商品の世界観を世の中にしっかりと伝える上で、デザイナーの役割はとても大きなものです。特にIoTが当たり前の時代となった今、“体験”を設計するUXデザイナーの存在感は増すばかり。シャープにおいても、デザイナー経験者のキャリア採用に力を入れています。そこで今回は、2024年2月に入社した宮越さんにインタビューし、これまでの経験や仕事への想いを聞きました。
絵作りの力を磨き、UI/UXの分野へ。4社の経験から学んだこととは
――シャープに入社するまでの経歴を教えてください
美大を卒業して昨年シャープに入社するまでに、私は4つの会社を経験しています。まずキャリアのスタートはアパレル会社のWEBデザイナーでした。ここでECサイトの運営に携わり、撮影からバナー制作、グラフィックまで幅広い領域を一貫して手掛けました。デザイナーの下積みとしては、いい経験が出来たと思います。
ただ、私が学生時代から憧れていたのは“広告業界”。そこで2社目に選んだのは、WEB関係のデザイン事務所です。ここでは、化粧品や食品などありとあらゆる商材のWEBサイトを作りましたね。アウトプットの表現方法の幅広さをこの会社で学び身につけました。
でもまだ自分にはやりたいことがあって大手代理店の仕事をどうしても一度経験してみたく、露出度の高い広告を多く手掛ける代理店関係の制作会社に転職しました。たとえば、大手飲料メーカーのパッケージデザイン、商業施設の年間ビジュアルなど、やりたかったグラフィックデザインを存分に経験できた2年間でした。
――憧れていた仕事を2年で辞めたのはなぜですか?
自分に向いている仕事、本当にやりたいことが見えてきたからです。自分のキャリアを振り返ると、グラフィックよりもWEBやデジタルの分野で力を伸ばす方がいい。ならば、当時世の中に浸透し始めていたUI/UXデザインを本格的に学ぼうと思い、デジタルプロデュースを総合的に手掛ける制作会社の門を叩きました。プロジェクターやセンサーを駆使して、体験者が空間に没入しインタラクティブに作品を体験するデジタルコンテンツの制作。見るだけじゃない“体験”自体をデザインするような仕事です。
“体験”をつくるためにはユーザビリティが重視されますが、それだけじゃない。ここで私は、グラフィックで学んだ「絵作りの力」がものすごく役立つことに気づきました。何をデザインするにしても、一番大切なことは“アウトプットのクオリティーの高さ”なんです。そこの部分は、経験してきたどの会社でも変わらなかった。4社を経験したことで、「責任をもって、クオリティー水準の高いアウトプットを作っていこう!」という自分の軸ができたと思っています。
経験を活かせる環境と、ブランディングの面白さに興味が湧いた
――シャープのデザイナーになりたいと思った理由は?
これまでの仕事はすべて、お客様の課題を解決するためのもの。クライアントワークは、公開される期間が限られていて納品すればそれで終わり。私が担った仕事が、クライアントにおいてどんな意味があったのかなど、知り得ないことが多いと感じていたんです。もっと“モノづくり”と向き合いたいと思うようになり、商品や会社自体のブランディングにじっくりと関わりたいと強く感じて、「事業会社に転職しよう!」と決めました。
シャープがデザイナーを求めていることを知ったのは、実はこの「ウォンテッドリー」です。まず、UI/UXを内製していることに驚きましたね。ここでならば自分の経験を活かしながら、商品のブランディングも会社のデザイン性も育んでいけそうだとワクワクしました。まだまだ私はチャレンジできるんだと。ですから応募に迷いはありませんでした。
――選考過程で印象に残っていることは?
私の場合は、面接に進む前に“カジュアル面談” をしたのですが、これがとても良かったですね。“選考”というのではなく、ざっくばらんにお互いのことを話しましょうというスタンス。特に、デザイン部門のリクルーターの方が話しやすくて、第一印象がとても良かったのを覚えています。どんな質問にも親身になって私の目線で答えてくださり、会社のことも丁寧に説明してもらえたので安心できました。
たとえば、男女比などの柔らかい質問から、実際の開発現場の話まで、知りたいことをしっかりと聞けました。リクルーターの方の、ここで働くイメージが湧くような“解像度が高い”話し方がとても印象的でした。また、私は転職回数が多いのですが、そのことをマイナスではなくプラスに捉えてもらえたことも嬉しかったです。その中で自分の強みをしっかりとアピールすることができました。
最終的な決め手は、「商品のブランディングに長きにわたり携われる」ことです。しかも商材が幅広いので、関われる領域が広いという点も魅力でした。アウトプットの領域を狭めることなく、様々な経験を活かして携われる環境。自分自身の可能性を感じましたね。
入社から5ヶ月で、テレビ(2025年度モデル)のUXデザインを任された
――現在携わっている仕事を教えてください
UXデザインチームの配属となり、シャープが世に出しているあらゆる商品のデジタルプロダクトをデザインしています。商品開発の現場では、たとえば冷蔵庫チームやドライヤーチームなど商品カテゴリーごとの開発チームがあるのですが、UI/UXに関してはその枠はなく、全カテゴリーのプロジェクトチームにその都度参加するカタチでデジタルプロダクトを手掛けます。商品の中で“画面に映るもの”全てをデザインするチーム。かっこよく言えば、UI/UXのスペシャリスト集団です。
その中で私は今、来年度発売される「AQUOS」のUI設計を担当しています。番組表や操作画面、アイコンの設定画面などもデザインしますから、グラフィック面においてAQUOSの世界観をつくることも可能。即戦力とは聞いていましたが、入社から5ヶ月ほどで手応えあるポジションを任せてもらえたことには驚きました。
――難しいと感じることはありますか?
これまでプロダクト制作にはあまり携わってこなかったので、「自分の経験がどれだけ活かせるか」は正直不安でした。けれど、一緒に携わっている先輩をはじめ、いろいろな方がフォローしてくださるので、本当にありがたいです。分からないことは一つひとつ聞きながら、勉強しながら仕事を進めているところです。
ボタンの操作性にも、いろんな切り口がある。家電のUXは学ぶほどに面白い
――仕事のやりがいや面白さを教えてください
前職で手掛けた設計は、主にパソコンやスマホの画面の中で完結していましたが、家電は違います。テレビの場合、リモコンで数メートル先にある画面を操作するという、全く新しい経験が私にとっては新鮮なんです。
たとえば、どのボタンをどの操作に割り当てるかとか、ボタンを押すタイミングなどをAQUOSの企画部と一緒に考えるのも楽しいし、そこに自分の意見をどんどん投入できることも面白い。操作性を考えるにしても、本当にいろんな切り口があるので、思いついたアイディアは積極的に提案しています。
その点、シャープはものすごく風通しがいい職場。社歴など関係なく、誰のどんな意見にもしっかりと耳を傾けてもらえる風土があります。「現行のテレビはこういう課題があるから、次はもっと違う切り口で作ろう」となれば、そのために何を準備したらいいかを自由に提案できる。つまり、テレビ自体のブランディングに関われるわけです。手を挙げれば仕事の幅が広がっていくというのも、すごくやりがいにつながっています。
制作環境もデザインできる自由な職場!
――ずばり、シャープで働く魅力は?
私のデスクの横には今、巨大な画面のAQUOSが2台ドーンと置かれています。それを実際に操作しながらデザイン業務に励む日々。実はこれ、同業他社ではあまり見られない光景だそうです。「こうした方が仕事が捗る」と提案すれば、難なく通るこの環境!柔軟さはシャープの社風なのだと聞きました。そしてその通りだと感じています。
もうひとつ転職して良かったと思うのは、とても働きやすい環境であることです。ワークライフバランスをしっかりと保てる環境で、休みの日は美術館に行くなど、インプットもしっかりとできます。メリハリを持ち仕事に取り組めるのは素晴らしいことだと、シャープに転職して実感しています。だからこそ、仕事の質にこだわれるのだと思います。これからいろんなことにチャレンジしながら腕を磨き、クオリティーの高いデザインワークでシャープに貢献したいと思います。
※記事内の部門名、役職名、内容はインタビュー当時ならびに掲載当時のものです。
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