株式会社Arkth代表の新屋です。
私は工業高校の情報技術科でプログラミングを学び、大学では画像認識や機械学習の研究に取り組んでいました。その後、IT企業での開発やマネジメントを経験し、現在はArkthを経営しながら、今も現役のエンジニアとしてお客様のプロジェクトに関わっています。
以前、Wantedlyで「エンジニアもビジネスパーソンだ。価値は課題解決にある」という記事を書きました。
今回は、その考え方について、もう少し具体的にお話ししたいと思います。
日々、お客様からさまざまなご相談をいただき、技術的な課題への対応や、プロジェクトの進め方、メンバーのアサインなどを考えています。
そうした仕事をしていると、技術的に優れた方法が、必ずしもお客様にとって最適な方法とは限らないと感じることがあります。
予算や時間、確保できる人材には限りがあります。その中で何を優先し、どんな方法を選ぶべきなのか。
私は、こうした判断をするためのビジネス感覚も、エンジニアには当たり前に必要だと思っています。
そしてArkthでは、そうした力を身につけてもらうために、実際の仕事の中で少しずつ任せる範囲を広げています。
技術的に優れていることと、最適な選択であることは違う
例えば、システムを開発するとき、予算も時間も人材も無制限に使えるとしたらどうでしょうか。
極端な話、すべてをアセンブリ言語で徹底的に最適化して、ビルを丸ごと借り切り、自分たちだけの巨大なデータセンターを作ることだって考えられます。もちろん、それが本当に優れた構成になるとは限りませんが、制約がなければ選択肢はいくらでも広がります。
でも、現実の仕事はそうではありません。
予算にも、時間にも、確保できる人材にも限りがあります。開発だけでなく、その後の運用や保守にも費用がかかりますし、お客様の事業や組織の事情によって、選べる技術や構成も変わってきます。
どれだけ技術的に優れた仕組みでも、予算に収まらなければ採用できません。最高の性能を実現できても、その性能がお客様のビジネスに必要なければ、過剰な投資になってしまいます。
一方で、目先の開発費用だけを抑えた結果、将来の運用負担やセキュリティリスクが大きくなってしまうこともあります。
大切なのは、限られた予算や時間、人材の中で、お客様のビジネスにとって最適な判断をすることです。
そのためには、技術だけでなく、お客様の事業や予算、優先順位、投資対効果といったことにも関心を持つ必要があります。
そうした背景を理解していれば、「この技術が優れています」という説明だけでなく、「今回の目的と予算であれば、この方法が適切です」「今はここまで対応し、次の段階で改善しましょう」といった現実的な提案ができるようになります。
ビジネスを理解することは、エンジニアリングの専門性を薄めることではなく、より適切な技術判断をするために必要なことだと思っています。
生成AIによって、これまで見過ごされてきた課題にも向き合えるようになる
生成AIによって、ソフトウェア開発の進め方は大きく変わり始めています。
これまでは、既存システムの解析に何週間もかかる、大規模な改修には膨大な工数が必要になる、といった理由で、問題があることはわかっていても手をつけられないケースがありました。
ところが今は、AIを使って既存コードを解析したり、改修案を検討したり、テストを生成したりすることが、以前よりずっと容易になっています。
そうなると、これまで見過ごされてきた問題も、少しずつ顕在化してきます。
セキュリティ上の問題、複雑になりすぎたシステム構成、誰も全体を理解できなくなった業務システム、長年先送りされてきた技術的負債。
AIによって新たに生まれる問題もあります。実装が速くなれば、レビューや品質管理が追いつかなくなる。大量にコードを生成できるからこそ、安全に運用するための仕組みが必要になります。
私は、生成AIによって従来の開発作業に必要な工数は減っていくと考えています。一方で、これまで取り組めなかった課題に向き合える機会も増えていくはずです。
ただし、問題が見つかったからといって、すべて解決すればよいわけではありません。
技術的には直した方がよい問題でも、お客様の事業状況によっては、今すぐ取り組むべきではないこともあります。一方で、今は問題なく動いているように見えても、将来的な障害やセキュリティ事故につながるのであれば、優先して対応すべきかもしれません。
だからこそ、エンジニアには、単に技術的な問題を発見するだけでなく、その問題がビジネスにどのような影響を与えるのかを考え、お客様と一緒に優先順位を決め、解決まで進めていく力が必要だと思っています。
一つの課題を解決すれば、また別の課題が見えてくる。そうやって継続的に改善を重ね、お客様のビジネスと一緒に成長していく。
これが、私たちの考えるエンジニアの仕事です。
Arkthでは、仕事の範囲を少しずつ広げています
では、そうした力をどう身につけるのか。
私たちは、特別な研修だけで身につくものではなく、実際の仕事を通じて経験を積んでいくことが大切だと考えています。
Arkthでは、開発を担当しているメンバーにも、少しずつお客様への説明を任せるようにしています。
自分が作ったものについて、なぜその設計にしたのか、どんなメリットやリスクがあるのかを、自分の言葉で説明してもらう。慣れてきたら、お客様との打ち合わせを進行したり、要件を整理したり、改善案を提案したりする機会を作ります。
さらに経験を積んだメンバーには、工数や費用の検討、見積もり、契約に関する話にも関わってもらいます。
これは、全員に営業担当になってほしいからではありません。実際の仕事にどれだけの費用がかかり、お客様が何に対して対価を支払っているのかを理解することは、技術的な判断をするうえでも重要だからです。
また、仕事を進める中で、お客様から新しい相談をいただくこともあります。そうした相談に向き合い、継続的な関係を築いていくことも、広い意味では営業活動の一つだと思っています。
トラブルシューティングについても同じです。最初から難しい障害対応を一人で任せるわけではありません。先輩と一緒に原因を調べ、対応方法を考え、少しずつ自分で判断できる範囲を広げていく。
大切なのは、単に不具合を直せるようになることではなく、その問題がなぜ起きたのか、ほかに影響はないのか、お客様の業務にどれほどの影響があるのかまで考えられるようになることです。
最初からすべてができる必要はありませんし、得意なことや成長する速度も人によって違います。
私たちは、一人ひとりが少しずつ挑戦できる階段を、実際の仕事の中で作っていきたいと思っています。
エンジニアという枠に、自分の可能性を限定してほしくない
Arkthでは、生成AIの導入支援、既存システムの解析や改修、開発プロセスの改善、テスト自動化など、さまざまな企業の課題に取り組んでいます。
受託開発もあれば、お客様のプロジェクトに参画する形の仕事もあります。案件によって仕事内容や任される範囲は異なりますが、どのような仕事でも、お客様のビジネスを理解しようとする姿勢は大切にしたいと考えています。
私は、エンジニア、営業、コンサルタント、PM、人事といった職種の境界に、あまり強くこだわる必要はないと思っています。
もちろん、それぞれに専門性がありますし、すべてを一人でできる必要もありません。ただ、自分はエンジニアだから技術のことだけを考えていればいい、という姿勢では、仕事の可能性を狭めてしまいます。
お客様の課題を理解するためにビジネスの知識が必要なら、学べばいい。よりよい提案をするために予算や契約のことを知る必要があるなら、そこにも関わってみればいい。よいチームを作るために、採用や人材育成に関心を持つこともあるでしょう。
生成AIをはじめとした技術の進歩によって、これまで時間をかけていた作業は、今後ますます効率化されていくと思います。
だからこそ、その分、より高度な課題に自ら取り組んでいく必要があります。
「エンジニアだから何をするのか」ではなく、「お客様のビジネスを前に進めるために、自分には何ができるのか」。
私は、そういう視点を持って仕事に向き合える人と、一緒に働きたいと考えています。
一緒に、できることを増やしていきませんか
Arkthも、まだまだ成長途中の会社です。
私自身、今もエンジニアとしてお客様のプロジェクトに関わりながら、会社の経営もしています。日々いただくご相談に対して、どのような技術が適切なのか、誰が担当するのか、どうすればお客様にとってよりよい結果になるのかを考えています。
今すぐPMやコンサルタントとして活躍できる方はもちろん歓迎です。一方で、今は開発が中心でも、これからお客様の課題解決や上流工程に関わっていきたいという方とも、ぜひ一緒に働きたいと思っています。
技術的な基礎は大切です。ただ、それと同じくらい、誠実さや素直さ、学び続ける姿勢、そして自ら考えて行動することを大切にしています。
技術を使って課題を見つけ、解決し、お客様のビジネスと一緒に成長していく。
Arkthでは、そんな考え方に共感し、一緒に挑戦してくれる仲間を増やしていきたいと考えています。
私たちの仕事や考え方に興味を持っていただけたら、ぜひ今後のストーリーも読んでいただけると嬉しいです。