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Appleでの勤務8年間で感じた社風、文化、そして起業のきっかけとは?

 はじめまして、サラドというBtoBサラダデリバリーサービスの会社の代表をやっています細井といいます。この会社を創業するまで私はAppleで社会人生活を送っており、そこでの体験が今のサービス作りに生きています。
 なので今回は、基本的に情報を閉ざしているAppleの雰囲気や社風、そして文化について僕がいた頃(2008年~2016年)の情報をもとに記述します。(当然お話し出来ないところもあるので、その辺りは浅く触れる程度で。)

◇採用経路

 僕が新卒で入った2008年頃の前後数年間は新卒採用をしていました。(2019年3月現在Appleジャパンは新卒採用を行なっておらす、中途採用のみを行なっている模様です。)僕は当時サンノゼの州立大学に通っていて、登録していたエージェンシーから「クパチーノ近いですし、受けてみたらどうですか?」というゆるいおすすめで日本に1週間だけ面接を受けに帰ってきて、SPIとグループワークを受けた二日後くらいにConsumer Marketの部長(元P&G)と社長(元Oracle)の面接を受けて、そのまま通った感じでした。今Appleに移りたい方はLinkedinかエージェントを使って転職しましょう。

◇iPhone release前夜のAppleの雰囲気

 新卒採用をしていた時の日本法人の代表は日本オラクルで役員などを務められた日本の方で、意外かもしれませんが、ガッチリとスーツネクタイを着用すること!というルールが始まったりと最近の気さくな外資系の雰囲気はほとんどありませんでした。同期は40人くらい、新卒研修の時などは結構同期間の競争を煽られる感じはありました。が、今でも仲良いです。Appleを辞めた後は本当にいろんな業界に移っていて、IT企業はもちろん、製薬会社や出版業界、メーカーに行った方やコンサルや金融など。本当に幅が広いです。

 入社タイミングはiPhoneが日本で発売される前だったこともあり、Macのシェア10%必達!みたいな事がまだ社内で言われていた時代で、それから来る怒涛の黒船iPhoneの影響は知る由もなかったですね。iPhone人気のハロー効果でMacの売り上げも右肩上がりに伸びるなんて夢にも思わなかった。当時は物理キーボード無しで文章打つなんてあり得なかったんですから。懐疑的な人が多かったです。徐々にアプリが増え、スマホでPCとのメールの対応もしっかりと出来るようになってきて、その後の躍進は皆さんご存知の通り。元上司が「iPhoneって凄いよね。外出中Macがなくても仕事出来るからね。」と言っていたのが懐かしいです。

◇Apple流価値の出し方と多様性

 2012年頃に代表が米国本社の方に代わり、このタイミングでグイッと外資系の雰囲気に一転します。象徴的なのは、「スーツはMacを売るのか?」という一文は当時の代表が社内向けプレゼンで打ち出していたスーツ着用しない方針について説明する際に使っていた表現です。スーツは一切Macを売ってくれないよね。見てくれに拘らず自分たちの知識と話術と提案力でしっかりお客様納得してもらいましょうね。言ってる事が真っ当ならジーンズとティーシャツで売れるでしょうと。実際服装規定は本当にゆるくてキャップを被っている人や、ハーフパンツを履いている人もいたり、自由でした。この頃に服装は本質的な問題ではないと確信するようになりました。この辺りはAppleが重要視する多様性の考え方も根底にあるはず。

 Appleは現CEOのTimも自身のセクシャリティについてカミングアウトしていますし、丁寧に多様性の重要性や意義についてのページを作って説明しています。「社会の流れに沿って多様性について語る」のではなく、オリジナリティを持って、多様性の重要性を理解していて、社外の人にそれを理解してもらという使命感を感じます。

「Diverse teams make innovation possible.」のメッセージについてはこちらからどうぞ。

Humanity is plural, not singular. The best way the world works is everybody in. Nobody out.
"人間性というのは複数であり、単数ではありません。世界が機能する最善の方法は、すべての人が参加することであって、誰かが外されるという事ではありません。"
Inclusion & Diversity
At Apple, inclusion and diversity means bringing everybody in. We welcome all voices and all beliefs. We're proud to hire and support U.S. veterans. Through their experiences, they bring leadership, technical skills, and a spirit of collaboration to Apple
https://www.apple.com/diversity/


◇組織運営/社内営業の要点

 某有名戦略コンサル出身の日本法人代表は流石の人物で、社内の人心掌握術に長けていた記憶があります。頭がキレるのは当然のこと、現場の販売スタッフとのコミュニケーションも直接間接混ぜ合わせて積極的にとっていたり、米国本社とのコミュニケーションも上手くいっていて、今では本社に栄転しています。時には量販店経営陣とのミーティングに足を運んで、外人のエライ社長連れて来ました的な感じで担当営業の顔を立てつつ、Appleノガイジンノエライヤツキタと量販店経営陣をビビらせては交渉を優位に進めさせてあげようという意図を感じました。Appleの米国本社は本当に無茶を言いますからね。日本法人は板挟みです。笑

 また、日本法人のファイナンスのトップとも非常に密にコミュニケーションしていたことが印象深くて、以前たまたまカフェでファイナンスのトップと休日にも関わらず犬を連れて話をしてる光景を見かけました。もちろん話の内容に触れることは出来ませんが、組織運営に於いて営業とファイナンスのパイプはかなり重要なんだね、と感じたことを忘れません。
(注:日本法人の代表は営業のトップなのです。)

◇Appleで学んだ何よりも大切な事

 Appleにおける最優先事項は顧客体験でした。常にミーティングでもこの会話が飛び交っていました。2010年頃のApple Japanですらも。Customer Experienceについては97年の時点でもスティーブが熱く語っています。特に気になる発言を下にいくつかまとめます。

*細井の拙い翻訳とGoogle翻訳のハイブリッド意訳付きです。

-「You've got to start with the customer experience and work backwards to the technology.」
カスタマーエクスペリエンスから始めないといけない。それから逆にテクノロジーに取り組んでいかないといけない。

- 「We’ve tried to come up with a strategy in a vision for Apple. It started with what incredible benefits can we give to the customer.」
私たちはAppleのビジョンにおいての戦略を考え出そうとしてきました。それは私たちがどんな考えられないような利益を顧客に与えることができるか?から始まりました。

- 「Not starting with let’s sit down with the engineers and figure out what awesome technology we have and the how are we going to market that.」
エンジニアと一緒に座って、私たちが持っている素晴らしいテクノロジーを見つけ出して、どうやってこれを市場に出していくかについて話し合ってはいけない。

 このスティーブのDNAはしっかりと受け継がれていて、20年後に日本ブランチのセールスチームで熱く議論されているなんていうことはスティーブは勿論知りません。僕が尊敬する当時のボスやチームメンバーもこれを本気で重要視していました。みんな真面目で、崇高です。チームメンバーには尊敬出来る人が多かったです。

◇カスタマーエクスペリエンス重視の売場づくり/接客

 カスタマーエクスペリエンスでも特に印象深かったのが売場づくりと接客です。売場づくりの拘泥っぷりはプロダクトに対するそれと全く変わらず。例えば、製品のケーブル類が顧客にケーブルが極力目に入らないような売場のデザインがされていたり、商品間の距離がミリ単位で設定されていたり。これらは全て顧客がより良い環境で商品を試せるようにデザインされたものでした。売り場に来たお客様が先ず商品に手を触れる流れを作ること。Apple productの横にあるPOPの情報量が少なくて、印象が薄いのもこのため。

 接客についてもよく考えられていました。例えば接客時に重要なのは商品に触れてもらうこと。そして、iPhone/Macを使うとどれだけ生活が良くなるかを実感してもらうこと。ですから、頭から商品のスペックや値段の話、キャンペーンについて話し始めるのはご法度で、とにかく触ってもらって、出来る事を体感して頂く。売場づくりから接客まで、ただただ徹底して、一貫性を持って。

サラドは『志を持って働く方々をサポートします』

何でこんな良い会社を辞めて起業をしたのか? 
 そんなこんなで8年勤めたAppleを辞めて始めたのがB2Bサラダデリバリーサービスです。サービスを立ち上げたキッカケは、僕の4つ年上で36歳の同僚が狭心症という病気になり生死をさまよったこと。ラガーマンだったその同僚はタフなタイプだと思っていたのですが、人間の脆さを感じました。これをきっかけに食と健康に興味を持ち研究するようになりました。ひとりでも多くの人の健康に働く一助になろうと。

 上記のパーソナルなきっかけに加えて、当時勤めていた六本木ヒルズでも感じていた食に関する不便さ。ご飯を食べに行くことの時間的/金銭的コスト、理想的な選択肢が無いことをあの様な素敵な施設でも常々感じていました。六本木ヒルズでこの様に感じるのであれば日本中で同様の課題があるんじゃないかと思う様になり、はじめたのがサラドです。法人を対象にサラダを定期配送し、企業補助を付与していただくことでハイクオリティなサラダを安価に社員さんにご購入いただけるようにしました。


 労働人口が減っていく日本において、一人当たりの労働負荷は高まります。30年後には10人でしている仕事を7人でこなす必要があると言われています。ここに向けてサスティナブルに、生産性高く働ける様な労働環境を作っていく必要があることは明白です。そして、所得による食事内容の格差、健康状態の格差の是正もサラドのビジネスモデルによる改善を目指しています。サラドはここに寄与したいと思っています。

 会社を辞めて強く感じたのは、当然なんですが外の世界にも尊敬できたり魅力的な方々が沢山いらっしゃいます。年齢問わず様々な方が素晴らしい志を掲げて本気で働いている。この方々が健康とかの理由で倒れたら日本にとってマイナスになってしまう!と強く思います。そんな方々により良い食事の選択肢を用意する事で志高く頑張る皆さんを陰ながらサポートしていきます。

 これまで人は自分のスキルアップには投資をしてきました。そして、働いている事こそが自分の仕事の結果に繋がると考えてきました。しかしその反動での過労や精神病などの問題も増加。 そこで例えばGoogleのマインドフルネスの取組クレイジーウェディングの睡眠報酬制度など「働いていない時間を重要視」する企業が増え始めています。

 サラドは事業を通して、働いていない時間の価値創造をしていきたいと考えています。働いていない時間のデザインの仕方で、働いている時の質と量を良い方向に導けると信じています。

 100の価値を出すために、100労働をするのではなくて、100の価値を出すために、80の労働とそれを最大化するための20の労働以外の時間の使い方について考える。

これが今サラドが考えている働き方です。
サラドのサラダは志を持って働く方々をサポートする食事です。頑張っている人たちがしっかりと頑張れる体作りを、陰ながら支える、そんなサラダを提供します。

最後にチームの紹介です!サラドには現在兼業でサポートしてくれている方が多く関わっています。
経験豊富で優秀な方が多くいますので、良い成長の機会にもなると思いますよ!

長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!
一緒に世界をさらに良くしていきましょう!

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