ファミコンを通して出会った日本
ラストクラウディアの翻訳チームのリーダーを担当しています。翻訳以外にも、英語版「ラスクラTV」の司会進行、海外の市場調査…海外出張における通訳など、幅広い業務を行っていますが、キャリアとしては翻訳家が一番長く、かれこれ15年続けていますね。日本語を学ぼうと思ったきっかけは村上春樹さんの小説を原文で読んでみたいと思ったことで、学生時代から日本で暮らし始めました。ゲームに関しては、アメリカでもファミコンが流行っていたので、幼少期から日本のゲームには馴染みがありました。アメリカにはゲームカセットをレンタルできるサービスがあり、とにかく色んなジャンルのゲームで遊んでいましたね。その中でもやはり好きだったのは、テキストを通して物語が進んでいるタイトルでした。今の『ラストクラウディア』に通ずるものがあります!
日本語を英語に翻訳する難しさと、達成の喜び
翻訳のジャンルは多岐に渡ります。台詞の翻訳から、ゲーム内お知らせの固いご案内文章、果てはまるで「小説」のような図鑑テキスト…(笑)それぞれ目的が異なるテキストなので、求められるスキルも様々です。言語力は勿論ですが、最も重要だと思っているのは、感受性や共感力といった感性の部分。日本語を英訳する難しさとして、語順が逆の為、素直に訳しても真意が伝わらないというものが挙げられます。例えば「俺は…!」というセリフをただ「I'm...」と訳しても、行間の部分がうまく伝わらないんです。となると、文脈やキャラの心情を推察して翻訳を工夫する必要があります。その時に役立つのは「人生で培った感情」や「経験則」だと感じます。他にも『ラストクラウディア』はADVシーンでキャラ名が出ないので、台詞のみで「誰がどんな状況にいるのか」を伝えなければならないのも難しいですね。頭を捻ることは多いですが、うまく表現できた時の喜びは非常に大きいです。
王道は国を超えて、共感を生む
「ラスクラTV」では、いつも皆さんからの熱い声援を頂いています。国を問わず愛される理由を考えてみると、やはり「王道」であることは大きな要因ではないでしょうか。老若男女を問わず、ルーツも問わず、誰もが理解し共感できるストーリー。知れば知るほど無限の可能性を秘めた育成、戦略的で奥深いバトルにも言葉は関係ありません。そして…個性豊かなキャラ達!日本のエンタメというと可愛い女の子、線の細い美男子のイメージが根強いですが、実際に旅を供にするならタフな男性や、熟練のお爺さんがいた方が頼もしいと欧米では感じる人が多い印象です。つまり、「日本のゲーム」だからではなく「ラストクラウディア」だから愛してもらっているのだと思っています。これからも言葉を通して、その魅力を届けていきたいですね。
「議事録、よろしくね!」という言葉が嬉しかった
アイディスで働く方たちは、国が違うからといって壁を作らない方ばかりです。例えばMTG後に当たり前のように「議事録、よろしくね!」と言われたり(笑)。そんな扱いをしてくれることが、実はとても嬉しいんです。翻訳チームは全員、日本出身ではないですが、そのことで働きづらさを感じたことは一度もないと思います。皆さんの人柄やお互いへのリスペクトが、自然とそんな空気感を作っているのだと感じます。先ほどお話したように、翻訳に必要なスキルレベルは高いかもしれませんが、一人で全て抱えるわけではないのでご安心下さい。他者に共感する力がある方、スマホゲームなのでネット文化に強い方、ファンタジーが好きな方…そんな方に特に適している環境だと思います。一緒に働ける日を楽しみにしています!