CLACKメンバーの想いやジョインのきっかけが分かる【社員インタビュー|Why CLACK編】、今回は、理事の井上さんにお話を伺いました。
大学生時代から子どもの支援に携わってきた井上さん。2021年にCLACKへの参画を決めた理由、そして今何を目指しているのか。その背景と想いを語っていただきました。
——本日はよろしくお願いします。まずは、井上さんの仕事内容を教えてください。
現場で子どもたちと直接関わる経験を経て、現在はCLACKの経営と、支援してくださる企業との関係づくりを行っています。
——CLACKの今後の経営方針については、どんなことを検討しているのですか?
CLACKはこれまで、困難を抱える子どもたちがITスキルを身につけるための支援をすることで、将来の自走につなげてきました。ですが、AIの登場によって、ITスキル1つで安定した仕事に就き続けるのが難しくなってきています。
CLACKとしては今後、サイバーセキュリティなどの専門性と、「読み書きそろばん」のような汎用性、この両方向でITスキルを伸ばすための支援をしていきたいと考えています。
子どもの背中を押すことは、AIにはできない ——これまで多くの子どもたちと関わる中で、井上さんご自身は、AIが子どもにどんな影響を及ぼしていると考えますか?
教育環境が整っていて、自分の困りごとを言語化する力がある子にとっては、AIはとても便利なツールです。
一方で、親や先生など周りの大人から肯定してもらえず、自分で考える気力を失っている子どもは、「AIに答えを聞いておしまい」という使い方になりがちです。 AIは困難を抱える子どもから考える力を奪い、家庭環境による格差を広げる存在になりつつあると感じています 。
——大きな影響が出ているのですね。
ただ、このような状況だからこそ、CLACKが取り組んできた 人による伴走支援の価値が高まっている とも感じます。
困難を抱える子どもにとっては、自分に期待をして、応援してくれる存在が重要です。「応援されている」という感覚は、相手に顔があり、名前があり、人格があって初めて生まれるもの。 「この人が言っているのならやってみようかな」と、子どもの背中を押すことができるのは、やっぱり人間だけなんです。 この点を、CLACKとしても大事にしていこうと考えています。
CLACKで伴走支援を務めるインターン生とミーティングをする井上さん(右から2人目)
企業のボランティアを通じて、子どもの選択肢を広げる ——企業との関係づくりでは、どのようなことを行っているのですか?
たとえば相手企業の社員さんに、ボランティアとして、高校生の支援に協力してもらっています。「どういう進路を選んできたか」「どう考えてその道を選んだのか」といった、自身のキャリアの話をしてもらうんです。
CLACKが目指しているのは、子どもたちが将来自走できる力をつけること。 子どもが保護者や学校の先生以外の大人からキャリアの話を聞けることは、自身の将来を考えるうえで視野が広がる機会になるんです 。
この活動では、企業側にとっての価値も生まれています。特にB to Bの企業に勤める社員には、仕事が社会にどのように還元されているかが見えづらいことがありますよね。でも、所属企業が寄付をしている団体の活動に参加して、子どもたちの変化を目の当たりにすることで、「うちの会社って社会にとっていいことをしているんだな」と、所属企業への信頼が高まる効果が生まれています。
「勉強が苦手な理由を、子どもの自己責任にされていた」 ーー井上さんはCLACKに参加する以前から、一貫して子どもの支援に取り組まれています。動機はどこからきているんですか?
初めて子どもの支援に携わったのは、大学生の頃に参加した、小中学生に勉強を教えるボランティアでした。当時NPOに興味があって、塾講師の経験もあったので「できるだろう」と思って始めたのですが、いざ中学3年生の女子に勉強を教えようとしても、全然口を聞いてくれなくて……。結構落ち込みました。
そのときに、社会人のボランティアの方から「誰のために授業をやってるの?」とフィードバックを受けて。僕は「学習的に何が足りていないか」という観点でしか彼女を見ていなくて、「今どういう状況で、何に困っているか」を理解しようとしていなかったーーそのことに気付かされたんです。
——それから、子どもたちとの向き合い方は変わりましたか。
子どもが置かれている環境に目を向けるようになりました。すると、 本人以外の要因で勉強が苦手になってしまっている状況が見えてたんです 。学校の先生とうまくいかなかったり、宿題をきちんとやれる家庭環境になかったり……。
半年間の学習支援を経て、彼女は自信をつけ、努力ができるようになって、志望していた高校に合格することができました。その後も、数々の子どもたちと関わる中で、 「本人は何も悪くないのに、努力が足りないせいにされている」 という構造が共通していることを実感しました。
——子どもの自己責任にされていたのですね。
はい。明らかに支援が必要な状況でしたが、当時は今よりもNPOの体制が脆弱で、一緒に活動していた仲間は次々に辞めていきました。僕は 「誰もやらないなら僕がやる」 と続けてきて、気づいたら13年経っていました。
子どもの学習支援活動を行う井上さん(2016年)
学習支援の限界を感じ、CLACKへ ——学習支援のNPOでの活動を経て、井上さんは2021年にCLACKに参加します。なぜCLACKに加わったのですか?
「学習支援でできることの限界」を日々感じるようになっていたのが大きな理由です。 貧困や虐待などによって、学習以前に生活の基盤がままならない子どもの姿を、現場でたくさん見てきた からです。
もちろん、子どもが勉強を頑張って、志望校に入学することには価値があります。でも、その子が将来幸せに生きていくためには、学歴以外にもさまざまな経験が必要なはず。そう考えて、CLACKに加わりました。
——CLACKが取り組む子どもの自走支援が、井上さんの課題意識にマッチしたのですね。
CLACKの魅力は「人を巻き込んで、社会を変えていけること」 ——話題は変わりますが、CLACKで働くうえで、大切な要素は何かありますか?
子どもの目線で考えられることは、とても大事だと思います。 CLACKの規模だと、どの業務でも2個か3個先には必ず子どもがいます 。子どもを起点にして「これでいいんだっけ?」と思考できる人のほうが、CLACKの組織にフィットすると思います。
それと、メタ認知ができることも大事かなと思います。この前メンバーと話していたのが、「CLACKは大きくなってきたとはいえ、軽トラだよね」って。
——「〇トントラック」ではなく、あくまで軽トラなんですね(笑)
はい、軽トラで高速道路を時速120kmで走っている状態です(笑)。60kmにスピードを落とすと確実に事故を起こすのに、「エンジンを吹かすのがしんどい」と言われると困ってしまうんです。
今のは例え話ですが、自分のいる組織が業界内でどれくらいの規模で、どんな課題があって、どれくらいのスピード感で進んでいて、自分はそこにどうフィットできるのか……と客観的に認識できるのは大事だと思います。
CLACKは成長してきたとはいえ、支援をいただいて成り立っている組織です。チャレンジを続けていくスタンスを崩したら、終わってしまう 。そのあたりを認知できているかどうかが、社外の方々とのコミュニケーションの取り方に関わってくるんです。
——井上さんにとっての、CLACKで働くことの魅力も教えてください。
いろいろな人を巻き込んで社会を変えていけることは、この仕事の一番面白いところだと思います 。「既に勝ち筋が決まっているビジネスをやるよりも、今はないビジネスモデルを作って、新しい価値を社会に提供したい」「組織の看板よりも自分の顔で信頼関係を築いていきたい」という人には、とても向いているのではないでしょうか。
「こんな風に社会を変えたよ」と伝えたい
――最後に、井上さんの今後の目標はなんですか?
僕はこれまで、子どもたち1人ひとりから沢山のことを学ばせてもらってきました。この学びの成果を、自分の成長だけで終わらせるのはかっこ悪いなと思っています。学びを社会に還元して、大人になった彼らに「こんな風に社会を変えたよ」って胸を張って伝える。それが、時間を使って学びを与えてくれた彼らに対する責任だと思っています。
子どもへの支援を続ける中で考え続けていることがあります。それは、 「この子たちは、この先どうやって働いていくんだろう」 ということです。
今の日本社会では、大学に進学して、新卒一括採用で入社して……という流れや、採用時の評価軸が固定化されていますよね。でも逆境を経験してきた子どもたちは、その中でうまく立ち回れないことが多いんです。
でも、それぞれの子どもに合った「働くことまでのたどり着き方」が必ずあると思っています。たとえば、高校卒業後に現場で働いて、収入を得ながら知識や経験を積んでいけるような、 「学ぶこと」と「働くこと」をシームレスにつなぐ しくみを作っていきたい。これから日本の労働力人口は減少していきますから、社会全体にとっても必要な考え方だと思っています。子どもたちから学ばせてもらってきた僕の人生の集大成として、取り組んでいきたいです。
――「与えてもらってきたものを社会に還元していこう」という意識は、とても素敵ですね。そういう大人が増えたら、社会はもっとよくなっていくと感じました。本日は、お話ありがとうございました!
(編集・執筆 添島香苗)
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