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NFTの魅力は「値段」じゃない。Gaudiy代表・石川が語る、NFTの本質的な価値とは

2021年10月5日、Gaudiy代表の石川が、バンダイナムコエンターテインメント社の社内講演会に講師として登壇いたしました。講演会のテーマは、「ファン経済2.0~ブロックチェーンが創る新たなエンタメ経済圏〜」。その講演会の模様を、前後編に分けてお届けいたします。

スピーカー:
株式会社Gaudiy 代表取締役CEO 石川裕也(以下、石川)

聞き手:
株式会社バンダイナムコエンターテインメント社員(以下、BNE)

※本記事は、講演の書き起こしに、一部編集を加えています。

1/ エンタメコンテンツをプラットフォーム主導の世界から解放する

BNE:みなさま、お待たせいたしました。ただいまより、スペシャル講演を開演いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは早速、本日の講演についてご紹介をさせていただきます。本日は「ファン経済2.0~ブロックチェーンが創る新たなエンタメ経済圏〜」と題しまして、Gaudiyの石川裕也さんにお越しいただいております。では石川さん、よろしくお願いします。

石川:はじめまして、石川です。よろしくお願いします。

BNE:では私から、簡単に石川さんのご紹介をさせていただきたいと思います。石川さんは94年生まれの26歳ということで、大卒の社会人でいうと4年目、5年目ぐらいの方々と同世代になります。2018年の5月にGaudiyを創業され、ブロックチェーン技術を使って様々なファン体験を提供できるプラットフォーム、「FPaaS(エフパース:Fan Platform as a Service)」を開発・運営されております。また、Gaudiyを経営される傍らで、毎日新聞やLINE Payのブロックチェーン技術顧問を兼任されております。

私、石川さんのこの言葉が大好きなんですけれども、「エンタメコンテンツをプラットフォーム主導の世界から解放して、ファンとコンテンツが共創する経済圏をつくっていく」ということを掲げていらっしゃいます。本日はぜひこの視点から、石川さんに色々とお話しいただきたいということでお招きしております。

では早速、石川さんのご専門分野でありますブロックチェーンや、Gaudiyさんの取り組みについてご講演をいただきたいと思います。しばらく石川さんに時間をお預けしますので、よろしくお願いいたします。

石川:お願いします。改めまして、Gaudiyの石川です。

先ほどご紹介いただいたように、ずっとテクノロジーの分野でやってきて。3年前にGaudiyという会社を立ち上げ、他にも色んな技術支援などをさせていただいているような者です。

簡単にGaudiyの紹介をさせていただくと、自分たちは「ファン国家を創る」という形で、エンタメ領域のファンの人たちの経済圏だったり、エコシステム自体を創っていくことをビジョンに掲げている会社です。

事業領域としては「エンタメ×ブロックチェーン」で、ゲームだったりアイドルだったり漫画だったりスポーツだったり、あらゆるエンタメ領域とブロックチェーンを掛け合わせるというところで事業を展開しています。おそらく聞き馴染みのないワードも色々とあると思うんですが、ブロックチェーンの中でも色んな技術があって、そこと掛け合わせたものをやってます。

自分たちが解決したい課題に関しては、先ほどおっしゃっていただいたような「外部プラットフォームへの依存」というのはものすごく大きいなと思っていて。

なぜかというと、今のエンタメコンテンツは、例えばYouTubeとかNetflixとかAppleとか、そういった外部プラットフォームに体験を縛られてしまっている。また、企業にとって一番大事なビックデータが取得できなかったり、自社にユーザープールを形成できない。他にも、高額な手数料の問題。今だと、ゲーム会社のEpicとAppleが裁判を起こしてると思いますけど、そういうものをブロックチェーンの技術やファンコミュニティを使うことで解決するようなソリューションをつくっています。

Gaudiyは今、20~30名くらいのスタートアップなんですけれども、ファンの方々や大手エンタメ企業との取り組みを色々とさせていただいてます。あとは慶應や早稲田の大学教授と一緒に論文を書いて国際学会に提出したりとか、R&D的な動きもしています。

その研究は、中高生向けに提供されているサービスでも実際に使われてたりするので、本当にエンタメ領域のブロックチェーンの社会実装をGaudiyでやっていますと。また、自分たちはブロックチェーン企業でNFTとかも扱っているので、今日はNFTに関しても色々とお話ができればなと思っています。

2/ NFTの魅力は「高額な値段」ではない

石川:まずNFTとは何なのかっていう。みなさん、なんとなく聞いたことあると思うんですけれども、「NFTアートが75億で売れた」とか「NFTを使ってローンを借りる」とか。あと、ここは聞いたことがないかもしれないですけど、「フィリピンのおじいちゃん、おばあちゃんがブロックチェーンゲームの稼ぎを使って借金返したり家建てた」みたいな。

これって実は、これから始まる未来の話ではなくて、もうすでに起きている。こういう人たちがいて、すでにやっている。ということを認識していただけると、今日これからの話がちょっとおもしろいかなと思います。

国内でも、ももクロさんだったり香取慎吾さんだったり、僕らが集英社さんと取り組んだ『約束のネバーランド』のプロジェクトだったり、少しずつNFTの動きはでてきたと思います。

ただNFTと言うと、先ほどの75億とか「何億円」みたいなところばかりがニュースでピックアップされがちなんですけれども、NFTの魅力は全然そこではない、というところを今日は簡単に説明できればなと思っています。

NFTは「Non-Fungible Token」の略で、デジタルコンテンツに「所有」と「移転のルールメイク」を可能にした技術だと思っていただければよいです。

少しわかりづらいと思うので具体的にいうと、ポケモンGOでゲットした幻のポケモンとか、漫画アプリで購入した漫画がメルカリで売れるみたいなこと。それをセカンダリーマーケットで売ったとしても、そのIPホルダーやクリエイターの人たちにちゃんと返ってくるスキームが実現できる。

なので先ほどフィリピンの話をしましたけど、「Axie Infinity」っていうNFTゲームでは、ゲームアイテムを預けて育ててもらうことがビジネスになっていて、実際にブリーダーみたいな人たちが億を稼いだりしてるんですよね。

バンダイナムコさんの中でも色んなゲームがあったりすると思うんですけど、そのゲーム内の「なんちゃらマスター」とか「なんちゃらブリーダー」っていう職が、本当に実際の職業として生活できるくらいまでやれるみたいな。

「ゲームを作れるということは、世界を作れる」みたいなことが、ブロックチェーンだと実現できると思っていただければよいかなと思います。

じゃあ、なぜNFTが高く売れるのかって話なんですけど。仮想通貨のバブルというのは実際あります。ただ本質的には「消費」が「所有」になったから。わかりやすく言うと、例えば不動産でも、賃貸と購入って全然値段が違うじゃないですか。それはDVDもCDもなんにしても。これは所有すると販売することもできたりするので、シンプルに高くなる。消費から所有になったというのが、実際に値段が高くなった理由です。

3/ NFTを世界最大級のアイドルフェス「TIF」で活用

石川:ここからは実際に、NFTでどんなことができるのかという話を、Gaudiyが提供しているサービスや他社さんの例もご紹介しながら説明できればなと思います。

最近「TIF(ティフ)」っていう、フジテレビさん主宰で9万人ほどを動員する規模の、世界最大級のアイドルフェスがあったんですけれども、そのオンライン配信の部分とコミュニティーサービスをGaudiyが作りました。ここでも、実は色んなブロックチェーン技術を使っています。

例えばNFTチケット。「NFTは所有と移転のルールメイクができる」と話したんですけど、この仕組み的には、これまで転売されてたようなものを全て防止できる。そして、セカンダリーでの販売でも収益がちゃんと返ってくるようになる。オフライン・オンラインのチケット管理だったり、価格の上限下限とかも決められるようなシステムを作りました。

そしてオンライン配信。今のコロナ時代に「オフラインでやろうと思っていたけどオンラインになっちゃいました」っていう時も、一度払い戻しをしてからオンラインチケットを購入し直すんではなくて、そのままシンプルにオンラインに切り替えることもできます。

NFTは所有権だけを持ってるので、ユーティリティ(実用価値)自体を切り替えるってことはものすごく簡単になってます。プラスアルファで、これは僕たちがコミックスマートさんと取り組んでるんですが、さきほどのチケット技術を転用したNFT電子書籍。Kindleとかの電子書籍は今売れないと思うんですが、そういうものをNFTだと売れるようになったりします。

今回のTIFに話を戻すと、活用例のひとつは「NFTライブサイン」です。これは、オンライン配信のひとつに「通りすがりチャンネル」というのがあって、通りすがったアイドルの人たちがサインを書いてくれて、それを視聴していた人だけがNFTのサインをもらえるみたいな体験です。

BNE:それってカメラが置いてあって、そこをたまたま通りすがるアイドルを見ている人にっていう。

石川:っていうテイなんですけど、誰が来るかはちゃんとセットされてるっていう(笑)

BNE:(笑)

石川:それは番組の構成上の話なんですが、要はこういう風に「NFTのサインがリアルタイムで受け取れる」みたいなことが実際にできたりとか。

この「受け取りボタン」っていうのが視聴者の画面に出てくるんですけど、ここから受け取れる。これ今、僕の携帯画面ですけど、こんな風に現場で書かれたサインが画面越しのファンの人たちに届く。オンラインでしたが、めちゃくちゃ楽しんでもらえました。(※詳細はこちらの記事もご参照ください。)

NFTを使うことでほんとに所有感だったりとか、これを例えば友達にあげたりとか、将来的にそのアイドルが好きじゃなくなった時にも売ったらすごく値段がつくだったりとか。そういう「所有」している感覚を、デジタルでも作れるってところがNFTの要素です。

あとはNFTを使ったプロモーションなどもやっていて。「ハッシュタグつきのツイートしたらNFTがもらえる」というキャンペーン施策をやったり。デジタルなので原価がほぼかからないんですが、多くのファンの人たちを誘致できます。なので、イベントの誘致だったりCDやDVDの販売促進だったり、ここに関してもすごく大きな効果を出すことができていたりします。

4/ NFTを使えば、他の人が価値を拡張することができる

石川:もうひとつ、NFTの大事な価値としては、「トークングラフ」と呼ばれる拡張スキーム。今回はNFTをチケットとして売ったんですけど、それを投票権だったり色んな価値に拡張させていくことができます。

これはどういうことかというと、運転免許証とかトランプみたいなものだと思っていただければよくて。これ今、例に出してる「Loot」というサービスなんですけど、ただ文字を乱列するだけの画像です。

これが100万円以上になってるものがあったりするんですね。なんでかっていうと、その画像を使って他の人たちが勝手にゲームを作れるんです。トランプも1〜13の数字と4種類のシンボルから色んなゲームができると思うんですけど、それに近くて。こんな形で他のユーザーさんたちがどんどん価値を拡張していくってことも、ブロックチェーンではできたりします。

NFTを扱うところには「ウォレット」というのが必要になるんですけど、それを「DID(Decentralized Digital Identity)」という分散型IDを使うことによって、色んな他社のサービスにつなぐこともやっています。これは、実はNFTと密接につながっています。

分散型IDはなにができるかというと、色んな拡張や、横断的な分析ができます。実際の例でいうと、ゲームとコミュニティというそれぞれのプラットフォームのIDをブロックチェーンでつなぎます。そうすると、データ分析だったり横断的な体験が作れるようになっていて、ゲーム内のカードをリアルカード化できたりします。また仮にゲームがなくなってしまった時も、コミュニティでNFTとして残す「デジタルバックアップ機能」も提供できます。

これは実際のクライアントさんからもご好評いただいてるんですけど、そういう風に本当は無くなってしまうものを残すことでファンの人たちに喜んでいただく。

あと分析でいうと、ゲームだけでしかデータを持てていなかったものが、コミュニティの定性データや、別のグッズ販売のデータなども持てるようになって、横断的な分析ができるようになる。ファンがどんな人で、どこでどれくらいの消費をしてるのかっていうのを、プラットフォームを横断してみれるというのが分散型IDの良さだったりします。

そのような形で、ちょっとバッと例を出せていただいたんですが、ブロックチェーンというものは、本当に色々なエンタメの課題解決ができる技術であるということです。

BNE:ありがとうございます。スタジオに戻ってきた時、私の顔も「???」みたいな感じになってたんですけど(笑)、少し難しい部分もありまして。一点お伺いしたいのが、今のNFTの話で「消費から所有になった」という部分があったと思うんですが、厳密には「NFTでは所有はできない」みたいな話も聞いたことがあって。その所有感って、幻想でもとりあえず価値を感じればOKなのか、どういう風に「所有」ってものを捉えたらいいのか、お伺いできますか。

石川:ありがとうございます。実際には「所有はできます、だた閲覧はできない」というのが正しいです。「NFTの電子書籍を持ってます」という例でいうと、シンプルに「電子書籍を持ってる」とイメージされるかもしれないですけど、実は持っていないんですね。「電子書籍を読む権利」というものがNFTに付与されてるだけなので、実際には閲覧データ自体は普通にサーバー上にあります。なので、そのサーバーが止まってしまったら実は見れない。

ただ、これに関しては「IPFS(Inter Planetary File System)」という、そのデータベース自体を分散型にする技術が発達してきているので、今の「所有ができない」という定義に関しては「今はできないけど、すぐできるようになる」っていう見方です。

BNE:それはもう、実質的な所有に移行していくっていう。

石川:そうですね。所有と閲覧もちゃんと一致した、本当に「持っている」ような感覚。中のアセット自体も所有できる状態は、すぐに実現できるものだと考えています。

(以下、後編に続く)

※本記事は、以下noteの転載になります。
https://note.com/gaudiy_inc/n/nb9e5c9c993a1

Gaudiyでは、ファンとコンテンツが共創する新しいエコシステムの創出をめざして、日本を代表するエンタメ企業とともに大きな挑戦をしています。

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