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ワーケーションを1年間で136日間やってみた

WINEをこよなく愛するネクストモードの里見です。

2020年7月、NTT東日本とクラスメソッドでネクストモードを設立して以来、ワーケーションを続けてきました。「クラウドであたらしい働き方を」という会社のビジョンを自ら実践してみようと思い、136日間、様々な場所で働いてきました。

最近ではワーケーションについて登壇する機会もいただくようになり、1年間やってみた考えをまとめるてみました。

  1. ワーケーションとは?
  2. 1年間のワーケーション歴
  3. 良かったこと
  4. 悪かったこと、大変だったこと
  5. オススメのワーケーション場所
  6. ワーケーションで気付いたこと
  7. ワーケーションの持ち物
  8. 今後のワーケーション予定

1.ワーケーションとは?

ワーケーションは、「Work」と「Vacation」を組み合わせた言葉で、テレワークを活用しながらいつもと違う場所で働き、休暇と仕事が混ざった過ごし方をすることのようです。在宅勤務や出張とも区別されていて、働く場所を決めるのが会社ではなく自分にある点が特徴です。新しい言葉であるため、まだ人によって定義やスタイルが違っていると思います。そこで、ワーケーションという言葉を、ここではどんな意味で使っているのか、まずは紹介したいと思います。

【ワーケーション中の勤務時間は?】ワーケーションには、①ワークが中心のワーケーション、②バケーションが中心のワーケーション、があります。自分の場合は暮らすように旅をしたいと思っていて、①のワークが中心のタイプだと思います。土日以外に特別の休暇を取らないことも多いです。そのため、一緒にワーケーションに行っていただく方とバケーションの時間があまり確保できなくて、期待はずれに思われることもあります。ノマドワーカーという言葉のほうがイメージに合っているかもしれません。

【ワーケーションの費用は?】交通費、宿泊費、すべて自費でやっています。「働く場所は社員が決める」というのがネクストモードの考え方です。何処で働いてもいいので、その費用は個人持ちとなります。将来的には福利厚生でワーケーションができる仕組みを創っていきたいです。

【ワーケーションは新常識になる?】行く先々の地方自治体でワーケーションによる観光誘致を見てきました。箱モノとしての働く場所が整備される一方、コロナ禍ということもあり、なかなか思うように人が集まってないようでした。しかし、コロナのワクチン接種も進んできて、今後はこうした働き方が「あたらしい当たり前」になると考えています。リモートでの学習が中心の学生がこれから社会人となりますが、テレワークができない会社は学生が働きたいと思う職場から外れてしまうのではないでしょうか?ワーケーション先で長期滞在しながらレポートを書く学生と話していると、そんな気持ちになりました。

【お金持ちじゃないとできない?】長く旅を続ける為には、安くて快適な宿を探さなくてはなりません。ゲストハウスを中心に働ける場所を渡り歩き、2000円~3000円の宿を1週間~2週間の期間で選ぶことが多くなりました。最近は、サブスクリプションで泊まれるHafHが気に入っていて、少し贅沢するときに使ってます。旅が日常となり、特別な贅沢をしなくなりました。その土地の景色や食べ物に触れ、そこでしかできないコトをなにより大切にしています。ちなみに、飛行機はLCCのPeachをよく利用していて、成田空港の発着がメインです。

2.1年間のワーケーション歴

会社設立以来、ほとんど自宅に居ませんでした。ワーケーション先で仕事をすることが当たり前となり、徐々に生活のなかで大切にしているものが変わってきました。

もちろん、最初からなんの疑問もなくはじめたわけではありません。クラウド環境で業務ができるようになったとはいえ、全国を渡り歩きながら働けるのか、最初は不安でした。ネクストモードの設立までは、ワーケーションなんて無理だと思っていましたし、すべてをクラウド化したとしても、印鑑を押したり紙に印刷をしたりする業務は残ってしまうからです。

しかし、そこには「クラウドであたらしい働き方を」実現することができるという夢と野望があり、まずはやってみることにしました。移動時間にも仕事はできるし、業務を効率化すれば、もっと自分の時間を増やすことができるのではないか、という根拠のない期待がありました。

やってみて感じたのは、どこでも仕事はできる、ということでした。SaaSだけで業務ができる会社を作ったのは、使いにくい社内システムを使いたくないからで、「仕事のための仕事」がここまで無くなるとは正直なところ予想してませんでした。200近くのSaaSから選んだネクストモードの社内システムは、本当に使いやすく、そのおかげでアウトプットは増え、勤務時間を少なくすることができました。

3.良かったこと

あたらしく会社を立ち上げたこともあり、2019年12月から2020年の7月までは休日という概念がなく、ずっと仕事をしてました。かつてないほど濃い時間を過ごしました。ビジネスの種を考えるのはとても楽しかったのですが、尿酸値、中性脂肪、コレステロール値は人生で最悪となりました。運動不足とコロナによる在宅勤務で不摂生が続いたのだと思います。

しかし、2020年7月からは、運動できる時間が持てるようになりました。ランニングや登山、サイクリングなど、身体を動かす時間が確保できるようになりました。念願の「しまなみ海道」の自転車での走破も果たしました。その結果、2021年7月の人間ドックでは、尿酸値、中性脂肪、コレステロール値は驚くべき改善をしました。特に中性脂肪は1/4以下になりました。お酒は例年通り飲んでいましたが、尿酸値も下がりました。ワーケーション先で見知らぬ景色をランニングするのは楽しく、東京で排気ガスの中で走るのとは違う爽快さがありました。

健康面の改善は、その土地ならではの食材を使って自炊をしていたからかもしれません。自宅ではほとんど自炊をしないのですが、旅先では、市場や産直(産地直送の売店)に行って簡単な料理をしました。スーパーでは産地を見て買うようにして、地元の野菜や魚、お酒を口に入れるようにしていました。

なにより、日本各地の素晴らしい場所と人に出会えました。旅行と言えば海外旅行ばかりだったのですが、日本国内にもこれだけ素晴らしい場所があることに気が付かされました。

4.悪かったこと、大変だったこと

ずっと旅をしていると、慣れない環境に疲れることもあります。効率的に普通に仕事するなら、家のほうが設備も整っていて、ワーケーションは効率が悪い面があるのも事実です。大きなディスプレイがない、食事や洗濯のことを考えなければならない、打ち合わせ場所を確保しなくてはならない、、、

フレッツ光が来てないエリアや無線環境が悪い場所では苦労します。1日ぐらいだと携帯のテザリングで乗り切れるのですが、WEB会議が続くため数日でパケ死します。自分の場合、1日で5GByteぐらい使うようです。石垣島のゲストハウスHIVEに最初に宿泊した際は、インターネットの接続スピードが数十kbpsしかでてなくて、WEB会議が困難な状況でした。そのため、宿の人と協力してインターネットが遅い原因を切り分け(無線区間、フレッツ区間、プロバイダ区間、それぞれにpingを打ちました)、快適なスピードに改善しました(フレッツ光は故障しておらず、プロバイダーの速度が遅いのが原因でした。そのため、プロバイダの契約を変更してもらいました)。

打ち合わせが続くとコンビニや食堂に行けなくて昼や夜が食べられないことがあるため、最低限の食材をまず確保します。ご当地カップラーメン(北海道だと「やきそば弁当」「セイコーマートのオリジナルカップ麺」)や保存食(石垣島だと「サータアンダギー」)を備えるようにしています。

大変だったのは、鶴居村で宿泊した際の出来事です。打ち合わせが長引いて飲み会の最中にずっと電話会議をしていました。グリーンパークのレストランでソラコムUGの懇親会に参加していたのですが、クラウドのシステム開発に関する会議が長引いて抜けられませんでした。電話会議をしながら鍋の火をつけたり、刺し身を食べたり、10皿はあろうかというメニュー、最後はデザートまで食べましたが、味を覚えてません。食事が終わっても打ち合わせが続いて大浴場のお風呂にも入れませんでした。

また、石垣島のゲストハウスHIVEでは、22:30まで共用スペースで打ち合わせをしていたら、それを見ていたスタッフや長期滞在者が、焼きそばと素麺を作ってくれました。横では「ゆんたく」と呼ばれる飲み会が楽しそうに行われていて、その場所で遅くまで打ち合わせを続けるのは集中力が必要でした。数時間に及ぶ長い会議でお腹が空いているなか、焼きそばと素麺の差し入れはとても有難く、疲れが吹き飛びました。

予定外の長い会議となることが多々あるため、宿の食事をしながら打ち合わせをすることが何度もありました。そのため、基本的に食事はセットしないで宿を選んでます。また、ヘッドセットは電池切れのない有線のものをメインで使うようになりました。正直なところ、ときどき旅に疲れて自宅に帰りたくなることもあります。

5.オススメのワーケーション場所

地方自治体でのワーケーションの取り組みはまだまだはじまったばかりで、ボランティアによって運営されているところも多いようです。何度もお世話になった鶴居村もそんなひとつで、鶴居移住&テレワーク推進協議会の方々には最高のガイドをしていただきました。冬の丹頂や湿原だけでなく、夏のサイクリングや春の山菜取りは貴重な経験でした。この場所で、北海道の自然の美しさにはじめて触れました。釧路湿原の北端の森に囲まれて仕事をしていると、せせこましい東京に住んでいる意味があやふやになり、一時期は鶴居村への移住もまじめに考えました。最終的には、足掛け30年近く住んでいた東京を離れ、ワーケーションの便がいい成田空港の近く引っ越しましたが、生活を見直すキッカケとはじまりは鶴居にありました。ホテルTAITOの鹿肉が美味しく、1年で7回、鶴居村を訪れました。また、鶴居の北にあるマナミキャビンは約1900坪の広大な土地を独り占めできる宿泊施設で、ロシア製のバレルサウナがあります。「サウナしきじ」や「草加健康センター」に勝るとも劣らない最高のロウリュウ体験ができます。

設備面としては、洗濯機や乾燥機がある場所、自炊がしやすい広いキッチンのあるところを選ぶことが多いです。釧路のProof Pointは和商市場から近くてキッチンが広いので、食材を買ってきて料理をするのが楽しかったです。共用スペースも広く、仕事をする場所に困ることはありません。夜の釧路の街もディープで、鳥良のザンギはめちゃくちゃ美味しかったです。また、赤ちょうちん横丁のル・マーシはリーズナブルに本格的な料理が食べられます。

キッチンがなくてもSINGAI CABINのように1階が居酒屋だと夕食は困りません。尾道の商店街の中にあり、昼休みにお好み焼きなどの多様なランチが食べられます。1階の居酒屋出汁と酢がとにかく美味しく、1週間、毎日通ってました。共用スペースのソファーは居心地がよく、集中して仕事をすることができます。

知らない場所で思いがけない出会いがあるのがワーケーションの素晴らしいところです。とはいえ、設備が整っていないと暮らしに支障がでることがあります。気を付けたいのは、バケーションの施設としては整っていても、ワークの施設として足りない場合があります。

仕事で使うことがメインなので、「日中の清掃時間中も宿の中で仕事ができる」というのはかなり重要です。最近はワーケーションへの理解が進んできていて、掃除時間にも共用スペースを使わせてもらえるところが多いです。掃除機の音がWEB会議の邪魔にならないようにノイズキャンセリングのヘッドセットを用意しておけば、清掃時間も仕事を続けられます。カプセルホテルやサウナ施設は、連泊者に共用スペースに滞在し続けることを認めていないことが多いため、使わないようにしています。

尾道のあなごの寝床という古民家をリノベーションした趣きのあるゲストハウスは、仕事という意味では過ごし難かったです。清掃時間にゲストは必ず宿からでなければならず、長期滞在で仕事をするには不向きだと思いました。1階にあるあくびカフェーも含めて、宿は遊び心のある楽しい場所だったので、バケーションでまた利用してみたいと思います。

重要な会議なセミナーがあるときには、ホテルの個室をとることもあります。しかし、個室だからといって音が漏れないかというと、ビジネスホテルは壁が薄くて廊下まで声が響くため、予約サイトで部屋の広さや作りを想像するしかありません。ゲストハウスで屋上がある施設では、そこからセミナーに登壇したこともあります。WiFiさえ使えれば、公園や海辺、草原のほうがセキュリティ的に安全な場合もあると思います。

6.ワーケーションで気付いたこと

自分がワーケーションをする前までは、小島さん(パラレルマーケター)長谷川さん(コープさっぽろCIO)など、ワーケーションをたくさんしている人を見ていて、「遊んでばっかりいて仕事してないんじゃないの?」って思ってました。おそらく、多くの人がそんなイメージを持たれているのではないかと思います。しかし、諸先輩方と一緒に行ってみて、すっかりイメージが変わりました。

少し大げさに言えば、ワーケーションは24時間の過ごし方を変えるキッカケになります。常に仕事を意識しながら遊びを意識するようになります。どのように1日を過ごすかを見直さなければ、ワーケーション先で仕事だけをすることになります。なにを自分の中で優先して、なにを捨てるのか、仕事も遊びも、最も大事なことだけを、最も大事なことから取り組むようになります。ワークライフバランスではなく、ワークライフインテグレーションという言葉があるようですが、ワーケーションはその人の大事にしているものが見えてくると言えるかもしれません。

そういう意味では、仕事と遊びがミックスされた状態を楽しめる人に向いていると思います。「俺は仕事が嫌いだから」と言う人の言葉の中には、もしかしたら「だからあなたも嫌いな仕事を嫌でもやってください」という圧あるような気がします。仕事は楽しんでコミットするものだと思います。その意味で、ワーケーションをすることで「働く」を「楽しく」することができれば、生産性も上がるのではないかと信じています。

そんな風に思うようになって、2021年7月1日のネクストモード設立記念日には、全社員でワーケーションをしてみました。1日のワーケーションで意識が変わったかはわかりませんが、みんな楽しんで働いてくれました。仕事が楽しいと胸を張って言える環境は素晴らしいと思います。軽井沢のキャンプ場でワーケーションをする姿は、遊んでいるのか働いているのか、傍目からみているとわかりませんが、いつもと違う場所で仕事をするマインドを感じることがまずは大切だと思っています。ネクストモードのメンバーには、どんな働き方をするか、自分で決められる自由を感じてもらいたいと思っています。

ワーケーションは住む場所の見直しにもつながりました。もともと寝るだけの場所として初台の職場に近い東京の小さな部屋は、テレワークで1日中籠もるには向いてなく、日当たりの悪い古いマンションでした。コロナで飲み会も無くなり、東京で人に合う機会も減って、どうして高い家賃を払い続けなくてはならないのか。ワーケーション先で広い自宅で生き生きと暮らしている人を見るにつけ、自分の今の暮らしが疑問になりました。

コロナの影響で転入超過だった東京都の人口が毎月約3000人の転出超過となっているようですが、「そろそろ東京に住まなくてもいいのでは」と思うようになりました。色々と悩んだ挙句、これからもLCCでワーケーションを続けていくために、成田空港に近い場所に引っ越すことにしました。7月から千葉に引っ越して、自宅が2倍以上に広くなりましたが、家賃は下がりました。

7.ワーケーションの持ち物

最初はなにを持っていくか迷いましたが、いまは下記で落ち着いています。普段の仕事環境と同じ効率的な作業環境を作る、ということをなにより大切にしています。

WEB会議が多いので、使いやすいイヤホンや有線ヘッドセットを5種類ぐらい持って行っています。バッテリーが切れることがあるので、有線のイヤホンやヘッドセットは必須で、AKGのイヤホン、Jabraのヘッドセットを使っています。

意外と使ってないのはサブディスプレイ。Amazonで3万円を切っていて軽かったので、買った当初は気に入っていたのですが、かさばるので持っていかないことが多くなりました。kindleにspacedeskを入れればノートパソコンのサブディスプレイになるので、これを重宝しています。

仕事の道具ではないのですが、キーンのタオルは乾きやすくて肌触りがよく、気に入っています。

ヨガウェアとして有名なLululemonのウェアは、汗をかいてもに臭いにくく、持ち物を減らせるため便利です。襟付きのシャツや黒い長ズボンは、フォーマルなWEB会議でも使えるので重宝します。

【持ち物】

【時々持っていくもの】

8.今後のワーケーション予定

会社を設立して2年目に入りましたが、これからもワーケーションを続けて、ネクストモードのビジョンである「クラウドであたらしい働き方を」実践していきたいと思います。

  • 7月2日~7月15日 沖縄県石垣島
  • 7月21日~7月23日 山梨県富士山
  • 8月5日~8月11日 北海道釧路、鶴居村
  • 8月14日~8月16日 長野県松本市
  • 9月5日~9月18日 沖縄県石垣島
  • 10月5日~10月20日 沖縄県石垣島
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