今必要なのは、"おもてなし"の本質を見極めたDX推進 | 株式会社IM Digital Lab(アイムデジタルラボ)
こんにちは!アイムデジタルラボの採用広報担当です。今回は、業務改革DXをテーマに、複数の業務効率化プロジェクトを牽引してきた岡と、今年5月に外資系IT企業から転職し、プロジェクトの改革に取り組ん...
https://www.wantedly.com/companies/company_129530/post_articles/927292
こんにちは!アイムデジタルラボの採用広報担当です。
今回は、近年、企業研修の手法として注目される「インストラクショナルデザイン」を取り入れ、新たな研修プログラムの構築を進める佐藤にインタビュー。佐藤は前職の外資系企業にて、「インストラクショナルデザイン」の本場アメリカでの本社研修を経て、デジタル教育プログラムを一から立ち上げた経験の持ち主。
全社的なDXの実現に向けた教育の在り方や、具体的なプログラム内容について詳しく聞きました!
ーー 研修を担当されることになった背景を教えてください
三越伊勢丹では現在、グループ全体でのDX推進をミッションに掲げ、業務改革やOMOを積極的に進めており、“デジタル人財”がより一層求められている背景があります。それに伴い、システム開発を専門としない社員への研修の在り方についても、課題として認識されるようになりました。
私のメイン業務は、バックオフィスの業務改革とそのための市民開発ですが、前職で研修プログラムを構築した経験があったことから、それをもとに新たな研修方法を提案したところ、採用され担当することになりました。入社前の最終面接で、代表の三部と教育について話したこともきっかけです。DX推進には、システム開発に精通するメンバー“以外”の社員の参加が鍵になること、また、その方々のデジタルリテラシーの向上が重要になるのではないかと話したところ、三部に深く共感してもらえました。
新たな研修の構築に向けて、“デジタル人財”育成を担う情報システム統括部、人事統括部の人材開発担当、そしてアイムデジタルラボのメンバーからなるプロジェクトチームが立ち上がり、今年1月に最初のプログラムをローンチ、現在は受講者のフィードバックを検証しているところです。
ーー 研修開発の目的を教えてください
DXの実現には、現場で業務を担当する側とシステムを開発する側が、よく理解し合いながら双方向に連携することが必要です。そのためシステム開発側からのアプローチだけでなく、現場の社員の方々から、要件や改善点を伝えてもらうことが重要だと考えています。実際に機能するシステムを作るためには、業務プロセスをよく理解している現場の視点が不可欠だからです。
「DX」は、“デジタルの力を利用して、競争優位性のある価値を生み出すこと”を意味しますが、社内のさまざまな立場の方と話す中で、人によって「DX」の認識が少しずつ異なっていることがわかりました。
たとえば、紙のデータをPDFに変換することがDXだと考えている方や、外部のSaaSを導入することがDXだと考えている方もいました。どれも、DXを達成するためには、大事な過程ではありますが、それだけでは競争優位性のある価値を生み出せないということが、十分には理解されているとは言えませんでした。
そこで、全社員が共通した認識を持つ必要性があると考え、「DXとは何か?」というテーマで、プログラム作成に取り掛かりました。普段システム開発を専門としない社員の方々に、DXにまつわる共通言語や共通認識を持っていただくためのプログラムですが、その先に、システム開発を専門とするメンバーに限らず“社員の皆さん一人ひとりにできることがある”という意識を持っていただくことが、この研修の大きな目的です。
ーー 研修プログラムは「インストラクショナルデザイン」の手法に基づいて開発されたそうですが、それはどのようなものなのでしょうか?
「インストラクショナルデザイン」は、学びを受ける方(学習者)に最適な教育効果をもたらすための教育設計の手法で、“学習者を中心に考える”という大原則があります。
また、具体的には、ADDIEというプロセスにしたがって、Analyze(分析)・Design(設計)・Develop(開発)・Implement(実施)・Evaluate(評価)のサイクルを回しながら、研修を改善していきます。
近年、この考え方を取り入れた企業研修が、日本でも注目されています。
一般的に、eラーニングというと「動画視聴型」のコンテンツが想起されると思います。ただ、学習者にとっては、受講スタイルが受動的であるため、学習の面白さに欠けてしまい、内容の定着性にも課題が残る場合があります。実際に社内でも、eラーニングにポジティブな印象を持っている人ばかりではありませんでした。
それに対して「インストラクショナルデザイン」に則ったeラーニングは、“必要な知識やスキルを、自分のペースで主体的に楽しみながら学ぶこと”に重きが置かれる点が大きく異なります。さまざまな工夫によって、学習者が能動的に学べる研修を開発することが可能です。
ーー 具体的にどのようなプログラムなのでしょうか?
プログラム内に、ロールプレイやクイズなどのアクティビティが取り入れられ、学習者自身が反応するタイミングがあり、フィードバックも得られる、というようなインタラクティブな構造になっています。
コンテンツを一方的に進めるのではなく、学習者が考え反応する要素があるため、主体性が生まれるのが大きな特徴です。アクティビティは多様に展開できるのですが、例えば、理解度確認クイズに正しく回答できたら次に進めるようにすれば、その方の習熟度に合わせた設計にできますし、シナリオをより現実的な体験にするためにアバターと会話しながら進めるように設定することもできます。
私は新しいツールを導入し、社内で試行錯誤しながら、三越伊勢丹グループ独自のプログラムを作成しています。既存の研修コンテンツを導入する方法もありますが、三越伊勢丹グループならではの業務との関連性や親和性が重要なため、内製化できるものは内製化する方向で進めています。
ーー 開発で難しいと感じたことについて教えてください
DXの基礎に関する研修は、三越伊勢丹グループの“全社員”に向けたプログラムのため、さまざまな部門や立場の方が操作でき、受け入れられるものにしなければならないところが一番難しかったですね。
部署によっては、スマートフォンを中心に使用して、PCに触れる機会があまりない方もいますし、ITスキルにもばらつきがあります。そのためにまずは、プログラムを構築する以前に、どのようなスキルを持った方々が受講するのか、場所や時間帯など、どういった環境で受講するのかなど、条件を整理して分析することに時間を費やしました。これは先ほど説明したADDIEのうち、Analyze(分析)に当たる部分ですね。
その上で、アクティビティのレベルはどの程度であれば抵抗なく受け入れられるか、スマートフォンでもなじみやすい操作性はどのようなものか、親しみやすいイラストのトーンは?など、社員の意見も取り入れながら作成していきました。そうして完成したのが「DXとは何か?」のプログラムです。
開発中にも良いフィードバックをもらっていましたが、現在社員から回収しているアンケートを見ても、従来の「動画視聴型」コンテンツに比べて、“これなら自分のペースで続けやすい”、“DXについて、もっと発展的な内容を学びたい”というポジティブな反応が多くあり、予想以上に受け入れられていると感じています。
ーー どのようなところにやりがいを感じますか?
仕事の中で、学ぶ楽しさを生み出しながら、社員の成長に貢献できるところです。
前職の外資系企業で「インストラクショナルデザイン」の考え方を知り、本場アメリカの本社研修にも参加する機会があったのですが、そこで「学び」は本来、能動的な行為で楽しさを感じるものであり、研修においても、“学習者の主体的な学び”が重要であることを改めて実感しました。企業によって環境が異なるので、一概にこの方法が適しているという正解はありませんが、社員の皆さんから意見を聞くことで、三越伊勢丹グループに最適な方法を見出しながら、プログラムを構築できると考えています。
それから教育の仕事は、「ひと」と向き合い、直接関わることができるという意味でも魅力に感じています。その方の成長をダイレクトに感じることができ、時には感謝の言葉をいただけることが嬉しく、やりがいにつながっていますね。
ーー 今後の目標について教えてください
研修プログラムを“自学自習=自分の成長に必要なスキルを、自ら学んでいく”ことができるものにすることです。例えば将来的に、今いる部署とは違う部署の仕事がしたいと思っている方が、足りないスキルや知識を学べるプログラムを選んで受講できる、といったことをイメージしています。それから、5分、10分といった隙間時間を使って各自スマートフォンで学習できる、「マイクロラーニング」と呼ばれる手法も有効かもしれません。
全社員向けの研修と並行して、市民開発者向けの業務効率化プログラムや、ITガバナンス担当者向けのセキュリティをテーマにしたプログラムも開発しています。
市民開発は、Power Platformを使ってアプリを作ることにトライしていますが、ツールの導入自体ではなく、まずは“業務の効率化とは何か?”に意識を向けることを目的としています。セキュリティについては、平時と有事の両方で、正しいプロセスにしたがって対応できるようにするためのプログラムですが、一定期間後に、ITガバナンス担当者のアクションが具体的にどう変わったのか、検証したいと考えています。
どのプログラムもリリースしたら評価(Evaluate)し、改善するプロセスを回し続けていくことが重要です。これが、ADDIEに基づくインストラクショナルデザインの真価が発揮される部分だと思います。
まだスタートしたばかりですが、社員の意見を積極的に取り入れながら、この研修をグループのポテンシャルを引き出すプログラムとして成長させ、DX推進の礎をより強固にしていきたいですね。
▼佐藤さんがメインで担当する、業務改善DXについてはこちらの記事でもご紹介しています!
アイムデジタルラボでは、これまでのキャリアや経験を活かし、“その人だからできること”にチャレンジし、価値発揮できるメンバーが活躍しています。アイムデジタルラボではメンバーを募集しています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご応募ください!