事後報告も全然あるんですよ。自分から動ける人、自走できる人じゃないと、指示待ってると何もやらない時間が増えちゃうと思っていて。
齊藤: うちは社員26名で年商100億円。一人当たり約3.8億円の生産性です。この数字は、一人一人に大きな裁量があるから出せてるわけで。裏を返せば責任も重い。でも、その分成長スピードも速いんですよ。青山みたいに、半年で事業推進責任者になれる環境って、他にはなかなかないんじゃないかと思ってます。
──青山さんの次の挑戦は?
青山: 実はもう一つ新規事業を立ち上げたいと思っています。BRAND CREWでゼロイチの経験を積んだので、次は自分主導で事業を作りたい。何が必要とか、こう動かなきゃいけないみたいなのも見てきたんで、それが楽しいんです。
齊藤: 楽しいんだ(笑)。その挑戦、全力でサポートしますよ。
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「本気で来てくれるなら、僕も本気でやる」── 求職者へのメッセージ
齊藤: 新規事業の立ち上げは、正直キツいです。答えがない、前例がない、保証もない。
でも、だからこそ面白いんですよ。
本気で来てくれるんだったら僕も本気でやるんで。基本今うちの会社のメンバー全員の社会価値を上げるっていうのが、僕のテーマの一つなんですよ。なので、本気で来て、本気でアクションしてくれるんだったら、僕の知ってることだったりとか、僕のできる範囲とか考え方は全部落とし込む。それが多分、その人にとっての価値になるかなって思ってるんで。それは約束します。
青山: 私のように未経験でも、本気があれば必ず成長できる環境です。
直接会話するっていうことに抵抗がない人がいいなと思っていて。チャットで済んじゃうことは済んじゃうんですけど、対面のコミュニケーション能力とか、人に何かを伝えるっていうところを大事にできる人。
私は臨床検査技師から秘書になり、半年で事業推進責任者になりました。次は、新しい事業を立ち上げる。1年前の自分では想像もできなかったキャリアを、今歩んでいます。
新規事業の混沌を楽しめる方、本気で「何者か」になりたい方、お待ちしています。
BRAND CREW事業
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