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Konelの“作る人”、クリエイティブテクノロジストって誰?

Konelの中の人のリアルな声を聞くSTAFF BLOG。記念すべき初回は、Konelを象徴する存在であるにも関わらず、謎のベールに包まれた?!クリエイティブテクノロジストのKenji Jones(以下、ケンジ)に突撃しました。Konelのあらゆるプロトタイプや作品を、実際に手を動かして形にする役割を担う彼が、いったい何を考えながら活動しているのか、根掘り葉掘り聞きました。

学生時代から、作りまくる日々

―ケンジはアメリカと日本のハーフでアメリカでの生活の方が長いけど、小さい頃はどんな子供だったの?

僕はフロリダ育ちで、小学校から20歳くらいまでを過ごした。小学校2年生の頃から車のデザイナーになりたいと思いはじめて、毎日車の絵を描いてたね。デザイン面もメカニカルな面も両方興味があったから、そのうち絵だけじゃなくて自分でメカを作りたいと思うようになった。
それで13歳くらいの時に、当時流行っていたガスエンジンのついたキックボードを改造して。19ccだったエンジンを30ccにして、エンジンやマフラーも取り替えて最高で時速70km出せるようにした。そのうえ大音量のエンジン音で走るようにしたもんだから、さすがに警察に怒られたよね(笑)。

―なんだかいきなりブッ飛んでるね・・(笑)。音楽も好きでバンド活動もしてるんだよね?

中学校からベースとギターを始めて、その頃から車より音楽に興味がシフトしていった。15歳からライブにも出ていて、高校時代は音楽三昧だったよ。音楽にのめり込みすぎてだんだん学校に行かなくなって、最終年は週3しか行ってなかったけど、成績はいつも一番だったから、先生もサボりがちだったことを許してくれてたみたい。好きなジャンルはパンクで、今も時々日本でもライブやってる。

―本格的なメカニカル技術はその後の大学で学んだの?

そうだね。大学進学自体にはあまりメリットを感じてなかったんだけど、すごく割の良い奨学金がもらえたのもあって、ひとまず地元の音楽系のコミュニティカレッジに入った。奨学金に余裕があったから、余った分で材料を買って車の改造を始めたのもこの時期。
その後コミュニティカレッジは1年半で辞めて、今の仕事にもつながるメカニカルエンジニアの勉強をしようとフロリダ大学に編入したけど、こっちは2日で辞めた(笑)。というのも、座学を3年間やって4年目からやっと制作に入るカリキュラムだと聞いて、そんなのやってられない!僕はすぐにでも何か作りたいんだ!って。
でも、たまたま同じ大学に新設されたアート系のコースで、ロボットやテクニカルの講義も受けられることになって、そこの一期生として編入した。新しいコースで前例がないぶん、好き放題いろんなものを作らせてもらって楽しかったよ。

―で、大学で勉強したことを車の改造にも活かしていたんだね。

そう。車は大学に通いながら2台完成させたよ。2台目の方は昔のカローラのボディにレクサスの4リットルのエンジンを入れて、エンジンの制御部分も自作して、もともとAT 車だったのをMT に変えたり。ゲージはタブレットで、Bluetoothでエンジンとつなげた。内装の含めると5台分くらいの車の部品使ってたね。
その車でフロリダからポートランドまで、アメリカ大陸を横断する距離を走ったことがあるよ。何度か捕まりそうになったけど、うまくかわしながら何事もなく目的地に着いた時は嬉しかったな。

Konelとの出会いは“運命”?

―Konelに出会ったのはいつ?

二度目に来日してきたばかりの頃だったね。日本は初めて旅行で来た時にすごく良いところだと思ったから、今度は働きながら長く住むつもりで移住したんだ。でも仕事に関してはチャンスがあればやってみようくらいの感覚しかなくて、それよりもまずは音楽をやろうと思ってバンドメンバーを探してた(笑)。
craigslist.comというWEB上のプラットフォームで探してたんだけど、そこでたまたま日本橋のギャラリーを紹介するバナーがあって。「何だろうコレ?」と思ってクリックしたらそこから飛んだのがKonelのサイトだった(※当時Konelは貸ギャラリーとしての営業もしていた)。
それで気になって連絡してみたら、ちょうどアイディアを形にするプロトタイピングができる人が欲しかったと歓迎されて。それでメンバーに加わったんだ。

―バンドメンバーを探してたらKonelのメンバーになったと(笑)。

そう、そういうこと。

―でも当時のKonelはボードメンバーの3人くらいしかいなかったはず。よく異国の地でそんな会社に飛び込んだよね。

まぁ確かに、その頃はまだ会社自体が何をやってるのか、これから何をやっていくのかもわからないような段階だったよね。でもここなら今までのモノづくりのスキルも生かせそうだし、代表の出村やボードメンバーのヤス(荻野)と話をする中で、直感でここにはポテンシャルとチャンスがあると思ったんだよね。規模が小さいことも、僕にとってはコミュニケーションが取りやすいというメリットに見えたし、自由にやりたいことができる環境だと感じて。だから実はKonelのポートフォリオすらよく見ずに入った。大げさかもしれないけど、運命みたいなものかな。

―運命かぁ。そのケンジが今やKonelのプロトタイピングを支える重要人物だもんね。巡り合わせってすごい...。ちなみにKonelのどんなところが好き?

いまだに何の会社なのか説明しにくいほど(笑)、いろんなことにチャレンジしているところが好き。
僕はとにかく飽きっぽいので、次々と新しいことをやる環境じゃないと続かないんだよね。その点Konelのプロジェクトは、誰も答えがわからないようなオーダーから始まることがほとんどだから、同じ作業をすることがまずない。僕の性格に合ってるんだ。クライアントワークと、アート制作などの自主企画の両方があることも、いろいろな仕事の進め方が学べて良いよね。

欲しくないものは作らない

―改めて、ケンジの肩書き「クリエイティブ・テクノロジスト」っていったい何なのでしょう?

この肩書き、ちょっとカッコつけてる感じがして恥ずかしいんだけど・・・、ほんとは「面白いもの作る人」とかって名刺に書きたい(笑)
僕の仕事を一言で言うと、デザインとコードを両方描くことかな。僕は特にパソコン上だけじゃなくて実際のハードを作るインダストリアルデザインもするから、珍しい能力なのかもしれない。いろんな国を見てきたけど、僕みたいなやり方をしてる人にはあんまり会ったことないしね。普通は分担することを一人でやるから、作りたいものをより早く、より正確に作れているんじゃないかな。

―デザインもテックも全部やるのって、これまでのケンジの経歴が生きている気がするね。

そう思う。興味の範囲を絞れなくて、大学の頃先生に「どれか一つに集中しろ」って言われたんだけど、それはどうしてもイヤで。先生の助言を無視して全部やり続けていたことで今につながったなと思うよ。

―Konelはさまざまな興味軸の人がいるから、メンバーで雑談してても話題が幅広いもんね。ケンジの話も誰かが必ず乗ってくる。

ここに来る前は音楽・車・大学といった活動コミュニティがバラバラで、たとえば大学の友達をライブを誘ったりとか、コミュニティをまたいだ活動ってほとんどなかったんだよね。でも今は、Konelという一つのコミュ二ティの中で僕の興味やスキルセットが全部つながっていて。意図的にやったことではないけど、自然とそうなったのはラッキーだったと思う。

―たくさんのプロジェクトに関わってきてるけど、今までやってきた中で一番好きなのはどれ?

いろいろあるけど、最近だとTOU(約600の電磁石を使ってランダムなゆらぎを起こす壁 )が特に印象深いな。“ゆらぐ壁”を作るなんて最初から大変そうだと思ったけど、やってみたら予想の3倍くらい大変で(笑)。既成の部品を組み合わせて作りたかったんだけど、あんまり活用できるものがなくて、素材から制御システムまで結果的にはほぼ手作りで完成させた。
でもTOUみたいに答えがないものの答えを作る、というのはやっぱり楽しくて。正解もなければやり方もわからないというプロジェクトに対して、それでも作ってみる、というスタンスが面白いものを生むと思うしね。

―仕事をするうえで、大切にしていることは?

“欲しくないものは作らない”ということ。自分が欲しいと思うものじゃないと、作る意味が見出せないからやりたくないんだ。言われたから作る、やらなきゃいけないから作る、だと良いものにはならないし、最終的に誰にも喜ばれない“ゴミ”になってしまうかもしれない。ゴミを作るために使うエネルギーなんて、他で使ったほうがよっぽど良いからね。

ケンジ、さらにブッ飛びます

―最後に、これからKonelでやってみたいことを教えて。

作り続けたいね。中でも、刺激が強いブッ飛んだものを作りたい。“ちょうど良い”より“やりすぎ”なものが良いな。ヘビーで人間性がにじみ出るようなものを作って、見た人にもエネルギーをもたらすような。
僕がパンク好きなのは、そのエネルギッシュな精神性に共感する部分もあるからなんだけど、どうしたらパンクで味わえるような感覚をプロダクトを通じて表現できるか、というのは興味がある。

あと、作る手法としては、バーチャルなものからリアルを生み出すという流れをやってみたい。たとえばアニメーションの中で現実世界にはありえないものを作って、それをもとにリアルなプロトタイプを生むというやり方を試してみたいね。バーチャルでの発想が元になることで、それこそブッ飛んだものができるかもしれないと思うから。

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聞き手:丑田美奈子(Konel)/撮影:Jay

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