要人警護をから、HRコンサルタントへ──。まったく違う世界に飛び込み、ゼロから知識を積み上げてきた坂根旭さん。慣れない仕事に悔しさを覚えながらも、「本気でやればなんとかなる」と信じて挑み続けた先に、“仕事が楽しい”と思える瞬間がありました。
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【Profile】
名前:坂根 旭
好きなこと:格闘技観戦(柔道、MMA、キックボクシング、ボクシングなど)、食べること、子どもの新しい挑戦を通して成長を感じること、動物の動画鑑賞
■ スケッチに入る前、何をやっていた?
私はスケッチに入社する前、一社で15年間勤めていました。
その会社は警備会社で、もともと柔道を長年続けていたこともあり、先輩の誘いをきっかけに新卒で入社しました。
入社後はまず現場からスタートし、東京駅や品川駅など主要駅での常駐警備に従事。酔客やトラブルへの対応を含め、駅構内の安全を守る役割を約5年務めました。
その後、当時の大手鉄道会社の社長の身辺警備(いわゆる要人警護)に抜擢され、6年間365日体制で支える日々を送りました。業務上、社長の近くに住む必要があり、家族とともに引っ越し、常時警備する生活を続けていました。
要人警護のほか、タレントやVIPのイベント対応、空港・会場でのエスコートも経験。並行して本部の業務課に所属し、10か所の現場・約100名のスタッフ管理、契約交渉、臨時警備の対応、PC管理なども任されていました。
こうした現場とマネジメントの両面に携わった15年間で、体力勝負の現場力と信頼関係を築く力を培いました。
■ スケッチで成長できたことは?
入社当初はHR業界の知識もなく、求人広告や採用ツールの用語もまったく分からない状態でした。
さらに当時はリモート勤務が中心で、「何を学べばいいのか」「どう成長すればいいのか」が見えず、最初の1年は苦労の連続でした。
それでも「できない自分が悔しい」「一人前になりたい」という気持ちから、2年間ほぼ全ての時間を仕事に費やしました。友人との付き合いも一時的に断ち、自分の成長に全力で向き合いました。
その過程で気づいたのは、「人間、本気でやればなんとかなる」ということです。時間も気持ちもすべてを仕事に集中することで、確実に力はついていきました。
変化の実感
- 人前で話すことへの自信:Zoomでのコンサル業務を通じ、苦手だったプレゼンが得意分野かもしれないと思えるまでに成長。
- 「自分の言動で相手が変わる」ことの面白さ:自分の言葉が企業を動かし、採用活動を変える。その影響力に大きなやりがいを感じる。
「仕事が楽しい」と心から思えるようになったのは、自分にとって本当に大きな変化でした。苦労の先に、自分の好きなことや向いていることを見つけられたこと。それこそが、スケッチで得られた一番の成長だと感じています。
■ 今の仕事
私の仕事を一言でいうと、「お客様の採用/組織課題に伴走し、仕組み化と内製化を支援すること」です。
コンサルティングの入口は「応募者獲得」であることが多いですが、最終的なゴールは 「企業が自走できる採用体制を作ること」 にあります。
中小企業にとって、採用は経営課題そのもの。だからこそ、単なるテクニックではなく、「何のために、誰に、どう届けるか」という本質をお客様と一緒に掘り下げ、実行支援まで伴走することを重視しています。
では、実際に日々何をしているかというと、大きく分けて2つの軸があります。
① 採用課題の見える化と仕組みづくり
多くのお客様が、「人が集まらない」「何をすればいいかわからない」「やるべきことはわかるけれど、手が回らない」といった悩みを抱えています。こうした悩みに対して、採用活動の現状をヒアリングし、媒体選定や求人原稿の見直し、予算の使い方まで含めて提案を行います。
たとえば、「どの媒体に、どのくらいの費用を、どのタイミングで投下すべきか」といった戦略を、数値的根拠をもとに資料化してお客様にご説明したり、ツールのメリット・デメリットをわかりやすく整理して共有したりします。
単にノウハウを提供するのではなく、「なぜそれをやるのか」「どうすれば自社で再現できるか」を重視しています。
② クリエイティブの改善・制作
採用課題は数字だけでなく、見せ方や伝え方にも大きく関係しています。そこで、求人原稿の内容改善はもちろん、画像の差し替えや加工、採用ページのディレクションや制作、インタビュー記事の作成なども手がけています。
たとえば、求職者が興味を持つような企業の魅力を引き出すために、社員インタビューを実施し、それを記事にして採用サイトに掲載することもあります。常に意識しているのは、「この会社は今、どこにテコ入れすべきか?」を一社一社の状況に合わせて考え抜くことです。
また、採用市場は日々変化しています。新しいツールやトレンドの情報をキャッチアップし続けることも、大事な仕事の一つです。
■ 人生のバイブル
特定の一冊や名言というよりも、私にとっては“世界観”のようなものがずっと軸にあるように思います。
それは、「強くなることが楽しい」という感覚です。
『ドラゴンボール』や『ドラクエ』のように、仲間と一緒に強くなっていく感覚。
特に『ドラゴンボール』は、仲間がどんどん増えて、それぞれの得意分野を活かしながら力を合わせて進んでいく物語ですよね。
会社も同じで、チームで挑戦しながら、お互いに刺激し合って成長していける場所だと思っています。さまざまなスキルや価値観を持った人たちが集まり、知恵を出し合いながら、一緒に前に進んでいく。一人ではできないことも、チームなら乗り越えられる。そんな感覚です。
会社という場を“義務”として捉えると、どうしても重くなりがちですが、「仲間と一緒にRPGをプレイしている」という感覚で捉えると、日々の仕事もぐっと前向きに、楽しみながら取り組めるようになります。
バイブルといえるかはわかりませんが、私にとってはこうした“成長を楽しむマインド”が、今の働き方の原動力になっていると思います。
■ これからの夢
私には2人の子どもがいます。
「お父さん、どんな仕事してるの?」と聞かれたときに、誇りを持って「面白い仕事をしているよ」と言いたい。
だからこそ今、「誇れる仕事」と「子どもに見せたい職場」を実現したいと思っています。
あと10年もすれば、子どもたちも社会人になる年齢です。そんな未来で、「自分もスケッチで働きたい」と言ってもらえるような会社づくりを目指しています。